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472 :迷い蛾の詩 【第七部・毒蛾想】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/26(日) 23:00:40 ID:Tlcr6hDO
 陽神亮太が目を覚ました時、そこは彼の覚えのない場所だった。
 辺りは一面が闇に覆われ、今が昼なのか夜なのかも分からない。
 彼の周りを包む空気は、どこか湿っていて埃臭い匂いがする。
 分かっているのは、自分が椅子の様なものに座っているということだけだ。

(ここは……)

 辺りの様子を確かめようと、亮太はその場から立ち上がろうとした。
 が、直ぐに両腕や両足を押さえつけられるような感覚に襲われ、思わずその場で顔をしかめる。

「――――っ!!」

 暗がりでよく分からないが、どうやら自分は手足を椅子に縛りつけられているようだった。
 それも、ただ縛られているのではない。
 寸分の遊びも許さないほどに、しっかりと縄で椅子に固定されている。
 これ以上強く縛られたら、手足が鬱血してもおかしくない。

「あっ、気が付いたんだね、亮太君……」

 ヒタ、ヒタ、という階段を下る音と共に、聞き覚えのある声が亮太の耳に響いた。
 ぼんやりとした橙色の灯火が、徐々にこちらへと近づいて来る。

「ま、繭香……!?」

 薄明かりの中に見える、亮太にとっても馴染みのある少女の顔。
 だが、その瞳は既に、亮太の知る繭香のものではない。
 この部屋を覆う闇よりも更に深い暗闇に支配され、淀んだ視線をそのまま亮太にぶつけてくる。

「おはよう、亮太君。
 あっ……でも、今の時間だったら、こんばんはって言った方がいいのかな?」

「冗談はやめてくれよ、繭香。
 なんで、こんなことするんだよ!!
 こんなことして……いったい何の意味があるんだよ!!」

「冗談なんかじゃないよ、亮太君。
 私はただ、亮太君を元に戻してあげたいだけ……。
 だから、お薬を入れたお水を出して、亮太君をここに運んだんだ。
 お母さん、たまに眠れないって言って、お薬を飲むことがあったから……それを、ちょっと失敬したんだよ」

「薬を入れた水……。
 ま、まさか……!?」

 だんだんと、亮太の頭に記憶が戻ってきた。
 あの時、繭香が昼食と共に運んできた水。
 きっと、あれには睡眠薬か何かの類が混ぜ込んであったに違いない。
 それを飲んで眠ったところを、繭香はこの部屋に運んだということなのだろう。



473 :迷い蛾の詩 【第七部・毒蛾想】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/26(日) 23:01:33 ID:Tlcr6hDO

「ねえ、亮太君……。
 それより……お腹すいてない?」

「なに言ってるんだよ!!
 こんな状況で、腹なんて……」

「あはは……。
 我慢しなくてもいいんだよ。
 亮太君、私がここに運んでから、もう丸一日と半分は寝てるもんね。
 お水に混ぜたお薬、少し効き過ぎたみたいだね」

「なっ……丸一日!?」

 なんということだろう。
 自分では気づかなかったが、どうやらかなりの時間、この部屋に拘束されていたようだ。

「なあ、繭香……。
 これ、何かの間違いだろ?
 俺に悪いところがあったら謝る。
 だから……これを解いてくれないか?」

「ごめんね、亮太君。
 悪いけど、それはできないよ。
 亮太君が元に戻って……迷わずに私を見てくれるようになるまではね」

「迷わずにって……何を言ってるんだ、繭香!!
 俺には、君の言っていることが分からないよ!!」

「可哀想、亮太君……。
 でも、安心してね。
 亮太君を迷わせる女は、ちゃんと私が始末したから……。
 だから、亮太君も、すぐに私だけを見てくれるようになるよね……」

 近くにあった箱のような物の上に燭台を置き、繭香が亮太の頬をそっと撫でる。
 予想以上に冷たい手に、亮太は背筋に冷たいものが走るのを感じて震え上がった。

 繭香は、自分を迷わせる女を始末したと言った。
 まさかとは思うが、あの繭香が人を殺したというのだろうか。
 信じたくはない、受け入れたくはない想像だったが、それでも亮太にも心当たりがないわけではない。

「なあ、繭香……。
 君が始末した女って、まさか……」

「あっ、気づいてた?
 そうだよ。
 亮太君の想像している通り……天崎さんは、私が殺したんだ」

「――――っ!!」

 屈託のない笑顔を浮かべながら、恐ろしい台詞を平然と言ってのける繭香。
 その、あまりに純粋すぎる頬笑みが、今は返って亮太の恐怖を助長した。



474 :迷い蛾の詩 【第七部・毒蛾想】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/26(日) 23:02:16 ID:Tlcr6hDO

