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248 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02:00:10 ID:lUt+bHho


  炸裂超人アルティメットマン 第一話 見よ!炸裂の巨大変身

 登場巨獣 超ゴム巨獣 マノーン

 「ああ、寒い寒い・・・ったく、この季節はやってられないなあ本当に」
 僕、東条 光一はそういって今の今まで寝ていたうすっぺらいせんべい布団を折りたたむと顔を洗い
三畳一間の部屋の隅に押し込められたちゃぶ台を引っ張り出して食事の用意を始めた。
 冬のこの季節、暖房もない中で朝早起きするのはとても辛い事だと思う、しかしこうしなければいけ
ないのも事実だ、などと冷蔵庫から取り出した納豆と、炊飯器から取り出した温かいご飯を食べながら思う。
 モルタル張りの三畳一間、狭くてぼろい上にアスベストも使っているようなアパートの中で僕が唯一安らげる
瞬間は食事時だけだった、だってまた今日もあの人たちがここに来るのだ…ほら、さんにい、いち…。
 「後五分で食事を終わらせてください、それからすぐに現場に出発です!」 
 ばあん、と鍵がついているようでついている意味のないドアを開けて、今日もガスマスクを装着した男だか
女だかわからない彼ら…対超常現象特務機関…通称JCMの隊員が僕の元に仕事を持って押しかけてくるからだ。
 「はいはい、了解しました。それではまた七分後に…」 
 「今日もよろしくお願いします、それから窓の落書きの方ですが、今しがた何とかなりましたので」
 「それはどうもありがとうございました…それではまた」
 もう一度ばたん、と大きな音を立ててドアを閉め、隊員は去っていった…僕は急いでご飯を書き込んで食べると
歯を磨き、お茶を急いで飲んで、アパート近くの貸しガレージに向かった。その際に一度アパートの窓を確認する。
 「巨獣に暴力を振るう宇宙人はこの星から出て行け」
 そんな風にかかれた赤い文字は綺麗に消えていた、夜のうちに隊員さんが消してくれたのだろう、ありがたいことだ。
 でもどうせまた放っておけば同じように落書きは書かれる事になる、酷い日なら窓いっぱいに張り紙をされたり、石を
窓に投げつけられることもあるだろう。命がけで守ってあげた人々にそんな事をされるのは悲しい事だった、でもそんな
行為が日常的に行われている事がもっと悲しかった。
 宇宙の銀河のはるかかなたにあるアルティメット星、そこから送り込まれてきた父は裏次元より現れる地球の侵略生物
通称 巨獣と戦い…僕が中学生のときにその大元である裏次元総帥を倒して、たった一人、苦しみながら死んでいった。
 そして後釜である僕はその後すぐに巨獣の残党を狩るべく、二代目あるティメットマンに任命され…こうして日夜人々を
守るために、巨大ヒーローアルティメットマンとして戦っていた。 
 でも、その生活はあまりにも寂しいものだった




249 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02:02:09 ID:lUt+bHho
炸裂超人アルティメットマン 第一話 見よ!炸裂の巨大変身

