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786 :天使のような悪魔たち 第22話 ◆UDPETPayJA:2012/01/03(火) 15:35:02 ID:lajJDNvQ
それは、一本の電話から始まった。
俺こと斎木 隼はいつものように学校に行き、授業を受け、休み時間になれば昼食をとるために、
旧校舎の屋上へ向かう。そこは飛鳥ちゃんと昼飯を食う時、よく使っていた場所のひとつだ。
飛鳥ちゃんと結意ちゃんとの交際が本格化してからは、もっぱら俺一人で訪れることとなっていた。
だが俺は、ふと思いとどまった。

「───そういえば、昼頃には雨が降るとか言っていたな。」

朝のニュースの情報を思い出し、空を仰ぎ見てみた。
既に暗雲が広がり、今にも雨が降り出しかねなかった。俺は屋上から引き返し、階段で食事をとることにした。
───果たして、死なない俺が飯を食う意味があるのか。だが仕方が無い。事実、腹は減るのだから。
不便なもんだ。どうせなら成長と一緒に食欲も消えてしまえばよかったのに。
いやいや、それでも人並みには旨いものは旨い、と素直に思う感覚は備えている。たまに食うジャンクフードの旨さもまた格別。
やはり、必要なものなのか───
つい、一人でいるとこんな事ばかり考えてしまう、俺の悪い癖だ。

パンと牛乳を平らげ、一息ついたあたりで、懐にしまっていた携帯が振動した。
俺は欠伸をしながら、携帯を手にとってディスプレイを開いた。
着信は、公衆電話からのものだった。誰だ? 公衆電話からわざわざ俺にかけてくる知り合いなど、心当たりがない。
俺は受話ボタンを押し、電話に出てみた。

「もしも───」
『隼!? 飛鳥が、飛鳥がいないの!!』
「───っわ、て、え?」

耳をつん裂くような声に、俺は驚きを隠せなかった。だけどすぐに、その声が亜朱架さんのものだとわかった。
…でも、様子がおかしい?

『今日が退院で、わたし、迎えに行って、でも、でも、いないの! ねぇ!』
「お、落ち着いて下さい、亜朱架さん!」

俺の知ってる亜朱架さんは、こんなに取り乱す人じゃない。

「亜朱架さん…何が、あったんです?」と、俺は一句一句に力を込めていった。
しかし、亜朱架さんは完全にパニックに陥っているようで、俺のいう事など聞きもせずに騒いでいる。

「ちっ…病院、って言ってたか? …行くか。」

俺は電話を耳に当てたまま階段を駆け下りる。屋上へ繋がっている階段を一番下まで降れば、昇降口が見えてくるのだ。
午後の授業はボイコットた。少なくとも、亜朱架さんがここまで取り乱してるのだから、
何かが起こっているのは間違いない。

「飛鳥ちゃんがいない…か。俺が行くしかないな。」

結意ちゃんの幸せを第一に考えるなら、飛鳥ちゃんを守るのもまた、俺の役目。
それが今の俺に残された、唯一の意義なのだから。
昇降口に差し掛かった。素早く靴に履き替えて、次は駐輪場だ。
雨が降るという話だが、あいにく公共の交通機関では時間がかかり過ぎる。
多少雨に濡れようと、俺なら───

「斎木くん? そんなに急いでどうしたの?」
「───えっ?」

背後から聞こえた声に、戸惑いを隠せない。
なぜならその声は…結意ちゃんのものだからだ。

「あ、いや…」と、俺は返しの言葉を模索するが、それよりも早く結意ちゃんは、
「…飛鳥くんに、何かあったの?」と続けてきた。
…いやはや、女の子のカン、というものなのか、はたまた飛鳥ちゃんに対する愛情の表れなのか。
見事に当てられた俺は、完全に言葉に詰まってしまった。
しかも結意ちゃんはその間にも上履きから靴に履き替えている。


787 :天使のような悪魔たち 第22話 ◆UDPETPayJA:2012/01/03(火) 15:37:43 ID:lajJDNvQ
「自転車でしょ? 私も一緒に連れていって。」

