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543 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. :2007/11/29(木) 19:09:03 ID:DLC4FQNb

シャラン

 湯の中で鎖を揺らすと耳に心地良い音が鳴った。聖佑人はだいぶのぼせた頭で鎖を
鳴らして遊んでいた。そろそろ姫野亜弓にでも助けを求めようか、と考えながら
どうにも面倒で体が動かない。このままいたら立てなくなるな。頭の隅でそう呟く。

 先ほど、姫野真弓は佑人に口づけた。
 唇はすぐに離れて一瞬だけ2人の瞳が交錯する。

「あっいや……今のは……」

 目を逸らして口ごもると次の瞬間に真弓は弾かれたように立ち上がり素早く
手錠を蛇口に付け替えると風呂場から逃げ出してしまった。

「ゆっ佑人が見つめるからいけないんだからね!!!!」

扉ごしにそう意味の分かるような分からないようなことを叫ばれて佑人は放置された。

 そして今に至る。ぼーっと湯に浸かり続けて一時間、佑人はのぼせきっていた。


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 急にに鮮烈な空気が入ってきて顔をあげる。風呂場のドアが開いて亜弓が立っていた。

「のぼせちゃったかしら……ごめんなさいね、真弓を宥めるのに時間がかかってしまって」

 言いながら入ってきてカチャリと手錠を外す。湯気で青白いほどの肌に黒髪が
張り付いていた。生き物のようにも見える黒髪。その下に見えるうなじから鎖骨に
かけて目を走らせると平素よりか幾分色づいている。血が通っているのだ。
この人も生きてるんだな。佑人は妙な実感を覚えた。

「ありがとうございます」
「いいのよ……部屋で真弓が待っているわ。行ってあげて」

 そう言いながら亜弓は佑人の首輪の鎖を有無を言わさずに引いていた。


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544 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. :2007/11/29(木) 19:12:05 ID:DLC4FQNb
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 暗い部屋に入る。亜弓は音も立てずに真弓の首輪に鎖を繋ぐと出て行った。

「……真弓」

 黙っているのも気まずいので話しかける。返答は、無い。一メートル程度の距離の所で
背中を向けてうずくまる真弓は酷く小さく見えた。こんな子に俺は繋がれてるのか。
酷くバカバカしい事実だったが、事実は事実だった。もうすぐ終わるであろうにしても
今現在繋がれていることに変わりはない。薬がまた回ってきたのか体が酷く重かった。

「真弓。寝ようか」

 肩に手をかけると真弓の体がびくんと震えた。

「真弓?」
「……っ佑人は、佑人は私に興味ないの?」
「は?」

 佑人には脈絡なく感じる問いだった。

「だから、佑人は、私と、その……その、えっちな事とかしたくないの?」

 暗闇でも分かる。真弓の顔は赤かった。

「いや…」
「だって好きなんでしょ?好きだったらしたいものでしょ?」

 一度言ってしまうと真弓は吹っ切れたのか一気に言葉を継ぐ。

「私は……佑人と、したいよ?体も佑人のものになりたい。佑人が、好きだから」

 言い切ると真弓は一旦俯いて、それから驚きで硬直している佑人にキスをした。




545 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. :2007/11/29(木) 19:16:33 ID:DLC4FQNb

 始めは唇が触れるだけの。
 その次は触れた後に舌でなぞって。
 三度目に触れた時に真弓は佑人の中に舌を差し込んだ。
 口腔の中に真弓が入って来るに至って佑人の鈍った頭にも警鐘が鳴りだした。
まずい。このままではまずい。また侵食されてしまう。だがそう思う間にも真弓の舌は
佑人を犯していた。絡みつき、隅々まで舐めていく。ゆっくりとした動きだが確実に
佑人の脳は快感を感じていた。いつの間にか腕が首に回されており体が密着している。
薄いパジャマを通して真弓の胸が、太ももが、腹が、佑人に密着していた。
彼女の鼓動――早鐘を打っている鼓動が伝わってくる。
 その暖かさは、愛しささえ錯覚させて来る。しがみつくように、離さないように
腕や足に力が込められ、軽い圧迫感すら与えた。

 軽い呼吸音。
 息が続かなくなったのか真弓が顔を離した。小さく佑人、と囁いて首に回していた
腕をとく。そのまま佑人のパジャマのボタンを外し始めた。

「真弓っ何し」

 止めようとすると唇を塞がれる。舌を吸われながら、佑人はそれでもまだ抵抗
しようとしていた。自由にならない体に加えて抵抗しようとする気さえ萎えていく。




546 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. :2007/11/29(木) 19:19:57 ID:DLC4FQNb

 いいじゃないか。殺される訳では無い。
 だがそう思う一方でこれ以上進めば戻って来られない領域に足を踏み込むことに
なることも分かっていた。取り返しのつかない、帰って来られない領域へ。
 あまり自分を明け渡してはいけない。分からないけど何かが危険だ。
これ以上自分を削られてはいけない。名前を読んでキスをして愛を告げて
もう自分は随分真弓に取り込まれていないか?
 佑人の頭の中で鳴る警鐘を押し流すように真弓は行動を続けた。舌が這う。

 佑人の上半身を脱がしたところで唇を離し、そのまま首筋を伝って行く。
首輪に沿ってキスをされ、一瞬痛みのような感覚が走る。




547 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. :2007/11/29(木) 19:24:42 ID:DLC4FQNb

「痕、つけちゃった」

 軽く笑いながらいつの間にか彼女のパジャマのボタンも外されきっていた。
 少し涙で潤んだ瞳が見上げて来る。

「佑人、脱がして?」
「俺は」
「女の子が必死で迫ってるのに……」
「そういう問題じゃなくて」

「佑人」

 暗くて見えない筈なのに分かった。
 真弓の瞳の色が変わった。
 持ち上がって来た手が首輪に繋がる鎖にかかる。
 じわじわと力がかかって首が締まって行く。
 真弓の瞳には佑人が写っている。写っているがそれは真弓の佑人ではない。
 真弓の佑人は優しくキスをして真弓を抱き締めて頭を撫でてくれる。
 今真弓の瞳に写っているのはそうでは無い佑人だ。
 そんな佑人は、真弓には必要ではない。

「……ま…ゆみ…」

 意識が遠のく。殺されないんじゃ無かったのか。

 死にたくない。

 死にたくない。
 まだ明日も生きたい。真綾に会いたい。……真綾。
 彼女を思い出すのも随分久しぶりかもしれない。

 かすみそうな意識の中で佑人は決めた。

 俺は生きたい。

 手を伸ばして少女の頬に触れ、そのまま下に下ろして羽織っているだけだった
パジャマを滑り落とす。
 佑人は自分を明け渡すことに決めた。


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