 そんなことを考え始めても仕方ない、そう思い直していそいで貸しガレージに向かう、シャッターの
開けられたガレージ内部では僕の愛車…マイティワン号のエンジンが先ほどのガスマスクの隊員さんに
よって掛けられていた、僕は急いで運転席に乗り込む。
 「それではさっそくですが今日の任務を…今回の巨獣の発生場所は吊下市東部の山林で…」
 「はい、わかりました、それじゃあ…テイク!オフ!マイティーワン!!」
 ゴオオオオ!!凄まじい音と共にエンジン部が火を噴く、それと同時にマイティワン号は空中めがけて
飛び出し、内部に搭載された自動ナビゲーションシステムで一直線に巨獣の発生した場所まで飛んでいく…
見た目は古臭い白黒のダッジだが、空を平然と飛んだりするあたりなかなか侮れない、父から譲られた宇宙製の強力な僕の相棒だ。
  「後二十秒で現場に到着します、後は任せてください」
  「はい、言われなくても解っていますよ…アルティメットマン」
 隊員さんとはそれだけ会話をすると、僕はマイティイワン号のドアを開き、タイミングを計って空中からに地面めがけて一気に
飛び降りた。その目下には巨大な黒い烏賊に人間の足が生えたような生物…別名、巨獣が森林をなぎ倒しつつ、今か今かと僕の登場を待っていた。
 「チェーンジ!!アルティメーットオーン!!」
 僕は空中でポーズを決めながら変身の言葉を唱える、アルティメット星人特有の音声認識パスを認識した僕の体は一気に巨大化し。40メートル
の巨体、炸裂超人アルティメットマンへと変化した。
 「二ョー!!」
 「アーッ!!」
 僕は巨獣と正対してファイティングポーズを決めた、じりじりと間合いを詰める僕に対して巨獣はすばやく手の部分に当たる触手を伸ばす、鉄鞭の
ごとく迫るそれを僕は振り払うと一気に間合いをつめ、腰部分にタックルをかました。凄まじい音と共にもんどりうつ二人、しかし僕はすぐさま立ち
上がると巨獣の頭をヘッドロックして強力な拳骨で殴りつける、二ョー!!という絶叫を上げて巨獣は触手で僕の腕を叩くが、攻撃を繰り返すほど
その抵抗は弱まっていく、巨獣の頭部から血が噴出し、力がだいぶ落ちてきたころあいを見計らって僕は一気にヘッドロックをはずして腹部にストレート
パンチを決めると、両手をクロスさせて、必殺技であるアルティメットレーザーを放った。
 「アルティメーット!クロスファイアー!!!」
 「二ョー!!」
 アルティメットレーザーを真正面から食らった巨獣は、ボーン!!と凄まじい爆音を上げて吹き飛んだ、すかさず僕は両手から威力の低いアルティメット
ファイヤーを噴出してその肉片を焼き尽くす、こうして後片付けも終わり、僕の今日の仕事はひとまず終了となった。
 「お疲れ様でした、それではまた」
 人間の姿に戻ってしばらくたたずんでいると、マイティイワン号にのった隊員さんがやってきた、僕は彼を本部に送り届けるとガレージに戻り、そして
また呼び出しがあるまでひとまず休憩を取る事になる。
 一日に最低一回は異次元生物の巨獣と命のやり取りをする、それが僕、アルティメットマンの主な仕事だった。



250 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02:03:53 ID:lUt+bHho
炸裂超人アルティメットマン 第一話 見よ!炸裂の巨大変身

  マイティワン号をガレージに置くと、僕はその足で商店街へ夕食の買出しに走った。本当は
少ない給金を節約するためにスーパーで買い物をしたかったのだが、人が多いところに行けば畏敬
と恐怖の念をこめた人々の視線にさらされるのはどう考えても明らかだった。
 「はいよ、今日も巨獣をやっつけてくれたお礼だよ!」
 「すいませんね、いつもいつも…」
 それにスーパーに比べれば少し値段は張るが、商店街の八百屋のおじさん達は僕を恐れずに接して
くれるし、たまにおまけをつけてくれたりもする、数少ない優しい人たちだった。 
 「それじゃあな、また来いよ!!ヒーロー!!」
  そんな言葉をかけてもらい、商店街を後にして僕はアパートへと向かった、自分自身でこういうの
もなんだが、人にヒーローと呼ばれる事はとても嬉しい事だった。
  化け物、怪物…子供のころからそう呼ばれていじめられる事は当たり前だった、母さんもそれが嫌
で僕が小さい頃に家を出て行方知れずになった。
  暴力を振るう異星人は脅威に過ぎない、そういわれて日夜監視され、今まで家族二人で住んでいた
小さな家も、脅威に予算を使う事はないと言われて取り上げられた。
 気がつけばアパートと、怪獣退治と、商店街を往復して過ごす日々の繰り返しが…父さんの死んだ日からもう十年も続いていた。 
 …人には言えないけど、もうしんどかった、ボスが死んだというのに毎日最低一体は現れる巨獣に対して、365日も戦い続けなくて
はならないのは苦痛だった。
 せめて腹を割って放せる友人が欲しかった、信頼できる恋人が欲しかった…それでも、それはこんな生活を送る僕には到底かなわない夢だった。
 ふう…と小さくため息をつく、その表紙に買い物袋からオレンジが転げ落ちた、ころころ転がるそれは…一人の女性の足にぶつかって運動を止めた。
 「あ…あの、その…」
 「はい?……あらあら、これですか?」
 困った事に僕は女性と話すことに慣れていない、どうにも話をしようとすると緊張して言葉がどもってしまう…女性の手に握られたオレンジをひったくる
ようにとって、大きくお辞儀をして、できるだけ足早に通り過ぎようとした瞬間…。
 「いえいえ、こちらこそです」
 そういってお辞儀するその女性と目が会った…切れ長の瞳と長いお下げ、地味な服装と、それにマッチングするかのような優しく儚げな表情…一瞬で、彼女を
そこまで認識したくなるぐらいに彼女の事を…僕は好きになった。
 いうなれば一目ぼれという奴だろう、しかしその感情を抑えて、僕は急いでアパートに向かって走り出した。
 「あ…あ、ありがとうございましった!!」
 一応お礼を叫んでみるが、声がどもり、上手く発音が出来なくなる…最悪だ、きっと変な人だと思われるだろう・・・でも、でもそれは状況から言えば仕方の無い
事だった。それに優しそうな人でも、きっと僕の正体を知れば逃げ出すだろう…そんなことは今までにごまんとあった、女性なら余計にだ、だって僕は実の母さん
にも逃げられたんだから…だから良かったんだ、こうして上手く放せずにあそこで別れれば、きっと辛い思いをしなくてもすむんだから…。
 僕は必死にそう考えて、安住の地であるボロアパートに戻った、その目はうっすらと涙でぬれていた。




