※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

61 名前:触雷! ◆0jC/tVr8LQ [sage] 投稿日:2010/10/30(土) 22:18:12 ID:5GZedPN3
目が合った瞬間、男は倒れ、他界しました。
何ということをしてしまったのでしょう。
不可抗力とは言え、メイドがご主人様以外の男と目を合わせてしまうなんて。
後でご主人様に、きついお仕置きをしていただかなくてはなりません。
裸に剥かれ、荒縄で縛り上げられ、吊るされて、鞭で打たれながら気絶するまで犯されるのです。
しかしそのためには、まず雌蟲を駆除し、ご主人様を救出する必要があります。
その方法を考えながら、私は銀行を出て歩き出しました。
ところが、いくらも歩かないうちに、警官と名乗る男達が現れ、私を警察に連れて行こうとしました。
「恐れ入りますが、事情聴取にご協力を」
何を馬鹿な。
ご主人様が雌蟲に攫われたのです。想像したくありませんが、今まさに、凌辱されているかも知れません。
第一級の緊急事態、一刻を争う状況です。
警察で油を売る暇など、あろうはずがありません。
私は男達を睨み付けました。
「申し訳ございません。急いでおりますので」
「「ひ……」」
男達の股間が見る見る濡れ、足元がふら付きます。
しかし、そこで私は考え直しました。
ご主人様が雌蟲の手に堕ちている今、国家権力の手を借りるのも1つの方法です。
「考えが変わりました。連れて行っていただきましょうか」
「いや、あの、結構です……」
「お忙しいようですので、また後日に……」
「早く案内なさい!」
私は2人の男の襟首を掴み、両手で吊り下げて警察署に入りました。

「早速ですが、被害届の提出を所望いたします」
取調室に警官2人を放り込んだ私は、椅子に座って申しました。
「ひ、被害届ですか……? お気持ちは分かりますが、被疑者はすでに死亡しておりますので……」
被疑者が死亡?
それは確かに、あの雌蟲は一刻も早く絶命させるべきですが、忌々しいことにまだ生存しています。
きっとこの2人は何か、思い違いをしているのでしょう。
きちんと説明しなくてはいけません。床に座ったまま震える彼らを見下ろし、私は言いました。
「まだ生きていますよ。メイド保護法の違反者が」
「め、メイド保護法……?」
「ご存じないのですか? メイドのご主人様を略奪した女は無条件に死刑という法律です。メイドがご主人様にお仕えするという、神聖にして犯すべからざる権利を保護するのは、世界の常識、グローバルスタンダードです」
机の上の電気スタンドで、2人の顔を照らしました。
眩しそうにしながら、片方の警官が言います。
「いや、少なくとも日本では、そう言った法律は……」
私は呆れました。
21世紀にもなってメイド保護法が成立していないとは、何という後進国家でしょう。
しかし、ないものは致し方ありません。
今から総理大臣を拉致監禁・洗脳してメイド保護法を成立させても、おそらく手遅れです。
警察署のパソコンから、首相官邸の意見募集コーナーに“税金泥棒! 死ね!”と書き送り、私は外に出ました。


62 名前:触雷! ◆0jC/tVr8LQ [sage] 投稿日:2010/10/30(土) 22:21:57 ID:5GZedPN3
外に出てすぐ、私の携帯電話が鳴り出しました。
上の妹から電話です。
「もしもし」
『お姉様!! ご主人様はまだですの!?』
鼓膜から三半規管から切り裂くような金切り声です。私は思わず、携帯電話を耳から遠ざけました。
「そんなに大声を出すな。普通に話せば聞こえる」
『メールしたのに、全然連絡がないんですもの。声だって大きくなりますわ。まさか、お姉様お1人でご主人様を独占するおつもりではありませんわよね!?』
「そんな訳がないだろう」
私は正直に言いました。全時間の8割、私がご主人様にご奉仕し、残りの2割の時間だけ妹達にくれてやるつもりではありますが。
『では何故!? 何故ご主人様がいらっしゃらないんですの!?』
「それはだな……」
私は仕方なく、これまでの経緯をかいつまんで上の妹に話しました。
話し終えた途端、電話口の向こうで何かが爆発したような音が聞こえました。

