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146 名前:深優は泣いた ◆J9zPo6rgI.[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 08:14:19 ID:b5apGo9c [2/7]
「どうして、どうしてなの・・・・・・ねぇ、お兄ちゃん、
どうしてそんなに楽しそうなの?苦しいよ、息が詰まりそうだよぉ」

そう何度も、小さく呟きながら、仲良くする二人をこそこそと眺めます。

「あんなに激しい口づけを交わしたのに・・・・・・やっぱり、
目を離したのがいけなかったんだ・・・・・・ぐすん・・・・・」

良くないと分かっているのに、お兄ちゃんに人を憎むなと教えられてきたのに、
コルネリアさんに対して激しい嫉妬の炎が轟々と舞いあがります。
お兄ちゃんと女の人が仲を良さそうにしているのを見ると、
大体、今回と似た心境に至るのですが、それとは別に、
もう一つの感情も湧きあがってきます。
その正体は私にも良く分かりません、でも危険な感じです。
いつなん時か、
この感情が湧きあがったことのあるような・・・・・・気のせいならいいのですが。

「深優さん、隠れていないで、こっちに来たらどうです?」

えっ!ばれました・・・・・・隠れ方が甘かったかなぁ。
なぜか、お兄ちゃんも焦っています。

「ごにょごにょ・・・おい、約束と違う、気付かないふりじゃ・・・」

「ふふ、修羅場が怖いのですか?わたしが守るから安心して下さい。
おかしな行動を取る人間には、注意をしてあげるべきです」

「なんだよそれ・・・・・・頼むから、きつく当たらんでくれ。
繊細な子なんだ。柔和にな」

こそこそ話をしている二人に、思い切って近づきます。
ううぅ・・・コルネリアさんは苦手です、それに私を嫌っているみたいです。

「どうして隠れていたんですか?挙動不審ですよ」

「ごっごめんなさい・・・」

「理由を簡潔に答えなさい」

「そのっ・・・たまたま、通りかかったら、コルネリアさんと、お兄ちゃんがいて、
楽しそうだなぁって思ったけど、で、でも、邪魔したら駄目かなって思って、それで・・・・・・」

「嘘ですよね」

「えっ、あっあの、その・・・・・・私っ・・・」

「最初から後ろを付けていたじゃないですか。
気味の悪い行動を取る上に、平気で嘘を付くんですね」

そう言われた瞬間頭が真っ白になります、どう返せばよいのか見当もつきません。
ただ謝ることで精いっぱいです。

「ごめんなさいごめんなさい嘘付いてごめんなさいごめんなさい、許して下さい、
罰を受けますから、許して下さい、ごめんなさい・・・」

「謝れば泣けば、なんでも許してもらえると思っているんですか?
いい機会だからはっきり言いますが、あなたのお兄ちゃん、
あなたの歪で異常な愛情にうんざりしているんですよ」

「おいっ、ネリア言い過ぎだ。そんな大したことじゃ無いだろ。
ほらっ、ミューおいで」

「だめ。そうやってすぐ慰めようとするから、依存されるのですよ」

お兄ちゃんは少し悩む表情を見せましたが、決心したように私を引き寄せます。

「ごめんなさい、私、悪い事したのに、ありがとう・・・」

「やる気あるんですか?わたしはもう・・・帰ります・・・」

語気から不満を感じ取れます。
コルネリアさんはそう言い残すと、この場を立ち去って行きます。

147 名前:深優は泣いた ◆J9zPo6rgI.[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 08:14:45 ID:b5apGo9c [3/7]

「おい、ちょ、ちょっと、戻ってこーい・・・・・・あーあ行っちゃった」

「お兄ちゃん、ごめんね。折角仲良くしてたのに・・・・・・」

お兄ちゃんは返事することなく、私の頭を撫でています。
私もしばらく、黙ってお兄ちゃんの胸に顔を埋めます。

しばらくして、大きなため息が聞こえてきます。

「はぁ・・・・・・なぁ、そんなにお兄ちゃんのことが好きか」

「うん、大好き。今ある言葉じゃ足りない、表わしきれないくらい好き」

「どうしたら俺のこと嫌いになってくれる?」

「嫌いにならないよ。お兄ちゃんの嫌いな私は私じゃない。
いっぱい痛いことされても、罵られても、全然へーき」

「ミュー、俺は、俺の情で北嶺の運命が決まってしまうことに畏れを感じている」

「もう忘れよ・・・・・・私は一介の陽ノ国娘、ただそれだけ」

「だめだ、戻るんだ。俺は深優を想っているからこそ頼んでるんだ。
北嶺は半ば暴走気味の侵略国家だ、だからこそ、ミューの優しさで変えるんだ。
ルカさんのような被侵略国の人々は、ミューを希望の星として待っている。
もう、そんな我ままを言っていい時じゃないんだ・・・」

