795 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22:02:49 ID:eQJGz00C
「だからね、今度はグラウンドの線引きをしてみようと思うんだー」
「線引きって、何書くんだよ」
「陸上で使うトラックの線」
「ああ、そういえば大分消えてたっけ」
「そうなんだよ。それに、あのカタカタ押す奴楽しいから、一回全部描いてみたかったんだよね」
椚田はショートカットの黒髪を風に揺らせながらそう言い、コロッケパンにかじりついた。
すると、もとからたれ気味な目がさらにへらーと緩んでいく。
その表情が本当に幸せそうで、僕は思わず口に入れかけた自分のコロッケパンを放置し、その様子を眺めることにした。
これだけ安上がりな舌をもつ娘に育ってくれて、彼女の両親はえらく助かっていることだろう。
ちなみに椚田はコロッケパンが好きというより、コロッケが好き、というわけでもなく単純にお惣菜パンが好きなのだ。
焼きそばパンやカレーパンなども好物らしい。
だから、僕はそんな椚田に気を使って、パンを買う日はそういうものしか買わないことにしている。
それというのも椚田は僕と同じものしか昼食として選ばないので、そうしないと彼女が好きなものを食べられないからである。
どうしてそんな不便な規則で自分を縛っているのかは正直わかりきっているのだけれど、それでも好きなものぐらい好きな時に食べろと言いたい。
僕は別に毎日惣菜パンだろうとスナックパンだろうと特にこだわりはないので気にはしないし、本人がいいならそれでいいけど。
「悠一君、そろそろ食べ終えないと予鈴が鳴るよ」
いつの間にやらコロッケパンを全て胃の中へ収めた椚田が、右腕に嵌めた腕時計に目をやってそう言った。
もうそんな時間なのか。素早くパンを口に詰めてゴミを回収しながら、咀嚼も大概にさっさと飲み込む。
「次は、数Ⅰか」
「うん。今日は悠一君の列が当たるんだよね」
「お前もだろ」
僕の真ん前に座っているんだから。
「とりあえず、絶対に答えが合っている答案を、私は書いてきました」
「そうか。じゃあ、後でお互いに答案の確認をしよう」
「うんうん」
嬉しそうに数回頷いた椚田に一度相槌を打ってから、屋上の扉へと向かっていく。
10月下旬のやや冷たい風を全身に浴びつつ、ふと冬になってもここで昼食をとるつもりなのかと考えた。
まあ、防寒対策をしっかりしておけば問題ないだろう。
「明日は雨が降るらしいよ」
「そうか」
意味のない含みのない振りでも何でもない彼女の呟きに頷いて、僕らは屋上を後にした。
796 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22:04:38 ID:eQJGz00C
***
友人である雲井曰く、椚田は僕のストーカーらしい。
曰くも何も、雲井に言われるまでもなくそれぐらいは気付いている。大方同じ昼食を持参できるのも僕の行動を監視しているからに違いない。
見られて困るような日常生活は送っていないので、監視されていようが盗撮されていようが尾行されていようが構わないのだけど、
傍にいるのなら声をかけてくればいいのにと思う。
学校以外の場所で椚田と会った記憶がないから、一度くらい会ってみたいと思うのだ。好きな相手の私服姿なんて誰でも夢見るものだろう。
「どうしたの? 悠一君」
放課後、たまに立ち寄る図書室で向き合いながら読書に勤しんでいると(僕は少しも集中していなかったけれど)、
じっと見られていたことに気付いたのか、椚田が分厚い新書から顔を上げた。
その表情は疑問一点のみで占められており、こんな彼女が本当に自分を付け回しているのかと思うと妙な感じがした。
人間見た目や雰囲気だけでは分からないものだ。
「椚田って、休日は何してるんだ」
直接私服を見せてくれと言っても良かったのだが、どんな反応がくるのか想像もつかないのでやめることにした。
「休みの日は、勉強してる」
「クラスの女子とどっか行ったりしないのか」
「しないよ。高校生になって、いろいろ忙しくなっちゃったから」
