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672 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/02/13(日) 19:44:03 ID:wYk0Fgw8
住み慣れると案外森の中も過ごしやすいなと思った。何よりも澄んだ空気と水が心を洗い流してくれる。
「水汲みお疲れ様!ゴメンね、寒い中……」
出迎えてくれた朔夜は申し訳なさそうに謝ってくる。そんな彼女を抱きしめながら俺は答える。
「こんなの大したことないよ。力仕事は俺に任せてくれ。伊達に海有塾で鍛えてないからな」
「ふふっ、頼りにしてるわ。さ、早く入りましょ」
笑い合う俺達を迎えたのは無機質な部屋。中には机や台所やトイレ、そして風呂とベッドなど最低限の家具しかなく暖房もない。だから冬の寒さが一番堪えるのだ。
「……要、私…寒いな」
「……朔夜はどうしたい?」
「い、言わせないでよ!……わ、分かるでしょ…」
朔夜は真っ赤になった顔を俺の胸に埋める。そんな彼女を俺はゆっくりと抱きしめた。
朔夜の体温が伝わってくる。息遣い、鼓動が彼女がここにいることを確かに俺に教えてくれた。
そう、俺には朔夜がいる。誰もいなくても、独りぼっちになっても彼女がいる。そう俺に教えてくれているようだった。
「朔夜……」
「んっ……」
これが誰も傷付かない、皆が幸せになれる唯一の方法なんだ。



窓の外には真っ白な木々が連なっており病院の誰かが作ったのだろう。真っ赤なバケツを被った雪だるまが誇らしげに胸を張っていた。
「……羨ましい」
おそらく愛情を込められて作られたのだろう。朝に試行錯誤している人影を見たから何となく分かる。
「私も……」
あの雪だるまのように愛してもらえるだろうか。言葉は最後まで出ず、私は疎らに降り積もる雪を眺めている。
「遥、入るぞ」
私の返事を待たずに誰かが病室に入って来た。この一週間、毎日飽きもせずよく通ってられるものだ。
「今日は林檎貰ってきたんだ!食べるだろ?剥いてやるからさ」
「……いらない」
「まあそう言うなって!一口食べたら絶対に気に入るからよ!」
私の拒否もお構い無し。この精神力はある意味尊敬に値するかもしれない。
近くに置いてあった果物ナイフを手にとるとその無神経な男、如月亮介は慣れた手つきで林檎の皮をむいてゆく。
「……上手い」
「だろ?意外と料理は得意なんだぜ」
そらみろとばかりに胸を張る亮介。そんな彼の姿が先程見た雪だるまと重なって何だが笑えた。
「……ふふっ」
「あ、今何か馬鹿にしたろ!?」
「し、してない……」
「本当かぁ!?」
「してないったらしてない!」
私はそっぽを向いてベッドに潜り込んだ。溜め息をついたものの特に文句は言わずに亮介は皮むきを再開したようだった。
「……っ」
亮介の優しさが痛いほど分かる。気遣いが伝わってくる。普通ならば学校をサボってまで見舞いになんて来てくれないだろう。
しかも亮介はこの一週間、毎日朝から夜までここにいる。こんな生きる価値もない憐れな私には勿体ないくらいの幸せ――
「……要」
だからこそ心が締め付けられる。これだけ優しくしてもらっても……それでも私は要が好きなんだ。要じゃなきゃ……駄目なんだ。
「会いたいよ……要……」
分かってる。このまま要を好きで居続けても何も残らない。要の心にはもういるんだ、私ではない誰かが。
その誰かが羨ましい、憎い、殺したい。でも殺したって要の心からその誰かは出て行かないだろう。だから私は諦めるしかない。
「……そんなの、嫌だよ……」
それでも私の心はひたすら要を求める。絶対に手に入らないと分かっていても割り切れない。
「私……どうしたら……」
要を自分だけのものにしたい、でも今の自分にはどうすることも出来ない。今の私に出来るのはこうやって泣き言を言うだけなのだろうか。


673 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/02/13(日) 19:45:38 ID:wYk0Fgw8

「……遥?」
ぽっこりと膨らんだ布団に話し掛けるが返事はない。代わりに聞こえてきたのは穏やかな寝息だった。
「……寝たのか」
一口サイズに切った林檎を眺めながら俺は考える。どうしたら遥を元気付けられるのか、と。
「……あれを聞いちまうと……な」
自分でもお人よしだと思う。よく父親である龍一郎に"お前は政治家には向かないな、お人よし過ぎる"と言われるが今回は特にそうだ。
それでも俺はここに通うことを止めようとは思わない。なぜならば聞いてしまったから。遥の呟きを。

