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951 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:35:52 ID:n0OBkfas
「おいこら。俺を解放しなさい」

休日の昼すぎに目を覚ました悠二は、身体の自由を
奪われていることに気がついた。太いベルトが
幾重にも巻かれており、ベッドの上で固定されている。
両手両足はもちろん、首にもしっかりと巻かれてる。

これでは苦しいので身動きしたいのだが、悠二の隣で
卑猥な本を読んでいるアイリが許してくれそうにない。
アイリが手にしているのは二次元の同人誌。

アイリにだけは心でも見つかってはならない代物だった。

「ふんふん。ふぅ~~ん。悠ちゃんってちっちゃい女の子が
 好きだったんだぁ~~。ロリコンの人って分からないなぁ」

言葉だけ聞いてると可愛いものだが、鬼の形相でページをめくっていた。
タイトルは『魔法少女マロカエロカ』と書かれている。
見た目小学生にしか見えない少女達があられもないレズぷれいに
勤しんだりする内容である。他にも同人誌はいくつかある。

(もう殺せ……)

計り知れない絶望に舌を噛み切りたくなる悠二。

家族は全員出かけてる。今日はたまの休日なので惰眠(だみん)
をむさぼろうとした悠二だったが、いつのまにか侵入してきた
アイリに襲われた。そして現在は猛獣と二人きりで
心温まるような時を過ごしてるわけである。


952 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:36:56 ID:n0OBkfas
彼女によるエロ本チェックならまだ生易しいかもしれない。
何度も説明してるがアイリとは正式に付き合ってない。

「まさか浮気してるのが漫画の世界の女の子だとは思わなかったよぉ。
 世界は広いんだね~。ふふふ。これ、全部燃やしちゃっても
 いいかな? 出版社から作者から全部含めて」

彼女の権力だとそれくらいは許されそうだから笑えないのだ。
その作品はアニメが原作だが、彼女の親父なら製作会社ごと
転覆させることができるかもしれない。

「ごめんなアイリ。その前にこれだけは言わせてもらう。
 彼女達で抜くのは最高だったよ。特に金髪の女子中学生が
 可愛くてな? マ○さんていうんだけど彼女の胸は
 中学生と思えないほど…」

「……この前さぁ、私だけを愛してくれるって言ったよね?」

「はて? なんのことだ? 一切記憶にございません」

「……包丁どこかな~? 台所?」

「待ちなさい君ぃ!! 俺はロリコンだって認めたんだぞ!? 
 めちゃ勇気出したんだよ!? 何か問題でもあるのか!?」

「問題大有りなんてレベルじゃないよ。自分の婚約者が
 ペドだったなんてキモすぎでしょ……。できるだけ苦しまない
 ように逝かせてあげるからね。そのあと私も昇天するから。
 やっぱり私たちは天国で愛し合ったほうがいいと思うんだ」

アイリはふらふらとベッドに接近し、ぼすんと倒れこむ。
悠二の顔を手で掴み、正面から視線を合わせる。
緩やかな動作で彼の首を絞めようとしたとき……


953 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:37:42 ID:n0OBkfas
「心から愛してるぞアイリ。俺にはお前以外考えられない」

「あっそ。くだらない冗談を言うってことは、
 覚悟は出来たってことでいいんだね?」

「待てっつってんだろうが!! 頼むから俺の首から
 手を離してくれ!! これ以上俺を怒らせたら
 俺の新たな性癖を公表しちゃうぞ!?」

「ロリコンで露出魔のくせにまだ新しい性癖があるの?
 さすがにこれは通報してもいいレベルだよ。
 ってかどうしてそんなに必死なの?」

「自分の生き死にがかかってんだからそれゃ必死になるわ!!
 この電波女が!! 俺には二次元の美少女でハァハァする権利も
 ねえのか!!?  ほぉぉぉらあぁ!? 嫁とのエロスと二次元は
 別なんだよ!! 主食とデザートなんだよ!! おまえに分かるか!!」

「……っ」

「あーもう頭に来たぞ!! もうどうにでもなれ!!
 俺を殺すなら早くしろよ!! おまえみたいな電波に
 息の根を止められるなんて最高じゃないか!!
 おら? 何黙ってんだ!? とっととやっちまえよ馬鹿女!!」

