※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

365 名前:不審物がやってきて[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:52:12 ID:2TgNZZji [2/11]
ピンポーン

特別な用事もなくいつものようにひたすら惰眠をむさぼっていた土曜日の朝。
チャイムの音がその尊く、貴重な行為を遮った。
しかし、ここで敗れるわけにはいかない。
Time is money 昔の人はいいこと言った。
まさにこの瞬間は値千金、宗教の勧誘や怪しい訪問販売などにかまっている暇はない。

ピンポーン

しかし、楽園の侵略者は一向に帰ろうとしない。
そういえば今日は両親が朝早くから歌舞伎を見に行くとか何とかで出かけていたのだ。
つまり、あまりにしつこかった場合は自分で対処しなくてはいけないというとてつもなく面倒な事態になるのだ。

ドンドン

今度は直接ドアを叩いてきた。
ええい、己は借金取りか何かなのかと問い詰めたい。
すると表からやけに凛とした女性の声が聞こえてきた。

「平賀さーん、お届けものです」

……そうか、宅配便か。
どうしてこんなにもしつこいのかやっと納得がいった。
さすがに善良な配達業者の人にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
俺はもぞもぞと布団から這い出た。さらば布団という名の楽園。

ピンポーン

俺が楽園との決別を惜しんでいるときに早く来いと催促するようにチャイムが鳴る。
いやね、実際催促してるんでしょうけどね。
今、行きますと答えて急いで玄関を開ける。
とそこには緑色の作業着を着て、同じく緑の帽子をかぶった女性が立っていた。
身長は俺よりも少し下なぐらい。
顔と髪は帽子で見えないが素晴らしきは作業着に押し込まれているのにそれでも自己主張を続ける胸である。
うん、でかい。
しかし、残念なことにナイチチ好きーな俺には邪魔な脂肪のかたまりでしかない。
そう、貧乳はステータス。貧乳は世界を救う。
そんなことを考えていたら女性の目つきが剣呑なものになっている。
いくら興味がないからと言っても女性の乳に目線を向けていてはいけないな。

「すいません、ここにフルネームでサインと判子お願いします。実印で」
差し出された用紙は一部が切り取られて下に色の違う紙が用意されているように見える。
きっと俺が寝ぼけてるせいだな。
「はいはい」

366 名前:不審物がやってきて[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:53:08 ID:2TgNZZji [3/11]
待たせていたことだし、さっさとサインと判子を押す。
けど母よ、実印を玄関そばの引き出しに入れておくのはどうかと思うぞ。

「どうもありがとうございました~」

なぜかやけに機嫌がよさそうな声を出して帰っていた。
仕事が順調に進むとうれしいのだろうと適当に納得した。

 しかし、この荷物は一体何だろう?
母が何か通販で買ったのか?
いや、宛名は俺宛になっている。おまけに差出人は書いていない。
今のご時世に差出人の名前なしに配達ができたのか。
まあ、俺に危険物が送られてくるとは思えないし、大丈夫であろう。

 とりあえず自分の部屋に荷物を持っていき机の上に置いた。
「とりあえず開けてみるか」
机からカッターナイフを取り出し。
段ボールを切り、開ける。
そこには時計の周りにいろいろと配線がごちゃごちゃしたものが入っていた。
閉める。
なんだろうね、昔映画で見たことがあるような気がするよ。
あれはなんていう映画だったけなバスが一定速度以下になったら爆発するとかっていう映画。
それに出てきたものにそっくりな気がする。

 心を落ち着けてもう一度開ける。
タイマーが進んでいた。
「えええええええええ!」
いやいやいや、どう見ても爆弾なんですけど。
時間がきたらアウトにしか見えないんですけど。
頭を抱えて絶叫する。
優雅な土曜の朝は一瞬で崩壊した。

