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114 :ヤンプラ+:2010/06/29(火) 18:57:21 ID:kUgHeuFL
「あー申し訳ございません、現在売り切れてしまっているようでして…」
「あーそうですか、わざわざすみませんでした」

今話題の彼女育成型恋愛シュミレーションゲームを、友人達がしつこく勧めてくるので、いざ買いに来たのはいいものの…。
やはり予約もせずに買おうと言うのが間違いだったか、既に売り切れの様子。
おとなしくネットで買うか、二次生産を待つか。

「あ、お客様!」
「あー店長さん、こんにちは」

帰り際に呼び止められ振り返ると、顔見知りの店長さんが現れた。
普段はFPSと言うジャンルのゲームばかりしているのだが、店長さんもこのジャンルには珍しい女性ながらもかなりのFPSゲーマーらしく、以前その話で凄く盛り上がったことがある。

「珍しいですね、お客様が恋愛シミュレーションなんて」
「いやー友達が偉く勧めてきたんで…。
ま、ネットか再入荷で買いますよ」
「あーそれなら、私の分取り置きしてあるんで、いります?」

店長権限というやつですか、なんかズルイな。
が、譲ってくれるというなら有り難い。

「いいんですか?」
「ええ、もともとあんまり興味無かったし、ネットで転売しちゃおうかと考えてましたから」

ここみたいなわりと小さめの店舗でも売り切れなぐらいだ、ネットじゃ多少値上がりしているんだろう。

「あーじゃあ、お願いします」
「はい、わかりました」



「これが噂のラヴ+かぁ…」

オシャレな感じすらするパッケージにヒロイン達が肩を並べている。
俺は年上好きなので、とりあえずお姉さんキャラ攻略を目指す。


115 :ヤンプラ+:2010/06/29(火) 18:59:28 ID:kUgHeuFL
「さーて起動させっかー」

ハードの電源をいれ、ソフトを読み込む。
始めに名前入力。

「た、つ、や、っと」

今更ながら本名は白戸 達也である。
別に甲子園に連れてくSouthちゃんと中の人が同じだからって選んだ訳ではない。
あだ名はもちろんタッちゃんに設定したが。

「うーむ、わりと普通だな」

プレイし始め10分ほど、得に変わったこともなく普通の恋愛シミュレーションと同じ展開だ。
主人公の立場と、ヒロインの出会い。
このゲームの主旨は別のとこにあるからまぁ、こんなもんか。

「ん?なんだこれ?」

校舎内のヒロイン達の位置を示すアイコンとは別に、『?』マークが存在した。
普通に考えれば何かのイベントがあるだけのはずなんだが…。

「ま、選んでみるか」

深く考えずに?をタッチ。

『キャッ!ご、ごめんなさい!』

主人公が誰かとぶつかったようだ。
ぶつかったのは…誰だ?コイツ。
ショートカットに大きめの眼鏡の女の子。
ヒロインは3人だけのはずなんだが…モブか?。
確認に説明書を開くがそのようなキャラは書いてなかった。
とりあえず進めよう。

『いたた…いえ、大丈夫ですよ』
『よかったぁ…』

謎のキャラは涙ぐんでいるようだ。かわいいじゃないの。

『そっちこそ、大丈夫ですか?』
『い、いえ、私は、だ、大丈夫ですぅ~!』
(走り去ってしまった)

な、なんだったんだ。
没キャラのデータバグとか?
いやでもそんな話聞かないしなぁ。
などと考えながら進めて行くと、今度は謎のキャラがヒロイン達に混ざって現在地のアイコンが表示されている。
気になるので謎キャラを選択。
どうやら場所は図書館のようだ。


116 :ヤンプラ+:2010/06/29(火) 19:04:20 ID:kUgHeuFL

(誰かが寝ている…
この間ぶつかった女の子のようだ)
・突く
・揺さぶる
・隣で眺める

ここで選択肢か。
なんとなく揺さぶってみる

『う、うぅん……あ、アレッ?』
『おはようございます』
『お、おは…キャッ!』
(司書さんからの視線が痛い)
『し、静かに…』
『あ、ご、ごめんなさい。
あの…私、寝ちゃってました?』
『うん』
『うわぁ…寝顔、見られちゃったぁ…』

どうやら照れてる見たいだ。かわいいのぅ。

『ごめん、起こさない方が良かった?
一応下校時間そろそろだし、気になったから…』
『い、いえ、ありがとうございます』
『それじゃあ…』
(ぐい、と袖を引かれた)
『ま、待って…。
あ、あの、もう暗いし、時間も遅いし…』
(どうやら送ってほしいみたいだ)・送る
・途中までなら、と言って送る。
・断る

また選択肢。
まぁ、この状況で断っちゃいけねぇだろうなぁ。
一番上を選択。

『じゃあ、送ろうか?』
『い、いいんですか!?
ありがとうございます!』
(また司書からの視線が…)
『う、うん。
でもちょっと静かにね』
『あ、ご、ごめんなさい…』


117 :ヤンプラ+:2010/06/29(火) 19:05:50 ID:kUgHeuFL

(二人で学校を出る。
夏も近いとは言え、暗くなるのはまだ少し早かった。)
『あ、ありがとうございます…』
『いや、いいですよ。
夜道は女性の一人歩きには何かと危ないですしね』
『…本当に、ありがとうございます…。
私みたいな…地味で、眼鏡で…勉強以外取り柄もないのに…そんなこと…』

どうやらコンプレックスになっているようだなぁ。
外見的にはそんなことないのだけれど。

『そんなこと、ないですよ』
『え?』
『可愛いと、僕は思います』
『……』
(真っ赤になった)

可愛いじゃん。
バグか隠しキャラかわからんが、この子に路線変更しよう。

『……』
『……』
(会話がない…。
調子にのってしまっただろうか

『あの…ここです』
『え、ああ』
(どうやら彼女の家についたようだ
表札には神山とある)
『あの、本当に、ありがとうございました』
『い、いや、別に対したことじゃ…』
『いえ、たいしたことです。
すくなくとも、私には……』
『…じゃあ、俺は』
『…はい、さようなら…。
……また、明日』

(…また明日って言うのが、ちょっと嬉しかったな)



「ふぅ…」

ここでいったんセーブ。
なんだかんだ買ってきて正解だったかな。
おもっていたよりも楽しいし、なんだか自分の高校生活を振り返ってるみたいだなぁ。
ま、とりあえず今日はここまでだな。
そう思って、ぱたりとハードを閉じて、俺は布団に入った。


しかしこの時、ほんの少しの違和感と、『神山』という苗字に見覚えがあることを、俺はまだ自覚していなかったのだった。