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114 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/12/10(金) 02:12:52 ID:iAaJxc+e
『……あれ?』
気が付くと教室に立っていた。どうやら授業中らしく目の前にいる黒川先生がこちらを睨んでいる。
『す、すいませんでした!すぐ席に――』
先生は必死に謝る俺を"すり抜けて"一番後ろで眠りこけている"白川要"の頭を叩いた。
「いてぇ!?……あ」
「おはよう白川。気持ち良さそうに寝ていたようだな」
クラスメイトが呆れたような視線で見つめる中、俺と先生のいつものやり取りが繰り広げられていた。
『……一体どうなってんだ』
そして同じく白川要である俺が、それを教室のど真ん中でぼーっと見ている。
『……誰も気付いてないみたいだな』
俺がど真ん中で突っ立ているにも関わらず教室内の誰も俺に気付いていない。何よりも一番後ろで今怒られているのはもう一人の俺、白川要だ。
試しに近くにある机を触ろうとするがさっきと同じようにすり抜けてしまった。
『死んだ……訳じゃないよな』
確か俺は撫子に刺されてそのまま倒れてしまったはずだ。あの後どうなったのか、全く分からないが何故か死んだという感じはしなかった。
『とにかく早く戻らないとな……』
おそらくこれも今まで見てきた記憶の一つなのだろう。いずれにせよ早く現実に戻らないと撫子や遥が危ない。
「白川……お前はもうすぐ夏休みだっていうのに――」
『っ!?』
急に視界が歪む。思わず膝を着いてしまった。周りの景色が目まぐるしく変わり生徒会室へと変化していた。

『……ここは生徒会室、か』
見慣れたホワイトボードやソファーは間違いなくここが生徒会室だと俺に教えてくれていた。
「全く要は相変わらずだな」
扉が開き優を先頭に要組のメンバーが生徒会室に入って来た。英がこちらに来たので座っていた席を立つ。
どうせすり抜けるのでどかなくても良いのだが、無意識に席を譲っていた。
「本当に要は物好きだね。最近毎日黒川先生に怒られてるしさ」
「要……。俺も黒川先生に虐められたい!」
「……亮介、気持ち悪い」
英と亮介がいつものように俺を茶化して、遥が冷静な突っ込みを入れる。これもまた、いつもの風景だ。
「仕方ないだろ?最近ずっと寝不足なんだよ……あ、わりぃ!俺もう行くわ!また明日!」
「あっ!兄……さん…」
記憶の中の俺は鞄を掴み慌てた様子で生徒会室を後にした。潤は俺が出て行った扉をじっと見つめている。
「……最近多いな、要は」
優が溜め息をつきながら皆にお茶を煎れ始めた。
「……毎日何処に行っているんだろうね」
「要、まさか彼女でも出来たんじゃ――」
「それはないだろう」
「兄さんが彼女なんて作るわけない」
「少し黙ってて」
亮介の言葉を遮って優、潤、そして遥が冷たい口調で言い放つ。その冷たい雰囲気に思わず亮介は黙り込んでしまっていた。
「とにかく早く原因を突き止める必要はある。遥と潤、情報収集を頼むぞ」
優の指示に二人は静かに頷いていた。
『一体どういう……っ!?』
また景色が歪み始める。どうやら場面が移動する時にこの現象が起こるらしい。平衡感覚を失い地面に膝を着いてしまった。



115 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/12/10(金) 02:13:35 ID:iAaJxc+e

しばらくして景色の歪みが収まってきた。今度は生徒会室ではなく薄暗い部屋になっている。何処かで見覚えがあるような気がする部屋だった。
『……ここ、海有塾の地下か……?』
以前桜花と修業をした場所と良く似ている。おそらくここは海有塾の地下にあるあの道場に違いなかった。
薄暗い地下道場の真ん中に二つの人影が見える。恐る恐る近付くと一人は白川要、つまり記憶の中の俺だった。そしてもう一人は――
「今日こそ朔夜を倒す!」
「まだ一撃も当てられない癖に良く言えるわね」
『……海有……朔夜』
長い黒髪に人形の様な端正な顔立ちをした海有朔夜だった。唯一見慣れないのはいつもの真っ赤なワンピースとは対照的な、真っ白なワンピースだ。
二人は対峙しておりお互いに間合いを量っているようだった。ただ一方は緊張感を身体全体から醸し出しており余裕が全く見えない。
もう一方は緊張感のかけらも見えずいつでも来いといった面持ちだ。圧倒的な実力差を感じながらも白川要は突っ込んでいくが――
「のわっ!?」
海有朔夜が右腕を軽く振った瞬間に吹っ飛ばされていた。
『しょ、衝撃波……?』
自分と同じ、いやそれ以上の威力をまともに喰らった白川要は呻きながら仰向けに倒れていた。海有はそんな彼にゆっくりと近付いて行く。
「……衝撃波なんて……反則だろ」
「反則?別にルールなんてないでしょ」
仰向けになったまま文句を呟く記憶の中の俺を海有は上から覗き込む。……相当意地悪そうな笑みを浮かべながら。
「衝撃波なんて……朔夜以外使えねぇじゃん」
「それが凡人の限界だからね。さ、約束通り明日も付き合ってもらうから」
「また土日が潰れる……」
溜め息をつきながらも何処か嬉しそうな俺を海有が起こしてくれていた。
『……衝撃波が……使えてない』
そんな二人を見ながら俺は決定的な違和感を抱いていた。この時の俺は衝撃波なんて使えなかった。
でも俺は確かに桃花と戦った時に使えたはずだ。じゃあ一体これは……。
『っ!?また……かよ……!?』
景色が歪み意識が朦朧としてくる。一体この記憶は俺に何を伝えようとしているのだろうか。その意図は分からぬまま俺は意識を失った。



