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739 名前:白髪女とちっさい女  ◆/wP4qp.wQQ[] 投稿日:2011/09/03(土) 02:55:19 ID:bY2qZ6pI [2/7]
・・・・雨、か
昼過ぎから降ってきた雨は、放課後には少し強くなっていた。
僕こと天川 星司(あまかわ せいじ)は雨の日が嫌いだ。
陰鬱な気分になるし、あの日ことを思い出すからだ。
傘あったかな?
そんなことを思っていると、僕の親友であり、幼馴染である平 聡太(たいら そうた)と新見 禊(にいみ みそぎ)が声をかけてきた。
「ほっしー、この後、暇?」
ほっしーとは禊が僕を呼ぶときに使う言葉だ。
これは彼女しか使わないが、僕は結構気に入ってたりする。
「ああ、暇だよ。」
少し考えてから返答すると、聡太が嬉しそうに
「だったらゲーセンいこうぜ!ゲーセン。」
と僕を誘ってくる。
「また格ゲーか、いいよ行こうか。禊は行くのか?」
と禊に聞いてみると
「うん。みんなフルボッコにしてやる!!」
と目をキラキラさせながらそう言う禊は子犬を連想させた。
禊は小さい。身長も低いが体全体がちいさいのだ。
胸なんかも全然なくて今年で17才にもかかわらず。よく中学生に間違われている。
身長が144cmしかないのだから仕方ない。
髪の毛はいつもツインテールにしてて、前髪はキッチリと切りろえられている。
目はクリクリっとしているし、鼻は少しぺちゃっとしているが、整っていてそんじゃそこらのアイドルに負けないぐらいの可愛い顔の持ち主だ。
性格は明るくて、誰とでも話し、同じ学年どころか違う学年にも沢山知り合いがいるようだ。
完璧のように思えるが、おつむが弱く、テストの時に赤点をいっぱい並べて唸っているのをよく見る。
「それはこっちのセリフだな」
そう言いう聡太の成績は禊とは対象的で学年では常に1番。
さらにイケメンで校内のイケメンランキングではいつも上位にいるし、スポーツ万能でとてもよくモテル。信じられないくらいに。
二年生になってまだ2ヶ月なのにもう一年生に告白されたりしている。
ちなみに大のゲーム好きでいつもゲームばっかりしている。
なのでゲームの時間が減るといい、女の子と付き合ったりはしない。
性格は基本優しいが、ゲーム時は人が変わる、悪い方に。
それ以外は完璧なのに・・・。残念だ。
今日やるゲームも聡太が一番強くて、全国にも行ったことのある猛者だ。
禊も僕もかなり強い方なのだが、全然歯が立たない。
この二人を見ていると、完璧な人間って居ないんだなってつくづく思わされる。
「じゃ、行くか」
いかにも待ちきれないとばかりに聡太が言ったので
「おうよ」
と返事して、僕たちは教室をあとにした。

740 名前:白髪女とちっさい女  ◆/wP4qp.wQQ[] 投稿日:2011/09/03(土) 02:56:18 ID:bY2qZ6pI [3/7]
「おいおい、誰も傘もって来てないのか?」
今僕たちは玄関にいる。
「oh!!イエッさー。うちが持ってきてるわけないじゃん。」
と敬礼しながら言う禊。
愚問だったみたいだ。禊らしいといえばらしい・・・
「俺は置き傘ならあるけど・・・」
と控えめに手を挙げながら聡太が言った。
「じゃあ僕と聡太が使うから禊はダッシュな。」
と僕がそんな冗談を言うと
「oh!!イエッさーって何でうちが!!乙女のうちより君たちが濡れなよ。」
「バカは風邪を惹かないんだろ?」
「うちはバカじゃないよーっだ。バカって言う君の方がバカなんだ。
大体私が濡れたら、水も滴るいい女になるでしょーがー!!」
「それを言うならいい男な。ププッ」
「バっバカにしたなー!!校舎裏に来いコンニャロー。うちの必殺・・・」
「まあまあ。」
僕と禊が漫才をしていると、聡太が呆れながら止めに入ってきた。
よく僕と禊がこんな掛け合いをして、聡太が止める。
いつものことだが、こんな関係がたまらなく心地よく感じる。
「仕方ないな。じゃあ聡太と禊が入って。僕は走って先に行くから。」
僕がそう言うと
「うん・・・」
と禊が頷いた。心無しか少し寂しそうだ。
「ん?大丈夫か、禊?元気がなさそうだけど・・・」
「えっ、いや別にだっ大丈夫だよ。別にほっしーと相合傘したかったとかそんなんじゃないんだから!!」
と顔を真っ赤にしながら早口で話す禊。
それをニヤニヤと見ている聡太。
「おっおう」
訳も分からず返事をしてしまう僕。
たまにこんな風なやり取りがあるのだが、なぜ聡太はいつもニヤニヤしていのだろう?
そんなことを思いながら鞄を傘の代わりにして僕はザアザアと雨の降る中を駆け出した。

741 名前:白髪女とちっさい女  ◆/wP4qp.wQQ[] 投稿日:2011/09/03(土) 02:57:15 ID:bY2qZ6pI [4/7]