 ひとまず落ち着け俺Koolになるんだ。
こんな時は貧乳な女の子のことを考えるんだ。
ああ、この間法事のときに会った玲子さんはスレンダーでよかったな。
お辞儀をした時の胸元の布地が妙にすかすかしていたのがとっても良かった。
あれこそ俺の憧れ、世界に名だたる貧乳だ。
あれほどまでに素晴らしい貧乳を俺は見たことがない。
あの貧乳を思い出すだけで俺は悟りをも開けそうだ。

 OK。落ち着いたところでこの不審物が何なのかよく調べる必要がある。
よく見ると爆発物(仮)の脇に手紙が入っていた。
表には『Dear My Lover』と書かれていた。
「愛し我が君へ…ね」
続きはこうだ。
『親愛なる泰知くんへ
 これは私からのプレゼントだよ。
 いつまでも私の気持ちに気がつかない君にはこれくらいやらないと分かってもらえないしね。
 制限時間は30分。段ボールを開けたらスタート。
 解体しないと大変なことになるよ。
 それと警察には知らせないほうが君のためだよ。
 私は君のこといつも見ているしね
 とはいえ、さすがにいきなり解体作業をしろなんて言えないから解体方法を書いた紙を同封しておくよ。
 君だったらそれを見て解体できると信じているから。
 早く私に会いに来てね。
 Your Sweet Lover』



367 名前:不審物がやってきて[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:54:02 ID:2TgNZZji [4/11]

「………は?」
いやいやいやいや、訳がわからんですよこの手紙。
『いつまでも気持に気がつかない』って何のことですか?
そんなアプローチ受けたこともない。
は!!
もしや男はみんな胸が好きという勘違いをしている貧乳娘が思い余ってこんなことをしてしまったとか?
うん、いい。
じゃなくて、誰がこんなことをしたかはともかくとして。
これを解体しないと『大変なことになる』らしいしこんな怪しげなものはさっさと処分してしまいたい。
俺は工具箱を用意し、手紙に同封してあったもう一枚の紙。
解体作業の手順が書いてある紙を広げて読む。

「俺は元SASの隊員でも小学生探偵でもないんだがな…」
そんなことをぼやいていてもむなしいだけだった。

『中のタイマーは罠。どのコードを切っても爆発する』
いきなりですか。
『肝心なのは小箱。左上から反時計回りにはずしていく。
 ねじを外すには通常左に回す。しかし動かない。
 だが、右へ回すとドカンだ!』
いや、無茶な。
『答えは強引に左へ回す。
 二番目のネジはやはり左には回らない。答えは……右回しだ』
このネタわかる人居るのか?

 そんなこんなでこの解説書のおかげで何とかほとんどの解体が終わった。
最後にお約束のように赤と青の2本の配線が残った。
さあ、どちらを切ればいいんだ?
『最後に2本のうちどちらかを切ればそれで終わり。
 お疲れ様、どちらを切るかは君に任せるよ。
 私への愛を証明してね』
…………。
ふざけんな!!!
最後の最後で見捨てやがって。
つーかなんですか、2本をあからさまに残しやがって。
ドラマや映画の見すぎじゃないですか?
俺だったらどちらを切っても爆発するようにするね。
じゃなくて、どうしろってんだこの俺に。
俺は元SAS隊員の保険屋のオプでもなければ薬で小さくなった探偵でもないんだぞ。
どうする、どうする?
あきらめるか?いや、命かかってんですよこっちは。
そんなことを考えているとふとアゴ下がプニプニのおっさんが天啓を下してきた。
『あきらめたら、そこで…』「ごめん、俺その漫画読んだことない」
おっさんは光の中に消え去った。

 ふう、今ので落ち着いた。
けれども、事態は好転しないな。
とりあえずもう一度犯人の手紙と解説書を読んでみよう。
そうして解説書を見ていると隅っこにこんなことが書いてあった。
『ヒント 私との赤い糸を切らないでねハート』

「まんま答えだこれ!!」
思わず絶叫したね。



368 名前:不審物がやってきて[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:54:31 ID:2TgNZZji [5/11]
 よし、と気合いを入れなおして青い銅線を切ろうとする。
しかし、本当に青いほうでいいのか俺?
実は赤が正解とかじゃないのか?そんな考えが頭をよぎった。
が、今更そんなことを考えても意味ないなと思いなおし青い銅線を切った。

