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129 名前:とても可愛い俺の彼女 ◆B2gCl8/VB6[sage] 投稿日:2012/11/16(金) 22:34:15 ID:kHmnFtxE [2/5]


「あははは、あはははははは、あはははははははははhgごっほごほごほお」

「どうしたの? そんなに高笑いなんかして……。しかもむせてるし」
 苦しそうにしている彼女の背中を優しくさすってあげる。彼女の体温が服越しに掌に感じ、幸せ成分に変換した。
 それと、彼女の手に握られている包丁をさりげなく取り上げる。
 ある程度呼吸が自由になった彼女は俺に「ありがとう」といい、微笑んだ。うん、いつ見ても可愛い。

「それでどうしたの? 高笑いなんかして」
 突然の彼女の奇行に、素直に疑問を彼女にぶつける。
 何を言われたのか理解できなかったのか、キョトンとする彼女。俺を見つめて瞬きをパチパチ。
 チクタクと時計の秒針の音が何度か鳴り響く、無の時間が過ぎる。その間、見詰め合う俺たち。幸せをかみしめる。
 針の音を十数回聞いたぐらいだろうか、ようやく自分が何をしていたのか思い出したらしく、彼女は目を見開く。

「そうだ! 私、やんでれになろうとしてたんだった」
 語尾がどこか間延びした彼女が呟くように言う。今度は俺がキョトンとする番だった。
 呆ける俺に、彼女は天真爛漫な笑顔を向ける。その笑顔に改めて彼女に惚れる。

「私ね、たかくんがこの間やんでれが好きって言うから、頑張ってなろうとしてたんだ」
 まるで向日葵を思わせるような笑顔で彼女が言った。
 ……例えが幼稚な自分を殺したくなる。チクショー! 彼女の可愛らしさを表現出来るだけのボキャブラリーが欲しい。
 星が中に刻まれているボールを集めに、旅に出る決意をした瞬間だった。嘘だけど。だって彼女に会えなくなるし。

 ちなみに『たかくん』というのは俺のことだ。だけど俺の名前に『たか』と言う文字はどこにも付かない。
 単純に彼女は俺の名前を読み間違えたのを、今も直さずそうよんでいる。
 彼女いわく「たかくんをたかくんと呼ぶのは、この世界で私一人だけだから、たかくんは私だけのものになるんだよ!」らしい。
 正直意味が分からないが、そう誇らしげに言う彼女が大変可愛かったので、それで納得した。可愛い万歳! 彼女万歳!

 俺はここしばらくのことを思い出してみる。思考の海にダイブ。
 だが、いくら思い出しても彼女に向かって、ヤンデレが好きと言った覚えがない。
 どういうことだ? 単純に忘れているだけなのか?
 いや、それはありえない。この俺が彼女のことで忘れるはずが無い。断言できる。
 彼女と出会ってから今までのことを、全て鮮明に覚えている。彼女と交わした愛の言葉一字一句全てだ。
 それじゃあ、どういうことだ? 全く分からん。

「えー、もしかして忘れちゃったの? 酷い! この間、画面越しの私に言ってくれたじゃん! やんでれ可愛いなって」
 いつまでも思い出せない俺に痺れを切らした彼女が、ポカポカと俺の胸元を可愛らしく叩きながら上目遣いに言う。
 そんな可愛い彼女を抱きしめたい衝動に駆られるが、グッと耐え考える。

「きゃっ!」
 彼女が驚く。
 ごめん、やっぱり無理だった。だから彼女を抱きしめながら考える。
 さっき彼女は『画面越しの私に』って言ったよな……。
 いや、言っておくが別に彼女は虹色の少女ではなく、現実に実在するれっきとした俺の彼女だ。がーるふれんどだ。
 となると、つまりそういうことだよな。薄々そうかなとか思ってたけど、やっぱりそうだったか。はー。

130 名前:とても可愛い俺の彼女 ◆B2gCl8/VB6[sage] 投稿日:2012/11/16(金) 22:35:23 ID:kHmnFtxE [3/5]

「もしかして、また俺の部屋に仕掛けた?」
「うん!」
 俺の胸元に顔を埋めながら元気いっぱい肯く彼女。ちくしょー、可愛いなもう。
 仕掛けたというのは、盗聴・盗撮類の機器だ。
 全く、どうして仕掛けたのやら。いや、大体想像が付くけど一応。

「どうしてまた仕掛けたの?」
「だって、いつでもたかくんのこと見ていたいし、声聞きたいし、たかくんを感じていたかったんだもん」
 顔を少しだけ上げ、上目遣いで見つめながら彼女が言う。口を胸元に付けながら言うので、少しくすぐったくて幸せだ。
 彼女の答えは大体予想通りだった。彼女を理解できていたことに頬が緩む。
 だけど頬はもともと緩んでいたので、仕方なく頭のネジを緩めることで妥協する。ぱっぱらぱー。

「だけどね、この間たかくん言ってたじゃん。盗聴器とか仕掛けるのは、メッ! って」
 一転、彼女が伏し目がちに少しテンション低めに言う。
 確かに彼女が初めて俺の家に、盗聴器を仕掛けた時そんなことを言った。
 実際はそんな可愛らしく言っていないが……今はそんなことどうでもいいか。

