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642 :埋め☆ネタ 固定化 [sage] :2010/07/13(火) 17:09:11 ID:oAd3xcH3

いつからだろうか。"こうなったら良いな"と思ったことが現実になり始めたのは。
ここまで聞けば世界中が羨む能力だが、実際はそんなものじゃない。
僕、朱神功(アカガミコウ)は確かに思ったことを現実に出来る。でもそれはいつなるか分からないのだ。
例えば校長先生の話が長い時に"早く終わらないかな"と思うと急に話が終わるくせに、"あの娘と付き合いたい"と思っても全く付き合えなかったりする。
つまり何が叶うかは完全ランダムなのだ。ずっと思っていることは叶わないのにふと思ったことが叶ったりする。
だから不用意に"この人死なないかな"と思ってしまったら…。何となく感覚で分かる。
この現象は自分の能力で起きた、と。だから決して幸福ではないこの能力を、僕は抱えている。
そんな、高二の夏。



「おはよ、功!」
「おはよう、怜」
声をかけてきたのは幼なじみでクラスまで一緒の闇寺怜(ヤミデラレイ)。
茶色のウェーブしているロングヘアーに端正な顔立ちをしている。噂では学年トップの可愛さだとか。
「もうすぐ夏休みだよね。今年も遊びに行こうよ!」
「良いね。怜は何処に行きたい?」
そんな美少女と登校出来る喜びを噛み締めながらも、同時に憂鬱にもなる。なぜなら…。
「とりあえず海かな?どうせ功は今年も独りぼっちだもんね」
「ははは…」
そう。高校に入学してすぐに親が交通事故で死んだ。
…それからだ。
誰も僕に寄り付かなくなった。近付こうともしない。何故か?答えは分かってる。
僕の能力のせいだ。でも僕は"独りぼっちになりたい"なんて願っていないし、いくらなんでも一年以上なんて効力が続きすぎている。そして
「でも私が側にいてあげるから!だから平気でしょ?」
「…そうだね」
怜は僕から離れない。能力に例外はないはず。じゃあこの一年以上続く現象は一体なんなのだろう。
「ほら、そんなにしょぼくれないの!今日は映画を見に行くんだからね」
「…また映画か」
僕は苦笑する。皮肉にも今僕と会話をしてくれるのは幼なじみの怜だけなのだ。
彼女だけが、僕が生きていると自覚させてくれる。
「映画は良いよ~。見るだけで幸せになれるし!」
「分かった分かった。じゃあ放課後、正門前で」
「やったぁ!じゃあ何見るか決めよう!」
もう一年以上続く怜との人生を僕は受け入れつつあった。