251 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02:05:53 ID:lUt+bHho
炸裂超人アルティメットマン 第一話 見よ!炸裂の巨大変身

 夕暮れ時、僕は台所に立って夕食を作っていた、今日のメニューは奮発して買った豚コマで作った生姜焼きだ
きっとコレを食べれば元気が出て、今日のことも…。
 どんどん!!と僕の思考をぶった切るようにドアがノックされた、一体こんな時間に誰だろうと僕は考える…
新聞の勧誘、なんてうちには来た事もないし、それに隊員さんだったらもっと一気にドアを開けるはずだ。
 「はーい」
 また変な団体の人とかだったら嫌だなあ…そう考えながらドアを開けた、その先には、昼間であった、あの可愛らしい
女性が笑顔で鍋を持ちながら立っていた。 
 「こんにちは、隣に引っ越してきた亜佐巳というものです、よろしければこれ、食べてください」
 「!!!へあ?あ。あの…あなたは…昼間の?」
 「ああ!あのときのお兄さんでしたか、奇遇ですね」
 言葉が出ない、そして気分が落ち着かない、そもそもなんでこんな安アパートにこんな人が引っ越してくるんだ?もう
わけがわからない?ああでもとりあえず、きちんと挨拶しなくちゃ…取りあえず混乱しながらも何とか声を出した。 
 「あ、は、はい…自分は、自分は東条というものです、こちらこそ何かあったときはよろしくお願いします…それからひ、昼
間はどうもありがとうございました」
 「いえいえ、ああそうそう、これ、特製の肉じゃがです、よかったら食べてください」
 「は…はい、どうもありがとうございます…」
 やっと上手く言えた、嬉しくて涙が出そうになる…ようやくその一言を話すと同時に僕は…ふと疑問に思ったことを聞いてみた。
 「で、でもなんでこんな所に引っ越してきたんですか…僕が、僕が怖くないんですか?」
 「いえ、全然。だって東条さんってヒーローなんでしょう?皆を守るために日夜戦ってるなんて凄いとは思うけど、怖いなんて
全然思えませんよぉ……あ、あれ?玉ねぎでも刻んでたんですか?ハンカチかしますか?」
 「い…いえ…お気になさらずに…ぐず…う、うわあああああああん!!」
 その一言に涙が出た、そういってくれる女性に会ったのは初めてだった…そして僕はそこで崩れ落ちて泣いた、彼女は終始心配そうに
僕を眺め、わざわざ自分の部屋からハンカチまでもって来てくれた…自分が凄くかっこ悪かったけど、それでもそばにいてくれる彼女に
何故か僕は、かすかにだが安息感を覚えた。
  …こうして僕と彼女、阿佐巳 巴は出会った、この出会いが運命だったのか、それとも必然だったのかは、いまだに解らない。

 第一話 END



252 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02:08:25 ID:lUt+bHho
 炸裂超人アルティメットマン 第二話 気をつけろ!そのサンタは本物か?