『会いたいよ……要……』

「やっぱり……要か」
遥は聞こえていないと思って布団の中で呟いていたようだが俺には聞こえていた。
この一週間、遥はずっと同じような言葉を呟いている。多少の違いはあっても内容は全て要のことについて。
「分かってたつもり……だったんだけどな……」
こうして遥の口から直接聞くと改めて思い知らされる。遥の中でどれ程要という存在が大きなものなのかを。
そしてどう頑張ったとしても俺が遥に好かれることはないということを。
「……それでも俺は……」
病室にあったメモ用紙を取りながら俺は思う。
それでも遥の側にいたい。別に恋人じゃなくても良い。一生"仲間"でも構わない。俺は遥と一緒に生きていきたいんだ。それが出来なかったとしても、せめて遥の役に立ちたい。
「……ゴメン、会長」
一週間かけて会長が探し出した情報をメモ用紙に書く。決行は明日、クリスマスイブだ。参加出来る要組は全員召集された。
だからこそ遥が単独で動けるチャンスは今日しかない。
「……諦めんなよ、遥」
俺はメモ用紙をそっと机の上に置いた。どうするか決めるのは遥だ。



「……亮介は…いないか」
いつの間にか寝てしまったらしい。病室にかけられた時計が既に夕方だと教えてくれた。
「林檎……」
テーブルの上には亮介が切ったのだろう。一口サイズにカットされた林檎が綺麗に並べられていた。そして横にはメモ用紙が伏せて置いてある。
「亮介かな……」
無造作にメモを取って書かれている内容を読んでいく。
「…………えっ」
予想外の内容に思わず手が震える。メモ用紙に書いてあったのは意識が戻ってからずっと会いたいと願っていた要の居場所だった。
そして明日、つまりクリスマスイブに先日意識が戻った会長が乗り込みに行くと。なぜ要が急に姿を消したのか、それだけは書いていなかったが今の私には十分過ぎる情報だった。
「亮介……」
おそらく亮介が残してくれたのだろう。
……でも変わらない。いくら亮介が私に尽くしてくれても、どれ程私を好きだと言ってくれても駄目なんだ。
「要に……会える……」
メモ用紙に書いてある場所は今から急いで行けば今日中に着けそうだった。ベッドを降りて支度をする。誰にもバレないようこっそりと抜け出さなければならない。
もし要が誰か……私以外の女といるとしたら――
「一緒に……」
私はゆっくりとテーブルの隅にあった果物ナイフを握りしめた。明日はクリスマスイブ。街には恋人たちが溢れる。自分の人生を決めるにはもってこいの日だと思った。


