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247 :わたしをはなさないで 第四話 前編:2010/12/20(月) 00:19:13 ID:K68n4F71
「……で、頼んだことについて調べてくれたか? あと応急薬半分よこせ」
「ああ、別段調べるってほどのことじゃなかったけどな。あとお前こそ支給用閃光弾全部取るなよ」
「調べるほどじゃなかった? そりゃどういうことだ。あと罠持ってきたか?」
「まあ待て、とりあえずその話は後だ。あとネットあるがツール忘れた」

月曜の10時過ぎ、喫茶店で携帯ゲームに興じる俺とギンの姿があった
……痛いとか言うな。一応非番なんだよ
今日は一人で出るつもりでナツをどう説得しようかと考えてたんだが、何も言わずに見送ってくれて正直拍子抜けした
意気消沈した、というわけでもなさそうなんだがなぁ。昨日のことがよっぽどショックだったんだろうか
大事なことだったといえども、妙に心が痛んだ

「やべえ! ……あ~、死んじまった」
「お前、大剣使ってんだからやばかったら防御しろよ」
「防御は邪道(キリッ」
「お荷物連れて勝てるほど俺も強くねえんだよ。素材欲しかったら死なないように戦え」
「へいへい」

この万事テキトー男が友人で腐っても警察関係者、交番勤務おまわりさんの兼山直也(あだ名はなぜかギン)だ
ナツの両親のことを聞いてきてもらったんだが、こんな調子じゃその話の中身も期待できそうに無い、気がする
しかしいつも思うが、こんなに適当な男に警察が勤ま……ああ、また死にやがった

「おいおい頼むぜ。もう死ねなくなっちまったじゃないの」
「任せろ、俺はもう死なない」
「その根拠のない自信はどっから来るんだ」
「まあまあ。ああ、そういやさっきの話だけどさ」

こいつ自分が死んでベースキャンプに戻ったから余裕こいて話し始めやがった
まあ、俺はこの辺の敵にやられるほど弱くはない装備してるから平気だけどさ

「古口夫婦のことだろ。もったいぶらずに言ってくれ」
「ああ。けどな、俺は何話せばいいんだ?」
「なに?」
「だって本件調べてた坂本さん、お前んとこに古口夫婦見つかった旨を伝える電話したって言ってたぜ。半年前に」
「………えっ?」
「お前に直接話しては無いらしいけど、お前んとこに同居してる姪っ子に話したってさ」
「………は?」
「なんだ、聞いてないのか?」
「………ぜんぜん」

ナツは、両親が見つかったことを、知ってた?
それを半年間、俺に隠し続けてきた?
疑念がぐるぐると頭を駆け巡る
ゲームはいつのまにか、俺も死んでクエスト失敗になっていた


248 :わたしをはなさないで 第四話 前編:2010/12/20(月) 00:19:46 ID:K68n4F71
「それで見つかった古口夫妻なんだが、ひとつ問題があってな」
「…………」
「それどころじゃないって顔してるが、まあ聞けよ。娘が見つからないんだ」
「そ……それは大変だな」
「名前は古口夏樹、現在十四歳。夜逃げしたときに報知、それから消息不明。古口夫妻と交流があったお前なら知ってるだろ?」
「も、もちろん」

現在十四歳? あんな十六歳いるかと思ってたが、やっぱ歳を偽ってたか
昨日体を重ねていたらどうなってたか、考えるだけで冷や汗が出る
しかしなんだ、遊びに来ていたはずの、こいつのこの糾弾するような口ぶりは
まるで、何もかもお見通しみたいな―――

「そうか。フミ、一つ聞きたいんだが」
「……なんだ?」
「おまえに、姪っ子なんていたか?」

あっ、と思わず声が漏れそうになる
こいつとはもう十八年来の友達で、家ぐるみの付き合いをしている
お互い、親族が誰でどんな関係かまで知っているほどの仲だ
仕事を始めて最近は少し疎遠になっていたが、学生時代はほぼ毎日一緒に遊んでいたほどなのだ

「……それは、その」
「いや、いいさ。お前の家に居るのが誰なのか、察しはついてる」
「バカだと思ってたのに、こんなところは気が回るんだな」
「夫婦を見つけるのは無理だが、生来幼女関連は鼻がきくもんでね」
「……ギン、俺はどうなるんだ? 楽しい楽しい別荘行きか?」
「そうしたくないから誰にも言って無いんだろうが。親友を前科者にはしたくないっつの」

心の友よ
普通のおまわりさんなら拉致監禁暴行強姦殺人死体遺棄での逮捕状でも請求してるところだぞ

「まったく、久々に思いっきりお前とゲームやろうと思ってたのに、せっかくの休日が台無しだぜ」
「悪いな、本当に」
「まったくだ。しかしどういう経緯でお前んとこに夏樹ちゃんが居るのか知らないが、お前んとこに居なきゃ彼女
 一人で生きてたかも分からないしな。置き去りにしたって事で両親もものすごく後悔してたらしい」
「当たり前だ。娘置き去りにして後悔しないような鬼畜にナツを帰す気は無い」
「名前で呼んでるのか、妬けるな。写真見る限りかなり可愛かったから一度会ってみたいねぇ」
「わがままで大食らいで甘えんぼだがな」
「そんなことないもん。わたしが甘えるのはフミにだけだよ」
「ヒューッ、ますます妬けるね。付き合ってんのか? 未成年と? 夜も? 銃の試し撃ちしていい?」
「コラコラコラ」
「兼山さんとも、これから末永くお世話になりますねー!」

あはははははははははは
ねえ、これ何? 悪夢? お留守番してるはずのナツがどうして話に入ってるの? 
後ろから俺に抱き着いてるこのちっこい手、誰よ
嘘だといってよバーニィ