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796 :名物桜で待ち合わせ 第五話:2011/09/10(土) 21:52:13 ID:I2yBSiNA

 帰り道、愛の顔は自然と笑顔になっていた。
 それもそのはず、大学時代から好きだった相手とエッチが出来たのだ。

 にやけた顔で、愛は歩きながら自分のお腹を撫でた。

「・・・。」

 一樹の精液が私のお腹を満たしている・・・。
 その現実が何より嬉しかった。

 このまま妊娠してしまいたい・・・。

 愛は本気でそう思った。



「・・・?」

 ホテルの通りを出た辺りからだろうか、愛は後ろに気配を感じていた。
 しかし、男の気配ではない。普段から男のストーカーが付きまとっている愛は、気配だけで性別を識別できる。

「・・・!?」

 男ではない、というのはわかったが、感じる気配がいつもと違った。
 同性のストーカーもたまにあったのだが、その時は大抵はレズ特有の気配があった。
 今感じている気配は、女性が悶々としている気配ではない。
 これは・・・殺意!?

「・・・!」

 即座に後ろを振り向く!

「あなたは・・・?」

 立っていた女性は、愛にただならぬ視線を送っていた。

「一樹は・・・私の運命の人!!!」



――――――――――

「おはようございます・・・。」
 次の日、一樹はいつも通りに出勤した。

「ん?一樹どうしたんだ?その頬。」

 一樹は両頬に絆創膏を貼っていた。

「えっと・・・昨日階段で転んじゃいまして。」

 もちろん転んでなどいない。昨日、愛のキスでつけられた跡をごまかすためである。
 頬以外の箇所は、服でなんとかごまかすことができたが、頬だけはそうはいかなかった。
 石鹸で洗ったり、タオルで擦ったりしてみたが全く消えなかったので、応急処置として行ったのだ。



 いつも通りに席につく一樹。
 しかし、何かがおかしかった。
 そんな異変に、そしてその原因に、一樹は即座に気づいた。

「あれ?愛さん・・・いない?」

 普段なら、席についたらすぐに愛が頭に胸を乗せてくる。しかし、なぜか今日はそれがなかった。
 それどころか、いつもなら愛が座っている席が空席になっていた。

「あぁ愛さんか?欠席みたいだが連絡がないんだ。」

 同僚が説明してくれた。
 今まで仕事を休んだことがなかった愛が、連絡も無しに急に欠席?

 昨日のこともあるので、一樹は急に心配になった。

「まさか・・・、昨日のあれで変な病気にかかったんじゃ・・・。」

 とりあえず、昼に電話してみよう!

「あれ?課長も休みですか?」


797 :名物桜で待ち合わせ 第五話:2011/09/10(土) 21:55:06 ID:I2yBSiNA

 午前中の仕事、一樹は無心で仕事に励んでいた。
 頭の中を占めているのは、愛の事だけだった。

「愛さん・・・愛さん・・・愛さん!」

 もはや、何をしようにも頭の中に愛がいる。昨日の夢の中にも愛が出てきたぐらいだ。
 無心で仕事をしようと思えば思うほど、愛の事が頭に浮かぶ。なんとか振り払おうと仕事に打ち込む。自然とペースが早まっていった。

「・・・・・・・・・・・・・・・終わった。」



 正午の休憩時間、一樹は屋上にダッシュで向かった。
 通話は屋上すること、と会社で言われていたため、午前の仕事の時間が終わると同時に、足が勝手に屋上を目指していた。

 携帯を取りだし、愛の番号を押す。

プルルル

プルルル

プルルル

「出ない・・・?」

 普段なら愛は、一樹からの電話には三回のコールで必ず出る。

プルルル

プルルル

プルルル

 音が始まって終わる度に、一樹の心は言い様のない不安で一杯になる。

プルルル

プルルル

プルルル

 不安はどんどん募っていく・・・。

プルルル

プルルル

プルルル

プルルル

プルルル

ガチャ!

 出た!

「あ!愛さん!」
 やっと繋がった!思わず声が大きくなる。

「あ!一樹!」

 一樹は耳を疑った。

 携帯の液晶画面には、確かに愛の名前と愛の番号が映っていた。
 しかし、聞こえた声は愛の声ではなかった。

「お前・・・優か?」

 確かに聞こえた声は、聞き慣れた幼馴染みの声だった。

「何でお前が出るんだ?」
「一樹だ!やっと一樹の声が聞けたー!一樹ー!」
「おい!質問に答えろよ!」
「私幸せー!一樹も幸せだよねー!そうだよねー!そうに決まってるよねー!」

 一樹は理解できないでいた。色々と訳が分からない!