116 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/12/10(金) 02:14:19 ID:iAaJxc+e
目を開けるとそこには真っ白な天井が広がっていた。まるで海有朔夜の着ていたワンピースのような白さだ。
「……現実……か」
背中に鈍い痛みを覚える。やはり現実に帰ってきたらしい。ゆっくりと起き上がると隣のベッドが目に入った。
「遥……!」
日の光を受けて輝いている白髪の少女は確かに遥だった。近付くと穏やかな表情で眠っているのが分かる。
「助かって……本当に良かった」
遥の寝顔を見て心からほっとしている自分がいた。もしあのまま死なせてしまったら後悔してもしきれないだろう。
寝ている遥の横に屈んで話し掛ける。伝えなければいけないことがあるから。
「遥……。寝たままで良いから聞いてくれ。本当はこんなやり方、卑怯だって分かってる」
「…………」
当たり前だが反応はない。でも俺は遥に話し続ける。これが自己満足でしかないことは言われなくても分かっている。それでも言わなければならないんだ。
「でも今は……勇気がないんだ。だからこれで許して欲しい」
そこまで言ってから深呼吸をする。遥は相変わらず穏やかな表情で眠っていた。
「……遥の気持ち、正直めっちゃ嬉しい。まさか告白されるなんて思ってなかったからさ」
遥と話して、会って生まれたこの気持ちはもしかしたら好意なのかもしれない。事実、彼女と話している時間は俺を癒してくれた。
「俺、遥のこと好きだ。……けど付き合えない。きっと違うんだ、俺と遥の"好き"は」
確かに遥との時間は俺を癒してくれた。でも俺は仲間としてしか遥を見られない。なぜなら俺の心には"アイツ"がいる様な気がするから。
「だから……ゴメン」
「…………」
遥に頭を下げる。こんなことをしても何の解決にもならないって分かっている。それでも言っておきたかった。
「……じゃあ、元気でな」
そのまま遥に背を向けて病室を後にする。廊下は静かで少し不気味なくらいだった。
「撫子は……」
病室のプレートをチェックするが撫子らしき名前は見つからなかった。もしかしたら違う階なのかもしれない。あるいは――
「ってことらしいのよ」
「本当に!?じゃあ隔離病棟行きね……」
「……危ねぇ」
咄嗟に物陰に隠れるとエレベーターから二人の看護婦さんが出て来るところだった。とりあえずこの病院を抜け出さないといけない。撫子のことは気になるが今すぐにあの人に聞かなきゃいけないことがある。
「……よしっ」
二人の看護婦さんを上手くやり過ごしてエレベーターに乗る。
「……はっきりさせてやるよ」
心の中のこのわだかまりを解消するために俺は海有塾へ向かった。


117 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/12/10(金) 02:15:25 ID:iAaJxc+e

「お茶、飲むかね?」
「ありがとうございます」
海有塾のちょうど中心に位置する塾長、源治さんの部屋に俺は案内されていた。患者服のままの俺に初め源治さんは驚いていた。
しかし「海有……朔夜のことで話があるんです」と言った瞬間、源治さんは表情を強張らせ俺をこの部屋に通してくれた。
「……それで……話があると……」
「……はい。師匠は……海有朔夜について何を知ってるんですか」
「……ついに……たどり着いてしまったんか」
源治さんは渋い顔をすると立ち上がり窓から見える庭園を眺め始めた。俺も立ち上がり近付こうとするが「そのままでいい」と源治さんに止められた。
「……師匠?」
「わしは……君に師匠なんて呼ばれる資格はない。……本当の君の師匠はあの子だからのう……」
「あの子……?」
「海有朔夜じゃよ。……わしの孫娘のな」
源治さんの背中は何処か悲しげだった。まさか孫娘だったとは……。同じ苗字だから可能性がないとは言えなかったが。
「あの子との約束じゃ。わしの知っている全てを話そう」
「約束……ですか」
「……要君、心して聞いてほしい」
源治さんの真剣な眼差しに思わず俺は強く頷いていた。



