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377 : ◆sGQmFtcYh2 :2010/06/18(金) 00:28:07 ID:47NtYt7u
魔王を倒すために僕達一行は旅をしている。
行く先々で僕たちは数多の魔物を倒し、いかなる困難も乗り越えてきた。
だがそんな僕達に最大の試練が訪れた。
いや、僕だけに。
「・・・うっ・・・」
「どうしたの慶太?なんか最近調子悪そうだね・・・」
陽菜が優しく声をかけてくれた。こんな彼女は久しぶりに見た気がする。
「私の保井美でも治らないなんて・・・ごめんなさい」
謝らないで、マイエンジェル。その心だけで十分だよ。
「こういうときは呪文よりも愛する人のキスよね!な、なんなら今しようか?///」
あ、それはいいです。そんなことしたら体調どころか命の心配をしないといけなくなるから。
「それにしても保井美でも治らないなんて・・・慶太さん、何か心辺りはないの?」
姉ちゃんが素直に心配してくれている。奇跡だ。それだけで涙がでそうだ。
「・・・なんか一人で散歩していたとき・・・緑色したスライムみたいなやつと遭遇してからなんだけど・・・」
その瞬間、みんなの表情が固まった。
「け、慶太、まさかそいつの攻撃を受けたの!?」
悲痛な表情で陽菜が問い詰めてきた。
「え?・・・たしかに一回だけ受けたけど・・・別に大した怪我は・・・」
僕のその言葉が合図となって皆を突き動かした。
「恭子ちゃん、あなた気亜利ーは使えるの!?」
「・・・っ!」
「そ、そんな・・・」
なんだこの会話は。何か分からないけどすごく怖いんですが。
「とりあえず、どこかの町に着くまで定期的に保井美をかけ続けないと!」
ちょ、ちょっと待ってよ!確かに歩くたびにあの世に近づいていく感覚があるけど、そんなにまずい状態なの!?
「で、でも・・・私、MPが尽きちゃって・・・保井美も留雨裸も使えないんです・・・」
恭子ちゃんが唇をかみしめる。皆もその言葉に悔しそうな表情をする。
「・・・え~っと、間違っていたらごめんね?つまり、僕は近いうちに死ぬって事?」
誰一人答えてくれない。姉ちゃんに至っては手を口に当てて泣き出した。
・・・・・・・・・・マジ・・・っすか・・・
「別にたいした問題じゃないだろ?死んだら次の町で生き返させればいいだけじゃねーか」
半透明の太郎君に対して殺意が沸いた。いいよ、もし僕が死んだらお前も道連れにしてやる。
「そっか!その手があったわ!」
陽菜の顔が輝いた。ほ、本当に僕を殺す気なの!?
「慶太が死んだら、太郎君、目我猿を使って!」
「・・・え?」
「成程!その手がありましたね!」
「あんたもたまには役に立つ事言うじゃない!」
「さすが陽菜さん!やはり賢さに秀でていますね!」
目我猿・・・どんな呪文か分からないけど、みんなの反応からして僕が助かる呪文なんだと思う。
「・・・え~っと・・・僕はそんな呪文使えないのですが・・・」
何だと!?たまには役に立てよ!
「・・・ふぅ・・・そっか・・・」
陽菜が例の魔王モードに入った・・・気がする。
「じゃあ・・・生きててもしょうがないっか!」


378 : ◆sGQmFtcYh2 :2010/06/18(金) 00:29:34 ID:47NtYt7u
皆で話し合った結果、僕たちはしばらく野宿することになった。
姉ちゃんに曰く、「この毒は歩かなければ問題ありません」とのことだからだ。
そっか、僕の体には毒があるのか・・・って何の毒かは分からないけど早く血清を打たなければいけないんじゃないの!?
「早く病院に行こうよ!」
「ダメです!歩くと確実に死んでしまいます!ここはおとなしく寝ているのが一番いいのです!」
はぁ!?風邪じゃないんだぞ!
「嫌だ!早く病院か保健所に―――」
「羅理穂ー!」
「うっ・・・ぐぅ・・・」
そこで僕の意識は途切れた。