674 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/02/13(日) 19:46:29 ID:wYk0Fgw8
「んっ……」
「朔夜……」
「要……もう……」
無機質な部屋の片隅でうごめく影。暖房がないこの部屋で俺達が互いに暖まるにはこれが一番のように思えた。
朔夜は着痩せする方らしく、真っ赤なワンピースを脱ぐと手からこぼれそうな二つの膨らみが視界に入って来た。
「これが……」
「あ、あんまりじろじろ見ないでよね……」
夕日が差し込む部屋で朔夜は夕日より顔を真っ赤にしていた。そんな朔夜が愛らしくなってその膨らみの先端にしゃぶりつく。
「んあっ!?」
舌で突起をなめ回すとすぐに固くなっていた。朔夜は恥ずかしいのか必死に声を出さないよう我慢している。
そんな朔夜を何とか喘がせようともう一方の膨らみの突起を手でつまみ上げる。
「んっ!」
途端に朔夜の身体が震え出す。どうやら乳首を責められるのが弱いようだ。
「朔夜……」
「あ……ふぁ……」
中々大きな膨らみを揉みながら乳首を弄る。朔夜は悶えながらもその快楽を味わっていた。顔は完全に紅潮し目は潤んでいる。
そのまましばらく彼女の胸を堪能した後、手をゆっくりと下半身へ伸ばした。
「そ、そこは……あぅ!?」
下着の中に手を入れ朔夜の秘裂を触ると既にしっとりと濡れていた。抵抗する朔夜を無視して彼女の秘裂を弄る。
尿道や膣口に指先が触れるとそれだけで朔夜の身体は跳ねた。
「そんなに……弄っちゃ……ふぁ!」
「ここも……めっちゃ固くなってる……」
秘裂の中に隠れていたクリトリスをゆっくりと撫でる。既に周りの愛液で濡れていて皮も剥けていた。それを優しく扱いていく。
「んぁ!!そこはぁ……ら、らめらろぉ!」
「朔夜にも弱点、あったんだな……」
完全無欠だと思っていた海有朔夜を虐めてかつ感じさせていたことに俺は優越感を覚えていた。
何よりも普段は意地悪な笑みを浮かべていた朔夜の恍惚な表情に目を奪われていたのかもしれない。
そのままクリトリスを弄りつつ固く張った乳首を舌でなめ回す。無機質な部屋の中には朔夜の喘ぎ声だけが響いていた。
「んぁ……もう……か、かなめぇ……わたひ……ふぁ!?」
「朔夜……?」
「いく……いっらうのぉ……」
快楽からかまともに呂律が回らない朔夜に俺はキスをする。少し痙攣している舌を舐めとりながら秘裂を弄り続ける。
既にベッドは朔夜の愛液で所々濡れていた。今すぐ押し倒して犯したい衝動を何とか抑え、朔夜を絶頂へと追い詰めていく。
「んんっ!んんっ……んっ!」
朔夜の口を塞いでいるので何て言っているかは分からなかった。しかし少なくとも身体はしっかりと感じているようだった。腰は小刻みに奮え、今にも達しそうだ。
「んっ!あ、あぁ……わたひもういっひゃふぅ!?」
「良いよ朔夜。イくんだ……!」
思い切り朔夜のクリトリスを擦る。何故か彼女をイかせなければならないという義務感に駆られる。
「んあっ!?ひぁぁぁぁあ!!」
突然の刺激に朔夜は愛液を出しながら腰を痙攣させた。腰が無意識に動いているようで朔夜は喘ぎながら痙攣を繰り返していた。
「ふぁあ……んぁ……」
「朔夜……」
恍惚な表情で快楽を味わっている朔夜が愛おしくなる。自分のペニスに熱が集まるのを感じる。
そのまま朔夜に覆いかぶさり彼女の股を開く。秘裂は既に十分濡れており膣口がだらし無く開いていた。
「いくよ、朔夜……」
「ふぇ?……ひぁあ!?」
朔夜を思い切り引き寄せて膣口にペニスを挿入する。一切の遠慮はなく、遠慮する余裕させ今の俺には無かった。肉欲に支配されてしまったかのように朔夜の身体を求める。
「くっ……!」
「んあっ!激し……んぁぁあ!!」
朔夜の中はとてもキツく動く度にヒダが絡み付いて精を吐き出させようとする。
すぐにでも吐き出したい気持ちを抑えて何とか腰を動かしていく。手はしっかりと繋いでお互いの名前を呼び合う。
「朔夜、朔夜……!」
「か、かなめぇ!も、もっときてぇ!」
顔を真っ赤にしながら朔夜は遠慮なしに喘ぐ。その喘ぎ声がさらに俺を興奮させる。
お互いしか求めない、お互いしかいらない。なぜならここには俺達しかいないのだから。ここは――
「くっ!あぁあ!」
「ひぁあ!んあぁぁぁぁぁあ!!」
ここは俺達だけの世界なのだから。朔夜の中に精を吐き出しながら俺はそんなことを考えていた。


675 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/02/13(日) 19:47:47 ID:wYk0Fgw8

「では決行は明日ということで……。はい、了解しました」
電話を切り一息する。お嬢様は本気のようだった。本気で敵地に乗り込み要を奪還するつもりなのだ。
「……流石お嬢様、です」
要が黒髪の少女と東雲(シノノメ)方面の電車に乗ったという情報が先日入り、お嬢様は覚悟を決めたらしい。
その少女の詳細は不明だが大した度胸だ。なんせあの美空開発の令嬢を相手するのだから。
「……オウカ?」
リビングから里奈様が顔を出す。私は要も妹さんもいないこの白川家でかれこれ1ヶ月近く里奈様の面倒を見ている。
里奈様のことはお嬢様から聞かされたが何となく自分と似たものを感じるのだ。
桃花の代わりとして作られた私とクローンの里奈様。だからこそずっとお世話が出来るのかもしれない。
「ああ、里奈様。今すぐ夕食にしますね」
「……うん」
最初はかなり警戒されていたが一緒に暮らすにつれて里奈様は私に心を開いて下さった。
そして私も屈託なく笑い、何よりも私を人間扱いしてくださる里奈様に惹かれていった。
私が人間でないことを打ち明けても里奈様は一言「オウカはオウカだよ」と言って下さった。まるでそんなことは何でもないように。
そう、要と同じことを里奈様は私に言ったのだ。
「今日は里奈様の好きなビーフシチューですよ」
「本当に!?オウカ大好き!」
目を輝かせながら私に抱き着いて来る。そんな里奈様を見ていると桃花が何故あれ程里奈様にこだわっていたか、仕えていたかが分かるような気がする。
「あ……オウカ?」
「どうかされましたか?」
里奈様は少し気まずそうにしながらも私をしっかりと見据えると口を開いた。
「カナメとジュンは……まだ帰ってこないの?」
私は思わず口ごもる。里奈様には何もお伝えしなかったのだ。要の妹が意識不明の重態であることも、要自身が一週間以上行方不明であることも。
全ては里奈様を不安にさせないため、そう思い嘘をついていた。でも本当にそうなのだろうか。
私はただ……ただ里奈様に嫌われるのが怖かっただけなのではないだろうか。里奈様に……私だけを見ていて欲しかっただけなのではないのだろうか。
現に里奈様は要が帰ってくるのを心待ちにしている。もし要が帰ってきたら里奈様は……。
「……はい。要組の活動が忙しいそうで。冬休みだというのに大変ですよね」
「……そっか」
里奈様は明らかに落ち込んでいた。主人を落胆させるなどメイドの恥だと言われるかもしれない。
それでも私は里奈様と一緒にいたいのだ。要に傾いていたはずの気持ちはまだ残ってはいるが、今は里奈様への気持ちが高ぶるばかりだった。
だからこそ気が付かなかった。里奈様は私とお嬢様の会話を盗み聞きしていたとは。そして夕食後こっそりと家を出ていってしまったことも。