あろうことか、タンデムドライブの注文までしてくるとは。
これから雨が降るってのに、なんて娘だ。

「───いや流石に、そりゃ危ないぜ? 何かあったら、飛鳥ちゃんに申し訳が…」
「私が頼んだんだから、私の責任でしょ? それより、私より飛鳥くんの心配をして。」

…そうだ。結意ちゃんは一度こう、と言ったら曲げないくらいの意思の強い娘だった。
名は体を表すとはよく言ったものだ。さしずめ″かたく結ばれた意思″というところか。

「…わかった。それじゃあ行こうか、お姫様。」

それなら俺は、今しばらくナイトの役をやらせてもらうとしよう。

* * * * *


『人生っての、こいつらに似てると思わないか?』

ふと、あのおっさんの言葉が脳裏をよぎる。
ささいな事でいとも簡単にひっくり返り、色を変えるオセロのチップ。
思えば俺は、そんなオセロのチップに負けず劣らずの急転直下を何度も見てきた。
そして今の状況もまた、そのうちのひとつだ。
家に案内する、という穂坂にとりあえず従い、俺は病院からだいぶ離れた場所まで歩かされた。
自宅のある区域とは真逆の方向にある住宅街は、今まで一度も訪れた事がない。
だが、少なくとも俺の近所よりは高級感に溢れていた。

「着いたわよ。」

穂坂はとある住居の前で立ち止まり、カバンから鍵らしきものを取り出した。

「この辺は初めてかしら?」
「ん、まぁな。」

穂坂はどうやら俺のような小市民とは格が違うようだった。
穂坂の家はほかの住居よりも遥かにでかく、広い。
いいとこのお嬢さま、って程ではない様だが、明らかに他のやつらよりは豊かなんだろう。
穂坂はドアを開けると、先に入るよう促した。俺はそれに従い、「邪魔するぜ。」とだけ言って玄関に足を伸ばした。
靴を脱ぐと、冷たいフローリングの感触が身体を軽く震わせる。部屋がいくつかと、二階に続く階段を前に、俺は立ち止まった。

「おい穂坂、俺はどこに───っ?」

その時、腰の辺りに鋭い、弾かれるような痛みを感じた。
何が起きたのかわからなかった。だけど次の思考に移る間もなく、俺の身体は膝から崩れ落ちた。

─────────

『なぁ、そんだけ可愛いんなら学校でもモテるんじゃないか?』
『まあ…確かに、少しはそういうのもあるよ。でもね、兄貴。』

あれ? どうして明日香がいるんだ。
それにここは、俺の家じゃないか。

…ああ、なるほど。
よくわからんが、夢みたいなもんでも見てるのか。

『男子と違って、誰からモテても嬉しいってわけじゃないよ。少なくとも私はね。』

夢の中の明日香はまだ少し幼く、懐かしい感じがする。
確か、この会話は明日香が中学2年の時のものだ。てことは俺は中3くらいか。

『そういう兄貴はどうなの? …結構いるかもしれないよ。』
『俺ぇ? ないない。なんかそういうのめんどくさいし、いても困る。』
『そ、そっか…ま、まあ、兄貴には私っていう可愛い妹がいるもんね!』

…そう、″妹″のままでいてくれたら、あんな事には………
やめよう。人の気持ちにとやかくいう事はよくない。まして、もう終わった事なんだ。
それに…明日香はもういないんだから。

『…ねぇ兄貴、もし大人になっても彼女………かったら……に……るよ……』


788 :天使のような悪魔たち 第22話 ◆UDPETPayJA:2012/01/03(火) 15:44:03 ID:lajJDNvQ
忘れてました

主人公がサブキャラにヤられるのはNTRに入るんですかね
不快な人は注意してください


789 :天使のような悪魔たち 第22話 ◆UDPETPayJA:2012/01/03(火) 15:45:20 ID:lajJDNvQ
声が、急に聞き取れなくなった。
以前、灰谷と会話していたせいなのか、もうじき俺は夢から覚めるのだろう、という感覚がした。
夢の中での視界がだんだん薄れていき、それとは逆にゆっくりと目を開く頃には、意識は現実へと帰っていた。

