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348 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 09:58:28 ID:WX6p2kPN
 丘の上を包む静寂が、夜の帳が降りたことを告げている。
 満月の薄明かりに照らされた屋敷の一室で、ジャンとルネは互いの身体を重ねていた。

「んっ……ちゅっ……はぁ……」

 唇と唇が触れ合い、二人の舌が別の生き物であるかのようにして相手を求める。
 ジャンの舌がルネの口に入り込み、不器用ながらもルネが懸命にそれに応える。

 今、二人がいる場所は、他でもないルネの部屋にあるベッドの上だ。
 互いに一糸纏わぬ姿のまま、その腕を相手の背に絡ませて抱き合っていた。

「ふぅ……」

 ジャンがルネの唇から離れたとき、唾液が音を立てながら糸を引いて伸びた。
 目の前では、ルネが名残惜しそうな顔をしながらも、どこか陶酔したような表情で見つめ返してくる。
 甘く、溶けそうなまでに潤んだ瞳は、血を求めてジャンに迫ってきたときのそれとは別のものだ。

「ジャン……」

 甘酸っぱい吐息を洩らしながら、ルネがジャンに懇願するような瞳を向けた。
 そんな彼女に見つめられるだけで、ジャンは脳の奥までとろけてしまいそうな錯覚に陥る。

「なんだい、ルネ?
 やっぱり、ちょっと怖いのかい?」

「はい、少しは……。
 ですが、私の初めては、ジャンにもらって欲しいのです。
 私のことは気にせず、最後まで愛してください」

「ああ、わかったよ。
 僕も、あまり上手くはないと思うけど……それでも、できる限り優しくするから」

 そう言って、ジャンは再びルネのことを抱きしめた。
 顔を首元に埋めるようにして、そのまま耳に軽く口づけをする。
 突然、予想もしなかった場所を攻められて、ルネの身体が一瞬だけビクンと震えた。

「んっ……ジャン……。
 そこは……」

「綺麗だよ、ルネ……。
 君の肌は、誰よりも綺麗だ」

 耳元で囁きながら、ジャンはルネの首筋を這うようにして、少しずつ下に向かって唇を動かして行く。
 首から肩を通り、そして、彼女の胸元に広がる二つの白い丘の上まで。

「あっ……ふぁぁ……」

 ジャンがその白い肌に唇をつける度に、ルネは甘い声を洩らして小さく喘いだ。
 それが演技でないということは、肌を通して伝わる彼女の鼓動からもはっきりとわかる。

 外の世界を知らないが故に、その感覚を極めて繊細かつ鋭敏なものにしてきたルネ。
 普通の女性にとってはなんということのない行いであっても、彼女にとっては十分に激しい刺激となる。
 初めての経験ということも相俟って、気持ちの高ぶりも際立っているのかもしれない。


349 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:00:07 ID:WX6p2kPN
(本当に綺麗だな……)

 ルネの肌からそっと唇を離し、ジャンはその身体を改めて眺めて思った。

 雪のように白く、それでいて綿のように柔らかい彼女の身体は、とても人のものとは思えない。
 繊細で、可憐で、それでいて高貴な純粋さも併せ持つ。
 冬の日に舞い降りた雪の精と言っても過言ではないほどに、ルネの身体は穢れなき美しさを誇っていた。

 唇の愛撫が終わってしまったことに、ルネが少しだけ切なそうな顔をしてジャンを見てきた。
 その表情の前に、ジャンの心はますます激しく乱されてゆく。

 ルネをもっと感じていたい。
 ルネにも自分を感じて欲しい。

 その想いのままに、ジャンはルネの小ぶりな胸にそっと手を乗せた。
 年齢は十八を越えているはずだったが、その身体は十四歳の少女のままである。
 案の定、ルネの胸はジャンの両手にすっぽりと収まり、微かに柔らかい感触が指を通じて伝わってきた。

 そっと撫でるようにして、ジャンはルネの胸に置いた手を動かした。
 未だ成熟しているとは言い難い胸だったが、それでも彼女の二つの膨らみは、吸いつくようにしてジャンの手の動きに応えた。