「そ、そんな……。
 だって……君は、あの時、理緒は先に帰ったって……」

「うん、そうだよ。
 天崎さんは私達よりも先に、ちゃんと『土に』帰ったの。
 だから、もう二度とこっちに戻って来ることはないよ。
 亮太君を迷わせて、私から奪ってゆくこともないんだよ」

 衝撃的だった。
 目の前にいる月野繭香が、同級生でもある天崎理緒を殺す。
 今の繭香の表情からは想像もできないことだが、嘘をついていないということだけは、何故かはっきりと確信できた。

「ねえ、亮太君。
 それより、さっきの質問なんだけど……」

 右手に持った皿を差し出しながら、繭香が再び尋ねた。

「亮太君、お腹すいてるでしょ?
 これ、夕食の残りなんだけど……よかったら、私が食べさせてあげようか?」

「勘弁してくれよ、繭香……。
 こんな状況で、食欲がある方がどうかしてる……」

「だめだよ、亮太君。
 ちゃんと食べないと、身体が弱って病気になるよ」

 自分から暗闇の中に拘束しておいて、今さら何を言い出すのだろう。
 そう言葉に仕掛けた亮太だが、直ぐにそれを喉の奥へと飲み込んだ。

 先ほどから、自分と繭香の会話は微妙に噛み合っていない。
 ここで何かを言ったところで、繭香はきっと聞き入れようとはしないだろう。
 もっとも、両手を縛られたこの状況では、食事をするにしても箸も握れないのだが。

「わかったよ、繭香。
 それじゃあ、食事をしたいから……両手の縄だけでも、外してもらえないかな……」

 別に腹など減ってはいなかったが、それでも亮太は敢えて繭香の申し出を受けることにした。
 食事をするふりをして、自由になった手で拘束を解く。
 我ながら古典的な手法だとは思うが、ここは少しでもチャンスに賭けるしかない。

 だが、そんな亮太の考えを見越したかのようにして、繭香は料理の乗った皿を、燭台とは別の箱の上に置いた。
そのままゆっくりと亮太に近づき、鼻と鼻がぶつかり合う程の距離まで顔を近づけてくる。

「大丈夫だよ、亮太君。
 亮太君が動けないのは分かっているから、私が亮太君に食べさせてあげるね」

 そう言うが早いか、繭香は皿の上に盛られている料理を口に入れると、それを細かく咀嚼した。
 そして、料理を口に含んだまま、椅子に縛り付けられた亮太の上に身体を重ねて口をつける。



475 :迷い蛾の詩 【第七部・毒蛾想】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/26(日) 23:03:02 ID:Tlcr6hDO

「んっ……んんっ……はむっ……はぁ……」I

 繭香の口を通して、亮太の口の中にどろりとした物が注ぎ込まれた。
 甘酸っぱい、それでいて粘性の高い液体が口の中に流れてくる。
 繭香の唾液と息が混ざり、正直なところ、なにを食べさせられているのかさえ分からない。
 思わず吐き出しそうになるが、それでも繭香は自分の口の中にあるものを、強引に亮太の口内に流し込んでゆく。

「あっ……がっ……かはっ……」

 こちらの呼吸を無視して食物を流し込まれ、亮太は思わずむせ返った。
 しかし、それでも繭香は口による給仕を止めようとはせず、次々に料理を咀嚼しては亮太の口に入れて行く。

「んっ……んむっ……ちゅっ……ふぅ……」

 最初は口に咀嚼した食物を注ぎ込むだけだった繭香だが、その舌先は、徐々に亮太の舌を欲するような動きに変わってゆく。
 舌を絡め、歯茎の裏を舐めるようにして、繭香が亮太の口を犯す。
 それは、繭香が亮太に給仕を続ける程に強くなり、やがては食事そっちのけで、繭香の方から亮太をひたすらに求めた。