目が覚めると辺りは暗闇に包まれていた。どうやら意識を失っている間に夜になったらしい。
体の方は良くも悪くも変化はない気がする。姉ちゃんの言った通り、歩かなければこの毒は進行しなかったようだ。
とりあえず助かった。
だがこんな状態の僕を置いていったのか、周りには誰一人いない。
な、何て冷たい奴らなんだ・・・!
そんな時、馬車の外から女性陣の会話が聞こえてきた。
馬車から顔を覗かせその方向を見ると、何やら只ならぬ雰囲気を醸し出していた。
「・・・しつこいな~・・・慶太の面倒は私が見るって言ってるでしょ?」
「あなたに何ができるんですか?攻撃呪文しか脳のないあなたが。ここは私が適任だと思いますけど」
「あんたも今は呪文使えないでしょーが!・・・やっぱり・・・将来のお嫁さんである私の愛で・・・///」
「「ふざけんな」」
只ならぬ雰囲気どころではなかった。完全に冷戦状態だ。
・・・きっとあの恭子ちゃんは悪魔の鏡が化けているんだな。まったく、化けるんならもっと言動に気をつけろよ。
「・・・慶太が可哀そう・・・慶太は私に看病してもらいたいはずなのに・・・それをこんなビッチ共に邪魔されて・・・」
あれ?もしかしてあの陽菜も悪魔の鏡が化けたものなのか?
「・・・確かにお兄ちゃんが可哀そうです・・・早く私の『愛情がたっぷり入った』おかゆを食べたいはずなのに・・・」
恭子ちゃんが愛情を込めて作ったおかゆか・・・これが本物のセリフだったら嬉しかっただろうな・・・
「愛情がたっぷり入った?あんたまさか・・・今までにそんなことしてないわよね?」
岡田、恭子ちゃんの手作り料理云々でそんなに怖い顔するなよ。別に毒でも盛られたわけじゃないんだから。
「それは大丈夫だよ。慶太が口に入れる物は私が毎回チェックしてるから。『毒』が混入していたものは全部その辺にまき散らしたりね」
「っ!?あれはあなたがやっていたんですか!?」
衝撃の瞬間。恭子ちゃんが・・・僕に毒を・・?い、いや、あいつは偽物なんだ!
ともあれ僕はするすると眠っていた布団に戻った。
これ以上心臓に負担をかけたくない。そう思ったからだ。
もう一度、今度はもっと深い眠りに就こうとした時、麗しいお姉さまの声が聞こえてきた。
「まぁまぁ・・・それなら一人ずつ交代で慶太君の看病をするって言うのはどうかしら?」
・・・・・・・・・・・・・・・は?
麗しい声とは反対に、その内容は僕のわずかな命をさらに縮める魔法だった。
「そうね~・・・例えば一人五分の持ち時間で、その間に慶太君の心を射止めた人が引き続き看病できる、とか?」
は、反対だー!!
「「「賛成!」」」
3対1。よって可決。
判決・・・死刑。
フフ・・・天国にいるらしいお父さんお母さん・・・僕ももうじきそちらへ行きます・・・


379 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/06/18(金) 00:30:23 ID:47NtYt7u
僕は元来どこの宗派にも属していない。
だがこの時だけは神様に祈っていた。
どこの神様でもかまいませんが、どうか僕にご加護を。
・・・ザッ・・・ザッ・・・
神様が助けてほしければ超えてみよ!と言わんばかりによこした最初の試練。
敵はどいつだ!?
「・・・慶太ぁ・・・って寝てるか・・・」
どうやら最初の試練が始まったようだ。

    僕 vs 岡田

「・・・スゥ・・・スゥ・・・」
「フフ、熟睡してるな~・・・寝ている顔もかわいいな~///」
成程、そうやって僕をおだてる作戦か。お生憎様、その程度で僕は倒せないよ。
「・・・キスしちゃおっかな~///」
「うわぁー!!」
開始数秒、すでに僕の負けが濃厚になった。
「あれ?起きてたの?・・・・・・・・・・・・・・ちぇ、もうちょっとだったのに」
「な、なんてこと言うのさ!もっと自分を大切にしなさい!」
いくら冗談とは言え、女の子がそんなことを軽々しく口にするものではありません!
「自分を大切に?」
「そう!キスなんて好きな人以外にしたらダメだよ!」
「・・・へぇ~・・・じゃあ好きな人ならいいんだ?」
岡田の目が暗く輝いた。その口も不気味なくらい両端がつり上がっている。
はっきりいって怖い。
「もしかして慶太ってば・・・誘っているの?もう~しょうがないな~」
何がしょうがないのか分からない。いや、何となく予想はつくけど。
次の瞬間、岡田が僕に覆いかぶさりマウンドポジションを取った。両手両足共に動かすことができない。
「や、止めろ・・・!」
「フフフ・・・怯えてる慶太の顔もス・テ・キ♡」
そのまま岡田の顔が迫ってきて・・・口と口が重なった。
「!」
「ん・・・ちゅ・・・くちゅ・・・」
口は今ふさがれているので声を出すことができない。岡田のどこにそんな力があるのか、体の方もピクリとも動かすことができない。
よって僕は抵抗ができない。
「・・・ぷはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ねぇ慶太・・・私・・・なんだか体が熱くなってきたよぉ・・・」
やっと口を離したと思ったら、今度は艶めかしい声で僕を誘惑してきた。
た、耐えるんだ僕!これは罠だ!もし掛かったら陽菜たちにどんな事されるか分かるだろ!
「・・・熱いよぉ・・・ねぇ・・・慶太が望むなら・・・私は・・・いいよぉ?」
岡田の手が僕の体を優しくなでる。
「・・・私は・・・いいよぉ?」
ハイ。もう無理です。ってかよろしくお願いします。
「・・・いいんだな?」
「うん!」
その瞬間、外から太郎君の断末魔の叫びが聞こえてきた。