「んぅっ……!!」

 二つの胸を寄せるようにして動かすと、ルネが眉根を寄せて身をよじった。
 その表情に、ジャンは思わず胸に置いていた手を離してルネを見る。

「ごめん!!
 ちょっと、乱暴だったかな……」

「だ、大丈夫……ですわ……。
 続けて……ください……」

 痛みに耐えている、というような口調ではなかった。
 それよりも、自分の中に込み上げて来る快楽を、どう表に出して良いのかわからずにいると言った方が正しかった。

 再び胸元に目線を移し、ジャンはその丘の上にある小さな突起に指をかけた。
 薄いピンク色をした桜の蕾のようなそれを親指で弾くと、その度にルネが小さく喘いで反応する。


350 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:01:59 ID:WX6p2kPN
 このまま一気にルネと一つになってしまおうか。
 そんな考えがジャンの頭をよぎったが、済んでのところで欲望を抑えた。

 こうして男と身体を重ねることなど、ルネにとっては初めてのことなのだ。
 ならば、ここで自分が焦ってはいけない。
 もっと、ルネの身体を解してからでないと、彼女に不要な痛みと苦しみを与えることになる。

 右の親指だけをそっと離し、代わりにジャンは、その白く可憐な丘の上にある蕾にそっと口づけた。
 先端を舌で転がし、軽く吸うと、口の中にほんのりと甘い香りが広がってくる。
 ルネがつけていた、百合の香りのする香水のものだ。

 唇と舌でルネの胸にある突起を刺激しながら、ジャンは休めていた両手を再び動かし始める。
 右手は優しく胸を揉みしだき、左手の指は蕾を摘まみ、それぞれがルネの身体に心地よい快感を与えてゆく。
 一度に複数の場所を攻められて、ルネの気持ちも今までにない速度で高まっていった。

「あっ……やぁっ……そん……な……。
 片方……ばかり……んぅっ……いじめ……ないで……」

 左胸の突起だけを吸われ続けているからだろう。
 徐々に荒くなる吐息に混じり、懇願するようにルネが口にする。

 だが、ジャンもここまできて止めるつもりは毛頭なかった。
 今までは優しく転がすように動かしていた左の指で、ルネの右胸の突起を軽く摘まむ。
 同時に口の中に含んだ蕾に歯を立てて、固くなったそれを軽く甘噛みした。

「ひぅっ!!」

 突然、強い刺激を与えられたことで、ルネが悲鳴にも似た叫び声を上げて身体を震わせた。
 その瞬間を見逃さず、ジャンは左手を素早くルネの下半身に滑り込ませる。
 まだ、先端に軽く触れただけだったが、その場所はジャンにもはっきりとわかるほどに温かいもので濡れていた。

「あっ……」

 先ほどまでとは別の刺激が与えられたことで、ルネの顔が瞬く間に紅潮した。
 今まで誰にも触らせず、また自分でも殆ど触ったことのないような場所に手を伸ばされたことで、ルネの鼓動は先ほどよりも更に激しくなってゆく。

「脚を開いてごらん……」

 そう言いながら、ジャンは両手をルネの太腿に這わせると、そっと草むらを掻き分けるようにして脚を開いた。
 雌鹿を思わせるような均整の取れた脚の間から、微かに赤味を帯びた花園が姿を見せる。

「恥ずかしいです、ジャン……。
 そんなに……見つめないでください……」

 耳の先まで赤くして、ルネが思わずジャンから瞳をそらした。
 肌の色が白いだけに、その顔の色の変化もまたわかりやすい。

 割れ目にそって指を這わせると、そこが微かに脈打っているのが感じられた。
 他の部分と同じく、そこもまた雪のように白い。
 先ほどまでの行為で刺激を受けたのか、その皮膚の奥がほんのりと赤く染まっている。

 そっと、慈しむようにして、ジャンは自分の顔をルネの脚の間に埋める。
 未だ何人も犯したことのない聖域は、外からの侵入を拒むようにしてぴっちりと閉じられていたが、その中からは確かに温かい欲望の証が溢れ出し、辺りをしっとりと濡らしていた。


351 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:03:06 ID:WX6p2kPN
「きゃっ……!!
 だ、だめです……そんなところを……」

 指だけでなく舌が秘所に触れたことで、ルネが驚きを顔に浮かべて飛び起きた。
 が、すぐに下から這い上がって来るような快感が身体を襲い、再びベッドに背中を沈めた。
 背骨を伝い、脳の奥まで響くような心地よい刺激が、徐々にルネの心を無防備なものにさせてゆく。

