※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

323 :初めから:2011/11/03(木) 23:55:44 ID:d9oMcPm.

「重秀、向こうに行ってもちゃんとやれよ」

まっ、お前なら問題なくやって行けるだろうなと、翔太。
東京行きの電車を待つ間にいつもの面子が俺の見送りに来ていた。

「翔太。お前こそ凜子の事頑張れよ」

「お前な…俺にはもう彼女がいるんだよ」

そうなのだ。この男中一にして既に彼女持ち。俺なんか大学に入り
どうにか頑張って彼女を作ったというのに…
中一のこの時期位からだろうか、徐々に顔面格差が出始めるのは…

既に俺と翔太では差が出来始めていた。この男ジャニーズからの誘いがあった
らしく、それを拒否したというのだ。まったくもって良いご身分である。
すこし位俺にもその恩恵を分けて欲しいものだ。
――と、冗談半分に笑ってやった。

見納めというわけではないだろうが、もう会えない可能性もある。
それなら出来るだけ笑っていよう。

「それに――もう凜子にはフラれちまったよ」

なんだって?その話は初耳だ。この手の恋愛ごとの話は、どういゆう訳か
俺の所に男女問わず相談にくる。みな決まって大人っぽいを理由として。
あいつらが言うほど大人じゃないんだがな…

「そうか…お前達仲良かったのにな」

「元々、お前ら幼馴染の仲に割って入ったんだ。身の程を知らなかっただけだよ」

翔太の奴はただ呆れたように笑った――無駄に大人っぽく成りやがって…


「あんた成城に進学するんだって?」

続いて話してきたのはさやかだった。どうやら少し前に俺が話していた
成城への進学話を覚えていたようだ。しかし一体なんだというのだ?
確か前に聞いた話だと、さやかは地元の高校へ進学すると言ってたはずだが…


324 :初めから:2011/11/03(木) 23:56:29 ID:d9oMcPm.

「あたしも成城に進学するから!その時また会いましょう!」

「お前が成城に?地元に進学だったはずだろ?大丈夫か?」

大丈夫よ問題ないわ、と胸を張るさやか。セーラー服を着ていても貧乳は貧乳だった。
確かにこいつの成績なら凜子に比べれば劣るが上から数えた方が早い。
しかし大丈夫なんだろうか?
成城は都内でも有数の進学校だ。いくら上位から数えた方が早いと言っても
完全とは言えないだろう…

「まぁいいや。それとツインテールは小学校までにしとけよ」

「う、うるさいわね!!今関係ある話か!」

ツインテールをやめろと暗に言っているようなものだが、
こいつが頭を振る度に動いていたツインテールがなくなると思うとそれはそれで寂しい。

しかし、相変わらず良い反応をする。隠れファンが多いのも納得だ。

昔俺が仕掛けた牛乳トラップに引っ掛かり白濁液にまみれた時の表情、
俺に対する命令権を掛けた徒競走。それに負け
悔しそうな表情で俺に様付したとき――

「…いかんな、思い出してしまう…」

必死に笑いをこらえるも、目から涙が溢れ出てくる――
さやかのおかげで大笑いするのはいったい何度目になるだろうか

「あんた――殴っていい?」

どうゆう訳か俺の考えに気づいたらしく無表情迫ってくる――今後は自重しよう


「あ、あのね秀君」

最後に話しかけてきたのは凜子だった。
この時期になると皆思春期に入る。今まで親しかった友人と徐々に疎遠に
なり始め、今まで大人しかった女の子が授業中に喋りだし化粧を始めたりと
身持ちを崩し始める。

そんな中凜子はしっかりと自分を保ち品行方正を貫いている。
その可憐な容姿とあいまって男子からの評判は良く、
仲の良い俺に仲介を頼む奴も多い。

もっとも凜子は身持ちも固いようで、今まで告白してきた男子
全てを振っているらしい。


325 :初めから:2011/11/03(木) 23:57:31 ID:d9oMcPm.

「これ、受け取って欲しいの」

凜子が俺に手渡してきた袋は三つ。凜子の分の袋にはチョコレートとブレスレッドが入っていた。
俺はどうにもこういった装飾品には疎く、判別は出来ないが
中学生がこれを買うのは厳しいだろう。

「良いのか?こんな高そうな物?」

「うん。秀君が転校するっていうから頑張ったんだよ」

凜子は嬉しそうに笑う。やはり凜子の笑っている姿を見ると心が落ち着く。

「チョコレートは今年の分。先に渡しておくね」

凜子から貰うチョコレートはこれが初めてではない。最初に貰ったのは小学校位か?
ちょうど男女の境が出来始めたあたりだった記憶がある。
以前の人生では学生の頃にチョコなんぞ貰った記憶などない。
初めて貰った時はそれもう喜んだことだ。

「実はね私も成城の進学を狙っているんだ」

「凜子もか」

なるほど。道理でさやかが自信ありげに胸を張るわけだ。
凜子の力を借りられれば、さやかならメキメキ成績を上げるだろう。
しかし――

「さやかもだが、どうして二人して成城に?」

「そ、それは…」

ゴニョゴニョ言いよどむ凜子。その姿は愛らしく、凜子好きの奴が
見たら興奮して鼻血でも垂らすかもしれない。

「っむ。そろそろ電車が来るな」

線路の向こうから向かってくる電車が見える。両親は先に
東京にむっかた。今頃新居を見て騒いでいる頃だろう。俺も急いで
新居に向かい準備せねば。

「じゃあな皆。元気でな」




「さて、何が入っているのかな。この袋?」

東京行きの電車の中凜子から貰った残り二つの袋。
恐らく翔太とさやかのものだろう。

「手紙?」

一番小さい袋をあけると、箱と手紙が入っていた。
手紙の主は書いていない。

『親愛なるあなたへ
 今この手紙を読んで居る時
 あなたは東京行の電車でしょう
 待って居てください
 三年後必ず迎えに行きます
 ――あなたの忠実な下僕より』

箱の中にはさやかの名が刻まれた首輪が入っていた。

「ハハッ。あいつも面白い事をする」

そういえば昔、あいつと何度目かの賭け勝負の時だ。
冗談半分で『俺の奴隷になれ』なんて事を言ったものだ。
あいつそれを覚えて居やがった。中々に洒落がきいている。

「さて…」

二つ目の袋に入っていたのは――エロ本だった。
恐らくこれは翔太の物だろう。なぜなら、入っていたエロ本は小6の頃、
俺が翔太に誕生日プレゼントとして渡したものだ。

「いらないなら素直に返せば良い物を…」

こんな風に返してくれるとは――粋なやつめ
しかし、よくみると何か挟まっている。

「『凜子に気を付けろ』なんだこれは?」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「行っちゃった」

秀君が東京行きの電車に乗っていった。やはり三年近く会えないとなるとすごく寂しい。
秀君大丈夫かな?変な女に絡まれていないかな?体を壊さないと良いけど。

「秀君食べてくれるかな?」

私の『愛』が詰まったチョコレート