 するといきなり音楽が鳴り出した。
「これは………カノン?」
碌にクラッシクを聞いたことのない俺でも知っている曲だ。
その曲がオルゴールの音色で聞こえてくる。
それは爆発物(仮)の中から聞こえてくる。
周りのごちゃごちゃした部品らをどけるとそこにはオルゴールの箱が1つ置かれていた。
恐る恐る手に取り、開けてみるとそこには指輪が2つ入っていた。

「ペアリングか…」

 驚いたけど、こんな風に演出をしてくれる貧乳娘を愛しいとおしく思った。
そんな風にチョットばかし感動しているとまたチャイムが鳴った。
先ほど怪しい宅配物が来たばかりなので少し警戒して玄関を開ける。
するとそこには意外な人物がいた。

「おはよう」

 そこにはまぶしい笑顔を携えた金髪美女が立っていた。
「き、君は…」
彼女はクラスメイトでハーフな帰国子女のヘレンさん(巨乳)。
しかし、日本に完全に馴染んでいるのに時々無理に帰国子女っぽい言動やハーフらしさなどを出す彼女にはもっと似合いのあだ名がある。
「ケレン(外連)さん、おはよ…」
言いきる前にケレンさんの足が俺の左太ももに突き刺さる。
「目標の向こう側を蹴るローキック!?」
大変痛かったです。

 とりあえずケレンさんを家の中に招きお茶を出す。
いきなりローキックをされたからと言って追い出すほど俺の心は狭くない。
それにしても彼女がここに来た理由がさっぱり分からない。
彼女は外連味のある性格ではっきり言って猫かぶりである。
そして、外見はハーフの宿命というか、当然の美少女である。
目立ちがはっきりしていて、青い目がその美しさを強調している。
かといって外人っぽくなさすぎないのが美人だと思えるポイント何だと思う。
しかし、彼女の一番の特徴はそこではない。
西欧人の特徴を一身に受けている胸にある。
彼女の胸に宿っているものはもはやエベレストといっても間違いではない程の夢に満ちているそうだ(友人談)
されど、悲しいかなナイチチスキーな俺にはただの脂肪の塊だ。
巨乳は夢を抱えている。しかし、貧乳はみんなに夢を与えているのだ。
そんなわけで俺は彼女とはそこまで親しくない。


369 名前:不審物がやってきて[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:55:04 ID:2TgNZZji [6/11]
「ねえ、平賀君。さっきのプレゼント、受けっとてもらえた?」
「っな!!!?」

 さっきの爆弾もどきはケレンさんが送りつけてきたってことか?
一体何のために?
「なんであんなもの送ってきたんだ?」
その質問にケレンさんは答えずお茶をすすった。
「そういえば、今日はご両親は居ないの?」
こちらを見ずに尋ねてくる。
「ああ、歌舞伎を見に行ったそうだ」
虚を突かれつい正直に答えてしまう。
「何処に?」
「駅前の市民ホールだが…」
なんでこんな質問をしてくるんだ?
ケレンさんは両手を合わせて笑顔で言ってくる。
「偶然だね、今日ね私そこに爆弾を仕掛けてきたの」
思わず目を見張る。
「平賀君に送ったやつとおんなじ仕組みでオルゴールじゃなくて爆薬がたっぷり詰まってるの」
なんでまた…
「それを起爆させるには携帯で電話しなきゃいけないんだけど……」
こいつはこんなにも喜々としてこんなことを話すんだ?
「それでね、平賀君にお願いがあるんだけど聞いてもらえるかな?」
「聞かなきゃ爆破させるって言うんだろ」
「ううん、そんなこと言わないよ。でもね聞いてくれないと私悲しくて思わず花火が見たくなっちゃうかもね」
おいおいおい、どう考えても脅しじゃないか。
「まずはね~」
そう言って携帯電話をちらつかせて、首をかしげながら言う。
くそ、その無駄な乳さえなければ完璧なのに。