 指と舌を交互に使い分け、ジャンはルネの最も敏感な部分を刺激していった。
 その度にルネの吐息も激しさを増してゆき、終いには自ら腰を動かしてジャンの愛撫に応え始める。
 決して意識してやっているわけではないのだろうが、本能的に身体が動いているようである。
 自ら相手を求めているにも関わらず、その動きにいやらしいものは感じられない。
 むしろ、彼女が自分の愛撫を受けて感じていることで、より一層愛おしい気持ちが増してくる。

「あっ……ふぁぁぁぁっ!!」

 いつものルネからは想像できない、甘い叫びだった。

 彼女の脚がジャンの頭を押さえつけるようにして閉じられ、その中央にある花弁から熱いものが流れ出た。
 抱けば折れてしまいそうなほどにか細い身体を激しく震わせて、やがてルネは力尽きたようにして両手を投げ出す。
 最後には、ジャンの頭を押さえていた両足も投げ出して、激しい呼吸と共に絶頂を迎えた。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


352 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:04:22 ID:WX6p2kPN
 祭りの終わった宿場の一室で、リディは独り今日の誕生会の片づけをしていた。

 酒場を覆っていた喧騒は既にない。
 皆、それぞれがリディに祝辞を述べ、今は帰路についている頃である。

 街の人達が自分を祝ってくれるのは、素直に嬉しく思えるものがあった。
 昔、まだ家が貧しかった頃と比べると、とても信じられない光景だ。
 こうして友人達を家に招きもてなすことができるのも、一重に今の生活が安定しているからだろう。

 だが、そんな楽しげな会場においても、リディは始終上の空だった。
 人から話しかけられればそれに答えたが、自分から何かを話すようなことはしなかった。
 主催者としてはもう少し明るく振舞ってもよかったような気がするが、今日はあれが限界だ。
 あの時の笑顔など、所詮は今のリディにとって空元気でしかないのだから。

(ジャン……遅いなぁ……)

 パーティーの会場に、リディが本当に祝って欲しいと思っていた人物の姿はなかった。
 夜になれば帰って来ると思い待っていたものの、結局は祭りの方が先に終わってしまった。
 とうとう最後までジャンが戻らないまま、パーティーは終了して今に至るというわけである。

 ジャンの帰りが遅くなったのは、今に始まったことではない。
 新しく診なければならない患者が増えたらしく、最近は宿場にも寝に帰っているようなものだ。

 だが、それでも、とリディは思う。

 今朝、街で出会った、ジャンと一緒に歩いていた少女。
 黒い衣服に全身を包み、雪のように白い肌と白金色の髪の毛、そして赤い瞳が印象深かった少女のことが思い出される。

 あの時、ジャンと一緒に歩いていた少女――――名前は、確かルネとか言ったか――――は、その瞳にとても嬉しそうな光を湛えていた。
 黒いレース越しからもはっきりとわかるほどに、その目は明るく輝いていた。

 ルネの瞳の輝きが意味するもの。
 リディとて、それが何かわからないわけではない。
 自分もまた、ジャンと一緒にいるときは、あのような光を瞳に宿していたはずなのだから。

 あの娘は、きっとジャンのことが好きなのだろう。
 初対面ではあったものの、リディにもそれはすぐにわかった。
 ジャンはあくまで患者だと言っていたが、少なくとも、向こうはそう思っていないはずだ。

 想像が、どんどん悪い方へと向かってゆく。
 自分と一緒にいる時間を削ってまでして、ジャンが他の女と一緒にいる。
 そう考えただけで、相手の女に対して引き裂いても飽き足らない程の憎しみを覚えてしまう自分がいる。

(やだな、私……。
 こんな気持ちをジャンに知られたら……きっと、ますます嫌われちゃうんだろうな……)

 食器を洗うのを終え、リディは厨房に置かれた大皿の一つに目をやった。
 そこにはジャンのために作られたチキンの丸焼きが、未だ手つかずの状態でひっそりと佇んでいた。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




353 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:05:38 ID:WX6p2kPN
 淡い月明かりの射し込む部屋で、ジャンは自分の傍らにいるルネの肩にそっと手を回した。
 そのままこちらに抱きよせると、ルネもその手をジャンの胸の上に回して体重を預けて来る。

