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285 :風の声 第7話「風の変化」:2010/11/20(土) 15:02:04 ID:HDFmdNk0
「(どうしようかな・・・)」

現状を整理しよう。ここは前回(?)と変わらず保健室。大空が俺の上から降り、俺が保健室にいる理由を話してくれた
ものすごい惨状だったらしいが自分は覚えていない、けれども顔に残る痛みがそれを立証している。
暴れた理由、そして俺の過去の事を話したいのだがどう話せばいいのか分からずにいる。

「どうしたの?何か、ものすごく悩んでいるみたいだけど」
「へ?」

大空の言葉で気付いたのだが自分でも気付かないうちに頭に手を当てて他人から見ても分かるほどの“悩んでいます”オーラを出していたらしい
そして同時に気付いた事があった。ヘアバンがない。それだけでなくリストバンドも、額と手首に付けている感覚が無かったのに何で気付かなかったのだろうか?
俺はあわてて辺りを見回す

「あ・・・リストバンドとヘアバンドならそこだよ」

大空が枕元を指差し、視線をやるとそこにあった。身に着けようと思ったが一つ気になる事がある。なんで大空が知っているんだ?

「外したのは・・・お前か?」
「うん、校医の先生に言われて」
「見たのか?」
「!?・・・何を?」
「動揺しすぎだろ・・・本当のことを言ってくれ、頼む」
「・・・見たよ・・その“傷跡”なら」

やはりな。俺がリストバンドとヘアバンドをつける理由、それは“傷跡”を隠す為だ。手首には縦横無尽に刃物でつけられた傷のあと
額には刃物ではないが一つ大きな傷跡が残っている。手首の傷は自分がつけたものと他人につけられたもの、額の傷に至ってはなぜか記憶が無い・・・

「・・・あのさ」
「私・・・そろそろ戻るね」
「待ってくれ・・・聞いて欲しい事があるんだ」

時計を見ると昼休みが終わるまではまだ余裕はある。このぐらいの時間ならギリギリ全て話せるだろう。大空が椅子に再び座ったのを確認し俺は話し出した

数分後・・・

自分でも驚くほどに上手く話せたと思っている、元々話す事はそんなに得意じゃないのに、今回にいたっては一度も噛まず次から次へと言葉が出た。

「・・・」
「だから・・・その・・・俺は」
「ごめんなさい!!」
「へ?」
「私何も知らないで、翼の心の傷をえぐったりして・・・『迷惑なんだよ、テメェの存在が』なんて言われて仕方ない事してたのに。それなのに、私・・・私!!」
「違う。謝らないといけないのは俺だ。その言葉を言っていた時、俺はひどい事を言っているという自覚があったのに止めなかった。知っていながら傷つけるのを止めなかった」
「でも・・・でも!!」
「それに大空はこんな俺にずっと付き添っていてくれるほど良い奴だよ・・・大空は何も悪くないよ」
「・・・翼」
キーンコーン カーンコーン
「私・・・行くね」
「あぁ」
「翼・・・」
「何?」
「私が・・・私が翼を守ってあげるから」

そう言って大空は保健室を出て行った。俺は少し複雑な気分だった。守られるのは嫌いじゃない、けれども男子が女子に守ってもらうというのも・・・ねぇ?


286 :風の声 第7話「風の変化」:2010/11/20(土) 15:02:49 ID:HDFmdNk0
大空と入れ替わりで保健室に来たのは校医の先生、別名“白衣を着た貞子”と言われるほど髪も長く・・・・・怖い
隼先生と同じ白衣のはずなのに、着る人の印象が変わるものなんだと思った
そんな事を考えながら先生の事を見ていると、それを察したのか先生がこっちを向いた

「・・・何?」
「いえ・・・同じ白衣なのに何か違う気がして」
「誰と比べてだ?」
「総合病院で精神科医をしている人なんですけれど・・・」

この言葉を言った瞬間、先生に元々ある黒いオーラが増えた気がした
なんか表情がやばくなってきているんだけど・・・大丈夫かな?