「あっ……はぁっ……亮太君……」

 耳元で、繭香の荒い息遣いが聞こえてくる。
 膝の上に乗っている太腿が熱くなり、繭香の指が、亮太のシャツのボタンを一つずつ外してゆく。

「ちょっ……何してるんだよ、繭香!?」

 これから自分が何をされるのか。
 それが分かった時、亮太もさすがに声に出して叫んだ。
 が、いかに叫ぼうと、抗おうと、両手両足を縛られていては何もできない。

 いつしか、亮太はシャツの胸をはだけさせられ、繭香もそれに合わせるようにして上着を脱いだ。

 上着の下には、繭香は何もつけていなかった。
 白い胸が露になり、燭台の灯りに照らされて妖しい雰囲気を纏っている。

「亮太君……。
 今、私が亮太君を、もとの亮太君に戻してあげるからね……。
 亮太君を迷わせる女のことなんか、全部忘れさせてあげるからね……」

 そう言って、繭香は自分の胸を亮太の胸に押しつけてきた。
 膝の上に乗り、亮太の身体を抱きしめるようにして、撫でるように胸を動かす。
 繭香の胸の先にある尖ったものが、亮太の肌の上を這いまわって刺激した。

「好きだよ……亮太君……。
 私には、亮太君しかいないの。
 亮太君しか、本当の私を見せられる人はいないの……」



476 :迷い蛾の詩 【第七部・毒蛾想】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/26(日) 23:03:47 ID:Tlcr6hDO
 一つ、また一つと言葉を告げるたびに、それに合わせて繭香の動きも激しくなる。
 ただ抱きしめるだけでは飽き足らず、最後には亮太の頭を押さえ、再びその唇を求めて口を重ねてきた。

「ふぁ……ん……亮太君……」

 拒むことは許されなかった。
 給仕の時と同じように、繭香の舌が亮太の口を強引にこじ開けて入ってくる。

「ん……はぁ……。
 りょ、亮太君のことは……んちゅ……私が……愛して……あげる。
 私が……んん……亮太君を……癒やしてあげる」

 唇の裏、歯の裏、そして舌の裏。
 亮太の口内を余すところなく味わうと、繭香は名残惜しそうにして、その口を離した。
 そして、今度は亮太の首筋に舌を這わせ、その身体に流れる血を吸い出さんばかりの勢いで口づける。

「くっ……」

 皮膚を刺すような感触に、亮太は思わず声を上げて眉根を寄せた。
 そんな亮太を愛でるかのようにして、繭香はそっと首元に残る赤い痕に指を添えた。

「うふふ……。
 これが、私と亮太君の愛の証だよ。
 亮太君の瞳は、誰にも渡さないからね……」

 そっと、慈しむように触れながら、繭香の指と舌が、亮太の身体を撫でてゆく。
 首筋から胸へ、そして、胸から腹へと降り、最後は亮太の履いている制服のズボンへと伸びた。
 腰のベルトに手をかけて外し、ジッパーを降ろして、下着の上から亮太のものを包み込むようにして撫でる。

「嬉しい……。
 亮太君も、私のことを、ちゃんと感じていてくれたんだね……」

 先ほどからの行為で、亮太の下半身にあるものは、既に十分すぎるほどに大きく成長していた。
 こんな異様な状況下でも、身体だけは正直に反応してしまうのが情けない。
 が、いくらそう頭で考えたところで、理性だけで全てを堪えるのは限界に近かった。

 繭香の手が、亮太の履いているズボンを一度に引きずり下ろす。
 同様に、下着までも脱がせると、繭香は椅子に縛り付けられたままの亮太のものに、そっと手を添えて握ってきた。
 そのまま、未知のものに触れるかのようにして、ぎこちない手つきで亮太のそれを弄ってゆく。

 最初は触れる場所や力の加減を気にしているようだったが、やがてそれは、亮太の神経に快楽を与える部分を的確に刺激するようになった。
 触れる度に反応を確かめながら、繭香は確実に亮太の敏感な部分を捕えてくる。



477 :迷い蛾の詩 【第七部・毒蛾想】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/26(日) 23:05:42 ID:Tlcr6hDO

「や、やめろ、繭香……。
 こんなことをしたって、俺は……」

「駄目だよ、亮太君。
 身体はこんなに正直なのに、無理をするのは心に毒だよ。
 それとも……自分に素直になれないくらい、周りが見えなくなっちゃったのかな……?」

「なに言ってるんだ、繭香!!
 周りが見えていないのは、むしろ……!!」

 そこまで言った時、亮太の背中を痺れるような快感が走った。
 恐る恐る下を見ると、なんと、繭香が彼女の手の中にあるものに、そっと舌を這わせていた。

「うっ……くぅ……」

 もはや、言葉さえ口にすることもできず、亮太はひたすらに繭香の行為に耐える他なかった。
 動きそのものはぎこちなかったが、繭香は様々な角度から、亮太の反応を確かめるようにして指と舌を動かしてくる。
 どこに、どのように触れた時、亮太の身体が最も反応したのか。
 それを探るようにして、絡みつくように亮太を攻めてくるのだ。