結局学校に戻れたのはそれから一週間も後だった。病院を抜け出さして海有塾に行ったことがばれてしまったのが原因であるが。
とにかくもうすぐ終業式という間の悪いタイミングで戻って来た俺を迎えたのは――
「要、おかえりっ!!」
「刺されたらしいじゃん!大丈夫だったのかよ!?」
「いやぁ、とにかく帰ってきて良かったぜ!」
「……なんじゃこりゃ」
入院する前とは打って変わってお迎えムードのクラスメイトたちだった。

「つまりあれか、無罪放免的な」
「まあそういうことだね。とにかく皆要に罪悪感があるんじゃないかな」
昼休み。やたらと構ってくるクラスメイトたちを何とか退けて英に事情を聞いていた。
英の話によると俺が入院した後、誰かがクラス中に俺の無実を証拠付きで流したらしい。
つまり"今まで白川要から送られたメールは別の誰かさんの仕業"というメッセージを、だ。
しかもご丁寧に教卓の上の誰かさん、要するに犯人である春日井遥の工作用携帯を置いてくれたらしい。
「それでこの騒ぎか……」
「ちょうど前の日に要と遥が病院行きになったからね。あ、それから大和さんは要を刺した写真が同じく教卓に置かれてたから……」
「……一体誰が…」
病院で聞いた話では撫子は隔離病棟で治療中らしい。理由を聞いたが守秘義務と言われ教えてもらえなかった。
いずれにしろこのままでは二人とも学校に戻って来られない。
「……何とかしないとな」
「うん。亮介が今、遥の携帯を置いた犯人を調べてるよ」
「珍しいな、亮介が自分から動くなんて」
亮介は基本面倒臭がりだ。だから要組で行動する時も基本受け身だったのだが。
「まあ面倒臭がりの亮介も好きな女の子の為には全力を尽くすんじゃないかな」
「そうだな……えっ?」
「あれ、言ってなかったっけ?亮介はずっと遥のこと、好きだったんだよ」
「亮介が……」
聞いたこともなければ想像すらしたことがなかった。まさか亮介が遥のことを好きだったなんて。
「……もしかして遥に告白されたり……した?」
鋭過ぎる質問に思わず振り向くと真剣な表情をした英がいた。
「……ああ。断ったけど……さ」
「……そっか。亮介にはそのこと、言わない方が良いよ」
「……ちょっと屋上行ってくるわ」
英の返事は待たずに教室を出る。頭の中が色々なことでパンクしそうになる。気分を変える為に俺は屋上に向かった。



118 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/12/10(金) 02:16:13 ID:iAaJxc+e

快晴といっても冬の寒さには我慢出来ないのか、屋上には誰も居なかった。そのまま転落防止用の網まで行って寄り掛かる。
「……どうすればいいんだ」
こないだ源治さんから聞いた話をもう一度整理する。源治さんの孫娘である海有朔夜は一般的な家庭に産まれた一般的な女の子だった。
ただ一つ、武道において卓越した才能を持っていたという点を除いてだが。

『あれを才能と呼ぶべきなのか……。とにかくあの子は幼い頃から既に人間の限界を遥かに超越していたのじゃ』

「人に非ず……か」
それでも幸せに暮らしていた海有朔夜を一つの悲劇が襲う。それは彼女の誕生日に遊園地に行った帰り、起きた交通事故だった。

『両親は即死じゃったよ。ただあの子……朔夜だけは生き残った。その類い稀なる"才能"での』

海有朔夜は生き残った。それもかすり傷程度の怪我だったという。彼女の防衛本能がそうさせたのかもしれない。
とにかくその瞬間に彼女は悟った。"自分は人間ではないのかもしれない"と。

『あの子はわしに引き取られた時には既に人として生きることを諦めていたんじゃ。自分は人間とは相容れない存在だと……』

それからずっと海有朔夜は道場の地下に住んでいたらしい。人を遠ざけ嫌い、誰とも関わらず生きてきた。
きっとそれが彼女なりの他者に対する配慮だったのかもしれない。もしくはただ単に他者との関わりを諦めていたのか。

『だからこそ心配だったのじゃ。……君のような"近しい存在"が現れた時、あの子は周りが見えなくならないのか、とのう……』

俺には人間の範疇ではあるが類い稀なる武道の才を持っているらしい。
俺が初めて道場に来てから一週間程で海有朔夜はそれを敏感に感じ取った。
"もしかしたら自分と同じなのかもしれない"と。

『それからのあの子の君への"執着"は凄まじいものじゃった。……ただのう』
『……何ですか?』
『ただ……君もそれを欲していそうじゃったよ。誰かに心から必要とされることをの』

