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653 :名物桜で待ち合わせ 第二話:2011/08/26(金) 11:03:27 ID:roUK2mpo

「おはようございます・・・。」
 二日酔いの頭と戦いながら、一樹は会社に出社した。頭に響く鈍痛は、自然に彼のテンションを低くしていた。

 自分の席についてからも、頭痛がいつまでも頭に響いて止もうとしない。
「新人くーん!」

バフッ!

「うわぁ!」

 不意に一樹の頭が弾力のある感触で包まれた!
「どうしたんだい?朝から顔が暗いよ新人君!」
 後ろから、愛が一樹に抱きついていた。頭の上には、愛自慢の一つである大きな胸が乗っかっていた。ちょっとだけ頭痛が楽になった気がする。
「新人君には暗い顔は似合わないよ。ほら笑顔笑顔!」
 愛は、一樹の顔を強制的に笑顔にしようとしてきた。
「わかりましたわかりました!頭に響くからやめてください!」
 胸が乗っかって気持ちいいのだが、頭を降られたらやっぱり痛い。

「仕事に支障を与えるぐらいだったら早退するんだよ?」
 頭に乗っかっていた胸が離れた。愛の顔は、無邪気な顔からお母さんのようなやさしい笑顔に変わったかと思うと、すぐさま真剣な顔つきで仕事に戻った。
 会社内でも頼れる先輩として人気のある愛は、入社当初から何かと一樹に気を使っている。
 一樹もまんざらでもないのだが、完璧すぎるできた女性と自分が釣り合うのか、と考えてしまい、無意識に拒否しがちになっていた。

「はぁ・・・。」

 思わずため息を漏らす。
 深く考えることをやめ、一樹は仕事に戻った。


654 :名物桜で待ち合わせ 第二話:2011/08/26(金) 11:04:02 ID:roUK2mpo

「ただいまぁ・・・。」
 仕事を終え、一樹は独り暮らしをしているマンションに帰ってきた。
 頭痛を気にしないために、いつも以上に仕事に没頭していたため、いつも以上に仕事時間が長く感じた。
「あぁ・・・そういえば携帯・・・。」
 昨日の夜に充電し忘れて、画面が真っ暗な携帯に充電器を差し込んで起動する。



♪~♪~



「ん?着信・・・50件?メールも・・・75件!?」



♪~♪~

 驚いていると、携帯は再び鳴り出し、メールが来たことを伝えた。
「何だこれ?76件全部同じアドレスだ・・・。」
 おそるおそる、新しく来たメールを開いた。

「今からそっちに行くから」



♪~♪~

 またメールだ。一樹は震える手でメールを開いた。

「着いた~♪」



ピンポーン!



「・・・。」
 おそるおそるドアの外を見る。
「・・・・・・・・・優?」
 ドアの前に、優子が立っていた。



「お前、どうして俺の家がわかったんだ?」
「おじさんとおばさんに聞いたんだよ。電話番号とメールアドレスと一緒にね。」
「お前の仕業だったのかよ!怖かったんだからマジでやめてくれよ。」
 ポン!と頭を撫でるように叩く。
「えへへぇ~!」
 にやける優子。



 それから二人は、軽い雑談を始めた。優子が自分を嫌ってないか不安だった一樹は安堵の表情を浮かべていた。

「じゃあもう帰るね!」
「一人で大丈夫か?」
「大丈夫!私強いもん!」
 力こぶを見せるようなポーズをとったのち、優子は外に出ていった。

 心配事がなくなったのと、長い時間の雑談で疲れたのか、一樹は急に強い眠気に襲われ、敷いてあった布団に横になってすぐに熟睡してしまった。


655 :名物桜で待ち合わせ 第二話:2011/08/26(金) 11:04:39 ID:roUK2mpo

「おはようございます!」
 いつも以上に清々しい挨拶で入ってきた一樹に気づく愛。
「今日は元気だな!昨日、良いことでもあったのかい?」
「はい!心配事がなくなりました!」
「うんうん!新人君にはやっぱり笑顔が一番似合うよ。」
 愛は一樹の頭を撫でた。いつもは抵抗している一樹だが、幸せ一杯といった表情をしている一樹に抵抗という言葉は出てこなかった。



 しばらくして、

♪~♪~

「ん?メール?」
 携帯を開きメールを確認する。差出人は優子のようだ。

「実は今日、大事な話がしたいから○○条○○丁目の○○通りに来て。」

 一樹はすぐさま返信した。
「何時にいけばいいんだ?ていうかメールとか電話じゃ言えないことなのか?」



 三時間は経っただろうか。未だに返信が来ない。
「まいったな・・・仕方ない!仕事終わりに行ってみるか。」
 さすがに向こうも何時ぐらいに終わるかぐらいは予想しているだろう、と考え、一樹は残っていた仕事に取りかかった。



「ヤバイ!すっかり遅くなっちゃった!」
 時間は10時を回っていた。さすがにこれは予想外だ。思った以上に仕事が長引いたのと、課長が帰り際に自分の仕事を一樹に押し付けたことが原因だ。
 一樹は課長に対する怒りをどこにもぶちまけられず、ただひたすらに目的地に向かって走った。

「この道の先って確か・・・ラブホ街だったはず。」
 道を間違えたか。しかし言われた場所は確かにこの先だ。とりあえず行ってみようと歩を進めていった。
 その時

「おぅ兄ちゃん!金がなくて困ってるんだ!」
「痛い目見たくなかったら財布の中の金を出しな!」
 急にやって来たチンピラ二人組。そして後ろには茶髪の・・・女子高校生がいる。
 ヤバイのに会ってしまったな・・・。
「ほらほら!金だよ金!」
 チンピラの一人が一樹のスーツを掴み、もう一人が鞄をひったくって中を漁る。財布の中まで漁られてしまっている。
「け!こんなんじゃ遊べねぇじゃねぇかよ!」

ドス!

「ぐぅ!」
 腹を殴られた一樹は、その場に倒れる。
「とりあえず札は全部もらっていくか。じゃあな兄ちゃん。」
 財布から札を抜き、そのままいこうとしたとき

「あなたたち!待ちなさい!」
 凛とした声が響く。
 チンピラ達の前で仁王立ちしているのは、会社の先輩の愛だった。
「何だテメェ!調子こいてんじゃねぇよ!」
 チンピラが拳を飛ばす!



ガシ!



 愛はチンピラの拳を手で受けとめ、同時に腹に蹴りをいれた!
「ぐふぅ・・・。」
 チンピラの一人が倒れた。
「この女!」
 もう一人のチンピラがナイフを取りだし、愛に迫る!
「危ない!」



「これでも柔道習ってたのよ。諦めてここから去りなさい!」
 ナイフを上手く交わし、もう一人のチンピラも抑え込む。
「わかった!もうなにもしないから!」
 チンピラは二人して逃げていった。その後を追うかのように、二人の女子高校生も去っていった。



「愛さん!助かりました!」
「新人君も災難だったね。何でこんな危ない所にいるんだい?」
 答えようとした時、愛は一樹の後ろに目をやる。
 後ろにあるのは、この通りで一番大きく、サービスも道具も充実しているラブホテルだった。
 瞬間、愛は瞳を光らせた。



「立ち話もなんだから、とりあえず入りましょう!」