登場巨獣 毒ガス巨獣ワッギア 変身巨獣ザヤッガー

 「デアアアー!!!」
 今日も今日とて僕は一人、アルティメットマンに変身して巨獣と戦っていた
今日の敵は大きな羽根を持った巨獣だ、羽にあいた無数の気孔から毒ガスを吹き
付けてくるが、空気より重い毒ガスは発射されれば下に流れてしまうのがオチだ
僕は出来るだけ距離をとると手を上空にかざした。
 「アルティメット!ジャベリンー!!」
 そう言うと同時に僕の武器であるジャベリンが手のひらの上に召喚された。僕は
それを力いっぱい巨獣めがけて投げつける、まともにそれを顔面に受けた巨獣は毒
ガスを噴出するのを止めて、血を撒き散らして暴れる。僕はお構いなしに跳躍、一気に
敵めがけてドロップキックをお見舞いした。 
「ウゴアアアー!!!」
 ジャベリンごと頭部を打ちぬかれた巨獣はようやく絶命したのか動きを止める、僕は
振り返るとその死骸をアルティメットファイヤーで焼き尽くした。
 今日もまた一日の仕事が終わる、でも今までの日とは…一日を生きる充実感というものが
ここ一週間で大きく変わっている気がした。

 「おかえりなさい!光一さん!」
 家に帰ってみると、そこにはエプロンをした巴ちゃんが昼食を作って待っていた。
 「いつも悪いね巴ちゃん、でも本当によかったのかい?」
 「構いませんよ、だって光一さんはさっきもあんなに怪獣退治を頑張ってたじゃない
ですか?そんな人のお昼を作ることなんて全然わるいことじゃあないですよ」
 「ははは…それじゃあありがたくいただくとするよ…」
 僕はそういって用意された食事を食べるべく、彼女からもらった座布団に座った、彼女が
引っ越してきてもう一週間になるが、ここまで彼女が僕に色々してくれるという事は、ある意味
妄想すら飛び越えていた。
 彼女の前で泣いてしまったあの日から、彼女は僕の世話を焼いてくれた、大変なら…朝ごはん
…作ってあげますよ…その一言がきっかけで、彼女はやたらと僕の周りの世話を焼いてくれる事になり…
気がつけば家事はおろか、朝も早くから朝飯の用意すらしてくれるという始末だった。
 そんな彼女には言い表せないくらい感謝していた、こうして彼女と話すようになってから、だいぶ女性と
話すときにどもる癖も治ってきたのが嬉しかった。
「でも毎日悪いねほんとに…その分今日の午後は暇だから、どこか買い物に連れて行ってあげるよ」
 「ええ!本当ですか?」
 「うん、で、でもあんまり高いものは勘弁してね」
 いつも彼女はご飯を作ってくれた分の代金を受け取らなかったので、お礼に何かを買ってあげよう、僕は
前々から計画していた事をようやく打ち明けた。嬉しそうな彼女の顔を見るだけで僕は本当に幸せな気分になれた。



253 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02:09:57 ID:lUt+bHho
 炸裂超人アルティメットマン 第二話 気をつけろ!そのサンタは本物か?