「大丈夫かい、ルネ。
 少しは落ち着いたかな?」

「はい……。
 でも……なんだか、申し訳ないですわ。
 私はジャンに愛していただくばかりで、一人で先に果ててしまったのですから……」

 恥じらうような仕草を交えながら、ルネは気まずそうにして言った。
 だが、ジャンはそんな彼女の言葉に答えない。
 代わりに腕をルネの頭に回すと、やや強引にそれを自分の方へと向けて唇を重ねた。

「んっ……ちゅっ……んふぅ……」

 ともすれば無理やりに奪ったと思われるような形の口づけであったが、それでもルネは拒まなかった。
 むしろ、貪欲なまでにジャンの舌を求め、自分の舌を絡ませようとしてくる。
 ひとたび一線を越えてしまえば、ルネにも躊躇いというものはなくなりつつあるようだった。

 唇と舌でルネの求めに応じながら、ジャンは再び彼女の秘部へと手を伸ばす。
 柔らかく、それでいて熱い部分に触れると、早くもその奥から温かいものが溢れてきた。

 先ほど果てたばかりだというのに、ルネの欲望には底というものがないのか。
 そんなことを思いながら指を動かすと、濡れた音が徐々に大きくなってゆく。

(もう、大丈夫かな……)

 ルネの身体が十分に解れたと感じ、ジャンはそっと彼女の中から指を引き抜いた。
 そして、その身体から一旦離れると、寝ているままのルネの脚をそっと開く。

「ルネ……。
 そろそろ、いいかな?」

「はい……。
 でも……優しくお願いしますね……」

「ああ、努力するよ」

 口ではそう言ってみたものの、当のジャンにも自信はなかった。
 女性と肉体関係を持ったことがないわけではなかったが、ルネのような処女を相手にするのは初めてだ。
 気のせいか、ルネと同じく自分の方も緊張して身体が強張っている感じがする。

 既にジャンのものは、今までの行為によってしっかりと屹立していた。
 その先端をルネの閉じられた花弁に宛がうと、ルネが眉根を寄せて反応する。

「んっ……くぅっ……」

 ベッドのシーツを両手で握り締め、ルネが耐えるような表情を見せた。
 やはり、初めてなだけにきついのだろう。
 ルネの中に自分のものを挿し入れたジャンにも、それは痛いほどよくわかる。

 現に、ルネの中はジャンが今までに抱いたどの女性のものよりも狭く、彼の侵入を拒むようにして執拗に締めつけてきた。
 それでもなんとか半分ほどを入れたとき、今まで耐えていただけのルネに明らかな変化が見られた。


354 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:07:01 ID:WX6p2kPN
「あっ……痛っ!!」

 奥にある、しっかりと張られた幕のような部分に到達した瞬間、ルネが声を上げて身をよじった。
 だが、ここを突き抜けないことには、ルネと本当の意味で一つになることはできない。

 目の前で痛みに耐えている少女を見るのは辛かったが、それでもジャンは気を取り直し、優しくルネに語りかける。
 できるだけ怯えさせないように、初めて会ったあの日のような、柔らかく穏やかな表情で。

「ごめん、ルネ。
 痛いのは最初だけだから……少しだけ、我慢してくれるかい?」

「は、はい……」

「でも……それでも辛かったら、すぐに抜くよ。
 だから、無理はしないでくれ」

「大丈夫……です……。
 私は平気ですから……最後まで……してください……」

 大丈夫なわけがない。
 ルネの赤い瞳は涙で濡れていたし、明らかに痛みに声が震えている。
 このまま強引に貫いたところで、ルネにとっては苦しいだけだろう。

 息を深く吸い、それを吐くようルネに言って、ジャンは少しずつ彼女の中に入っていった。
 甘く、温かい息が漏れる度に、中の締めつけが一瞬だけ弱くなる。
 その呼吸に合わせるようにして、ジャンのものがルネの奥を貫いてゆく。
 そして、一番奥でこちらを押し返しているような部分を突き抜けたとき、二人の身体は根元から一つに繋がった。

「あうっ……!!」

 ルネの中の締め付けが、一段と強くなった。
 ここまで強いと、中に入れているジャンの方でさえも痛みを感じてしまうほどだ。

 未だ堪えるような表情で震えているルネの頭を撫でながら、ジャンはそっと下の方へと目をやった。
 二人の繋がった部分からは微かに赤い雫が垂れており、破瓜の証が脚を伝わって、シーツの上にも落ちていた。