676 :リバース ◆Uw02HM2doE :2011/02/13(日) 19:48:46 ID:wYk0Fgw8

「やっぱり夜は寒いな……」
夜の森へ水汲みに出かけたことを少し後悔した。今すぐ部屋に戻って朔夜の小さな身体を抱きしめたい衝動に駆られるが何とか我慢する。
そのまましばらく森の中を歩いていると小川に着いた。
「早く戻らないとな……」
「……要」
暗闇の中でいきなり声を掛けられる。驚きながら振り返るとそこには白髪の少女が立っていた。
少女が立っている辺りだけ月明かりが差し込み、彼女の白髪は美しい光を帯びていた。
「……は、遥?」
「見つけたよ……要」
遥が俺に抱き着いてきた。不思議と月明かりも移動しまるで俺と遥を照らすライトのようだった。久しぶりに見た遥の白髪からは甘い香りがした。
「な、なんでここに……」
「帰ろう、要。皆待ってるよ?会長も意識を取り戻したし、皆要に会いたがってる」
「会長が……」
「だから帰ろう?ここにいても要には――」
「要の世界はここにしかないよ」
脳髄に直接響くような声。間違いなく朔夜のものだった。振り返ると朔夜が微笑みながら近付いて来ていた。
「……誰?」
「こんばんは。白髪……ああ、貴女が春日井遥さん?」
「……誰!?」
遥が怒鳴ると朔夜は足を止めた。いつの間にか彼女の笑顔はいつもの意地悪いものになっていた。本能で察する。このままでは遥が危ない。
「に、逃げろ遥!」
「遅いよ」
「なっ!?」
気が付いた時には既に朔夜は遥の目の前にいた。遥は突然の出来事に固まっている。朔夜は意地悪い笑みを浮かべながら遥を見つめる。
「貴女じゃ要は癒せない。だって貴女は貧乏で、虐められっ子で、どうしようもなく……惨めだもの」
「止めてよ……」
遥の顔が段々青ざめていくのが分かる。それでも朔夜は言うのを止めない。
「ふふっ、本当は分かってるんでしょ?自分じゃ要に釣り合わないって。だから歪んだ形でしか要に気持ちを――」
「もう止めて!止めてよ!!」
遥は身体を震わせながら叫ぶ。それは彼女の心の叫びに聞こえた。
「要、この子……壊しちゃおうか」
「もう止めてくれ、朔夜。頼む……!」
「ふふっ、見せてあげる。私達の世界を壊そうとするとどうなるかを」
朔夜はゆっくりと手を挙げて――
「は、遥ぁぁあ!!」
そのまま遥の首筋へと下ろした。直後遥は糸の切れた人形のように崩れ落ちた。走って遥に駆け寄るが反応はない。
「遥!?遥!!」
「大丈夫。まだ殺さないから」
見上げると月をバックにして朔夜の顔があった。相変わらず意地悪そうな笑みを浮かべている。
「でもまだ要の中にあったんだね。他人を気にする気持ちがさ」
「何を――」
「安心して。ちゃんと私色に染め上げてあげるから」
朔夜の笑顔に思わず後ずさる。そう、俺はもう後戻り出来ない所まで来てしまったのだ。ゆっくりと手を挙げる朔夜を見ながら、俺はそんなことを考えていた。



明日はクリスマスイブ。世間では恋人達が賑わい、愛し愛される。そして要の人生で最も長い一日でもあるクリスマスイブが始まろうとしていた。