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417 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:38:18 ID:wy8t3aCQ
県立 烏羽高校
ここが俺が今日から通う高校だ。
俺がここを志願した理由は授業や特色ではなく
とあるスポットに惹かれたからである。

そのスポットは校舎の屋上 通称「風屋根」
ここは、年中風が吹いているというスポットで
原因として挙げられているのが
1.校舎が高校にしては珍しく7階建て
2.周りの地形によって上空に風が舞っている
3.偶然
など、様々に言われているが誰も答えを知らないらしい・・・。

生徒達には「風が強すぎる」という理由で嫌われているらしいが
風好きの俺にとっては最高の癒しの空間である。
俺が風を好きな理由は自分でもあまり分からないのだが
俺の人生にはいつも風が関連している。

俺が生まれた日の天気は台風
何かのイベントの日には高確率で暴風警報が出る。
そんな感じで風とは親しく今に至るというわけだ。

入学式は地獄だった。
隣の“人”とはほぼ0距離だし校長やその他の人たちの話が長いしと嫌な事ばかりだった。
しかも、白髪のせいか、周りの視線をモロに受けることになり、気分が悪かった。

入学式が終わり教室に移動して初めてクラスのメンツが分かった。
男女の割合が50%:50%ときれいに別れていたり、
俺以外にも髪の色が黒以外の人間が若干いたりと
動物園にいる感覚で見て楽しむことができた。

担任からの挨拶も済み、休み時間になった時だった、
俺は志願の理由でもある「風屋根」に行こうと机の上を少し片付けている時だった。

「ねぇ、ちょっといいかな?」


418 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:39:05 ID:wy8t3aCQ
声のしたほうを振り向くとそこには腰の辺りまで伸ばした髪が印象の少女がいた。
どっかで見た気がするのだが、あまり関わりたくないので無視して行こうとした時だった。
いきなり腕をつかんで逃げられないようにすると、今度は顔を覗き込んできた。

(ジーーーーーッ)
「な、何なんだよ・・・」
「やっぱりそうだ♪」
(何が?)

彼女はつかんでいた俺の腕を放し笑顔で話しかけてきた

「今日の朝、私のことを・・・って、どこに行くの!?」
(お前には関係ないだろ)

彼女が腕を話した瞬間、俺は「風屋根」に向かって移動を開始、
聞こえた質問に心の中で返答した後、早歩きで「風屋根」に向かった。

「まだ話が終わってないんだけど!」

振り向くと同時に今度は両腕をつかまれ、さっきよりも強くホールドされた。

「今日の朝、駅の階段で私のことを助けてくれた人だよね?」
「・・・知らねぇよ」

視線を逸らしながらおれはつぶやく。
朝から入学式という地獄のイベントで“人”といたのに、
休み時間まで“人”と一緒にいるなど冗談じゃない。
そして、そんな考えを一切察知しない彼女・・・もう“人”でいいや。
目の前の“人”は話を続ける

「うそ。そんなに目立つ白髪の人そういないよ。
それに、同じ学校の制服も着ていたしね。」

さらに、顔を近づけてくる。
すこし“人”の臭いがして気持ち悪くなってきた。
そのときだった。

「キーン コーン カーン コーン」

予鈴に気をとられた“人”は俺をつかんでいる腕の力を少し緩めた。
おれはその機会をのがさずに逃げることに成功。したと思ったのだが
俺とその“人”は同じクラスだったため教師が来るまで
ずっと傍にいて質問攻めされるハメになった。
無視し続けるというのも結構大変なものだとその時知った・・・

帰りのHRが終わると同時に俺はダッシュで教室を抜けて「風屋根」へ向かった。


419 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:42:34 ID:wy8t3aCQ
屋上は開放されていて自由に出入りすることができる。
ドアを開けると同時に無数の風が入ってきた。
今日の「風屋根」には雨のように上から叩き付けるような風が吹いていた。
気を抜くと叩き付けられそうな感覚になるほどの強風だ。
生徒達に不満を言われているこの風も、俺にとっては友人同然だ。

