39 名前:雌豚のにおい@774人目[sage] 投稿日:2012/10/24(水) 00:25:27 ID:pD08IqqA [1/2]
どこかで足音が聞こえた。
僕は最後の煙を吐き吸殻を足で揉み消した。
今日、この路地裏で一人の女が死んだ。
きっと触れれば微かに残る温盛を感じる事が出来るハズだ、僕は彼女の亡骸に目を配る…もし他人が解釈するならどう映るだろうか?

…思わず下らない考えに口元が歪む。
結論を言おう、彼女は自殺した。僕の目の前で。
彼女はただ僕を愛した。それだけ。なら何故自殺を止めなかったかと他人は僕に問うかもしれない
地面に這う彼女の長い黒髪は主人を亡くした今までもその艶は衰えてはいない。花が虫達に媚びるかの様に腹から血が溢れだしている…その姿に思わず見とれてしまう僕はどこかおかしいかもしれない。
彼女は言った「愛してくれないのならせめてアナタに私を刻みつけましょう」
彼女が吐いた言葉はある意味で的を得ている。だって僕は初めて彼女に見とれているから

たくさんの足音が近づいて来ている…彼女が見せた劇が間もなく幕を降りる
僕は踵を返し、この記憶も埋もれていくのだろうとまた口元を歪めた。
最終更新:2012年11月27日 10:55