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875 名前:狂宴高校の怪 第7話(葛藤編)[sage] 投稿日:2011/06/28(火) 21:40:53 ID:0yQpmi/U [2/6]
 夢を見た。
 夢の中で、私はいかつい三人の男性に囲まれていた。
「うっほ!こいつは上玉だぜぇ!」
「ウヘヘへ!黒髪おいしそーう!」
「こりゃまわしがいがあるぜ!ヒヒヒヒヒ!」
 気がつけば、後ろにはさらに三人。合計六人の男性が、私を飢えた雄のような目で見る。
「な!何なんですかあなた方!」
「お嬢ちゃん、俺達は悪いことしようなんて言ってないんだぜ?ただ、お互い気持ちよくなろうぜってだけだよ。ヒヒヒヒヒ!」
「ふ!ふざけないで!私は!」
「はいはいここは正直ですよー!ヒヒヒヒヒ!」
 やめて!私を汚さないで!髪を、肌を、胸を、手を、あそこを、足を舐めないで!!!
「じゃあご開帳ー!」
 いやぁ!初めてはコイル君だけのもの!他の誰にも渡したくない!
 やめて!やめてぇぇぇ!



「ハッ!!!」
 気づけば私は、ベッドから半身を起こしていた。
 夢?なんという夢を見たんだ・・・。
 どうせなら、あの後にコイル君が私を助けてくれたっていう夢が見たい。
 それでもなお、私が満たされぬことはないだろうが・・・。そんなことを考えながら、私は制服に着替えた。

――――――――――

「今日の降水確率は30%。晴れやかな日になるでしょう。」
 嘘だ。空はもう雲がかかっている。昼には確実に降っているだろう。
 そんなこともお構いなしに、お兄ちゃんはベッドで寝ている。実の兄でも、好意の対象でも関係ない!
「お兄ちゃん!!!起きなさい!起きなさい!」
 耳元で叫ぶ。
「うわぁ!大トロの握りが二つ揃って三角コーナーに!!!」
 多分、昨日の夜に見たグルメ番組に影響され、高級寿司屋に行ってる夢でも見てたのだろう。まだよだれを垂らしているので、軽く頬を叩く。ちょっと柔らかい。
「何だ・・・夢か・・・。」
 しばらくうなだれるお兄ちゃん。うん、いつもと同じ。私の大好きなお兄ちゃんだ。

 しかし、昨日からお兄ちゃんを見ると、嫌な予感がする。別に、お兄ちゃんの行動が変になったとかではない。直感的な推測。
 私は、あの時の事を思い出してしまった。今の私の気持ち、そしてお兄ちゃんから感じる嫌な予感。
 二つの感じを例えるならば、今のこの曇り空のようだ。

876 名前:狂宴高校の怪 第7話(葛藤編)[sage] 投稿日:2011/06/28(火) 21:41:40 ID:0yQpmi/U [3/6]
――――――――――

 今日は鎧にカラースプレーをかけて塗装する。予定だった。
 昼頃から降りだした雨のせいで外が使えないため、鎧作成組は自由時間となった。
「コイルキィィィック!」
「ぬるいわぁ!ケンゴウラリアットォォォ!」
 それで俺とケンゴウは、こんな感じで互いを痛め付けあっていた。
「甘いわぁ!コイルスープレーーーックス!!!」
 ケンゴウのラリアットの勢いを借りて、後ろに思いっきりケンゴウを投げ飛ばした。

――――――――――

「ぐへぇ!!!」
 コイルに思いっきり投げられた。だいたい鎧が飾ってあるところ辺りまで飛んだかな。容赦無しかよ。
「お前なぁ!少しは手加減しろよな!」
 背中に走る激痛に顔を歪ませ、俺は床に突っ伏した。
 ふと、何かの臭いが鼻をついた。
「何だ?何か変な臭いがするな・・・。」
 床に何かの臭いがついている?とりあえず嗅いでみる。
 刹那。