するとアイリは哀しげな顔して目を晒してしまった。
先ほどまでの鬼嫁の雰囲気はどこへ消えてしまったのか。
まるで別人のように大人しくなった。

(アイリ………おまえ……泣いてるのか?) トクン

悠二が不覚にもときめく。
デパートで迷子になった幼女を眺めているかのような
このトキメキ。形容しがたい。


954 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:39:02 ID:n0OBkfas
あえて例えるなら↓
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(険しい登山の途中で家族連れと会った。目の覚めるような
 美しい幼女が父に連れられて歩いていた。俺は足の疲れなど
 すっかり忘れてときめいた。……俺はロリコンだったのか? 
 すでに下半身のトーマスは発射寸前だ。こんな感じになるだろう)
--------------------------------------------------------------
※----で囲まれた箇所は読まなくても本編とは関係ない。


「私がこんなに愛してるのに…。
 どうして分かってくれないのぉ…?」

「アイリ……」

「ただ悠ちゃんのことが好きなだけなのに……。
 本当にそれだけなのに……」

つーっと彼女の頬に一滴の涙が流れたのだった。
彼女の心情を表している冷たい涙が。

一人の少女を泣かせてしまった。その事実が、
怒りに我を忘れていた悠二の胸を締め付ける。
アイリとてまだ十七の女の子。
一人の男を好きになること事態に罪はない。

(ふっ……。何で俺はあんなつまらないことで……)

またアイリの全てを許してしまいたくなった。
今度は嘘じゃない。彼は心からアイリに惚れかけていた。
確かに家宅捜査された上に全身拘束されたのは事実。
しかし悠ニはこんな可愛い顔で泣きじゃくる女を他に知らなかった。

「なあアイリ、言い過ぎたよ。
 すまないが俺の縄を解いてくれないか。
 許されるなら、今すぐおまえを抱きしめたい」


955 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:40:19 ID:n0OBkfas
アイリは言う通りにしてくれた。

ようやく自由を得た悠二は体中の間接が悲鳴をあげていたが
涙目で耐え、文字通りアイリを抱きしめる。

「あったかいね……」

「ああそうだ。死んだらこの暖かさも失ってしまうんだぞ?
 もちろん人としての感情もだ。そんなの嫌だろ?」

「うん……」

洋服越しでも確かに伝わる互いの体温。
生きてることがなんと素晴らしいことだろうか。

死の欲とはタナトス。性欲とはエロスの一種で、
両者が交じり合った時に混沌は生まれる。
すなわち、死を間近に感じた者ほど子孫を残したいという
本能に従って行動したがる。

一時の感情とはいえ悠二を殺そうと思ってしまったアイリだが、
そんな彼女だからこそ一層身体がうずくのだ。
身体の奥底から湧き出てくる熱情。彼と繋がりたいという本能。

「何度も何度も不安にさせちまってごめんな?
 俺はこんなにも大切な人が身近にいるのに
 ついつい横道にそれちまった。やっぱり俺は最低だな」

「ううん。いいよ。悠ちゃんは最後は私のところに
 戻ってきてくれるんだもん。大好きだよ」

「俺もだよ……大好きだアイリ」


956 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:41:04 ID:n0OBkfas
「ねえ悠ちゃん」

「なんだ?」

「私を縛ってほしいの……」

「……なっ!!」

アイリの説明によると、二次元同人誌は緊縛プレイが大半だった。
この部屋に多数転がっている三次元モノのSMモノAVや本など、
この男がどうやら極度のSM好きなのは一目瞭然だった。
(それらはアイリが隠し場所を暴き、散らかしてしまった)

「私だってあの女の子たちに負けないくらい
 悠ちゃんを満足させられる。どんな責めにだって耐えてみせるよ」

とのことで、悠二を大いに盛り上げさせてくれたのだった。

幸いこの部屋に悠二を拘束する際に使ったベルトや
ロープなどがあり、希望通りのプレイを展開するには
不自由しなさそうだ。



それから十五分後である。


957 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:42:58 ID:n0OBkfas
ヴィイイイイイイイイイイイイイイイ……