「・・・・・・お兄ちゃんも一緒に来てくれたら頑張る・・・・・・」

「俺のやるべき事じゃないし、それに、女王と懇意にするよそ者なんて鬱陶しいだけだ」

「じゃあ、お兄ちゃん・・・・・・国王になって・・・・・・。
それで私が王妃。あっ、逆でもいいよ」

「・・・・・・結婚しなきゃいけなくなるぞ」

「愛してるから問題ないよ・・・・・・」

お兄ちゃんは驚きの声を上げます。
だって今伝えるべきだと思ったんです、愛してるって。

「愛してるってのは異性として意識している奴に使うもんだぞ。
初めて愛してるなんて言われたよ・・・・・・」

「私は好きだよ、兄として、男の人として。
狂おしいくらい愛してる・・・・・・
お兄ちゃんの匂い、髪、瞳、肌、声、仕草、癖、価値観、信念、嗜好・・・・・・全てが・・・。
どうしてこんなにお兄ちゃんが愛おしいんだろうって、自分でも不思議」

私を押しのけて、後ずさりするお兄ちゃん、初めて見る表情。

「いやっ、でも、ミュー、俺の、妹であって・・・・・・ああっ駄目だ、
何言ってんだ俺、考えが頭で纏まらない」

「言いたいこと分かるよ、お兄ちゃんは私のこと妹としか考えられないんでしょう?
えへへっ・・・・・・それでもぜーんぜん構わないよ、
お兄ちゃんの傍に置いてもらえるだけで大満足だから・・・・・・」

「・・・・・・し、質問だけどよっ、
いつから俺のことを、い、異性としてっ、意識したんだ・・・?」

「六歳くらいかなぁ。
その時期くらいから、お兄ちゃんが何倍もカッコよく思えてきちゃって。
もう、それから心臓がドキドキしっぱなし・・・・・・、
特にお風呂なんて気持ちを抑えるのが大変だったよ・・・ふふっ・・・」

(あんな小さな時から、俺の事を男として見てたってのか?
そんなこと知らなかった、騙された気分だ)

「とにかく、ミューは俺の妹だからなっ!それ以上ではないぞ・・・・・・」

いざ、妹でしかないと面と向かって言われると、とても悲しくなります。
でも、私は遂に本当の気持ちを伝えられたんです、
抑えつけられていた愛が一気に解放されたような気がします。
もっと好きになってくれるよう、遠慮なく攻めていいんだよね、お兄ちゃん?

148 名前:深優は泣いた ◆J9zPo6rgI.[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 08:17:04 ID:b5apGo9c [4/7]



雌猫め、どうやら告白したようだな。
私が怒って帰ってしまった日以降、
雌猫の甘えっぷりが私に吐き気を促すほどに酷くなっている。
ふざけるな・・・・・・少々痛い目にあって貰うからな・・・ふふっ、明日から決行だ。

専ら草むしりに精を出す雌猫の近くに水筒が。
これを見て、ちょっとした毒薬を混ぜることを思いついた。
量は私が雌猫を見ると催す程度だ。
だが、竜史のかわいいかわいい妹ちゃんなので多めにしてやった。

しばらくすると、水筒の水を飲み始める。
雌猫は剣を振らずに、道場の雑用仕事ばかりやっている、何しに来たんだか。

「おいしい・・・・・・さーて、がんばろっと・・・」

雌猫のまぬけな独り言聴こえてくる、ふふっ、
今に見てろ、すぐに腹を押さえてのたうち回るぞ。

と、ほくそ笑んだが、結局何も起こらなかった。
一体どんな胃袋してるんだか、あれは即効性のある毒なんだぞ。

その後、毒を変えたり、量を増やしたりしたが雌猫は至って健康だった。

毒薬作戦は一旦止めて、雌猫の頭に植木鉢を直撃させる計画を考えた。
下準備として、あいつが良く通る場所の屋根に、重い鉢を設置し、
風圧の天術で落とす、これなら誰にも気付かれまい。

門下生たちの稽古着を持って、洗濯場に向かう雌猫。
よし、乙地点の屋根を通るぞ・・・・・・・・・・・・・今だっ!