遊ぶ暇がないんだよ。と椚田は何でもないように笑みを浮かべた。
「だって、悠一君とも外で会ったことないでしょ? できれば会いたいし、遊びたいんだけど、時間がないんだ」
「なら、仕方ないな」
「悠一君は私と外で会いたいと思う? 遊びたいって思う?」
「たまにな」
「そっか、そっか……うん、ええと……うん、じゃあ今度の日曜日は学校で遊ぼう!」
「小学生か」
反射的にそう突っ込むと、彼女はだよねーと呟きながら苦笑いを浮かべた。
そういえば、以前に椚田が見たい映画があると話したので、じゃあ見に行こうと言ったそのときも話は有耶無耶になってしまったのだったか。
どうやら、学校外で人と会いたくはないらしい。随分と変わった趣向である。
それでも、僕を付け回す時間はあるしそのためになら外へ出るなんて、変な話だ。
もしかすると、ずっと僕を付け回しているから忙しいのかもしれない。まあ、これはさすがに被害妄想か。
被害妄想……いやいや、僕自身は何も害は加えられていないのだから無害妄想、むしろ理想妄想。
こうだったらいいのにということをさらに妄想している。
好きな相手に追いかけまわされるのなら誰だって嬉しいだろう。
そんな調子でぐだりぐだりと会話をしていると、図書室のカウンターから大げさに本を閉じる音がした。
目を向けてみると、今日の受付当番らしき図書委員女子がこちらをじいっと睨みつけている。
同じ眼鏡でも雲井とはかけ離れたきつい目と、グラス越しに視線を合わせた。
「ごめん川瀬さん」
椚田が申し訳なさそうにそう言うと、
「これでもう8回目の注意ですよ椚田さんに遠野さんここは読書をする場なのであって男女がいちゃつく場所ではないのですお分かりですか?」
一息でこんなことを言い終えた。注意されるたびに思うが、この人は本当に滑舌が良い。
感心すべきところはそこかと言われそうだ。
「でも他には誰もいないんだし、いいんじゃないか」
「私がいるんですよ」
カチャリと音がしそうな程に、眼鏡を押し上げる仕草がさまになっていた。
なんとうか、とても古典的な図書委員。そう形容するのが一番正解に近いと思う。
確か同学年のはずだが、クラスも別であるため、川瀬さんに関する情報の持ち合わせはもうない。下の名前すら僕は知らない。
797 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22:09:54 ID:eQJGz00C
「そもそも、学校内での男女交際は禁止されているはずです図書室での決まりごとよりもよっぽど重要なことですよ」
「……前から思ってたんだけど、川瀬さんは生徒会長になるべきだよね」
「……それもまた古典的な生徒会長になりそうだけどな」
「……古典的って王道な感じでいいと思うよ私」
「……その前に川瀬さんが当選すれば校則強化は必須だ、誰も投票しないだろ」
「聞こえていますから」
声を細めてはいたものの、三人しかいない空間での秘密話なんてそうそう成立しない。
まあ、僕らに聞こえないようにしようなんて気遣いが全くなかったからだともいえる。
「それに、私は高校生活三年間を全て図書委員の委員会活動に充てようと思っているので、そんなものに立候補する暇はありません」
「自分で灰色学園生活のエンジョイ宣言しちゃったよ……」
今度こそぼそりと呟いた椚田と目を合わせて、そろそろ出るかということを確認し合い席を立とうとした時だった。
ガラガラ――ッと勢いよく引き戸を空ける音が室内に響き、その引き戸が壁へぶつかった衝撃音と共に
「みおちゃんゆうくん、みいいいつけたあああぁぁああ!」
爆音にも近い大声量の、聞き覚えのある声の持ち主が図書室へと入ってきた。
僕と椚田は慣れているため引き戸の音が聞こえると同時に耳を塞いでいたが、慣れていないらしい川瀬さんは目を白黒させてぐらぐらと身体を揺らせていた。
ああ、そういえば図書室へ襲撃に来たのは初めてか。ここまでくればもう兵器の威力だな。
「ふたりともひどいなあ! 今日は剣道の試合があるから見に来てっていったのに!
もいくんは負けちゃったけど、あたしとこのちゃんは大活躍だったよ! さすがあたし、さすがこのちゃん!