数時間後、私はご主人様のお屋敷からそう遠くない、とあるホテルの一室で2人の妹と会っていました。
本当は、すぐにでも雌蟲その1の巣に突入したかったのですが、上の妹が、詳しい事情を聞くことを強硬に望んだため、やむを得ず説明することにしたのです。
私は片側のソファーに腰掛け、妹2人は向かいのソファーに座っています。上の妹の右手には、白い粉が付着していました。屋敷の壁を怒りに任せて破壊したのでしょう。
2人の妹に私は、ご主人様が雌蟲その1に奪われた経過を、改めて話しました。
その間、上の妹は冷ややかな目で、下の妹は落ち着かない目で私を見ていました。
「お姉様……」
私の話が終わると、上の妹は低い声で話しかけてきました。
「ご主人様の元にお出かけになるとき、わたくし達に何と仰ったか、覚えておいでですか?」
「ん? 私が何か言ったか?」
「『お前達ゲテモノメイドにご主人様は捕まえられない。ご主人様の捕獲は私に任せろ』と、仰いましたわよねえ」
「そんなことを、言ったかも知れないな」
「言いましたわ! だからわたくし達は、涙を飲んでご主人様の捕獲をお姉様にお任せしたんですのよ。その挙句が、ご主人様を雌蟲に奪われた? 開いた口が塞がらないとは、このことですわね」
傲慢な態度で腕を組み、上の妹は私を睨み付けます。
無礼な態度を注意したいところではありますが、今回のことは私にも若干の落ち度があります。あえて自重しました。
「…………」
「うう……ひどいですう。お姉様」
黙り込んでいると、下の妹が泣き始めました。
「ご主人様に使ってもらうために、鞭とか玩具とかボンデージとか沢山買って、拘束台も日曜大工でいくつも作ったんですよお。あ、ピアスはご主人様に選んでもらいますから、まだ買ってないですけど……」
この娘の頭の中には、ご主人様に調教されることしかないのでしょうか。
それはともかく、私は2人に言いました。
「心配するな。ご主人様は必ず私が取り戻す。これからすぐにだ」
すると、上の妹が即座に言いました。
「駄目ですわね」


63 名前:触雷! ◆0jC/tVr8LQ [sage] 投稿日:2010/10/30(土) 22:23:12 ID:5GZedPN3
「何が駄目なんだ!?」
さすがにこれは聞き捨てなりません。私は気色ばんで上の妹を問い詰めました。
「どうせ今から、雌蟲の巣に強襲をかけて、ご主人様を力ずくで奪還するとか仰るんでしょう?」
「その通りだが?」
「向こうは中一条グループの本家ですわ。銃を持ったガードマンが大勢いますわよ」
「通常兵器でメイドを止めることは不可能だ。そんなことはお前だって知っているだろう?」
「ガードマンを排除する間に、ご主人様をどこかに連れ去られたらどうするんですの?」
「決まっている。どこまでも追いかけて捕捉するまでだ」
「お話になりませんわね。いざとなれば、あちらはジェット戦闘機くらい繰り出して、ご主人様を逃がしにかかりますわよ」
「そのときはだな……」
「もう結構ですわ。暴力と威嚇で人を屈服させるしか能のないお姉様は、大人しくしていてくださいます?」
「何だと!?」
「ご主人様を最初にお見かけしたとき、申し上げましたでしょう? わくし達が確実にご主人様をものにするためには、まずご主人様を社会的に抹殺することが絶対に必要なのですわ」
「一体なんという……」
「ご主人様の自活能力など、メイドにとって百害あって一利なし。メイドなしでは一分一秒も生きていられない廃人になっていただいてこそ、ご主人様はメイドを無条件、無制限に受け入れてくださるのですわ」
「はうっ……」
あまりに歪んだ人格に遭遇すると、不快を通り越してある種の爽快さが感じられることを、私は知りました。
それはそうと、私は上の妹に問いました。
「で、お前には、ご主人様を取り戻す手立てがあるというのか?」
「もちろんですわ」
優雅に微笑む上の妹。私は焦りました。
獲物は、勝利者の手に帰属します。
ご主人様を取り戻すのに、妹が活躍したら、ご奉仕の時間配分を決める際に、私の分が減ってしまうでしょう。
下手をすれば、8割が7割5分に激減してしまうかも知れません。
それは避けるべきです。
「いや。ご主人様の捕獲は、最後まで私が責任をもってやり遂げる。それがメイドというものだ。お前もそう思うだろう?」
そう言って下の妹を見ると、彼女は一心不乱に何か本のようなものを読んでいました。
先程から一言も発しなかったのは、このためのようです。
「ああん……ご主人様の鬼畜う! そんなに責めたら駄目ですう……」
のみならず、右手をメイド服のスカートの中に突っ込み、ガシュガシュと動かし始めました。
いくら何でもこれは捨てておけず、私と上の妹は言いました。
「おい! 何をしている!?」
「一体、どうしたんですの!?」
すると下の妹は、読んでいたものを私に見せました。