 それから一時間後、変装した僕と巴ちゃんは大型ショッピングモールで買い物を楽しんだ
といっても予算の都合上あまり彼女が欲しがるものを買ってあげられなかったのが残念だった…
と言うか逆にセーターとコートを買ってもらってしまい、なんだか巴ちゃんに余計悪いような気がした。
 「気にしないでくださいよ、私のわがままですから」
 「ははは、どうもありがとう…」
 その後も色々な店を巡りながら、僕らはくだらない雑談を続けた。彼女は普段在宅でデザイナーの仕事を
しているらしく、自家にこもりがちだったため、環境を変えるために一人暮らしをしようとしてアパートに引っ越してきたと語った。 
 「私…昔から引きこもりがちだったから…憧れだったんです、世界を救う、子供達の誰もが一度はあこがれるヒーローに…」
 「…ごめんね、その憧れが…本当はこんなにかっこ悪くて、貧乏なオジサンでさ…」
 「そんな事有りませんよ!本当にかっこ悪い人間って…そんな風に身を粉にして人を助けたりしませんから!あんまりメソメソして
るとカビはえますよ!!そういうのはよくないです!!」
 「…うん、それもそうだね…よし!!もうめそめそなんかはしないぞ!!僕は!きっと巨獣を全滅させて見せる!!」
 「そうそう、そのイキですよ!!そうしてる方が凄くかっこいいです」
こうして彼女と話していると凄く自分が癒されていく事に気づいたのはいつからだろうか?…心のどこかではいまだに彼女を信用できない
までも、それでも、この幸せな時間が続いて欲しいと、彼女にそばにいて欲しいと願う自分の気持ちは…いままでの暗い日々とはまるで違う
光に満ちたものだった。
 「はいはい押さないでね!はい!メリークリスマス!!」
 そんなことを考えている目の前で、子供達にプレゼントを配って歩くサンタの衣装を着た老人が見えた、何かの宣伝か、それとも試供品の配布か?
プレゼントを配って歩くサンタの周りには子供達が集まっていた。
 「サンタさんかあ…ある意味この時期じゃあ僕なんかよりも…?」
 「…どうしたの?光一さん?」
 おかしい、何かがおかしい…直感的にそう感じた光一は、急いでサンタからプレゼントをもらった子供に近づくと、その手に握られたプレゼントを奪い取った。
 「うわあ!!何するのさ!お兄ちゃん!」
 「あ、アンタ!うちの子に何するのよ!!」
 ヒステリックに声を上げる母子の叫びを無視して光一はプレゼントを踏み潰す、グシャリと音を立ててつぶれる箱の中から這い出してきたのはミミズのような
生物だった。
 「貴様…コレは何だ!!何をたくらんでいる!!」




254 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02:11:55 ID:lUt+bHho
炸裂超人アルティメットマン 第二話 気をつけろ!そのサンタは本物か?

 老人に詰め寄る光一、老人はにやりと笑うとこう呟いた。
 「やれやれ…せっかくの作戦が台無しだなあ…失礼だと思いますよ、そういうのは」
 老人はそう言うと同時に服を脱ぎ捨てた、その下に隠れていたのは正方形に恐竜の手足が
生えたような姿…間違いない、こいつは巨獣、しかも上級タイプの知能の高い強敵クラスだ
ひい、というと同時に子供達はプレゼントを慌てて投げ捨てようとするが、箱から飛び出た触手が
絡んで手からはなれないらしく、子供達が次々に叫び声をあげた。
 「うわああ!嫌だああ!!」 
  子供達は次々に悲鳴を上げながらぎこちなく歩き出し、巨獣の前に一列に並ばされた。巨獣はにやつき
ながら手に持ったサーベルで子供を威嚇する…どうやらあのミミズ触手は触れた子供を操る力があるらしい。
 「さあ降伏しなさいアルティメットマン!いや東条光一、コレは脅しではありませんよ。もしも下手に動こう
とすればこの子達全員の舌を噛み切らせる事も可能なんですよ!!」
 「……わかった、降伏しよう…」
 「はははは!ちょろいものですね!さあそのまま一気に―」 
ごん!!という鈍い音と共に巨獣の頭部に鈍痛が走る、一瞬にして回り込んだ巴が手に取った鈍器で思いっきり巨獣を
殴りつけたのだ。
「今です!!」
「うおおおおおお!!!チェーンジ!!アルティメットマイティ!!」
 そう叫ぶと同時にマイティワン号がどこからともかく現れて巨獣を弾き飛ばした、轟音を上げて上空に舞い上がる
マイティワン号。頼もしい相棒である彼のことだ、きっと被害を少なくするために敵を山奥にまで運んでくれたのだろう。
 「ごめん巴ちゃん!この埋め合わせは必ずするから…」
 そう言うと同時に光一は変身、一気に空に向かって飛び立った。