マンションの一室に響き渡る振動音。

「あっ……うっ……あっ………あっ……」

くすぐったそうに身体を小刻みに動かすのはアイリ。
ベルトで縛られてイスに座らされている。
両手は後ろ手(いすの背もたれの後ろ側)で、
足は閉じれないように開いた状態(いすの足に縛れている)

無防備な秘所にはローターがいれられている。

「あうぅう……すごいよこれぇ………!!」

熱を帯びた吐息を吐きながら感じてる愛梨。
上の下からも下の口からもヨダレを
垂らしてる姿はまさに淫乱。

「どうだ? 感じてるかアイリ?」

「う……ん……今までにない感じだよ……すごく……気持ちい……」

悠二の声はアイリの近くから聞こえた。
彼はすぐ横で彼女の痴態を眺めていた。
彼女が我慢できずに垂らしてしまうヨダレを
舐めとっては悦に浸っていた。

一方のアイリは目隠しされている。

「はぅう……あっ……ああん……!!」

視界を奪われると余計に神経過敏になる。
弱い振動を与え続けるローターは、愛液で
零れ落ちないように右の太ももにケーブルを
ぐるぐる巻きにしてある。


958 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:44:10 ID:n0OBkfas
「んんん~~~!! んぐう~~~!!」

唇をキスで塞がれて苦しそうなアイリ。
光を奪われた視界では彼が今どこにいあるのかも
分からないが、確かにその感触を感じることが出来る。

その時、ローターの振動が急に強くなった。

「んん!???」

キスは継続したままだ。

突然訪れた新たな快楽に身体が暴れそうになる。
ギシギシときつそうな音を奏でるベルトとイス。
一切の自由はない。全ては悠二の思いのまま。
手のひらで踊らされる操り人形なのだ。

「ゆ、ゆうちゃ……もうイッっちゃうよ……」

「そうか。淫乱なアイリさんはまたイッちゃうのか。
 これで何回目だと思ってるんだ? この雌豚」

「そんなこと言わないでよ…いじわるぅ…」

「ははは。おまえだって本当はこうされてうれしいんだろ?
 乳首がコリコリになって自己主張してるぞ?」

正面から乳房を握り締め、先端の乳首を指でつまんでみる。

「ひゃあ!」

「大きいなぁアイリの胸は。形も綺麗で触り心地は最高だ。
 どうしたらこんな卑猥な体つきになれるんだ?」


959 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:45:40 ID:n0OBkfas
片方の胸を両手で丁寧に触り、尖った乳首に吸い付いてみる。
するとアイリがさらにエッチな声で騒ぎ出すのだ。

「んひゃああ!!」

「もう楽になっちまいな」

「んんん~~~!! いやあああああああ!!」

秘所と胸の同時責めについに耐え切れなくなったアイリ。
一瞬だけ身体を大きく震わせて両足の間を愛液で濡らしてしまった。

ローターの電源を切る悠二。
疲れきった彼女を解放し、ベッドに寝かせてやった。

まるで一つの儀式が終ったかのような満足感。
まさか自分の性癖にそった行為をアイリがしてくれると
思ってなかった悠二は不思議な感覚だった。

(こいつは本当に俺のことが……)

すでに寝息を立てて眠り始めてしまったアイリ。
今日は何度も絶頂を迎えてしまったので
よほど疲れたのだろう。

こうして寝顔だけ見てると、年相応の少女だ。
ヤンデレ成分など微塵も感じられず、愛しくすら
思えてしまうから不思議だった。

アイリのことは好きだ。でも嫌いでもある。
嫌いなのに好き。まるで言葉遊びになってしまう。

これ以上考えても無駄だった。

悠二は全裸の彼女にそっと布団をかけてやり、
散らかったエロ本を元にもどしたのだった。


960 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:46:56 ID:n0OBkfas
(悠二のアイリに対する好感度は少しだけ上がった)