 そっと慈しむようにして、ジャンはルネのことを優しく抱いた。
 初めは痛みに震えていたルネだったが、その呼吸も徐々に落ち着いてくる。

「ルネ……。
 そろそろ動くよ」

 頃合を見計らって、ジャンはルネにそう告げた。
 ルネはそれに、無言のまま頷いて答える。
 そして、ルネの中に入っているものを半分ほどまで引き抜くと、再び腰を前に動かして彼女の中を突いた。


355 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:16:08 ID:WX6p2kPN
「あっ……んんっ……」

 ジャンの腰の動きに合わせ、ルネが悶えるように身をよじる。
 まだ、痛みが残っているのだろう。
 少しでもルネの気がまぎれるように、ジャンは時にその胸を撫で、時に唇を重ね、彼女の痛みを和らげようと努めた。

「やっ……はっ……あんっ……!!」

 初めは拒むような動きしか示さなかったルネの中が、徐々に熱を帯びてきた。
 それはジャンを内側へと導く扇情的なものに代わり、心地よい締め付けがジャンのものを刺激する。
 柔らかい壁がルネの甘い声に合わせて蠢くと、それだけでジャンもまた身体の芯から溶かされてしまいそうな錯覚に陥ってゆく。

「ふぁぁ……だめ……です……。
 私……このまま……壊れて……」

 そう言いながらも、ルネの中は更にジャンのことを締めつけてくる。
 両腕をジャンの首に絡ませ、ひたすらにジャンのことを受け入れた。

 このままでは、こちらも数分ともちそうにない。
 そう思ったジャンは腰の動きを早めると、一気にルネの中にあるものを抜こうとした。
 いくら愛しているからとはいえ、いきなり中に出すのはまずい。
 甘い空気に理性を奪われていたものの、そのくらいの分別は残していた。

 だが、そんなジャンの考えとは裏腹に、ルネはその脚をしっかりとジャンの腰に絡みつかせてきた。
 あの華奢な身体のどこにそんな力があったのか。
 そう思わせるほどに強く、ルネはジャンにしがみついてくる。

「だ、だめだよ、ルネ……!!
 いくらなんでも、中は……」

 慌ててルネから離れようとしたジャンだったが、当のルネはまったく聞いていない様子だった。
 ルネの手と足はジャンの身体にしっかりと絡みつき、彼女の中もまた、ジャンのものを捕えて離さない。

「んんっ……!?」

 ジャンの唇に、ルネがその唇を重ねてきた。
 最初、自分の血を口移しで飲ませたときのように、しっかりと吸いついて逃さない。

 両手と両足、それに上と下の口で押さえつけられ、ジャンはルネの身体から離れようにも離れられなかった。
 断続的に襲ってくる下の締め付けは更に激しさを増し、自分でも抑えが効かなくなってきているのがジャンにもわかる。

「んふっ……あぁぁぁぁっ!!」

「うっ……くぅっ……」

 ルネが唇を離して叫ぶのと、ジャンが身体を震わせるのが同時だった。
 二人は時を同じくして達し、ジャンは自分の中にあった欲望が、全てルネの中に注ぎ込まれてゆくのを感じていた。


356 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:17:31 ID:WX6p2kPN
「はぁ……はぁ……はぁ……」

 お互いに息を荒げたまま、二人は重なるようにしてベッドの上に崩れ落ちた。
 既に二人とも絶頂を迎えていたが、未だ繋がったまま離れようとはしなかった。

 自分の身体の下にルネの柔らかな胸の感触を感じながら、ジャンは少しずつ呼吸を落ちつけていった。
 途中、ルネの白金色の髪に手を伸ばし、それに指を絡めて梳かすように撫でる。
 耳を伝わり頬の辺りまで撫でてやると、ルネは恍惚したような表情のまま、ジャンにそっと微笑み返した。

 どれくらい、そうしていただろうか。
 互いに昂奮が納まった後、ジャンとルネはようやくその身体を離して横に並んだ。
 ふと、ジャンが先ほどまで行為に及んでいた場所を見ると、そこには破瓜の証が既に茶色く固まった状態で残っていた。