 「まったくもう!アルティメットマスクだかなんだかしらないけどいい迷惑よ」
 「本当、巨獣の殺し方も残酷だし、早く星にでも帰ってもらいたいわ!!」
 騒然としたショッピングモールの通路は、おばさん達によるアルティメットマンの悪口によって喧騒を取り戻した。
 勝手に地球に来て暴れまわる、核より身近な脅威で迷惑なデカブツ…それがこのおばさん達の大好きな昼のニュースでの
人気キャスターの公式見解だった。
 許せない…あんなにも彼は頑張っていると言うのに、お前ら汚い豚どもの子供を助けるために、本気で命を捨てようとしたと言うのに…。
 巴は怒りで顔が真っ赤になる…のを通り越して、顔が真っ白になっていた。
 巴は一週間近くずっと光一と接してきた…そしてそうしているうちに彼の性格もだいぶ把握してきていた。憧れのヒーロー、アルティメット
マンは酷く人間くさくて、とてもいい奴で…そして、冷たい人間達の仕打ちに対して酷く心を痛めていることもよく解ってきた。
 最初はそんな彼の支えになれるという満足感と、淡い恋心が満たされていく感覚に喜び…そして次第に彼の受けた仕打ちに気づくにつれて
世間一般のアルティメットマンを嫌うものたちが許せなくなってきた。
 …人類の全滅を世界に対して叫んだ異次元の化け物を、頼んだわけでもないのに毎日休みもせずに倒してくれる、謙虚で、やさしくて…
そして唯一の存在に対してここまで彼らは侮蔑の言葉を浴びせる…そんな人間達が許せなかった。 
 「ねえ、おねえちゃん…お姉ちゃんはアルティメットマンの…友達なの」
 怒りに肩を震わせる巴に対して、先ほど助けられた少年がそう聞いてきた。
 「うん、そうだよお…お姉ちゃんはね…アルティメットマンの恋人なんだよ」
 空ろな目で巴はそう答えた。



255 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02:13:08 ID:lUt+bHho
 炸裂超人アルティメットマン 第二話 気をつけろ!そのサンタは本物か?

「…もしも次に会ったら、ありがとうって、皆言ってたって…言ってくれるかな?僕達…お母さん達は皆ああ
言ってるけど…すごく感謝してるって…アルティメットマンの事が大好きだから、頑張って欲しいって…」
 「うん、でも大丈夫だよ…きっとアルティメットマンも、そういってくれる人がいるから、この戦いを頑張れるんだから…」
 巴は笑顔で子供を安心させる、その言葉に安心したのか、子供達は喜ぶと手を振って母親の元に帰っていった。
 「いい子達だな…でも、あの子達の親はどうしようもないんだよねぇ…だったらきっと、あの子達も将来ああなるよねえ…
だったら、処分しなきゃ…」
 濁った眼で巴は笑う、そして近くでアルティメットマンの悪口を繰り返すおばさんを見つけると、そのおばさんの頬を思いっきり叩いた。
 ヒステリックに対応して掴みかかるおばさんに対して、巴はそれを軽くいなすと呟いた。
 「あんた、巨獣より性格悪いよねえ…どうせ今日も暇で暇でここに来て、自分より見下せる相手が欲しいから…あの人の悪口言うんでしょ
…今は許すけど、今意外はないよ」
 そう言うと同時に、まるで獣のような目でおばさんをにらんだ、ひるんだおばさんが逃げ出すと、巴は空中をにらんだ…その瞳はまるでガラス
玉のように透明な色合いを放っていた。
 「あと六匹か…意外にはやいなあ…それにしてもあの馬鹿…どうしてやろう?」
 彼女には行わなければいけない使命があった、それは光一が戦う事と同じぐらい重要なものだと彼女には感じられた。
 「やっぱり…邪魔者は、馬に蹴られて死ななきゃ、ね…うふふ、ははははは」
 そんな言葉を呟きながら彼女の見上げる空は、気持ち悪いくらいに青かった。



256 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2007/12/19(水) 02:15:38 ID:lUt+bHho
炸裂超人アルティメットマン 第二話 気をつけろ!そのサンタは本物か?