380 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/06/18(金) 00:31:02 ID:47NtYt7u
第一の試練を友の尊い命と引き換えに突破した僕は、第二の試練に向けて作戦を練っていた。
次は陽菜か恭子ちゃんか・・・
どっちにしろ強敵だ。生半可な気持ちではやられてしまう。
「一体どうすれば・・・!」
その時名案が閃いた。
こっちから相手を翻弄すればいいんじゃね?

・・・ザッ・・・ザッ・・・
足音が近づいてきた。まもなく僕の人生において最大のミッションが始まる。
「お、お兄ちゃ~ん?///」
2回戦は恭子ちゃんだった。この作戦を恭子ちゃんに使うのはいささか犯罪チックだが、相手は所詮偽物。なら問題はないだろう。

    僕 vs マイ・エンジェル(偽物?)

「よく来たね、恭子。さっ、早くこっちにおいで?」
「き、恭子!?え!?う、うん///」
敵もなかなか化けるのがうまいな。まるで本物の恭子ちゃんみたいな反応だ。
だが偽物に僕の攻撃が耐えられるかな?
「もっとそばに・・・」
「あ、はい!・・・なんか今日のお兄ちゃん・・・積極的ですね・・・」
そして恭子ちゃんが手の届くまでの位置に来た時・・・その手を思いっきり引っ張った。
「キャッ!」
そのままベッドに押し倒す。
「お、おおおおおおおおおおおお兄ちゃん!?///」
マウントポジションを取ったまま恭子ちゃんに顔を近付ける。
「恭子は・・・僕の事好き?」
「え!?・・・だ、大好き・・・です・・・///」
敵はこの状況にも動じた様子はない。もしかして悪魔の鏡には嫌悪感というものがないのか?
色々な意味で長引かせるのは大変マズいので勝負に出る。
「なら・・・キスしてもいいか?」
「!・・・あ・・・あぅ・・・お兄ちゃんの・・・好きにして下さい・・・///」
く、くそ!しぶといな!
「本当にいいの?もしかしたらそのまま・・・恭子を食べちゃうかもしれないよ?」
「た、食べっ!?・・・そ、その時は・・・や、優しくして下さいぃ・・・♡///」
分かった降参するよ!もう僕の負けだよ!
ところが僕の降参よりも一足先に・・・魔王様とその手下がこの状況を見てしまった。
まだ5分たっていないのに覗くなんて・・・あんまりじゃないですか?
「な、何やってるのよ!妻がいながら他の女と浮気!?それもこんなガキ相手に!?」
「け、慶太さん・・・見そこないました・・・」
二人が軽蔑の目で僕を見てくる。でもそれすらもどうでもいいように思える。
それくらいの迫力を一人の少女が醸し出していた。にっこりと、優雅に頬笑みながら。
「・・・そっか・・・慶太の気持ちはよーーーーーーーーーーーーーーーく分かったわ♪」
さすが陽菜だ!僕の気持ち、すなわちこれは魔物の正体を暴くために嫌々している事を分かってくれたのか!
そう・・・思い込みたかった。



381 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/06/18(金) 00:31:35 ID:47NtYt7u
再び一人にされた僕は必死に祈り続けた。
「お、お願いします神様!魔王様の・・・魔王様の試練だけはどうか勘弁して下さい!」
あんな陽菜を見たのは初めてだ。陽菜の心の中は分からないが、きっとあの目は僕を殺る気だ。
怖い・・・怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い・・・
・・・ザッ・・・ザッ・・・
ヒィィィィィィィイイイイイイ!
自分が毒にかかっていることも忘れて、ここから走り去りたくなった。
布団を頭からかぶり、まるで肉食獣の檻に入れられた動物のごとく震える。
ゆっくりと人の入ってくる気配がした。
・・・短い人生だったな・・・
「大丈夫ですか?そんなに布団にもぐりこんで・・・具合が悪くなったんですか?」
しかし僕の予想に反して、入ってきたのは姉ちゃんだった。

