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179 名前:狂宴高校の怪 第15話(試練編)[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 20:50:17 ID:i55FJM5Q [2/5]
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 四年前の記憶と共に蘇るマナカの記憶。
 ・・・俺にとってマナカは、特別な存在だったのか。
「私はケンゴウ君のためなら何でもする!その気持ちは四年前も今も変わってはいない!」
 抱きついてきたマナカが、思いっきり俺の腹を絞めてくる。
「もう離さない!ずっと思い続けてきたケンゴウ君なんだ!誰だろうとケンゴウ君をとるつもりなら容赦しない!誰だろうと・・・!」



 ・・・マナカにとっては長かった四年間。
 俺はその四年間、マナカを傷つけ続けていた。
 ・・・もっと腹を締め付けてほしくなる。痛さが足りない。

 不意にマナカが愛しくなった。俺はマナカを抱き締めた。
「ケンゴウ君!?」
 突然の出来事にマナカが驚きの声を上げた。
「俺はずっと・・・マナカを傷つけ続けていた。本当にすまなかった・・・。」
「・・・謝らないでくれ。私はケンゴウ君さえいれば何でもいい。」
「俺は過去の記憶と一緒に・・・。」





「お前を一心に受け止めてやる!」





 腹の締め付けが弱まる。
「その代わり・・・俺のトラウマ・・・。一緒に戦ってくれないか?」
 マナカの口から出た言葉、たった二文字の言葉が、そしてさっきとは違った澄んだ瞳が、俺の心を癒してくれた。
「うん!」



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「ふーん、そんなことがねぇ・・・。」
 今、俺はケンゴウのアパートの中にいる。
 お見舞いにやって来たとき、ケンゴウはマナカと抱き合っていた。さすがに邪魔だったかと退散しようとしたが、ケンゴウとマナカに呼び止められて強制収容。そして俺は、今まで何があったかをケンゴウから聞いて、現在に至る。

「男の人はね、ここをこんな感じで舐めてあげると気持ちよくなるのよ。」
「クドさん!手錠の場合はどんな感じで?」

 俺とケンゴウの後ろでは、クドがマナカに何かを教えている。何を教えているかは怖いので確認しない。
「クドの時もそうだったが・・・偶然にしては出来すぎだな。」
 そう。話を聞いてみると、ケンゴウとマナカが思い出したのは四年前の記憶。クドもあの時、四年前の事を思い出したらしい。
 四年前という共通点。いったい何があったんだ?

「それで本題なんだ。マナカのこと、せめて葉久保達には・・・。」
「言っておいた方がいいかもな。マナカはクド以上に本気だ。犠牲者を増やさないためにも最低限言っておくべきだな。」
 言わせてもらうが、マナカはクドより質が悪い。本気になったマナカは、ちょっとでも違う女子とケンゴウが話せば、間違いなく手にかけようとするだろう。最も避けたい事だ。
「しょうがない・・・。まぁ何かあったらフォロー頼むな。」
「おぅ、任せとけ。」
 久々に俺達は腕をぶつけた。

180 名前:狂宴高校の怪 第15話(試練編)[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 20:51:53 ID:i55FJM5Q [3/5]
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「ずいぶんと今さらですね・・・。」
 え?
「マナカさんがケンゴウ君の事が好きなことぐらいはわかっていますし、前例があった以上、怯えたり軽蔑したりはしませんよ。」
「そうだぞケンゴウ君!私だって幼馴染みには手を出したくはないぞ!」

 コイルが「やれやれ。」のポーズをとって俺を見てきた。
 寝る間も惜しんで言葉を繋ぎ合わせて考えた俺の告白は、知ってましたよの一言で崩れ去った。
 正直、悩んで損した。

 しかし、悩みの種が無くなったわけではない。決断したマナカが果たして、ナオやクドと仲良く出来るだろうか・・・。
 まぁ、そんな心配をよそに、
「マナカちゃん、それ何?」
「私が早起きして作ったハムカツだ!ケンゴウ君の弁当と私の弁当で半分こしたんだ!」
「へぇ~、私もコイル君にやってみようかな。」
「私が教えてあげようか?クドさん!」



 杞憂に終わった。全ては心配しすぎだったってことだ。しかし、やはり異性と話していると、その異性に対して言葉に出来ない憎悪の目で睨むことは変わりない。
 今後俺は、こんなマナカと付き合っていかなければならないのか・・・。まぁ、嬉しくもあるけどな。



「あれ?コイル。妹さんは休みか?」
「いや、来ているはずだが・・・。」
 珍しく妹さんが来ていない。何かあったのだろうか・・・。

――――――――――

「またあなたですか?」
 やはり今回のケンゴウ君とマナカさんの事件、彼が一枚噛んでいたようですね。
「学園祭の時にケンゴウは私を敵に回すことを承知の上で協力を求めてきた。同率の立場の人間ですから、今度はケンゴウを追い込む側に立たせていただきました。」
「結果、二人とも四年前の事を思いだし、繋がりを得た。」
「二人の狂気の起爆剤は彼らを繋ぎ止めている四年前の記憶だけですからね。予定としては、それでマナカがケンゴウを刺すという予定でしたが、こんなにも激変するとは。」
 いや、結果としては成功していますね。
 クドさんもマナカさんも、過去の記憶のせいで歪んだ愛情表現しか出来なかった訳ですからね。
 それにもっとすごいのはコイル君とケンゴウ君のキャパシティ。歪んだ愛情表現を自分の体一つで許容してるわけですからね。

「しかし、クドやマナカだけではない。まだ記憶を取り戻してない人もいるでしょう?シドウ、君も含めてね。」
 私の・・・記憶ですか・・・。いくら四年前を想像しても出てこない。やはりきっかけがなければ・・・。

「忠告です。近々一人、きっかけが出来ます。ご注意を。」
 ・・・また刃物が飛び交う事件が起きるのでしょうか・・・。

181 名前:狂宴高校の怪 第15話(試練編)[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 20:52:43 ID:i55FJM5Q [4/5]
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「無理しちゃダメよ?」
 保健室の先生の声で、私はゆっくりと上体を起こす。
 ・・・お兄ちゃんに、お弁当を届けなきゃ・・・。
「こら、まだ寝てなさい。」
 保健室の先生に半ば強制的にベッドに寝かされる。

 体育の時間に、日射病で倒れて保健室に運ばれた。
 昼休みの今までずっと寝ていたのだが、重要な仕事を忘れていた。お腹を空かせているお兄ちゃんが待っている。
 早く届けないと・・・。布団を避けて、お弁当を教室まで取りに行ってから、お兄ちゃんの教室に向かった。



ゴトッ!



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「腹へったー!」
 ノマルが来ていないということは、当然弁当は無い。次の時間の事を考えると、食っておかないと体がもたない。
「なぁマナカ、ノマルはどうしたんだ?」
「ノマルは体育の時間に保健室に運ばれたぞ?」
 保健室?夏だし日射病にでもなったのかな?
 見舞いに行ってやらないとな。
「ねぇコイル君、私のおかず、いる?」
「あぁそれなら私のも食べて!」
 ナオとクドが弁当箱を差し出してくれた。何でクドはニヤニヤしているんだ?
「マジで!いただきまーす!」
 ナオは唐揚げ、クドは野菜炒めをくれた。二人とも料理上手だとわかるぐらいうまい。これは将来いい奥さんになりそうだな。
 ・・・何て言ったらクドに刺されそうだな・・・。

 ん?廊下の方で何かが落ちた音が聞こえた。誰かが何かを落としたのか?