「こ…こは…?」

視界が薄ぼんやりとして、様子がよくわからない。
だけど、手足が拘束されている事にはすぐ気づいた。
両手首は背中で縄か何かでがっちりくくられ、足首も何かで固定されている。おおかた、ベッドの格子にでも繋がれているに違いない。
…あの時か。たぶん背中にスタンガンでもあてられたんだろう。

「気がついた?」

目の前に誰かいる。…考えるまでもない、穂坂だ。

「ふん…いいんちょ様のくせに、やたら悪知恵が働くじゃねえか。」
「ふふ、褒め言葉ととっておくわ。非力な私が神坂くんを閉じ込めるには、あれが一番手っ取り早いからね。」

穂坂は、始めから俺を拘束するつもりだったのだろう。
うまいこと家までおびき寄せ、先に俺を家に上げる。そうすると自然と、俺は穂坂に背を向ける事になる。あとはそこにスタンガンを…
ちっ…! どうして気づけなかったんだ、俺は。

「最初からそれが狙いかよ…。」
「ええ。もう邪魔するものはいないわ。ゆっくり時間をかけて…私だけを………」

穂坂は薄暗い部屋の電気をひとつ、明るすぎないようにつけたようだ。
次に、身にまとっている制服の、シャツのボタンを上から順に外す。
フロントホック式のブラジャーまで外すと、白い素肌が覗く。今度はスカートに手をかけた。

「おい、何する気だよ。」
「ふふ…見ればわかるでしょう?」

なんの躊躇もなくスカートを脱ぎ捨て、いよいよ下着にまで手が伸びる。
俺はそれを見ないように、顔を逸らした。
するり、と布が擦れる音がした。
冷たい手が、俺の頬に触れる。

「さぁ…こっちを向いて?」

…だめだ、向いちゃいけない。俺は穂坂の言葉に、しかし決して振り向かない。
穂坂はそんなことはわかっていたようだ。今度は俺の頬から、制服のズボンに手をかけ出した。

「っ、おい! 何しやがる!」

もがいてみるが、手足を拘束されてる状態では大した抵抗にならない。
そうしている間にもベルトは外され、大腿部までズボンを下ろされてしまう。
一瞬だけ、穂坂の様子を伺い見てみた。衣服は全て脱いでいて、寒気がするくらい恍惚とした顔をしていた。

気持ち悪い。

たとえば、結意になら同じことをされても、正直嫌ではない。
俺の穂坂に対する嫌悪感は、そこまできているのだ。
とうとう布が一枚下ろされ、俺のものが晒される。直後、強烈に生温かい感触がそれを包んだ。

「んぅっ……はぁ…んぐ、ぴちゃ…」

背筋が、ぞくりとした。舌の動きがダイレクトに俺のモノを刺激する感触と、相反する嫌悪感に。
俺はそれでも必死に足掻いた。だが穂坂の施した拘束は、緩むことはない。穂坂もまた、俺の腰に抱きつくような格好をとり、
けして離すまい、としていた。
血流が、刺激されている部分に収束する感覚がする。…いやだ、こんな奴に!

「あは♪ 大きくなったわね。」

嘘だ…どうして。ソコは俺の意思とは全く無関係に、本来の機能を発揮した。


790 :天使のような悪魔たち 第22話 ◆UDPETPayJA:2012/01/03(火) 15:47:13 ID:lajJDNvQ

「じゃあ早速…しましょうか。」
「───えっ」

穂坂は口を離すと、今度は俺の上に馬乗りになった。
腰を軽く浮かせ、熱くなったソレに手を添え、その真上まで腰を持ってきた。

「おい…やめろ、やめろよ! 誰がお前なんかと! ふざけんじゃねえ! どけよ!」

だが、俺の言葉など耳に届いていない。先端に、穂坂の秘裂らしきものが触れる。
嫌だ…こんな奴に、こんな奴に………

「ほら…見て、入る、入るよ。神坂くんの…がぁ…ぁ…っ…!」

肉を割り、ついに俺の分身は内側に飲み込まれた。
内壁の独特のぬめりと、温かさと、締め付けが直に伝わる。
俺は思わず、繋がった部分を見てしまった。結合部からはかすかに血が流れていた。