「……心から必要とされる、か」
真上に広がる青空を見上げながら考える。俺は誰かから必要とされたかったのだろうか。
とにかく俺と海有朔夜は互いに惹かれあっていたのかもしれない。そして俺が海有塾に毎日のように通いだしてから約一ヶ月後――

『あれは7月の終わり頃じゃったか。君とあの子がいなくなったんじゃ。まるで神隠しにでも逢ったかのように、音沙汰なく…』

夏休みに入った直後、急に二人は疾走した。源治さんはそれから記憶喪失になった俺に会うまで二人に一度も会わなかったらしい。

『今もあの子が何処にいるのか……。むしろ生きているのかすら分からん……。これがわしの知っている全てじゃ』
『……ありがとうございました。……約束っていうのは?』

「探せってことなのか……?」
海有朔夜は失踪する前日、源治さんに"もし要が私のことを聞きに来たら知っている全てを話してあげて"と言われたそうだ。それが彼女と交わした約束だ、と。
「……何でこんな手のかかることをするんだ」
まるで俺が記憶喪失になることを知っていたかのような約束。結局源治さんには言えなかったが俺は既に海有朔夜と会っている。向こうは偽名を使っていたが。
「……とにかく海有朔夜を探し出すしかないか」
何故こんなことをするのか。お前と俺はどんな関係だったのか。失踪して何処に行くつもりだったのか。聞きたいことは山ほどあるが……。
「きっと……知ってるはずだ」
何故俺は記憶喪失になったのか。そして誰が俺を刺したのか。4、5ヶ月間探し続けて来た答えを彼女は知っているかもしれない。



119 :リバース ◆Uw02HM2doE :2010/12/10(金) 02:17:00 ID:iAaJxc+e

放課後。亮介がまだ遥の為に校内の聞き込みを続けていると聞いて俺と英、そして潤は協力することにした。
「亮介もいつもこれくらいやる気があったら良いのにね」
俺と潤は文化部の部活棟を聞いて回っていた。何処も忙しいらしく中々話を聞いてくれないがやるしかない。
「そうだな。……まさか亮介が遥のこと、好きだったなんてな」
「兄さんが鈍いだけだよ。ちょっと見てればすぐに気が付くって!亮介分かりやすいもん」
潤がさも当然のことのように言う。確かに亮介は分かりやすいタイプのはずだ。
「そうなんだよなぁ……。俺、相当鈍いんだな」
「今さら気が付いたの?……本当に朴念仁なんだね、兄さん」
潤は呆れたような表情をしてから俺の手を握ってきた。思わず潤を見ると少し頬が紅く染まっていた。
「……会長も遥もいなくなっちゃったから、怖いんだ。次は私の番なんじゃないかって」
「番って……そんなことないと思うけど」
「分かってる。けど怖くて……」
潤は心なしか震えているようだった。確かに潤にとってはクラスメイトで仲間の遥がいなくなったことはかなりのショックだったのだろう。
俺が潤を支えてやらないと。せめて今は兄らしい所、見せてやらないといけないな。
「大丈夫だよ。もし何かあったら俺が潤のこと、守るからさ」
「……うん」
潤は俺の胸に顔を埋めて来た。そのまま潤の頭を撫でてやる。潤は俺をぎゅっと抱きしめた。
「……兄さん」
「何だ?」
「記憶、蘇ってきた?」
いきなりの質問に戸惑ったが潤は顔を埋めているため、表情が分からない。多分少しでも安心したいのだろう。
「あ、ああ。まだ完全にじゃないけど……」
「……本当の私達の両親のことは?」
本当の両親。つまり今海外にいる叔父さん達じゃなくてあの暴力を振るい続けた男と病死した母さんのこと、か。
「……思い出したよ。母さんのことも、あの男のことも」
「そっか……」
潤の身体が微かに震え出す。虐待された恐怖を思い出しているのかもしれないし、ようやく思い出したから泣いているのかもしれない。
「……潤、今までゴメンな。俺も――」
「……ふふっ」
「……潤?」
「ふふふっ!あはははははははははは!!」
潤はいきなり笑い出した。全く生気の篭っていない目。思わず離れようとするが潤の抱きしめる力が強く離れられない。
「ふははっ!……これでやっと私の兄さんが帰って来たんだね?」
「じゅ、潤?一体何言って――」
「離れろ要!!」
怒鳴り声のする方向には亮介が息を荒くして立っていた。
その後ろには見覚えのない女生徒が二人、同じく苦しそうに息をしている。おそらくここまで全速力で来たに違いない。
「亮介……」
「離れろ要!!そいつだ!!そいつが遥や大和さんを陥れたんだ!!」
夕焼けが差し込む廊下で、亮介は潤を指差しながら思い切り叫んだ。