さてさてどうして来なかったのか理由を30字ぴったりで述べてね!」
無茶ぶりだ。
にこにこと笑顔でひたすら叫び続け(喋るという音量ではない)ながらポニーテールを揺らして近づいてくる小柄な先輩に、
とりあえず「すみません」と頭を下げた。
「椚田と話しこんでたもので」
「次の試合は見に行きますから」
ふたりで宥めるようにそう言うと、先輩は少しむうっと頬を膨らませてぷいっとそっぽを向いてしまった。
798 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22:12:39 ID:eQJGz00C
「次来なかったら、ホントに怒るからね!」
「わかりました」
空気を読んで、すでに怒ってるじゃないですかとは言わない。
もいくんとは、この人間拡声器という別称をもつ先輩――篠宮(しのみや)先輩と同じ剣道部に所属する僕の友人、雲井のことである。
それにしても、あいつ負けたのか。とりあえず、慰めの言葉を考えておこう。
「というかねっ、みおちゃんに返そうと思ってたものがあるから、ちょっと道場まで来てほしいと思ってね!」
「ああ、村主先生の課題レポートのですね」
「そうそう! あれめちゃくちゃ助かったよっ、むらさんの観点よくおさえられてて! これで評価はA行けそうだよ!」
「あの先生、結構やらしいところみてきますからね、正攻法じゃAなんて無理ですもん」
「そうなんだよそうなんだよ!! あたしのクラスで一番のかしこさんでも、毎回B+評価だもん!
えっへっへ~みんなでいい評価とって、むらさんびびらせるんだあ!」
それは逆に不自然に思われそうだが、やっと先輩の機嫌が直ったところなので水はささないでおこう。
先輩に腕を引かれて出て行った椚田の「悠一君もきてね」という言葉に頷き、広げられたままの新書をもとの棚に戻してから椚田と自分の分の鞄を手に取った。
彼女の鞄が妙に重かったのは、きっと教科書をいちいち持って帰っているからだろう。
休日は勉強漬けで置き勉もしないとは、変なところで真面目な奴だ。そう受付カウンターの前を通り過ぎ、引き戸に手をかけたところで、
「遠野さん」
川瀬さんに呼び止められ、とりあえず足を止め振り返った。
「なに」
「前々から思っていたのですが……その、椚田さんは、どうしてあんなことができるんですか?」
怪訝そうに、そしてどこか不安げにそう聞かれて、僕は数回瞬きをした後その問いに答えた。
「あんなことって、教師のレポート観点を知ってるってところか」
「そうです。あなたたちは、ここでもよくテストや授業に関して妙な会話をしていますし……まさか職員室を荒らしているのではないでしょうね」
「さあ。聞くなら椚田に聞いてくれよ」
僕も知らない。教えてほしいぐらいだ。そう言い終えて今度こそ引き戸を開け、僕らは最後にこんな会話をした。
「いきなりですみませんが、あなたたちは本当にお付き合いをしているのですか?」
「いや、純粋な友達関係」
「純粋、ですか……しかし、それなら校則には違反していないのですね。それは良いことです」
799 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22:14:16 ID:eQJGz00C
***
「くーもーいー、もう疲れたし帰ろー」
「篠宮先輩が、戻ってくるまで帰るなって言ってただろ?」
「いいじゃん、試合おつかれさまーって感じで帰っちゃおうよー」
「お疲れ様の前に片付けな」
ぶつぶつと文句を垂れ流しながらも道場の片付けに励む緋本は俺の言葉へ「はいよ」とため息交じりに頷いた。
俺たち以外の剣道部員は今回の試合で芳しい結果を得られなかったため、篠宮先輩の刑罰宣言により道場裏の草むしりを行っている。
あの人は小柄で始終にこにこと笑っている可愛らしい先輩なのだが、部のことになると非常にスパルタになるのだ。
「みんな凄く頑張ったと思うよ! それは本当にそうなんだけどねっ、あたしも分かってるんだけどねっ、自分への戒めとして草むしり頑張ってね!」
