※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

9 :c & c:2010/06/27(日) 16:42:09 ID:jp0xFyoS
~依音side~

「はいねぇ、少しは落ち着いた?」
はいねぇが泣き出した後、オレは片方しかない腕ではいねぇを抱きしめ、謝り続けた。
自分がはいねぇの気持ちに気付けなかったこと、自分だけはのうのうと日常を享受していたこと。
いくら謝っても謝りきれないと思う。
「うん、ありがとうね。えねちゃん」
オレは此処で、出来るだけの償いをしなければならないのだろう。
寧ろ、そうしなければ自分自身が許せない。
それが何年かかろうとも、オレはそれをし続ける。
その旨をはいねぇに伝えると、はいねぇはまた泣き出した。
「それでさ、はいねぇ」
「うん、なぁに?」
そろそろこの手錠をほどいてもらいたい。
一応鎖でつながれていて、少しの自由は聞くんだけど、流石に長時間は辛い。
「この手錠ほd「ダメだよ」

……え?

「だって、ソレ解いたらえねちゃんまた居なくなっちゃうでしょう?」
人の話聞いてなかったんですかね、このお姉さまは。
此処にいて償うっていった気がするんですけど。
「いや、だかr「やっと手に入れた欲しいものをみすみす逃がすわけないでしょう?」
まずい、今のはいねぇには何を言っても無駄だ。
まず、眼がやばい、すげぇ濁ってる。
ひめねぇと同じ眼……いや、それより怖い。
「だからね、えねちゃんはもうここから出られないの。
 ここでおねぇちゃんと一生一緒に暮らすの。
 もう他の女には絶対渡さないから。」
え、そこまで?
確かに償うとは言ったけれども、一生は辛いなぁ。
いや、そんな状況じゃないことは解ってますけどね。
「もしも他の女に盗られる位なら……殺しちゃうから」
ひめねぇ、さきねぇ、ごめんなさい。
どうやらオレは、一生ここから出られないみたいです。


10 :c & c:2010/06/27(日) 16:42:37 ID:jp0xFyoS
~姫乃side~

えねちゃんが此処から居なくなって、そろそろ一週間。
私は大学に行かず『あること』の準備をしていた。
「これは、このくらいでいいわね。寧ろこっちが……」
でも、もうちょっとでこの準備も終わり。
その『あること』を実行に移す時が来る。

ピンポーン

来たみたいね。
「はーい」
ドアを開けると、そこには緑を基調にした服を着た運送業者。
「こちら奏姫乃さんのお宅でよろしいしょうか?」
「えぇ」
この運ばれてきた荷物の中身こそ私の計画に必要な物。
「では、こちらにハンコかサインお願いします」
「わかりました」
はやる気持ちを抑え、サインをし終える。
「はい、ありがとうございました」
運ばれてきた荷物を部屋に持って行き、段ボールの蓋を開けると、そこにはとあるビンが数個。
「ふふ、ふふふ」
これで必要な物はすべてそろった。
あとは『あること』を実行に移すだけ。
「待っててね、えねちゃん」
荷物をキャリーバッグの中に入れ、立ち上がる。
「それじゃあ、行きましょうか」
私の『すべて』を、取り戻すために。
部屋を出て数歩、妃乃の部屋の前で歩を止める。
何時までも塞ぎ込んでいるこの子にも、一応言っておかないとね。
「妃乃」
「……なに?」
数秒たってからの返事、声からしてまだ落ち込んでいるらしい。
本当にイライラする。
「私、一ヶ月ほど出掛けてくるから」
「っ!?」
部屋の中からの物音、そんなに驚くことでもないでしょうに。
「……取り戻しに……行くの?」
「えぇ、あの子は私の『すべて』だもの。当然でしょう?」
「……そう……」
「あなたはそこで何をしているの? 本当にそれでいいの?」
「だって……私のせいで……」
やっぱり、そんなことを思っていたのか。
「自分の所為で人を不幸にしてしまったのなら、その倍その人を幸せにしなさい。
 それを出来ないって塞ぎこんで、ずっと逃げ続けるというのなら、私は止めないわ。
 ただ、少しでも抗う意思があるのなら、行動しなさい。その人の幸せだけを祈って行動しなさい。
 ……それじゃあ、私はもう行くわ。それじゃあね」
「姉さん、私も……動いていいのかな?」
「……当り前でしょう、それにね……この家に居ていいのはお姫様とお妃様だけなの、シンデレラなんて要らないのよ」
そう言って部屋を後にする、後はあの子が決めればいい。
さぁ、待っててね、えねちゃん。
「すぐに、迎えに行くからね」



11 :c & c:2010/06/27(日) 16:43:06 ID:jp0xFyoS
~妃乃side~

姫乃姉さんと話した後、私は準備をし始めた。
もちろん、えねを取り戻すための準備だ。
とはいっても、今まで全く準備していなかったわけではない。
いざという時のために、準備は怠っていなかった。
ただ、今回は完全にアウェーの土地で行動するのだ。
準備していたものだけで勝てるとは思えない。
まして、相手はあの灰乃姉さんだ。
念入りに準備をし、土地勘を持ったとしても勝てる確率は少ないだろう。
「でも……」
負けるわけにはいかない、絶対に。
私がえねの左腕を奪ってしまったのだ、その報いは受けなければならない。
それは解っていた。
しかし、姫乃姉さんは言った。
自分が人を不幸にしたのならば、その倍その人を幸せにしろと。
ただ、その人の幸せだけを祈って行動しろと。
だから私は、行動しなければならない。
えねを幸せにするために。
「何で今まで……」
だからこそ、何もしなかった自分に腹が立つ。
準備をする為には、最低でも三日はかかる。
「早く、行かなきゃ……」