「大丈夫かい、ルネ。
 痛かっただろう?」

「はい、最初は……。
 ですが、今はもう平気ですわ。
 私の血が固まりやすいのは、ジャンも御存じでしょう?
 それに……最後は私も……とてもよくしていただけましたから……」

 ほんのりと顔を赤らめながら、ルネが恥ずかしそうにして言った。
 行為の最中は時に激しく乱れるようなことがあっても、終わった後に思いだすと、やはり少しだけ恥じらいが残るようだ。

「でも……今日は、本当にごめん。
 君にとっては初めてなのに……僕が自分を抑えられないで、中に出したりして」 

 ジャンが、申し訳なさそうにルネを見た。
 確かにルネはジャンに愛して欲しいと言ったが、中に出せば子を孕んでしまう可能性もある。
 ルネがそこまで望んでいるのかも確かめずに中で果ててしまったことが、少しばかり後ろめたい。

 ところが、そんなジャンの思いとは反対に、ルネは幾分か済ました顔に戻って彼を見た。
 そして、ジャンの腕にそっと自分の手を絡ませると、甘えるような視線を送りながら話しかけてくる。

「私の身体のことなら大丈夫です。
 幸い、今日はそこまで危ない日ではありませんでしたから。
 それに、一度抱いたからといって、必ずしも子を授かるというわけでもないのでしょう?」

「まあ、それはそうだけど……。
 でも、それでもやっぱり、今日のことは二人の秘密にしないといけないかな?
 養子とはいえ……さすがに父親の許可も得ずに娘を抱いたなんてことが伯爵に知れたら、僕だってただじゃ済みそうにないしね」

「それも心配は要りません。
 お父様は、ジャンのことをいたく気に入られておりますもの。
 ジャンのお気持ちさえしっかりしているのであれば、何も責められることはないはずです」

「なるほど……。
 僕の……気持ちか……」


357 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:18:25 ID:WX6p2kPN
 どこか遠い場所を眺めるような目で、ジャンは部屋の天井をぼうっと見ながら言った。

 自分はルネのことを愛している。
 それは、紛れもない事実だろう。
 初めは単なる患者としてしか診ていなかったが、今ではより正直な気持ちで自分の中にある感情とも向き合える。

 ルネがジャンのことを求めていたように、ジャン自身もどこかでルネのことを求めていたのだ。
 父親の業に発端を成す後ろ暗い過去を背負い、各地を逃げるように放浪してきた自分。
 そんな自分に対して何の偏見も持たずに近づいて来てくれたルネの純粋さに、いつしかジャンは強く惹かれるようになっていた。

「僕の気持ちは一つだよ。
 ルネ……君と、ずっと一緒にいたい。
 できることなら、君のお父様の許しも得て、きちんとした交際をさせてもらいたいよ」

 おこがましい願いだということは、ジャンにもわかっていた。
 ルネと自分では身分も立場も違い過ぎる。
 そうわかっていても、ルネに対する気持ちを捨てることなどできそうにない。

「嬉しいですわ、ジャンにそう言っていただけて……」

 肩の近くに置かれた頭を少しだけ持ち上げ、ルネが上目づかいにジャンを見て言った。
 その顔には柔らかな笑顔が浮かんでいたが、同時にその赤い瞳には、どこか寂しさのような影も見て取れた。

「ジャン……。
 今のお父様は優しい方ですが……それでも、本当の私の父ではありません。
 私には、本当に血の繋がった家族と呼べる者は、もうどこにもいないのです。
 今も、そしてこれからも……この命が続く限り、永遠に……」

「ルネ……」

「ですから……せめて、自分の愛する方とは、深く、強く繋がっていたいのです……。
 このような私の愛は、やはり重いですか……?」

 ルネの懇願するような瞳がジャンに向けられた。
 ジャンはそれに言葉で返すことはなく、代わりにルネの頭をそっと撫でた。
 そのまま彼女が自分の上にくるようにして、か細く、しかし柔らかい身体を優しく抱きしめる。

≪これから先、もしも私が亡くなれば、ルネに寂しい思いをさせることになる≫

 今日、街から戻ってきたジャンに、テオドール伯が言った言葉が蘇ってきた。

≪そうなったとき、君には私の代わりとなって、ルネを支えて欲しいと思ったのだがね≫

 伯爵は自分の代わりとなり、ジャンにルネを支えて欲しいと言った。
 その言葉の意味はいかようにも捉えることができたが、今のジャンにはルネを支えるための術は一つしか見つからなかった。