「総合病院・・・・・・・・精神科医・・・・風魔・・・・・・・翼!」

何でそこで俺の名前が出るんだろう?っていうかこの人医者だよね!?死神に見えるのは俺だけだろうか?

「お前が・・・・・お前がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
「!!?」

叫び、1秒も経たない速さで俺の上に乗り(俗に言う馬乗り)俺の眉間にメスを突きつけてくる先生。マジで怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

「えっ!?ちょっ、待っ!!!」
「殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロコロコロコロココココココココココ!!!!!!!!!!!!!」

最後の方ちゃんと言えてないし、つうか文字じゃなくて感嘆符になってるし・・・

「ちょっ、先生!俺何かしましたか?」
「黙れ・・・・あの人を・・・大輔をたぶらかす餓鬼がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「大輔って・・・隼先生の事ですか!?」
「そうだ!私とあの人は運命の黒い糸で結ばれているのだ。なのに、あの人の口からは教え子の、風魔 翼、お前の話しか出てこない!」
「(黒い糸!?)」
「お前を殺せば・・・あの人は私だけを見てくれる・・・邪魔者を消した私を褒めてくれる!」

あんた医者だろ。消すんじゃなくて助けるのが仕事だろ。それに俺、何も邪魔してないし・・・。って言うかメスが既に刺さってるし!
このまま死ぬのを待つだけ・・・と思っていたらメスが抜けた。俺の眉間に赤い線を残して、先生も俺の上から降りてくれた

「ここは学校だからな、死人が出れば学校に迷惑がかかるし、私も職を失う」
「(職を失うで済む問題じゃないと思う・・・)」
「お前を殺すのは別にここじゃなくてもいい。通学路、通学に使っている乗り物の中、お前の家、その他、チャンスはいくらでもある」
「(その他が気になる・・・)」
「今後、あの人に1度でも近づいたら・・・・・・・・・・・するからな」
「・・・・・・・はい・・・」

今すぐにもこの保健室を出たかった、けれども教室には戻りづらい。クラスの奴らは俺をどう見ていたのだろうか?
驚き?恐怖?興味?関心?・・・最後の2つは無いな
そう思うと体は動かず、俺が唯一取れた行動はベッドでもう一度寝る事だけだった
ベッドで横になっている俺を見ている先生の視線により安眠、それ以前に寝る事もできず、先生の恐怖におびえその後を過ごした
結局、帰りのHRまで保健室で過ごす事となった


287 :風の声 第7話「風の変化」:2010/11/20(土) 15:03:47 ID:HDFmdNk0
「どうしたの?考え事?」
「まぁ・・・・・・そんな・・ところ」

保健室の後について少しだけ
嫌悪渦巻く視線で見られることを覚悟した俺が教室に入ると意外な反応が待っていた。クラスメイトが気まずそうにしながらも俺に話しかけてきたのだ。
何でも、教室に戻った大空が皆に俺の事を説明し誤解(?)を解いてくれていたらしい、それにより俺のイメージは少しばかり向上したらしい。
担任の先生からは事情徴収され、あんな事になった理由を先生に話すついでに、クラスメイトにも俺の口から説明する事になった。
話は大空の時とは違い、たまに噛んだりもしたがとりあえずは伝わった。話の最中に自分の左手首の傷を見せた時にはクラスから驚きの声が上がった
中には話を聞いて涙ぐんでいる女子(俺を殴った人)もいた。そして、HRが終わり今に至る。ちなみに今の場所は駅に向うバスの中の大空の右隣である

「何か不安な事とかでもあるの?」
「まぁ・・・ね」

不安な事、それは明日からの学校生活だ。今までの俺とは違い少し丸くなった俺で生活しなければいけない為、少々不安が生じる。
さらに、もしもいじめられて出血したときに保健室に行きづらいのも不安要素の一つである。
今日、保健室を出るときなんか後ろからメスが飛んできた。
そんな不安要素をうなりながら考えているうちにバスは終点の駅に到着した。