    僕 ♡ 姉ちゃん

「ど、どうして姉ち―――祥子さんがここに?」
「私も慶太君が心配なんですよ。いけませんか?」
「いや、全然!むしろ超うれしいよ!」
まさか姉ちゃんの口から素直に心配しているなんて聞けるとは・・・天変地異の前触れか?
「フフ、嬉しいです。それで、もし食欲があるのならこれを食べて下さい」
そう言って姉ちゃんは手に持っていた包みを開けた。そこにあったのはおにぎり。
「中に入れる材量がなくて塩むすびになってしまいましたが・・・」
で、でた!姉ちゃん得意の殺人料理!ま、まさか毒をもって毒を制すってやつなのか!?
「・・・今何を考えましたか?」
「え?こんなおいしそうなおにぎりを食べられるなんて、僕は世界一の幸せ者だなって」
「慶太君ったら大げさですね」
こんなかわいい姉ちゃんを見せてもらったんだ。腎臓の一つや二つ・・・惜しくない!
僕は意を決しておにぎりにかぶりついた。
「!・・・めっちゃうまい!」
な、なんだこれは!?本当に姉ちゃんの手作りなのか!?まるでうま味しか感じないぞ!?
「そんなに喜んでもらえると、こっちまで嬉しくなりますよ」
僕は感動した。こっちの世界の姉ちゃんはなんて理想的な姉ちゃんなんだ。
「・・・あの・・・お願い・・・してもいいかな?」
「何ですか?」
「祥子さんの事・・・二人っきりの時だけ、姉ちゃんって呼んでもいいですか?」
「っ!?」
夢だったんだ・・・こんな素敵な姉ちゃんを持つことが・・・
「・・・それでは私も慶太君の事、弟として扱いますね?」
「そ、それって・・・うわ~い、やった~!」
自分でも分かっている。今のセリフがとてつもなくキモイ事が。
でもたまにはいいじゃないか。17年間、耐えてきたんだからたまにはいいじゃないか。
「あ、そろそろ時間ですね。それでは慶太く―――それじゃあね、慶太」
「え~!・・・もういっちゃうの?」
「またあとで来るから、我慢できるよね?」
「うん!約束だよ!」
今の様子を動画で全世界の人に配信されたら死ねる自信がある。


382 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/06/18(金) 00:32:18 ID:47NtYt7u
「フンフンフ~ン♪」
ずっと夢に見てて、でも無理だとあきらめていた事がついに現実になったのだ。嬉しくてたまらない。
「何してもらおっかな~・・・膝枕とか・・・してくれるかな///」
きっと気持ちいいんだろうな~。それで頭とかを優しくなでながら、「眠くなったらねてもいいわよ」とか言ってくれるんだろうな~。
先ほどの余韻や妄想に浸っていたときに例の音が聞こえてきた。
・・・ザッ・・・ザッ・・・
あ!姉ちゃんが来てくれたんだ!
そう思った僕はベッドに戻り寝たふりをする。
その人物の足音がゆっくりと近づいてくる。あと少し・・・もう少し・・・今だ!
「おそいよ~!すぐに来てくれると思ったのに!」
姉ちゃんの腰にしがみつきながら拗ねた。
ちょっと脂肪が多いが、それが柔らかくて心地よい。ん?筋トレが趣味の姉ちゃんに脂肪なんてあったっけ?
「最近筋トレさぼってるの?お腹ぷにぷにするよ?」
「・・・アハ・・・アハハハハハハ・・・慶太ったら・・・冗談がうまいな~」
比喩表現だが、僕に雷が落ちた。
「私がデブだって言いたいの?」
あ・・・あぁ・・・
「抱きついてきたときはやっと素直になったと思ったのに・・・お仕置きが必要だね」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!」
  
   僕 vs 大魔王(陽菜)