64 名前:触雷! ◆0jC/tVr8LQ [sage] 投稿日:2010/10/30(土) 22:24:34 ID:5GZedPN3
それは本ではなく、コピー用紙を綴じて作った冊子でした。
「何だこれは?」
「ご主人様と私をモデルにして書いた、猟奇純愛SM官能小説ですう。ご主人様を取り戻したら、この本の通りに虐めてもらうんですう」
下の妹が書いたという官能小説を、私はちらりと読んでみました。
その内容は、とても私の口からは申し上げられません。
「本当にこれを、ご主人様にやっていただくのか?」
「当然じゃないですか。メイドの調教は、ご主人様の義務ですう」
上の妹ほどではありませんが、下の妹も、なかなかに我田引水、傍若無人な性質です。
あのお母様に育てられて、何故ここまで人格が崩壊するのでしょうか。
全く分かりません。
「……で、お前達2人で、ご主人様を雌蟲から取り戻すと言うのか?」
気を取り直して、私は妹2人に問いました。
「そうですわ。お姉様は大船に乗った気持ちで、待っていてくださいまし。ああ、ご主人様あ……」
「うふふ……もうすぐ実物のご主人様が私を……あ、ちょっとオマンコ汁漏れちゃいました」
2人とも、現実からどこかへ飛んでいってしまいました。
ハアハアと荒い息をつき、顔を赤らめ、ご主人様を捕えたら即刻組み敷いて一滴残らず搾り取りそうな雰囲気です。
激しい不安を覚えました。
しかし、こうなった2人を止めるのはそう簡単ではありません。とにかくやらせてみることにします。
「まあ、いいだろう。具体的にはどうするんだ?」
「腹案がありますわ。トラストミー」
「……何だ、その腹案とは?」
「今は申し上げる時期ではありませんわ」
もう仕方ありません。作戦を聞き出すのは諦め、2人が何かやっている間に、強行突入の準備をすることにしました。
作戦は、一発勝負より2段構えの方が、うまく行く確率が高いのです。
「絶対にしくじりませんわよ。このままではご主人様が雌蟲に結婚を迫られかねませんもの」
「……仮定の話でも、言っていいことと悪いことがあるぞ」
私は上の妹を睨み付け、強い口調で言いました。
ご主人様と雌蟲が結婚。
想像しただけで寒気がし、全身の毛が逆立ちます。
本当にそんなことになったら、自分が何をやらかすか、全く想像が付きません。
おそらく地球は原形を留めているでしょうが、保証できるのはそれくらいです。
「とりあえず、当面の活動拠点が必要ですわね。それにわたくし達の服も。秋葉原でもないのにメイドが3人も連れだって歩いていたら、目立ってしまいますわ」
「……まあ、そうだな」
ご主人様のメイド以外との結婚という、世界の終焉を頭から振り払い、私は上の妹の言葉に頷きました。
その後、いくつかの打ち合わせをしてから、私達はホテルを出ました。