「オアアアアー!!!アルティメット!!タイフーン!!」
「だから聞かないといっているでしょうがああ!!」
ところ変わって吊下市郊外の山林、適の巨獣に対してアルティメットマンは珍しく苦戦していた
敵の巨獣はこちらが風で攻撃すれば体から羽を生やして空に逃げ、炎で追い込めば水を出して攻撃をカウンターしてくる
いうなれば変身する巨獣…そのような戦法で徐々にこちらを追い詰めているのだ。
 「ホアアア!!!」「デアア!!?アーッツ!!」
 翼を生やした巨獣は風の力を生かして一気にアルティメットマスクに体当たりを食らわせた、衝撃で吹き飛ばされた上に
アバラがぎしぎしと傷むが、それでも構わずにジャベリンを召還すると、それを槍代わりにして敵に突進した。
 「ウオアアア!!」「無駄アアア!!」
 敵は一瞬で翼を巨大な十手のような武器に変化させる、ジャベリンを一気にへし折る気なのだろう。
 それを狙ってか、アルティメットマン刺突するとみせかけてジャベリンを巨獣の腕めがけて投げつけた、そしてひるんだ隙に
顔面めがけて指二本での目潰しを放つ。
 どしゅ!!という音と共に巨獣の目がつぶれ、巨獣が絶叫と共に倒れこんだその瞬間、突然アルティメットマンの頭の中に声が響いた。
 (動くな)
 少女のような、それでいて凛とした声を聞いた瞬間、アルティメットマスクの体は動かなくなる。
 (まずい、何とかしなくては…)
 そう考えたとき、足元の巨獣が叫びだした。
 「ひいい!!お、お許しを!!総帥さまあ!!!」
 目の前の脅威ではない何かにおびえたような声で、立方体のような巨獣は叫んだ、そしてひときわ叫ぶと同時に、どしゅ!!と血飛沫
を飛ばして巨獣の体はバラバラになった。
 巨獣の体は、内側から無数に生えたウニの棘のような物体で全身を刺し貫かれていた。
 (…なんだ一体?粛清か何かか?)
 全く釈然としない光景、しかも敵は総帥と叫んで死んだと来ている…親父が死んだとき、一緒に倒した裏次元総帥が生きていたとか
そんな感じなのだろうか?しかしそうなるとここ数年のまるで目的の無いままに暴れまわる巨獣は一体なんだったのか…あるいは裏次元で
新たな権力が発生して、こいつのような上級クラスが送り込まれてきたのか…まるで釈然としないまま、アルティメットマスクは巨獣の死体を焼却した。

 「あ、お帰りなさい光一さん、お風呂沸いてますよ?それともご飯がいいですか…」
 「あ、じゃあ先にお風呂に入ろうかなあ…それから今日はごめんね」
 「いいですって、あんまり細かい事を気にしてるとはげちゃいますよ?」
 深夜、疲れ気味でアパートに帰ってきた光一を、巴はまるで本物の家族のように温かく迎えてくれた、母親がいるってこういうことなのかなあ…そんな
ことを考えながら光一は風呂に向かう、巴はそれを笑顔で見送り、バスタオルなどの用意をすると…部屋の隅に置かれたノートに眼をやった。
 「…ふう、気づかれなかったみたいね…」
 ノートに書かれたのは吊下市の略式地図だった、そしてその地図上には…いくつかの、小さな穴がコンパスであけられていた、
そして最も多く穴の開けられた部分は、吊下市の山間部…今日、巨獣が謎の死を遂げた場所だった。
 (動くな)(彼を邪魔したものには、死を与える)その付近にはマジックでそんなことが書かれている、数分ほど
それを眺めた巴は、ポケットから赤いマジックを取り出すと、街の各所煮に次々と丸を書き込み、そして今度は黒い
マジックで文字を書き始めた。
 「あと六体もいるんだから…少しは彼の住みやすい世界に出来るよね…ふふふ…」
 何かを書き込んでいく巴の瞳は空ろで、それでいてとても楽しそうな表情をしていた。
 第二話 END