ーーーーーーー


翌日、学校の昼休みでアイリと一緒に昼食をとっている悠二。
四時間目終了後、彼女が開口一番にこう言ってきたからだ。

「悠君……。今日は悠君のためにお弁当作ってきたの。
 食べてくれるよね?」

「おう。わざわざすまないな」

彼女と一緒に昼食を取るようになったのは二学期になってからだ。
この高校では弁当派が多数で一部が学食を利用しているが、
基本的には男女別々で食べる。当たり前だが。

アイリとて一学期の頃は女子グループと共に食べていたが、
二人の絆も深まるために一緒に食べることに決めたのだ。

もちろん恥ずかしくないわけがない。

クラスという閉鎖社会において目立つことがどれだけ
恐ろしいことか。男女で一緒に食事を取るなどもっての他である。

学内に存在するカップルはたいてい屋上とか学食とか
場所を選ぶ者だが、彼らは違う。アイリの強い希望により、
悠二の席で食べることになっている。

当初はクラス中から嫉妬と羨望の目で見られていたが、
それにどうこう言う輩はいない。相手は天下の愛梨お嬢だ。
彼女の家柄を知れば逆らう者など出てこないのだ。
仮に男女交際禁止の校則があったとしても、
校長を説得して黙らせるくらいのことは出来る。


961 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:47:52 ID:n0OBkfas
悠二がおかずを食べながら適当に感想を述べる。

「前から思ってたんだけどボリュームのあるものが多いよな。
 油モノとか」

「嫌だった? 男の子は力のつくのが好きだと思ったんだけど」

「全然構わないよ。おなか一杯になるし」

アイリは悠二の向かい側に座り、一つの席を共有している。
ようは対面式だ。こうして話してると中睦まじいカップルそのもの
だが、この二人は未だに正式に付き合っていない。

もちろんクラス内では公認カップルとなっているのだが。
当の本人たちの見解は違うというわけだ。

悠二はスパイスの効いたから揚げを咀嚼しながら、

「アイリの料理は愛情がこもっててとってもおいしいよ?」

「ありがと。お世辞でも嬉しいよ」

「いや本当だって。最初の頃に比べて随分上達してるよ」

メニューは一口サイズのから揚げや玉子焼きやウインナーなど
どれもシンプルだが無難な味付けだった。彼女は堅実に料理する
タイプらしく、挑戦的な味付けは一切しない。

ご飯は食べやすいようにおにぎりにしてある。
具も毎回変えてくれる。とにかく食べやすさ重視で
作ってあるからついつい食が進んでしまうのだ。

アイリの愛のお弁当作戦はたしかに男の心を射止めようとしていた。


962 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:48:35 ID:n0OBkfas
(結構尽くすタイプの女だよね。普通に接してれば
 わりとマトモなところもあるし、料理もうまい。
 マジでこのままアイリと付き合おうかな?)

とまで考えさせるほどだ。もっとも彼はそのことを口にはしないが。

昨日の一件以来この二人の仲は急進した。
アイリからの一方通行の愛情だったのを、
悠二の方も受け止めるようになって来たのだ。


だが、物語はそう単純に進まない。

ーーーーーー

放課後は演劇の練習だ。

各学年の予約で一杯だった体育館をなんとか貸し切ることに
成功し、全ての舞台装置を設置した。音響から照明、
役者の衣装までばっちりだ。

演劇部に所属してるクラスメイトが細かい所まで
手ほどきしてくれたので助かった。

問題は脚本だった。
脚本担当はなんと男子のクラス委員長だったのだが、
あまりにも過酷すぎる箇所があるのだ。

「おい、委員長。娼婦が知り合った客の男に騙されて
 自殺未遂するのはひどすぎないか? いくら最後は
 商人の男と結ばれるとはいえ、あまり酷い内容だと
 公序良俗に反するかもしれんぞ」

悠二が言うと、委員長殿(杉本マナブ)は難しい顔でこう言った。


963 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:49:50 ID:n0OBkfas
「必要悪だ」

「プヒ?」

「物語には多少の起伏が必要だ。そのためには多少
 荒い設定であっても押し通す必要がある。確かに
 ヒロインが娼婦という時点ですでに結構な冒険を
 してることは認めよう。しかし君はこの企画を
 凡庸な内容で終らせたいのかね?」