「だ、誰か―――むぐぅ!?」
「だまりなさい慶太」
僕の腕を潰した左手で今度は口を押さえられた。抵抗が何を意味するのか・・・分からない僕ではない。
「慶太は黙ってうなずくか首を横に振るかをすればいいから・・・分かったわね?」
コクッ、コクッ!
「じゃあ第一問。慶太は私の所有物?」
いきなりでそれかよ!?僕はそんなものになった覚えはないよ!
「・・・どうなの?」
・・・コクッ・・・
「んふぅ♪いい答えね。次は・・・慶太がこの世で愛してるのは私だけよね?」
・・・ブンッ、ブンッ!
もちろん陽菜の事は大好きだが、姉ちゃんも恭子ちゃんも岡田も好きだ。太郎君は別として。
だが僕の答えは陽菜様のお気に召さなかったらしい。
「ふごっ!?」
「そんな答え・・・私は望んでないんだけどな~」
僕の口を掴む手に力が込められる。ア、アゴが!
コクッコクッコクッ!!
「そう、それが正解よ。慶太は私だけを愛していればそれでいいの。絶対に間違えたり、勘違いしたら・・・ダメだからね?」
コクッ、コクッ、コクッ!!
「それじゃあ時間だから私は行くね?今はさびしいかもしれないけど、後でずっと一緒にいてあげるから我慢しててね」
姉ちゃんと似たようなセリフを言い残した後、陽菜は馬車を出て行った。
だがさっきとは僕の気持ちが180度違っていた。
とりあえず一つだけ分かった事は、この世に神なんていないということだった。


383 :サトリビト・パラレル ◆sGQmFtcYh2 :2010/06/18(金) 00:34:28 ID:47NtYt7u
「それで・・・慶太はこの後誰に看病してもらいたいの?」
自信たっぷりの表情で陽菜が問いかけてきた。
先ほどのやり取りからして、陽菜以外を選ぶと大変なことになるだろう。
「はぁ~・・・このあと慶太と結ばれるて、そして・・・キャ~!!」
「どうしよう・・・今からでも川で水浴びしてきたほうがいいのかな?」
だがこんなにも幸せそうにしている二人を裏切ることができるのか?
「フフ、慶太君は人気者ですね」
本命がいるのに・・・姉ちゃんにずっと看病してもらいたいのに・・・
「・・・早くしなさいよ」
陽菜が昔アニメで見た金髪の青年並みにプレッシャーを与えてくる。
それに耐えかねて陽菜を指名しようとしたその時、

「なぁなぁ、なんかそこで毒消し草を見つけたんだけど」

太郎君がやっちまった。いや、僕にとっては最高に空気を読んでくれたんだけど。
「これが欲しいのかい、早川君?でもこれをただであげるわけにはいかないな~・・・交換条件だ」
太郎君はいまだに空気を読めていない。
「これと引き換えにお前のハーレムを一人こっちによこせ。できれば結衣で」
最悪だ。このバカは最悪にこの状況が理解できていない。
僕の懸念通り、まず最初に岡田の怒りが爆発した。
「・・・太郎君、だっけ?・・・ちょっとこっちに来てくれるかな?」
「え!い、いきなり皆の目の前で!?し、しょうがないな~」
「結衣さん・・・私の分も取っておいてくださいね?」
続いて恭子ちゃんも。
「みんなズルイよ!太郎君は私が最初にお相手するの!」
「おいおいマジかよ~!みんな順番な?じ・ゅ・ん・ば・ん♪」
太郎君のこの鈍感さはある意味幸せかもしれない。僕もこの才能がほしかったな。
・・・でも長生きはできなくなるけど。
「すごいな太郎君は!僕なんか目じゃないね!・・・だから毒消し草ちょうだい?」
「ほらよ!好きなだけ食えばいいだろ!俺はこれから美女のお相手をするんだから邪魔だけはすんなよな!」
そのまま岡田、恭子ちゃん、陽菜の三人を侍らせた太郎君が馬車の中に消えていった。
僕はそれを見届けながら毒消し草を食べる。うぇ、にっが。
「・・・大丈夫かしら・・・彼・・・」
「根拠は全くないけど、きっと大丈夫だよ!」
馬車はしばらくしてからギシギシと大きく揺れ始めた。
「え!?何事!?」
「しー!あの中ではきっといろいろと盛り上がってるんだから、僕たちが邪魔するのは無粋だよ!」
その揺れは数秒で収まった。どうやら太郎君はすぐに限界を迎えたらしい。
馬車から例の美女たちが出てきた。その顔はどこか爽やかさに満ちていて、とてもすっきりとしていた。
「それにしても結衣ちゃんが初体験だったとは意外だったな~」
「ん~何度か太郎君相手に考えたんだけど、やっぱりいざとなると足がすくんでね。というか恭子ちゃんの慣れた手つきの方が意外だった
わよ」
「や、やめてくださいよ!恥ずかしいじゃないですか///」
三人の会話に姉ちゃんの顔が真っ赤になった。
ちなみに僕の顔は真っ青になった。
そして太郎君は馬車から出てこなかった。