358 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:34:09 ID:WX6p2kPN
「重たくなんかないよ……」

 顔の先と先を触れるほどに近づけて、ジャンはルネに囁いた。

「僕も君を離したくない。
 だから、今夜はずっと君と一緒にいるよ。
 そして……明日、君のお父様に、きちんとお話しないとね」

「ジャン……ありがとうございます!!」

 ルネの赤い瞳が、ぼんやりと涙で滲んだ。
 それは、痛みや悲しみから流す涙ではない。
 ジャンが自分のことを受け入れてくれたと改めて感じ、高まる気持ちが抑えきれなくなってのことだ。

 互いの胸と胸を合わせ、ジャンとルネはその奥にある鼓動を感じていた。
 先ほど果てたばかりだというのに、再び身体の奥から熱いものが込み上げて来る。

 感情のままに、ジャンとルネは互いの唇を重ねて抱き合った。
 いつしか月さえも雲の影に隠れ、世界は漆黒の闇に包まれている。
 が、それでも二人の気持ちは何ら冷めることはなく、夜の帳の下、深く激しく繋がっていた。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




359 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第十四話】  ◆AJg91T1vXs :2011/01/17(月) 10:34:42 ID:WX6p2kPN
 眠りについた街の中、ぼんやりと明かりの灯る一つの建物があった。
 古く、しかし手入れの行き届いたその建物は、リディの経営する彼女の宿場である。

 宿場の食堂で、リディは料理の並んだテーブルに独りついていた。
 テーブルの中央にある燭台の蝋燭が彼女の顔を照らし、部屋全体を淡いオレンジの光で包んでいる。
 料理と共に並べられたワイングラスには血のように赤いワインが注がれ、彼女の顔をその中に映し出していた。

 彼女の席の向かい側には、同じようにして並べられた食器とワイングラスがあった。
 だが、その席に座るはずの者はそこになく、ただ静寂だけが部屋を包んでいる。

「ねえ、ジャン……。
 私……今日、誕生日だったんだよ……」

 自分の他に誰もいないにも関わらず、リディは向かいの席にいる相手に語りかけるようにして呟いた。
 その声にはどこか生気がなく、目には淀んだ影を宿している。

「だから……今日は街の皆を呼んで、たくさんお祝いしてもらっちゃったんだ。
 私の作った料理……皆、美味しいって言ってくれたんだよ……」

 答える者などいない。
 そのはずなのに、リディは自分の前に誰かがいるかのようにして語り続けることを止めない。
 時折、彼女の吐き出す息で、燭台の蝋燭の火がゆらりと震える。

「ジャンも……私の料理、美味しいって思う……?
 うん……うん……そうだよね……。
 だって……私、いっぱい練習したんだもの……。
 宿のお客さんに美味しい物を食べてもらいたいっていうのもあったけど……本当は、いつかジャンが戻ってきたときに、私の作った料理を美味しく食べてもらいたかったから……」

 ふっと乾いた笑みを浮かべながら、リディは少しだけ恥ずかしそうにして顔を斜めに向けた。
 まるで、目の前にいる見えない誰かが、彼女に熱い視線を送ってきているかのようにして。

「私……昔の貧乏だったころは、こうやってジャンを呼んでお祝いしてもらうこともできなかったよね……。
 でも……今は、自分の誕生日に人を呼べるくらいにまで、頑張ってお金も貯めたんだよ……。
 ジャン……こんな私、誉めて……くれるかな……?」

 最後の方は照れ臭そうにしながらも、リディは薄明かりの中で語り続ける。
 宿場の客は既に寝静まり、階下で酒場を営んでいる夫婦もまた同じこと。
 そんな中、誰一人いない食堂で、リディは延々といない誰かに話し続けた。
それこそ、何かにとり憑かれたかのようにして、彼女の口からは次々と想いが言葉になり溢れ出て来る。

「あはは……嬉しいな。
 ジャンに誉めてもらえるだけで、私はとっても幸せだよ……。
 私、ジャンが側にいてくれるなら、他になんにも要らないから……」

 眠りについた宿場の中で、奇妙な会話が続けられる。
 相手もおらず、返事もないにも関わらず、リディは明け方近くまで蝋燭を前に話し続けることを止めなかった。