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                 Ⅰ


 わたしは今これから通うことになる「天陽(テンヨウ)学園高等部」の入学式(始業式も同時に行われている)に来ている。はっきり言うと特に変わった内容もなく暇だ。周りはなんだか何かに期待している雰囲気に満ちている。
 PTA会長の挨拶も終わり、閉会の言葉に入ろうとした時だった。
「レディースアァァンドジェントルルメンン!!」
その声を合図に体育館の奥の舞台の幕が上がり周りでは歓声が上がる。わたしは訳が分からずあたりを見回し、前にいた御堂利奈(ミドウリナ)さんに聞いてみた。すると、
「あ、山草(わたし・ヤマクサ)さん、もしかして高等部から入学したの?」
と興奮気味に聞いてきた。そして、そのまま続ける。
「これはね、挑戦部のサプライズライブなんだ。」
「へえ、」っていうか挑戦部って何?なんて思っていたら、幕は完全に上がっており4つの人影が見えた。
「あれって・・・。」


                 Ⅱ


今、校長の挨拶が終わった。
「あー、緊張してきた。」
そう言ってさっきから落ち着きがないのは、俺より1年遅くに生まれたのに俺と同学年の弟(別に俺が留年したわけじゃない)だ。
「心配するなジュン(弟)、お前なら大丈夫だ。」
と、兄としてなだめる。俺、大海卯月(オオミウヅキ)は今、サプライズライブのため体育館の舞台の幕の内側にいる。
「でもさー、ヴォーカルだよ、いつもは結花(ユカ)の担当なのになんで僕が・・・。」
嗚呼、この弟はいつまでもグチグチと!!しょうがないだろう、妹のユカは今は中等部の始業式なんだから。
「おい、もうすぐだぞ、準備しろ!!」
悪友その1・「ヤス」こと野澤康和(ノザワヤスカズ)が注意する。
「バカ兄弟、はやくしなよ!」
悪友その2・原嶋美優(ハラサキミユウ)が急かす。
「とりあえず、深呼吸して落ち着け!いいな!」
俺が言うと、ジュンは黙って頷き深呼吸した。ようやくPTA会長の挨拶が終わるころだった。それぞれの配置(ちなみに俺はギター、ヤスがドラム、ハラサキがベース)について合図を送る。ジュンはもう一度深呼吸して、マイクを通して叫ぶ。
「レディースアァァンドジェントルルメンン!!」
幕と一緒に歓声が上がる。幕が上がるにつれて歓声も大きくなる。幕が完全に上がった。
「ワンットゥッスリィッ!!」
ヤスの掛け声でライブが始まった。


                 Ⅲ


 拍手がいまだに体育館に響いている。ライブは大成功だった。舞台を降り舞台裏に行く。
「お疲れ~!いえぇーー!」
皆とハイタッチをする。
「兄さん、イェエーー!パァン!フゥウー!」
見よっ、このライブ前とは別人のようなハイなジュンを(まぁ、俺も今はハイだけど)調子に乗っていると痛い目に・・・ズダァン・・・言わんこっちゃない。
「まったく・・・ズダァン・・・言わんこっちゃな・い。」


                 Ⅳ


とても驚いた。だって、小さい時から好きだった男の子が今も変わらずわたしの好きだった「彼」のままだったのだから。それどころか、背も伸び顔も凛々しくなって、とても格好良くなっていた。
「相変わらず眠そうな眼だなあ。フフッこんどこそずっと一緒だよ。」