道場内に大声を反響させてから、少し用があると言って先輩本人は素早くどこかへ行ってしまった。
ちなみに俺自身は負けている、にも関わらず道場内の掃除とはこれ如何に……緋本は結果を出したので当然だとして、これはおかしい。
「先輩に好かれてるからじゃないのー? うわあ、あやかりたいねー」
「んなわけあるか」
くるくるとした癖っ気のある茶髪を夕陽に照らし、緋本は皮肉めいた口調でそう言った。
先輩が俺を後輩以上に思っていることなんてあるわけがない。
それにしても、男女混合の部で男子は全敗、数少ない女子部員たちが全勝ってどういうことだ。情けないねえな男共、しっかりしろ。
その男共の中に自分を含めつつ、明日からの部活も頑張ろうと心に決めた。
誰とは言わないが、成果を見せたい相手くらい俺にもいるのだ。
しばらく緋本とは背を向け合ってお互い掃除に集中していると、道場の扉を開ける大きな音がしたので耳を塞いだ。
その数秒後、
「ただいまああぁぁぁああああ!」
という爆声音と共に帰ってきた先輩の方へ振り返ると、そこにいたのは篠宮先輩だけではなかった。
あの椚田ミオリも、いた。先輩の後ろ、入り口あたりで耳を塞いでいる。
どうして、こいつまでいるんだっ……。
800 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22:15:33 ID:eQJGz00C
「ああっとッ、もいくんとこのちゃんはみおちゃんと初対面!? じゃあ荷物とってくるから、その間に自己紹介でもどうぞ!」
ハイテンションにそう言って、篠宮先輩は奥へと行ってしまった。
緋本はけだるげに目を細めながら、俺は眉をひそめながら椚田と少し間隔をもって向き合う。
「1年C組の椚田ミオリ」
言って右手を軽く上げ、椚田はにこりと笑った。
「俺は、」
「1年E組の雲井君だよね」
「……雲井ー、知り合い?」
椚田から目を離さずに聞いた緋本の声は、いつも通りだるそうだった。
その言葉に首を横に振り「知らん」と返す。俺はまだ椚田本人と接触をとったことはなかった。
悠一を正気に戻すためにはいつか話を聞かなければいけないとは思いつつも、まだできていなかった。
得体のしれない体質をもつわけのわからない女と積極的に関わりたいと思えるほど、俺は物好きではない。
これを機に知り合っておけという何かのお達しだろうか。
「雲井君って、悠一君の友達なんだよね。もうすぐ、悠一君も来るよ」
「もう来てる」
そう言って入り口の影から淡々とした面持ちで出てきたのは、紛れもなく悠一だった。
「雲井負けたんだってな。次頑張れ」
「ありがとよ」
今回も頑張ったことは頑張ったんだけどな。地味に傷を抉る奴だ。
そうするのが当たり前のことのように椚田の横に立った悠一を見て、何なんだろうなあとため息をつきそうになったが、寸でのところでこらえた。
本格的に悠一へ忠告できないのは、椚田が悠一と付き合うつもりがないように見えるからだ。
それによって真意が全く掴めず、行動がとりづらい。
決定的な行動でもとってくれれば、それを理由に説得するなり問い詰めるなりできるんだがなあ……。
いや、ストーカー行為を許容してしまっているあたり、やっぱり説得は難しいのかもしれない。
違和感か……そんなものどうやれば取り戻せるんだろう。
「それで、君が大活躍の『このちゃん』か」
「雲井君のクラスメイトで、緋本此乃子(ひもとこのこ)さんだっけ」
「そーだけど」
クラスが同じというわけでも顔見知りというわけでもないのに名前を言われた緋本だったが、特に動じず頷いていた。
きっと悠一の言った『このちゃん』呼びは篠宮先輩の特権であるため、おおよそ先輩に話を聞いたのだろう。
椚田については今は何も言うまい。偶然知ったのかもしれないし、そうでないという可能性もある。
ちなみに、緋本も抗体のある体質ではないらしく、こうした部分へ違和感を持つことはない。
篠宮先輩もきっとそうなのだろう。なんだかひどく疎外感を感じた。
