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399 :風の声 第1話「風の始動」:2010/10/15(金) 23:56:46 ID:cFr09005
小学校と中学校で見続けてきたイジメという名の悪夢。
二度と見ない為にはどうすればいいか、何回も何回も考えた。
そしてたどり着いた答え

「”人”とは必要以上に関わらない」
そう、俺には風さえあればそれでいい・・・。



400 :風の声 第1話「風の始動」:2010/10/16(土) 00:30:04 ID:wy8t3aCQ
「ピピピ ピピピ ピピピ」
「カタッ カタッカタッ カタッ」
2つの音で俺の1日は始まる。
1つの音は目覚まし。
そしてもう一つは

「カタッカタッカタッカタッカタッ」
「急かすな、今開けるから」

目覚ましを止めて向かう先、それは音の原因である窓

「おはよう」

声を掛けると同時に窓を開ける。
入ってきたのは無数の“風”
反対側の窓も開けて、風の通り道を作る。

「今日は機嫌がいいみたいだな」
一つの風が耳元を通り抜ける
「フッ、相変わらずだな」

独り言に見られがちだが俺は“会話”をしている



朝食を取る為に台所へ、
独り暮らしだから全て自分でやらなくてはならない。
独り暮らしなのは今日から始まる事のために、
2度と悪夢を見ない様にする為でもある。
今日は俺の、風魔 翼(ふうま つばさ)の
高校デビューの日である。

悪夢というのは俺が小・中学生の時に受けていたイジメの事だ。
小学生の時は傷で済んだが、中学生になってからは、
命に関わるような事が多かった。
例としてあげるならば、
人体に害がある薬品を気化させ、それを充満させた密室に
閉じ込められたりしたことがある。
虫の息になりかけていた俺は発見されて一命を取り留めたものの
その薬品の毒素で髪は脱色してしまい、今もなお白い髪のままだ。
このようなことを避けるために俺は中学から遠く知り合いに会わない
高校に通うことにし、独り暮らしを始めたのである。



403 :風の声 第1話「風の始動」:2010/10/16(土) 00:59:31 ID:wy8t3aCQ
朝食を終え、制服に着替える。そして、黒いリストバンドとヘアバンドを
両手首と額につける。これらは悪夢によってつけられた傷を隠すのに
使用している。

暮らしているマンションから高校までは、まず高校に1番近い駅まで
バイクで行き、その駅からバスで行くというルートだ。
誕生日が4月2日と最速なので免許が取れたものの、
「バイク通学禁止」という校則のせいで、このような通学手段を
使うハメになっている。

バイクでの移動中は不安で心がいっぱいだった。
「“人”とは必要以上に関わらない」
心の中で何回も言い聞かせていた。

駅の駐輪場にバイクを止め駅の構内をとおり反対側のバス停へ、
構内では俺と同じ制服を着ている奴らを見かけた。と同時に
恐怖が湧いてくる。
俺の嫌いな“人”、“人”の臭いで充満している駅構内。
酔いそうになるが鞄の中から登山などでよく使う酸素ボンベを出す。
これを吸うと少しばかり楽になるので手放す事ができない。

バス停へ向かう階段を下りているときだった。

「きゃっ!!」

後ろから声がしたので振り返ると、そこには俺に
向かって倒れてくる“人”がいた。
避けてやり過ごそうと思ったのだが、俺の心の良心が勝手に体を動かした。
結果、その“人”を受け止め助けることに成功したものの
嫌いな“人”と触れている感触、“人”の臭い。
それら悪影響のせいで俺は助けた“人”と距離を置くようにして
座り込んでしまった。

(気持ち悪い・・・)
鞄から酸素を出そうとした時だった。

「あの、大丈夫ですか?」

頭上から声がしたので見上げると
そこにはさっき助けた“人”、言い方を変えると“少女”がいた。

「さっきは助け・・・」

彼女が話しかけた瞬間、俺は走り出していた。
恥ずかしかった訳じゃない、怖かったんだ。だから俺は走ったんだ。
いや、正確には逃げていた。

バス停に戻れなくなった俺は、そのまま歩いて高校に行くことにした。
高校では“人”と関わらなければ
すぐに3年過ぎて平和に終わると思っていた。

しかし、この出来事が後に俺の高校生活に今までとは違う“悪夢”を
引き起こすとは知るよしもなかった。