(・・・・・)
声が聞こえた気がした。風の声だ。
風の声は俺にしか聞こえない。 という設定になっている。
本当に聞こえるわけではないが、風の吹く強さ、角度、暖かさで
何て言っているのかを創造するだけのいわゆる遊びみたいなものだ。
会話はできないが風を“読む”ことはできる。
今吹いている風からこの後の天気を当てたりすることはできるので
現実的には“会話”というよりも“感じて当てる”といったほうが正しい。

「ヨッ」
(・・・・・)
「へ~そうなんだ。」
(・・・・♪)
「え、マジで!?」
(・・・!?)
「なるほどねぇ」
(^0^)
「今、何て言った?」
(・・・ww)

会話に夢中になっている時だった。
「ギィ・・・」
振り向くと屋上出入り口のドアが開いていてそこに人が立っていた。
(まさか、見られた!?)
「あ、見つけたーーー!!」


420 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:43:18 ID:wy8t3aCQ
この声には聞き覚えがある
俺のことを2回もホールドしたあの“人”だ。

「まさか、不人気スポットの「風屋根」にいるとは、考えも・・・」

“人”が話している時、風の向きが上から真横へと変わった。

「あ、風の奴、遊んでいやがるな・・・」
「キャーーーーーーーーーーーーー!!」

視線を風から“人”へと戻すとスカートの端を押さえて耐えているところだった。

「ちょっと、何とかしてよ。その変な力で。」
「何とかって言われても・・・変な力!?」

もしかして、さっきの会話のことを言っているのだろうか?
でも、本当に会話しているわけじゃないから、どうにもできないんだよな・・・

「・・・・・(考え中)」
「早くしなさいよ!!」
(うるせぇ(怒))

(多分効かないけどやってみるか・・・)

考えた結果、風に話しかけるという方法に決定。

「・・・少しだけ大人しくしてくれないか?
 出来ないのなら・・・分かっているよな?」


やはり効果なし、そう思った時だった。
急に静かになり、さっきまでの暴風が微風になっていた。

(ウソ!?)

そう思うや否や、俺の体はまた勝手に動いていた。
風でぼさぼさ頭になっている“人”の首根っこをつかんで校舎内に放り込んだ。
それに続いて、自分も校舎に入ると同時に微風が暴風に戻りだした。


421 :風の声 第2話「風の出会い」:2010/10/16(土) 04:44:01 ID:wy8t3aCQ
(風が俺の声を聞いた?)
「すごい風だったわね・・・」
(偶然だよな?)
「朝、髪型セットするの苦労したのに~(泣)」
(俺って、風使いかなんかなのかな?)
「ちょっと、聞いてんの!?」

耳元で“人”の大声。鼓膜にものすごいダメージが・・・

「あなたさぁ、もしかして人のことを怒らせて楽しんでる?
 絶対そうよ。じゃなきゃ2回も3回も連続で無視なんかしないよ」
「別にそういうつもりじゃない・・・」
「じゃあどういうつもりよ?」
「・・・」

“人”とは必要以上に関わりたくない と直球で言えたらどんなに楽か・・・

「つうか、あなたを責めに来たわけじゃないし。」
「え?」
「朝のお礼、まだ言ってなかったでしょ。
 助けてくれてありがとう。あの時のあなた体調悪そうに見えたけど
 大丈夫そうね♪」
「だから、あれは俺じゃない・・・」
「・・・ツンデレ」
「は!?」
「素直じゃないね~。思いっきりデレデレしていいのに。」

よく分からないことを言い出したのでとりあえず教室に鞄を取りに行くことにした。
鞄を取ったら即行で帰る。そしてこの“人”とおさらばだ。

「あ!ちょっと待ってよ」
(まだ あんのかよ!?)
「私、大空 舞(おおぞら まい)あなたは?」
「・・・」
「フー太くんだっけ?」
「風魔! 風魔 翼だ!・・・あっ」
「フフッ、よろしくね翼君♪」

こうして“人”・・・じゃなくて、
“大空”が俺の友達(?)になった・・・