校内にひとりでも違和感を持っている奴がいれば、それだけで大分安心するんだけどな……。
「ちょっと、雲井」
「なんだよ?」
考え事をしている最中に緋本につつかれ目線をそちらへ向けると、
「椚田さんの自己紹介は聞いたけど、この男子だれ?」
「友達の遠野悠一」
「……遠野か。んー、りょーかい。ふたっともよろしくー」
寝ぼけているような口調で緋本がそう言い終えると同時に、再び道場の奥から軽い足音がドタドタと聞こえ始めたため、
四人一斉に聴覚器官の入口を封じた。
801 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22:16:56 ID:eQJGz00C
「自己紹介おわったかな!? わおいっ、ゆうくんも来てるねおっけおっけ! じゃあ、これ本当にありがとうねっ、みおちゃん!!」
「どういたしまして」
耳を完全に塞いだところでまだうるさい篠宮先輩から椚田は何やら紙袋を受け取り、笑顔で頷いていた。
……何なのだろう。
「じゃあっあたしは草むしりに行ってくるから! もいくんこのちゃん道場よろしくね!!」
俺の疑問など露知らず、先輩は駆け抜けるように(実際駆け抜けていたが)にこにこと笑って道場裏へと向かって行った。
戒めとは言っても他人にだけさせるだけではなく、言いだした先輩本人もしっかりとやり遂げるため、試合直後に草むしりと言われても文句を言うやつはいないのだ。
「それじゃ、私は帰るね」
靴を脱ぐこともなく入り口でずっと立っていた椚田は、紙袋をもち直してからこちらへ手を振った。
とりあえず俺は「ああ」とだけ言って、緋本は「んじゃねー」と欠伸交じり。
「校門まで送っていく」
淡白にそう言った悠一に対し、椚田は嬉しそうに微笑んで「やったッ」と返事をしていた。
「雲井はまだ残ってるよな」
「あ? ああ……」
「なら、また戻ってくるから、一緒に帰ろう」
「わかった」
友達とは言え、男に下校の誘いをされるとは……なんてしょっぱいんだ。
何事か話しながら道場を去っていくふたつの背を目で追って、今度こそ俺はため息をつく。
「幸せはーため息つくと、逃げるんだー」
短歌のようなリズムでそう言った緋本へ向き直ると、そいつは珍しく目を完全に開けて、こういった。
「私、あいついやだよ」
***
「ねー、悠一君」
「なんだよ、椚田」
「今さ、楽しい?」
「どういう意味で」
「学校とか、友達とか」
「まあ、楽しいな」
「そっかあ、よかった」
「それが何だ」
「何でもないよ、悠一君が楽しいならそれでいいんだー」
「そうか、俺もお前が楽しいならそれでいいよ」
「悠一君にそう言ってもらえて感動っ」
「大げさだろ」
「そうかな。大げさでも何でもいいよ、悠一君が楽しいなら」
「これからもっと楽しくなるといいね」
802 :私≠彼女 02 ◆RgBbrFMc2c :2010/09/10(金) 22:20:34 ID:eQJGz00C
***
我慢だ我慢我慢我慢、我慢。
ああでも無理かなもう無理かもそろそろもうねえ限界、リミッター越え寸前誰か止めてくれればいいんだけど、誰かいるかな。
さてさてさてさて最初は誰にしよう彼に声をかけてくるあれか笑顔を見せるあれか彼に近いあれかさあさあさあどうしようね。
私はもう十分に我慢したよでも気付いてくれないんだもんならねさくっとぐいっとぼいっとがちゃっとぐにゃっとしようかな。
どんどんなくなっちゃえばいいんだよねえ消えちゃえばいいんだよ消してしまえばいいんだって私ずっと思っててね、あはは。
ええっと私が変だっておかしくなってるって? いやいやそんなことないよだって好きな人には自分だけ見てもらいたいもの。
こう思うのは当たり前でしょ、よし自己正当化完了私はもう限界を超えましたということでそろそろはじめようとおもいます。
てんきよほうではあしたのてんきはあめですよーって。
おもむきがありすぎ、むしろうんざり、だ。
明日は晴れがいいなー、雨って嫌いなんだね。あーあ。
最終更新:2010年09月11日 12:14