委員長は非常に真面目で公平な男としてクラスの有名人だった。
古風な喋り方をする変わり者だが、学力は学年でトップ5。
黒ブチの眼鏡をしてるが、意外とイケメンなので
一部の女子から人気がある。

「グリムやアンデルセンの原作を呼んだことがあるかね?
 どれも道徳的な要素を持つ一方で、
 血なまぐさい残酷な描写が目立つ。だがあれが当時
 童話として欧州の子供達に親しまれていたのだ。
 彼らの興味をひきつけたのは、何よりもその残酷な内容だった」

ずいぶん知ったふうな口を聞くメガネである。
インテリ風のメガネの裏に、演劇に対する熱い情熱を宿してる。

悠二は少しめんどくさそうに、

「そうかい。で、この内容で客に受けるんだろうね?」

「もちろんだ。文化祭など子供臭いイベントなどと昨今の
 学生諸君らは思っているだろうが、そこに一石を投じる
 必要があると私は思ってる。日本的でお花畑的な恋愛物語など、
 大衆は飽き飽きしてるはずなのだよ」

「うーむ。委員長殿がそこまでいうなら仕方ないか。
 担任とも相談してくるよ」


964 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:51:11 ID:n0OBkfas
担任は気のいい男だった。教育学部を卒業してまだ二年しか
立っていない若さだったが、基本的に自由放任主義者で
生徒の企画したことは好きににやらせてくれる。

相談すると、担任はどんな脚本でも公開しないように
やれと言ってくれた。悠二はこれ以上駄々をこねても仕方ないと
判断し、練習を続行する。


「~~~~~~!!」

「~~~~~~~~!!!」

役者達は壇上で声を張り上げる。


脚本家の委員長殿と監督役の悠二と柏原は
壇上の隅のパイプイスに座って観察してる。

悠二は手にした脚本を読み返していた。

脚本を要約すると、ある少女が父を戦争で失い、
路頭に迷った家計を支えるために売春宿に売られてしまう。
過酷な運命に人としての心を失ってしまった彼女。
幼少の頃から厳格なカトリック教徒であった彼女でさえ、
神など存在などしないと思うに至ったのであった。

そこで客として出会った若い男と恋に落ちる。
男は若い行商人だった。そこそこ資金を蓄えていて、
容姿も優れている。男は少女のことを気に入り、
嫁にしたいと申し出る。

彼と結婚する日を心待ちにしながら売春宿で
働き続ける少女。結婚日を間近に控え、いよいよ
この仕事を止めようとしたその時、彼の浮気を発見してしまう。
男は金持ちの女と知り合い、恋仲に陥っていた。


965 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:52:04 ID:n0OBkfas
あんな浮気男に騙された自分は愚かだった。
悲しみと絶望に打ちひしがれた少女は、
ナイフを手にし、そして……

「早見君。ちょっとよろしいですか?」

「うん?」

柏原さんに話しかけられ、本から視線を外す。

「脚本のことで相談があるのですが、あっちで話しませんか?」

「いいけど…」

席を経ち、体育館の目立たない場まで誘導される。
照明は壇上についてるのみなので、暗がりがほとんど。
この位置なら完全に壇上からも完全に死角なので
誰からも見られることはない。

ここで榊原はとんでもない行動に出るのだった。

「動かないで下さいね?」

突如口元に当てられたクロロホルムが、

「な……!! ぐっ……むぅぅ……んん……」

一瞬のうちに悠二の視界をぼやけさ、脱力させる。
ふらふらになり、もう立ってられなくなる。
冷たい床の感触が背中を打つかと思いきや、
柏原の細い腕に抱きかかえられる。

彼女は見たことのない顔で笑っていた。


966 :『いかにして彼らは鬼畜へと変貌したのか』:2011/10/07(金) 20:58:59 ID:n0OBkfas
ーーーーーーーーーーーー

突如変貌した榊原。悠二の運命やいかに?

       第三章前半終了   後半へ続く

(こちらも続けて投稿します。一度に何度も投稿してすみません)