「私と付き合って」

「はあ!?!?」

訳がわからん?
今朝からずっと訳のわからないことが続いているが今の発言が一番訳がわからん。
「なんでまた……?」
「そりゃあ、平賀君のことが好きだからに決まってるじゃない」
それは何とも嬉しいことだ、こんな状況じゃなければ小躍りのしていたかもしれん。
「なら、普通に言ってくれればいいじゃないか」
「けど、平賀君って貧乳な子が好きじゃない」
「なぜそのことを知っている!!!」
「いつも胸のないはずの飯本さんの胸ばっかり見てるし、私の胸には興味ないみたいだし……」
そう言って自分の胸を見てショボーンとする。
いやね、確かに飯本さんも玲子さんには劣るけどいい貧乳だよ。
飯本さんが今のケレンさんみたいに自分の胸を見てショボーンとしているところで慰めたこともあるよ。
「だから、絶対に断れない状況にして告白すれば受け入れてもらえると思ってこの状況を作ったの。
 確かに私は平賀君、いや、泰知の好みじゃないかもしれないけど。
 心から貴方のことが好き。どうか、受け入れて…」

370 名前:不審物がやってきて[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:55:30 ID:2TgNZZji [7/11]
「な、なんで俺のことが好きなんだ?」
「それは……。一か月前の雨の日私の傘が無くなったことがあるの。
 その時は持ってきたはずの傘が消えてて途方に暮れていた。」
ああ、なんかそんなことがあった気がする。
「誰も助けてくれなかった。けどね、一人の男の子が傘を貸してくれたの。
 そのせいで自分は濡れてしまってたのに。
 まるで、少女マンガみたいだよね。ほんと。
 その傘を貸してくれた男の子が平賀泰知君貴方です。」
いやいや、その時は隠したのが巨乳愛好会の面々でケレンさんの傘を奪いスケスケの状態を作ろうという計画を邪魔しようと考えていただけなのだ。
っく、もしやこれが乙女回路なのか?
異様なまでに美化されている。
「男の子が傘を隠したのは知ってるの。
 でも、私が困っている時に助けてくれた平賀君がまるでヒーローみたいで…すっごくかっこよかった。
 その時からずっと貴方のことが好きです」

い、いかん。俺としたことがグッラっときてしまった。
けど、爆弾を使って脅してくるようなやつだぞ。しかも巨乳。
そんなことで俺の心を手にいられると思っているのかこの巨乳は。

「今は私のことが好きじゃなくても必ず私のことを好きにさせて見せるから。」
くそう、なんだこの健気さは。俺の貧乳への誓いが薄っぺらいものに思えてきてしまう。
「ちゃんと巨乳好きにしてあげるから」
うん?
「そうよ、おかしいよ。胸のない子が好きだなんて母性がない証拠なんだから。
 貧乳は所詮持たざる者。巨乳に憧れをもってしかるべきだわ」
「やっぱり。巨乳は悪魔の子だああああああああ」
こんな恐ろしいことを考えるなんて……やはり巨乳は世界を滅ぼす。

「そう言えば、なんで爆弾なんて作れるんだケレンさんは?」
巨乳だからか?
「それはねお母さんが元IRAのメンバーだからよ」
これまた、分かりにくいネタを…。

 しかし、どうしたものか…。
断れば爆発、受け入れたら悪魔と交際。
前門の虎、後門の狼。
「さあ、どっちにする?」
笑顔で聞いてくるこいつが怖い。
俺は、俺は…。



371 名前:不審物がやってきて[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:55:59 ID:2TgNZZji [8/11]
ケレン……いや、ヘレンが帰った後、自室のベッドに寝転がった。
今日は本当に慌しい1日だった。
土曜日の優雅な1日は綺麗さっぱり消えていった。