「うぅぅぅおぉぉぉえぇぇぇ!!!」
 訳がわからない。激しい頭痛と悪寒、突然の嘔吐、臭いがきついからじゃない!
 何が起こったんだ?この臭いが何の臭いなのかも知らない。なのに俺は臭いに耐えられないでいた。
 すぐさまその場を離れる。
「おい!大丈夫か!?」
「ケンゴウ君!しっかりして!」
「急にどうしたのです?ケンゴウ君らしくない。」
 コイル、ナオ、シドウが駆け寄ってくる。
「あぁ・・・なんとか大丈夫だ・・・。」
 鎧が飾ってあるところの周辺を離れると、さっきまでの症状は無くなった。
 何か変わったことがこの辺りに・・・。床をよく見ると、何かを吹いた後があった。

877 名前:狂宴高校の怪 第7話(葛藤編)[sage] 投稿日:2011/06/28(火) 21:42:23 ID:0yQpmi/U [4/6]
――――――――――

 放課後までケンゴウは元気だった。むしろ、さっきのあれが嘘のようだった。鎧が影響されたわけでもないようだ。いったい何なんだろう。
 ケンゴウの体調と反比例してなのか、急に雨が降ってきた。もちろん傘は持ってきてない。こんなことなら妹の言うことを聞いておけばよかったな・・・。
 雨の勢いはさらに強くなる。これは洒落にならんな。数十秒でずぶ濡れだ。家が遠いからそれだけはしたくない。
「どうしようかなー。」
 抑揚をつけずに呟いてみた。

――――――――――

 玄関前にコイル君がいた。見ただけでわかる。傘を忘れたのだろう。
 今すぐ傘を貸してあげたい。いや、相合い傘がいいな。もちろん腕を組んでだ。狙いはもちろん、私の胸を彼に押し当てること。男の人はこういうのに弱いと、何かの本で読んだ。そして、その気になった彼をお部屋にお持ち帰り。ベッドの上でプロレスごっこ!キャー!キャー!
 いけない!私は学級委員長!こんな不埒な考えを持ってはいけないわ!
 でもでも!彼が私の口にそっと自分の口を重ねてきて・・・。口内を蹂躙する彼の舌、そっとのびる左手は私のあそこに・・・。いや!彼ならいきなり?それも悪くない!私は彼になら犯されてもいい!むしろ犯して!彼になら処女を捧げられる!痛くても我慢できる!
 厳しそうな彼の顔が視界に入った。いけない!彼は困ってるんだった!今すぐいかないと!



 あれ?足が動かない・・・。何で?彼の隣にいけない、彼に声をかけられない。足は動かそうにも、命令が足まで到達しない。声を出そうにも、喉が震えない。覚悟は出来ているのに、体が動かない。
 何で?何で動いてくれないの?少し涙ぐんできた。

878 名前:狂宴高校の怪 第7話(葛藤編)[sage] 投稿日:2011/06/28(火) 21:43:05 ID:0yQpmi/U [5/6]

 あれ?ナオさん?コイル君に近づいて何を言ってるの?何で傘を二本も持ってるの?
 何でコイル君に傘を渡してるの?何で二人並んで外に出てるの?何で?何で?何で?何でコイル君はナオさんと歩いているの?コイル君はナオさんが好きなの?いや、きっとナオさんが誘惑したのだろう!
 私だって誘惑してた。後ろに立って軽いボディタッチをしたりした。見た限り、ナオさんが彼を誘惑してたようには見えない。やはり彼はナオさんのことが?嘘だ!嘘だ!嘘だ!
 そんなの嫌だ!私は彼以外を好きになれない!彼がいなくなったら私・・・。





死んじゃうよ?





 気づけば私の手に、傘はなかった。学校近くの公園に立っていた。傘もささずに。
「寒い・・・寒いよ・・・。」
 雨に濡れた寒さと、心の寒さ。二つが私を絶望の海に突き落とす。顔も濡れて、泣いているのかもわからない。



「どうしたんですか?クドさん。」
 不意に後ろから声が聞こえた。振り向いた先にいたのは、私と同じく傘をさしていない男子生徒だった。
「お気持ちお察ししますよ?あなたはコイルのことで悩んでいる。」
 ドキッとした。見透かされてる?私がコイル君のことが好きだということ。彼は・・・確か他クラスの・・・。
「おっと、ご心配なさらずに。私はあなたに協力しに来たんですよ?私は今回、あなたの味方ですよ。」
 彼のことを信じていいのだろうか・・・。

「しかし、私はあなたにきっかけを作ってあげるだけ。後のことはあなたにお任せします。私がしてあげられるのはここまでです。

あくまでも私は、同率の立場の人間ですから。」