「ほら! 見える!? 繋がったのが! これで! これで神坂くんは! 私のモノよ!」

穂坂はしかし、痛みなど感じていないように見えた。
乱暴に腰を振り始める。処女のくせに、あっという間に粘液のぬるぬるとした感触が増大していた。
嘘だ。こんなの、こんなのってあるかよ。
嫌だ。誰か、助けてくれ。隼、姉ちゃん、佐橋、結意…誰でもいい。誰か、俺を───

「や…めろ…やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろぉぉぉぉ!!
離せ! 離せよ畜生ッ! さわんじゃねぇぇぇ!」

俺は穂坂を拒絶するように、叫んだ。
…それしかできなかったんだ。手足の拘束は完璧。いくら暴れても緩まない。
俺にできるのはただ叫ぶことと…徐々に迫って来るだろう射精感に抗う事だけだった。

「あはっ、ははははは! やっと! やっとひとつになれた!もう逃がさないわっ!」

…こいつ、本当にあの穂坂なのか? 少なくとも、眼鏡をかけて委員長してた頃の穂坂の面影など、微塵も感じられない。
穂坂の腰を振るペースはどんどん速くなっていく。
だらしなく唾液をこぼし、悦楽に酔いしれた顔をして、もはや何を言っているのかわからない喘ぎ声を上げている。

「わかりゅ…わかりゅよ、もうしゅぐでりゅんれしょぉ? いいよっ、なかに、ひへぇぇぇ…あんっ!」
「くそっ…だ、れが…てめぇ、なんかに…イカされるかよ…っ!」

そうだ。耐えなきゃいけない。ここで耐え抜かなきゃ、取り返しのつかない事になる。
こんな奴の思惑通りにされてたまるものか。

「ちっ…く、しょおぉぉぉぉ…! うぅ、あぁぁぁぁぁぁ!」

たとえ終わりがないのだとしても、耐えなければ。

* * * * *


…一体、何がどうなっている。

二人乗りの自転車を飛ばし、飛鳥ちゃんのいた(過去形を使うのは、亜朱架さんの発言から)病院へ俺と結意ちゃんはやって来た。
だが、亜朱架さんの姿は病院にはなかった。
電話は病院の公衆電話からかけたのだろうし、さほど遠くにはいない筈だけど。
俺は眼を閉じ、亜朱架さんの″気配″を辿ろうとした。…だが、何も感じられなかった。何もだ。
病院の近くにいるならば、その程度の距離なら十分察知できるはずだ。…まさか、飛鳥ちゃんを探しに、どこかへ行ってしまったのか?
だとしたら、とんだ入れ違いだ。

「飛鳥くん…!」

結意ちゃんは一階ロビーから階段の方へ足を向けた。病室に行く気だろう。


791 :天使のような悪魔たち 第22話 ◆UDPETPayJA:2012/01/03(火) 15:49:45 ID:lajJDNvQ

「結意ちゃん、タンマ!」
「?」
「…飛鳥ちゃんはもうここにはいない。亜朱架さんは、『いなくなった』って言ってたんだ。」
「いなく…なった…?」
「そうだ。」

だが、手掛かりはないに等しい。そもそも、亜朱架さんがいない現状、何がどうなったのかすらわからない。
とりあえずは病院の人に訊こう。
中央のナースステーションまで移動し、受付にいた看護婦さんに尋ねた。

「すみません、二階の神坂の見舞いに来たんですけど、あいついなくて。知らないですか?」
「神坂さん……ああ、あの男の子ね。もう退院の手続き済ませてましたよ。」
「───そうですか。」

ありがとうございます、と言い残して俺はナースステーションに背を向けた。
どうもおかしい。手続きが済ませてあるのに、病室に迎えに来たであろう亜朱架さんとは合流していない。
誰にも告げずに、どこかへ行ったのか。一体どこへ?
亜朱架さんを探すしかないか…。そういえば、まだ飛鳥ちゃんの携帯にかけていなかった。
電話をかけながら探すとしよう。
俺は結意ちゃんを連れて、病室の外へ出た。