「フッフッ♪」
「どうしたんだ?」
「だって、前の翼は話しかけても無反応だったのに、今の翼はちゃんと反応してくれるから、少し嬉しくて」
「そう・・か・・・・・一応人と接するように努力するって決めたからな・・」
「うん!いいことだと思うよ。応援しているから頑張れ!」
「・・・あぁ」
「じゃあ、私はここで」
「あのさ・・・」
「ん?」
「俺・・・・明日から変わるから・・・あと・・その・・」
「?」
「急にこんな事言うのもなんだけど・・・俺と・・・・俺と!」
「!!!」
「俺と・・・・・・・・友達になってくれないか?」
「うん!!友達に・・・えっ!?」
「ダメ・・・・かな?」
「う、ううん。私でよければ」
「マジで!?ありがとう・・・」
「その代わり条件が一つ」
「条件?」
「私の事を名前で呼ぶ事、私は“翼”って呼んでいるんだから、そっちも“舞”って呼んでくれると嬉しいな♪」
「・・・・今のままじゃ・・・ダメ?」
「だ~~め!」
「・・ま・・・・ま・・・・・・・・・・・・ま・・い?」
「顔、真っ赤だよ?」
「ウ、ウルサイ・・・」

ともあれ、舞は嬉しそうな顔をして改札を通っていった。やっとできた友達。大切にしていこうと思う
友達ができたからか、少し緩い気分でいると後ろから何か殺気が・・・・・あったような気がしたが、多分気のせいだと思う。気のせいだと思いたい・・・・・・
明日からの学校生活は不安があるが、その片隅には少しばかりの楽しみがあった


288 :風の声 第7話「風の変化」:2010/11/20(土) 15:06:22 ID:HDFmdNk0
その日の夕方、とある病院のパソコンに3通のメールがあった。持ち主は早速そのメールに目を通した
1通目、高校に通う元教え子
『先生、俺・・・人を信用してみる事にしました。多分ぎこちない形でこれからの生活が始まると思うけれど精一杯努力します』
2通目、恩師
『お前の教え子は案外強い子みたいだ、心配して無駄じゃったよ(笑)』
そして3通目を開こうとした時持ち主の表情が変わった。あいつからだ・・・読みたくないけれど読まないと殺される。刺される、開かれる、掻き混ぜられる、変な薬打たれる
つまり、読まないと命の危機に陥る訳だ・・・・
3通目、彼女気取りの人
『今日、大輔に媚びる餓鬼を殺し損ねちゃった。でも大丈夫。2人の愛を邪魔する奴は私が排除してあげるから、だから・・大輔は私だけを見てればいいの
私も大輔の事だけを見続けるから、見なくなった瞬間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だからね♪
愛してるよ大輔♪この世界中で誰よりも・・・。他の者なんていらない、私とあなたさえいれば・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

持ち主の指が動き出す。返信先は1通目の元教え子のみ。
『頑張れ。      PS 保健室には近づかないように・・・・』(送信)
5秒後メールが来た・・・・・・彼女気取りの人からだ
『何で、私じゃなくてあの餓鬼にメールを送るの?別に怒ってないよ。ただ不思議に思ったから聞いているだけ、ねぇ、どうして?どうして?どうして?
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
どうしどうしどうしどうしどうしどうしどうどうどうどうどうどうどうどうどうどどどどどどどdddddddd??????????????????

ドウシテ?』

部屋の気温が13℃ほど下がった気がした







どうして、友達なんだろう。少しショックだな・・・ 普通「俺と」の次に続く言葉は「付き合ってくれ」のはずなのに何でだろう・・・・・・翼の事は私が守る、誰にも触れさせはしない。私が・・・・・・・私だけが守りぬけるんだから・・・・・・