「一樹ー!私幸せー!すごい幸せー!」
「おい!お前今どこにいるんだ!?」
「今ー?○○だよー!」
「それって・・・確か!」

 昨日愛と入ったラブホだ!と言いそうになり、すかさず言葉を飲み込む。
 言ってはいけない!と、本能が告げたような気がしたのだ。

「ねー!来てよー!会ってお話しようよー!」
「いや・・・仕事中だから。」
「会いたいよー!一樹も私に会いたいでしょー?」

 話が通じない。諦めて、一樹は通話を終えようとした。



「・・・く・・・たす・・・あい・・・」

 ふと、電話口から小さく声が聞こえた。
 普段なら聞き逃してしまうような小さい声。
 しかし、一樹はこの声を聞き逃さなかった。

「愛さん!?愛さん!」

 聞こえたのは、確かに愛の声だった。

「勝手にしゃべるな!!!」
 優子の声が怒号に変わった。
 その瞬間、通話口からは単調な音が鳴り続けた。

「そんな・・・愛さん!」

 今が仕事時間だと言う理性が消え去り、一樹は全力で地面を蹴った!


798 :名物桜で待ち合わせ 第五話:2011/09/10(土) 21:55:41 ID:I2yBSiNA

 一樹は走った!走り続けた!走らなければいけなかった!
 走りづらい服を着ていたが、そんなのはお構い無しに走り続ける!
 点滅している信号を全速力で渡り、一樹は昨日の通りに入っていった。

 昨日、愛と入ったラブホの前に立っている一樹は、再度愛の番号に電話をかけた。

プルルル

ガチャ!

「優か!?」
「あぁー!一樹来てくれたんだー!嬉しいー!入ってきてー!」
「待て!どこの部屋かくらい!」



ツーツーツー・・・。



「仕方ない・・・行くしかないか・・・。」



――――――――――



「一樹様ですね。優子様がお待ちです、こちらへどうぞ。」
 中に入ると、黒い服に身を包んだ男性数人が一樹を迎え入れた。
 そして今、その数人に囲まれて、「関係者以外立ち入り禁止」と書かれているドアを潜ろうとしていた。

「あの・・・どこに行くんですか?」

 黒服の男達は、一樹の言葉が聞こえていないかのように無視をした。
 どうやら、黙ってついてこいということらしい。



「こちらの一番上のボタンを押してください。」
 一樹は一人で豪華なエレベーターに乗せられ、行き先を指定された。
 謎に包まれたまま、一樹は一番上のボタンを押した。



ブゥゥン・・・。



 エレベーターが動いた。
 一樹の心は落ち着かなかった。

「愛さん・・・。」

 こんな自分を好きでいてくれている女性、なんでもできる完璧な女性、ちょっと怖い女性、愛の事で頭が一杯だった。
 今まで釣り合わないと思い避けていたが、昨日の出来事で完全に心の境目にある垣根を壊された。
 もはや、愛の事しか考えられないくらいに愛を求めるようになった。
 鼓動が、エレベーターが上がるのと比例して高鳴っていく。



 ずいぶん長い時間乗っているな・・・と、一樹は壁に映る外を見た。

「これは・・・最上階?」

 外から見ると20階はぐらいまであるのだが、一般のエレベーターは19階までしか示していない。
 謎に包まれていた最上階に近づくにつれて、鼓動が高鳴ると同時に、新たに不安と恐怖が現れ始めていた。



チィン!

ウィィィン!



「・・・優?」

 着いた部屋には誰もいない。大型のモニターに多種多様な道具に豪華な装飾はもちろん、巨大冷蔵庫等の日用家電が一通り揃ってる。

「まさか・・・優のやつ、ここに住んでるのか?」

 リッチな生活感が溢れる部屋の奥には、重そうな扉があった。
 自然とその扉に目が行く。

「・・・入るぞ?」

 返事がない。いるのかいないのかは分からないが、入るしかないと思い、一樹はドアノブに手をかけた。



ガチャ!



「・・・優!?」
「一樹ー!待ってたよー!」
 扉の先には、全裸でキングサイズのベッドに座っている優子の姿があった。
 別れる前に比べて、スタイルが格段に進化している。
 あまりの凄さに唾を飲み込み、視線が優子に向かう。

「・・・そうだ!愛さん!」
 我にかえった一樹は、部屋の奥に向かった。
 早く会いたいと言う一心で、一樹は優子の前を通る。



 愛の足が見えた!



「愛さ!!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」