僕たちがよく行くゲーセンは学校から徒歩10分位の所なのだが、UFOキャッチャーや音ゲーなどがなく、
格ゲーしか置いてない小さなゲーセンだ。
タバコ臭くて暗いので学生が少ない。
行くなら市街のプライズゲームの沢山ある方に行くだろう。
なので僕たち3人の中では密かに穴場になっている。
僕は財布の中に100円玉がないことに気づき、財布から1000円札を取り出して両替機に突っ込む。
ガラガラと出てきた100円玉手に取り数える。
よし。ちゃんと11枚あるな。あれっ?11枚?
何か多くね?
そんなことを思っていると
「お兄さん。」
と後ろから声をかけられたので後ろを振り向くと、そこには白い少女がいた。
白いというのは別に比喩的表現ではなく本当に白い。髪が。
彼女の腰まである長い髪は黒色ではなく、白だった。
白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪
白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪
白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪
白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪
白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪白い髪
頭の中が真っ白になる。上手く呼吸が出来なくなる。
ダメだ。そっそ、その色だけはダメだ。ダメだ。
僕にその色の髪を見せないで!!お願いだから!!
何!!僕が悪いの?謝るから、なんでもするから。
手に握っていた100円玉が数枚床に落ちてチャリンと音を立てた。
その音が僕を少し冷静にさせた。。
「ちょっ!!ちょっと、お兄さん。大丈夫?」
そしてその声で僕は正気を取り戻し、
「大丈夫だよ、ぼ、僕は大丈夫、大丈夫だから。」
と自分に言い聞かせるように「大丈夫」という言葉を繰り返す。
それでも少女の目にはそんな風には映らなかったらしい。
女の子は僕を引っ張り近くの椅子に座らして、両替機の近くに落ちた100円玉を拾いに行った。
本当に僕は何をしているんだろう?とぼんやり考えながら、彼女の白い髪を見る。
腰まである長い髪。
色を混ぜる前の白い絵の具を薄めたような色で白髪と言うより銀髪の方が表現として近いのかもしれない。
あの少女は彼女とは違うのに、どうしても彼女を思い出してしまう。
昔僕の前で・・・・

742 名前:白髪女とちっさい女  ◆/wP4qp.wQQ[] 投稿日:2011/09/03(土) 02:57:56 ID:bY2qZ6pI [5/7]
「おーい。お兄さん、少しは落ち着いた?」
僕が昔のことを思い出していると、少女がそう聞いてきたので、
「うん。ごめんね。急に取り乱しちゃって・・・。もう大丈夫だよ。ありがとう。」
と僕が謝罪と感謝を表すと、少女はにっこりと笑った。
そうだこの少女は彼女とは違うのだ。そう自分に言い聞かせて、少女と目を合わせる。
僕は、そこで初めて、少女の端整な顔立ちを知った。
禊のように日の光で輝く健康的な美しさではない。
正反対の、暗い深淵の底からじわりとにじみ出てくるような、他人を寄せ付けない神秘的な美貌。
白い髪とその美しい美貌はこの前テレビで見た西洋人形を思い出させるほどだ。
僕は一瞬、そのミステリアスな美しさに見惚れてしまった。
そんな自分を少し恥ずかしく感じたので、なぜ話かけてきたのかを聞いてみることにする。
「そんなことより何か用?」
「あっ、そうそう。両替機に100円忘れたみたいなんだ。取りに行くとお兄さんがいて・・・」
思い出したように少女は言った。
「そういえば、1000円入れたのに11枚100円玉があったな。君のだったのか。」
僕はそう言いながら少女に100円を渡そうとすると、少女は驚きながら口を開いた。
「お兄さんって割といい人だね。」
「なんで、そう思うの?」
「私だったら儲けたと思って、ポッポナイナイ!て感じになると思うから・・・」
「いやいや。君には迷惑も掛けたしジュース位は奢ってもいい気分なんだけど・・・」
と言うと、少女は更に驚いたように
「えぇー!!いいの?嘘じゃない?」
と聞いてきたので「いいよ」と答えると、
少女は「やったー。」とにっこりと笑った。
その笑顔はもういない彼女と似ていて少し僕をドキリとさせた。

743 名前:白髪女とちっさい女  ◆/wP4qp.wQQ[] 投稿日:2011/09/03(土) 02:58:27 ID:bY2qZ6pI [6/7]
自動販売機で僕は炭酸飲料を、少女は紅茶を選んで椅子に座ろうとした時に入口から聡太と禊が楽しそうに話しながら入ってきた。
禊は僕を見つけると手を振ろうとしたが、急に驚いた顔になって怒ったような顔になった。
おそらく僕の隣にいる少女に気づいたのだろう。
禊は怒った顔のままズンズンと歩いてこっちに来る。
何故か知らないが背中が一瞬ゾックとしたが、気のせいだろうと気にしなかった。
禊は僕たちの前まで来ると
「ほっしー。その子だれ?」
と、普段の禊から考えられない氷のような冷たい声で僕にいった。
「えぇーっと・・・」
僕が口ごもってしまう。
なぜなら禊が怒った理由が分かってしまうからだ。
浮気の見つかった夫とはこんな感じなんだろうか?
と思いながら良い言い訳を考えていると、隣の子が口を開いた。
「初めまして。私はひかりヶ丘女子大学付属高等学園一年生の百瀬 彩弓(ももせ あゆみ)です。よろしくお願いします。」
彩弓ちゃんは自己紹介をするとペコリと頭を下げた。
それを腕組みしながら睨んでいた禊は工事現場のおっさんがしてるように頭を掻きながら不機嫌そうに自分も自己紹介を始めた。
「夜月学園高等学校の二年三組。出席番号24番新見 禊。」
そう言うと禊は手を前に出した。
俗に言う握手と言うやつだ。
彩弓ちゃんは禊の手をつかんだ。
彩弓ちゃんの身長は高い方ではないが禊が小さ過ぎるので必然的に禊を見下ろす形になる。
禊はそれが気に入らないのかすぐに手を引っ込める。
そして僕の方を見て手招きをする。
「ちょっと来い」と言う合図だろう。
僕はそれに素直に従う。
禊は僕の手を取ってゲームセンターを出ようとした。
途中、聡太と目が合った。
その目は「やっちまったな。ご愁傷さま。」と言ってるようだった。