「───ちょっと病院にいた間に、随分なもんだ。」

外はいつの間にか、土砂降りになっていた。
外気は一気に冷たさを増し、暗雲は空を黒く覆い隠す。
飛鳥ちゃんを探し歩くにしても、傘が欲しいところだった。
携帯を取り出し、電話帳から番号を呼び出す。
無機質な呼び出し音が鳴り…と思いきや、「電波の届かない所に…」と言われてしまった。
まさか、病院から出てから電源をつけていないのか?
ったく、毎度毎度世話の焼ける奴だ。
と、内心悪態をつきつつも、俺は次の思考に移っていた。
こっちは二人。広い市内を闇雲に探し回っても、見つけるのは難しいだろう。
ここは少し待つしかないか、と俺は判断した…のだが、結意ちゃんは雨などお構いなしに探しに行こうとしていた。

「ま───待てって! 俺じゃあるまいし、風邪引くぞ!」
「…私の心配はしなくていいって言ったでしょ。」
「せずにいられるかよ! ったく…傘買って来るから、2分くらい待てるよな? 待ってろよ!?」

結意ちゃんによく言い聞かせてから、俺はダッシュで病院の売店に向かった。
…まさか、雨に濡れるのも構わずに探しに行こうとするなんて思わなかった。
結意ちゃんにとっては飛鳥ちゃんが一番大事で、他のものなど最悪どうなってもいいのだろう。
恐らく、自分でさえも。
それはそれで危険だとは思うんだけど、それが彼女という人間なのだから。
───そういう意味では、優衣姉と結意ちゃんは似ている、のかもな。見た目だけでなく。

陳列されている傘を適当に2本とり、レジに駆け込む。
レジのおばちゃんは面食らったように俺を見たが、構うものか。
会計が済むと、病院の人達に注意されない程度に早歩きで玄関に向かう。
すると、何やら知らない人と会話をしている結意ちゃんの姿が目に入った。
少し様子を窺い、結意ちゃんが軽く礼をしたのを見てから、俺は結意ちゃんに話しかけた。

「どうしたんだ?」
「…よく考えたら、病院の人達に聞いて回った方がいいかも…と思ったの。」
「───なるほど。たしかにその通りだぜ。」

やはり、結意ちゃんは普段は猪突猛進型のように見えるが、本質は至って冷静だ。
それはあの事件の時も、同じだった。
…時々、考えれば考えるほど彼女という人間がわからなくなる。
結意ちゃんの提案に賛同する事を言い、俺も聞き込み調査に加わった。


792 :天使のような悪魔たち 第22話 ◆UDPETPayJA:2012/01/03(火) 15:51:30 ID:lajJDNvQ
15分ほど聞いて廻った頃だろうか。俺はひとつの気になる証言を若い女性から得た。

『この子かしら…さっき、コート着た女の子と、若い兄ちゃんが出て行ったのは見たけど…。』

ビンゴか? 俺はさらに、その女の子とやらの特徴を尋ねた。

『顔はあまり見てないけど、たしかこう、髪を左右で束ねてたわよ。ええと…そう、ツインテールっていうのかしら、あれ。』

………なんてこったい。ツインテールの女の子といえば、明日香ちゃんの顔が出て来たじゃないか。
だが、そんなわけはない。誰かいないか、他にその髪型をする女子は。
俺は一旦、結意ちゃんの元へ向かい、そのくだりを伝えた。
結意ちゃんはそれを聞くと一瞬、ほんの一瞬だが、眉間に皺をよせた。
女の子と出て行った、という部分に憤りを感じたのか…はっ、つくづく幸せ者だな、飛鳥ちゃんは。

「怒るのはあとにしろよ、な? まだそいつが飛鳥ちゃんがだって確証はないんだし。」
「…そうじゃないわ。もう一人、いなかった? ツインテールの女の子が。」
「もう一人…?」
「そう。白陽祭のときに見たっきりだけど…たしか、斎木くん達のクラスにいなかった…?」
「俺のクラスに? ………あ!」

そうだ、いた。
白陽祭の日限定で、髪型を変えた奴がひとり、いたじゃないか。
思い出せ。あいつは今日、学校に……

『珍しいな、委員長が欠席なんて。』

今朝、担任の発した言葉が脳裏をよぎった。
…確証はない。が、現段階では一番疑うべきだろう。

「───いたよ。ひとり、心当たりがな。」

穂坂と飛鳥ちゃんが、2人で病院を抜け出した可能性を。