雌猫に直撃、やったぞ、あの高さだ、額から血ぐらいは流すだろう。

「わぁ、びっくりしたなぁ~。
あっ、破片片付けなきゃ、次通る人怪我しちゃうよね」

あいつ!頭の土を払うだけで、痛がるそぶりはなしとは・・・・・・。
破片を片付け、むき出しになった植木を近くの鉢に植え直して、
何事もなかったように去って行った。

前回同様、重量を増やして何度も落としたが、
まぬけな驚き声をあげるだけで、一切怪我をしなかった。
鉢を割り過ぎると、誰かに不審がられるので、一旦中止にした。

むぅ・・・雌猫を潰さねば、竜史との未来はない。

まぁ、いい、今日は竜史と二人っきりで出かける約束があるのだ。
もちろん、雌猫には内緒だ、でないと私も行く、とか言いかねないからな。

「よぉ、ネリア、行こうか」

愛しの彼が笑顔で傍に来た。
私は竜史の手を引いて、大通りに繰り出していく。

日が沈んでも、人々の喧騒は止まず、灯りがいたるところで揺れている。
そんな、人ごみの中を連れだって歩き、
普段じゃあまり話さないような話題を交わしながら互いに笑顔になる。

食事をとったり、色んな品物を見たりしている内に、
人気のない公園のような場所に来ていた。

「楽しかったです、ありがとうございます」

「俺もすごく楽しかったよ」

「あの、妹さんと私、どちらが好きですか、女として」

竜史の顔が赤く染まる、まぁ仕方がない。

「まぁ、女性としてなら、ネリアかな・・・なんてなっ」

「じゃあ、しても構わないですよね?」

「何を・・・」

「本当は分ってるんですね、さぁ・・・・・・」

私の唇に竜史の唇が触れる。

「嬉しい、もっとします?」

「まぁ、取りあえず今日はこのくらいでっ・・・ねっ?」

「ふふっ、竜史さんがそう言うなら・・・・・・ふふっ、次は期待し・・・」

「待て、しっ・・・!静かに」

竜史は私を静かにするよう指示し、耳をすませる。

「ネリア・・・・・・なんか、殺気を感じる。
暗がりで姿は確認できないが、間違いなく四、五人はいる、しかも囲まれている」

「暴漢でしょうか・・・ならば、私の天術であなたを守ります・・・!」

「ありがとう。でも、俺はいい、自分の身を守ることは優先してくれ」

気配から、草を踏みしめる足音に変わった。
四方八方から、わらわらと黒づくめの連中やって来た。

149 名前:深優は泣いた ◆J9zPo6rgI.[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 08:17:47 ID:b5apGo9c [5/7]

「女いるじゃねぇか、まあ、後でもう一人分請求すりゃぁいい、殺れ!!」

怒号のような声で竜史の真正面の黒服が叫ぶと、
他の黒服が襲いかかって来た!

真正面の黒服に対して、高圧縮された風圧の球を放ち、先手取る。
もう片方の手にもあらかじめ風圧球を込めていたので、右の黒服にも放つ。
胃液と血を吐きながら、二人は腹を抱えて地に伏せる。

左の黒服は差し迫った間合いにいるため、念じる時間が無い。
なので迷わず刀を抜き、やつの薙ぎ払いを受け止め、鍔迫り合いに持ち込む。
奴が力で強引に崩そうとするのを逆手にとって、
力を抜いて相手を崩す。間合いを取ることに成功。

対峙したはいいが・・・・・・黒服の刀身の銀色が月光に反射して、
やたらと目に焼きつく。
それを見ていると、殺し合いをしているという現実が徐々に頭を支配するようになる。
切っ先が震える・・・・・・怖い、死ぬの?こんなところで?嫌だ、誰か・・・!

助けを求めるように、一瞬だけ竜史の居た場所を一瞥するが居ない。
刀の金属音だけが遠くで響く。竜史、死なないでっ・・・・・・。

もたもたしていたせいか、痛そうにうずくまっていた黒服たちが起き上って、
鬼の形相でこちらにゆっくりと近づいてくる。
同時に三人相手なんて無茶だ、出来っこない・・・・・・誰か、誰か、お願いっ・・・!

「なんだお前、引っ込めっ!」

私と他の黒服共々、怒鳴り声をあげる黒服の方へ向く・・・・・・雌猫?なんでっ・・・!?

怒鳴り声を上げた黒服が、雌猫に近付いて行く。
すると、雌猫まであと三歩というところで、夜空に盛大な血しぶきが上がる。
??・・・・・・!!ひっ・・・黒服の頭がないっ!?