「ただいま~」

玄関から母と父の帰って来た音が聞こえる。

「よかったわよ。歌舞伎、あんたも来ればよかったのに」

そんなように声をかけてきたが起き上がる気力もなく適当に返事をしておいた。
そう、俺はヘレンと付き合うことにしたのだ。
さすがに両親を人質に取られたら首を縦に振るしかない。
ヘレンは喜んでいたが…まあ、長くは続かないだろう。
返事をするとヘレンは爆弾を回収に行き、俺はようやく解放されたのだ。
貧乳好きな俺が巨乳な女の子と付き合うとは…本当に人生とはままならない。
そう思い大きくため息をひとつついた。
すると携帯が急に鳴りだした。

相手は飯本さんだった。
「はい、もしもし」
飯本さんが電話をかけてくるなんて初めてのことだったので驚きつつも慎重に対応する。
「平賀君!ヘレンさんと付き合いだしたって本当ですか?」
誰から聞いたんだそんなこと?まあ、一人しかいないけど。
「さっきヘレンさんからメールがあったんです。彼氏が出来たって」
やっぱり。
「それが平賀君だなんて嘘ですよね…」
そりゃあ今まで親しくもなかった二人が付き合いだしたら気になるわな。
「いや、まあ、それにはいろいろと事情がありまして……」
「ヘレンさんと付き合ってることは本当なんですか?」
「そうですけど」
そう答えると電話の向こうから何か割れる音がした。
「飯本さん!大丈夫なんかすごい音がしたけど」
「はい、大丈夫ですよ。チョット力が入りすぎちゃっただけですから」
何にとは聞けなかった。
「そのことは何かいろいろ事情があったんですよね。
 ヘレンさんに脅されたりとか、弱みを握られたりとか」
すげぇ、大正解。飯本さんってエスパー?
「大丈夫、すぐに私が助けてあげますから」
そう言って電話は切れた。
「なんだったんだ飯本さん?」
なんかかなり暴走しているみたいだったぞ。


376 名前:不審物がやってきて[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 09:59:53 ID:2TgNZZji [10/11]
ああ、玲子さんに会いたいな…。

そう思っていると玄関からチャイムの音が聞こえてきた。
「あら、玲子ちゃん。お久しぶり、元気だったかしら」
と、そんな声が聞こえてきた。
思わず布ベッドから飛び起きて玄関へ向かう。
「久しぶり、泰知くん」
そう言って俺の女神の玲子さんは微笑んだ。
玲子さんは今は敏腕OLとして東京で活躍しているはずだ。
なのになんでまた?
「仕事の都合でこっちで暮らすことになったからあいさつに伺ったの」
そう言って俺に微笑んでくれる。
ああ、俺は今死んでもいいかもしれない。
母は玲子さんを居間に上がってもらい、今はお茶の用意をしている。
当然のごとく俺も同席させてもらう。
「ねえ、泰知君にはもう彼女とかってできたの?」
そんなことを聞いてきた。いや、その話題は今出さないで欲しかった。
「いや、まあ、一応、できましたよ。彼女」
玲子さんの笑顔が一瞬固まった気がする。
「へー、それってどんな子?」
なんか玲子さんの声が冷たい気がする。
「ハーフで帰国子女の子です」
「ふーん、その子って胸は大きいの?」
「え、いや、まあ、大きいと思いますよ」玲子さんよりは。
「へー」
なんか玲子さんの視線がとんでもなく冷たいです。凍えそうです。
「泰知君がおっぱい星人になっちゃって悲しいな~」
いや、俺はおっぱい星人なんかじゃありません、むしろ敵対種族です。
「けど大丈夫、すぐに戻してあげるから」
そう言ってまた微笑んだ。
それから母がお茶を持ってきて3人で他愛もない話をした。
その時、俺は玲子さんの浮かべた笑顔の時の目が気になっていた。
とんでもなく暗く濁って見えたから。

夜も更け、とんでもなく慌しい土曜の1日が終わった。
風呂にも入りベッドへと潜る寝る直前、今日話した3人のことが頭をよぎる。
ヘレンさん、飯本さん、玲子さん。
何かこの3人がらみでとてつもなく面倒なことになりそうな気がしてきた。
けど、それは、べつのはなし。…だといいな。