「んっ……ちゅっ……んはぁっ……」

 左手と口で亮太を愛撫しながら、繭香は右手で自分自身を慰めていた。
 まだ、下着の上から触れるだけだったが、それでも繭香の白い肌は、薄明かりの中でもはっきりと分かるほどに激しく紅潮していた。

 やがて、自分の手の中にあるものが十分に成長したことを知ると、繭香は自身もスカートと下着を脱ぎ棄てた。
 暗がりの中、燭台の炎に照らされた裸体が、亮太の精神を否応なしに魅了する。

 これ以上見てはいけないと思い、目を閉じて顔を背ける亮太。
 が、そんな亮太の顔を半ば強引に自分の方へ向けると、繭香は再び亮太の膝に身体を乗せてきた。

「ねえ、亮太君……。
 私も、もう我慢できないの……。
 だから……このまま一つになろう」

 そう言いながら、繭香は亮太のものを自分の花弁に当ててくる。
 そして、そのまま一気に腰を沈め、自らの身体の奥まで貫いた。

「はぁっ……あ、あぁぁぁぁっ!!」

 優しく包み込むような感触ではなく、きつく締め上げるような感覚。
 そして、その奥にある何かを突き抜けた時、繭香が一団と激しく身体を震わせた。

「――――っ!!」

 破瓜の感触が、亮太にもはっきりと感じられた。
 繭香は亮太の肩に手をついたまま、自分の肩を激しく震わせている。

 初めは痛みに堪えているだけかと思った。
 しかし、繭香は何ら躊躇いを見せず、亮太の上でゆっくりと腰を上下させてくる。
 痛みからくる涙なのか、それても嬉し涙なのか、犯されている亮太には皆目見当もつかない。



478 :迷い蛾の詩 【第七部・毒蛾想】  ◆AJg91T1vXs :2010/09/26(日) 23:06:41 ID:Tlcr6hDO

「ああ……亮太君、亮太君、亮太君、亮太君、亮太君……」

 ひたすらに亮太の名前を連呼し、繭香は目に涙を浮かべたまま身体を動かした。
 その瞳に涙を浮かべたまま、どこか焦点の合わない目で亮太との行為にひたすら耽る。
 時に優しく、時に激しく、そして時に温かく、繭香の中は亮太に刺激を与えていった。
 何度も、何度も、亮太の全てを包みこみ、食らい尽くさんばかりに貪欲に。

「うっ……あぁ……」

 亮太の口からも、思わず声が零れてしまった。
 暗闇の中、椅子に縛られたまま知り合いの少女に犯される。
 自分の意志とは関係なく、喜びを与え、同時に与えられる。
 あまりに非現実的なこの部屋の空気が、凄まじい勢いで亮太の脳を痺れさせてゆく。

「ねえ、亮太君。
 もっと、私と繋がろう。
 もっと、私と一つになろう。
 そうすれば、もう何も迷うことはないんだよ……。
 二人でいれば、苦しみも、悲しみも……全部喜びに変わるから……。
 私も、亮太君も……」

 激しく息を荒げながら、繭香が更に強く亮太を求める。

「だから、ずっと一緒にいよう。
 もっと強く……もっと深く……私の中で一つになろう……」

 あまりにも甘美で耐えがたい誘惑。
 その言葉に、亮太の理性はついに限界の淵を越えた。
 最後の力でなんとか抗おうとするものの、湧き上る衝動を抑えることができない。

「だ、駄目だよ、繭香……。
 こ、こんなことは……」

 そう、言葉にするのが精一杯だった。

 己の意志とは反対に、亮太は繭香の中に自分の欲望を全て吐き出した。
 その瞬間、繭香の身体が一瞬だけ大きく仰け反り、亮太の肩に爪が食い込む。

「ん……はぁぁ……」

 虚ろな表情を浮かべ、繭香は亮太と繋がったままの姿勢で天を仰いだ。
 身体の中に、熱いものが流れ込んでくるのが分かる。
 それこそが、亮太と自分が繋がった証。
 そのことを意識するだけで、なんとも言えぬ満たされた気持ちになれた。

「ふふ……あったかい……。
 亮太君が……私の中に……」

 燭台の火が、闇の中で妖しく揺らめく。
 その光に照らされたまま、繭香は果てたばかりの亮太の身体を、全身で感じながら抱いていた。