「なっ、なんだお前!!何をしたっ!!!」

「頭を蹴っただけだよ?」

二人の黒服は大慌てで雌猫に襲いかかる。
雌猫は右の黒服の突きをひらりとかわし、
もう一方の黒服が斬り下ろしてきた刀を素手で掴み、
へし折ると同時に、空いた方の手で腹を殴る・・・・・・いや、突き刺した!
雌猫の腕は腹部を突き破って、空高く上がっていた。

血だらけになった手をすぐに抜き、
尋常ならざる機敏さで、残りの黒服に接近し、胸倉と袖を掴んで頭から叩き落とす。
鈍い音が大地に響く。
首があり得ない方向へ曲がって、背中の骨が突き出ている。

血だらけの雌猫は私を一瞥して、近寄ってくる。恐怖で体が動かない。

「ば、化け物っ!!!来るなっ!」

「大丈夫?助けにき・・・」

殺されると思い、走って奴から離れた。
雌猫が異様な怪物に映って、竜史のことを考える余裕はなかった。



「四人もやられた、クソっ・・・強ぇじゃないかよ、こいつ・・・・・・割りに合わん」

「我流は基礎できていないから、脇が甘い・・・・・・死にたくないだろ?失せろ」

なんとかまだ生きている、首の皮一枚残っているような状況だ。
太股と肩を斬り付けられてるが深くはない。
しかし、ネリアが気がかりで、あまり集中できない・・・・・・。
それにしても、こいつら誰なんだ?

「お前、誰に雇われてんだ」

「ああ?金さえ貰えりゃ、誰に雇われようが、知ったこっちゃねぇ」

雇われただけのゴロツキのようだ・・・・・・誰が指示したんだ?

「大人しく・・・・・・死ねっ!!」

「胴がガラ空きだ!」

強烈な一振りを捻じ込み、黒服をよろめかせる。
最後に延髄に一撃。泡吹いて気絶。

もちろん峰打ちだ、殺しなんて御免こうむる。

「ネリア!!」

休む間もなく、全力で丘を駆け上がり、ネリアを探す。
すると、いつもの見慣れた顔があった、ミュー・・・?

「どうしたんだ?」

「コルネリアさんなら大丈夫だよ、走ってお家に帰ったのぉ」

「どういう事だ?」

「私が助けたんだよ、ほら見て!悪い人が眠ってるでしょ」

下方に目を向けると、無残な人型が三体。
恐る恐る近づき、一体一体生死の確認をする・・・・・・だめだ、完全死んでいる。

150 名前:深優は泣いた ◆J9zPo6rgI.[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 08:18:12 ID:b5apGo9c [6/7]

「ミュー・・・・・・いや、何も言うまい。
ありがとう、ネリアを助けてくれて」

うん、と無邪気な微笑みを見せる。深優が幼い頃の笑顔とそっくりだった。

「ネリアが心配だから、あとを追おう」

「コルネリアさんは大丈夫。それより、お兄ちゃんいっぱい怪我してる。
・・・・・・許せない、許せない・・・!誰がやったの?」

「ああ、あっちで気を失っているよ。後で治安隊に突き出す。
って・・・・・・おい!どこ行く!」

目にも止まらぬ速さで丘を下って行く。
その僅か二秒後、肉を包丁でぶっ叩いたような音が四回聴こえる。
その後、ミューが嬉しそうに丘を駆け上がってきて、俺に抱きつく。

「お兄ちゃん、キズ見せて、治すよ」

ミューのあまりにも無慈悲な行動は、俺から気力を奪った。
まじまじと傷口見つめ、恍惚とした表情になるミュー。

「痛かったでしょう?
良く頑張ったね・・・・・・舐めたら治るかも・・・・・・ぴちゃ、ぺろっ・・・」

優しい滑らかな舌使いで、患部を刺激する。
痛さと気持ち良さが半々といったところか。

「お兄ちゃんの血、お兄ちゃんの血・・・はぁはぁ・・・・・・鉄の味がするぅ・・・」

「治るわけないだろ、そんなので」

「じゅっる、ん、ぴちゃぺろぺろ、はぁはぁ・・・・・・すごく綺麗になったよ。
お兄ちゃんの体の一部が・・・私の体に取り込まれているなんて、ぞくぞくするよ」

ミューはこんな残酷で淫らな顔をする子じゃなかった。
優しく、清楚な子になるよう育てたのに、
どうしてこんな一面を持ち合わせるようになったんだ、俺はどうすればいいんだ・・・。

「ねぇ、世の中って意地悪な人いっぱいるね」

「そうだな」

「お兄ちゃんと二人っきりの世界に行きたい。
そうすれば余計な心配もしなくて、
お互いだけを見ていられるのにね・・・・・・はみゅ、ぺろぺろ・・・」

ミューの混じりっ気のない白い肌と鮮やかな朱色が、月の光で美しく煌めいている。