「だから最初は我慢してたんだよ。たかくんのこと、いつでも見ていたかったけど、困らせたくなかったから」
 ポツポツと呟く。俺は口を挟まず、彼女の言葉を待つ。それにしても彼女から相変わらず良い匂いがするな。

「でもね、我慢すればするほど余計に気になっちゃって、なんか頭の中がうわーてなって、気が付いたらやっちゃってたの」
 ごめんなさい、と最後に付け加え、小さく頭を下げる。額が俺の胸元に当たる。
 彼女なりに考えて、我慢して、頑張った末にそうなってしまったのだろう。
 まさか彼女がそんな真剣に悩んでいたとは思わなかった。俺もまだまだだなと、自嘲気味に笑い、頭のネジを締めなおす。
 そして、気にするなと、彼女に回していた手で背中を優しく叩く。

「だけどね、だけどね! たかくんも悪いんだよ。一緒に暮らそうって言っても、駄目なんて言うから、それで仕掛けちゃったんだもん」
 そっきまでのシュンとした態度から一転、顔を勢いよく上げ拗ねたように口早に不満をぶつけてくる。
 その切り替えの早さに、思わず笑いがこみ上げる。
 こういったところも、俺が彼女を好きになったところだ。
 彼女のどこか申し訳なさそうにしてる顔や、悲しそうにしている顔は、いくら可愛くても極力見たくないからな。
 あんなことはもう沢山だ。
 ……あ、いや、別にさっきのは伏線じゃないよ。だってこれ短編だもん、うん。

「ごめんごめん。だけど俺たちはまだ学生だから、そういうことはもっと大人になってからな」
「えー、私もう大人だよ」
 ほらほらと、彼女が胸を押し当てるように体を揺らす。
 その感触に、思いっきりニヤつく。頭で何かが緩む音が聞こえた気がした。じゅるり。
 ちなみに彼女のバストサイズは、皆様のご想像にお任せします。

「あー! たかくんがいやらしい顔してる! えっちっちだ!」
 彼女が楽しそうに笑いながら言う。俺も釣られて笑う。
 あー楽しい。あー楽しい。あーたのsもう我慢できない。もう無理。可愛過ぎる。食べる。彼女食べちゃう。
 オレサマ、オマエ、マルカジリ。アッオーンッ!

「きゃーー! たかくんが急にケモノさんになった! 私食べられちゃう!」
 彼女を組み敷き、上に覆いかぶさる。
 彼女は可愛らしい悲鳴を上げるが、それだけで特に抵抗はみせない。
 それどころか自分から求めるように、強く抱きついてくる。
 それじゃあ、お行儀良く「いただきます!」と、心の中だか、口に出してか分からないぐらいに強く叫ぶ。
 俺たちはお互いを激しく求め、ドロドロと溶け合っていった。

131 名前:とても可愛い俺の彼女 ◆B2gCl8/VB6[sage] 投稿日:2012/11/16(金) 22:35:47 ID:kHmnFtxE [4/5]





 なんて言ってみたが、結局のところ彼女と抱き合いながら、フローリングの上をゴロゴロと転がっただけなんだけどね。
 いやー、俺たちは健全なカップルなんで、そういうことはまだまだ早いっス。
 ぴー(ホイッスルの音)、ふじゅんいせいこうゆうはいけません!

 それにしても結構勢い良く転がったせいか、体中が痛い。ジンジンと痺れた痛みが走り、痣の位置を教えてくれている。
 バクバクと心臓の音が体全体からアップテンポで鳴り響くが、強く抱き合ってるせいか、発信源が俺と彼女のどちらからなのか分からない。
 耳元で彼女の激しい息遣いが聞こえ、くすぐったい。

 彼女の乱れた髪から覗く首筋に、うっすらと汗が滲んでいることに気づき、瞬間舐める。
 くすぐったかったのか「ひゃっ」と吐息交じりの声が漏れ、体をよじり逃れようとする。
 俺は逃がさまいとさらに彼女を強く抱きしめ、もう一度首筋に舌を這わす。
 舐める。しゃぶる。吸う。噛む。そのたびに彼女は声を上げ、艶を出す。
 吐息交じりの彼女の声を聞き、頭の中がぼんやりとしてくる。暑い。熱い。喉が渇く。
 だから彼女の汗を舐め取り潤す。それを繰り返す。

 夢中に彼女に舌を這わせていると、不意に自分の首筋にヌメッとした暖かい何かが触れるのを感じる。無意識に体がビクつく。
 すると「へへへ、おかえしだよ」と、彼女の吐息交じりの声が俺の首筋を撫でながら聞こえた。
 そしてもう一度、俺の首筋に先程の感覚が襲った。

 それから俺たちは、無我夢中に抱き合いながらお互いの首筋に舌を這わせあった。
 部屋の中には、ピチャピチャと湿り気の帯びた音が鳴り響いた。


 はたしてそれからどれくらいの時間がたったのだろう。
 彼女の首筋には俺の唾液なのか、彼女の汗なのか分からなくなるぐらいに、ベチョベチョな感じになっていた。
 きっと俺の首筋も同じ状態だろう。
 だが、そんなことも気にせず舐め続けていると、彼女がいきなり何かを思い出したように「あ!」と、声を上げる。
 本当にいきなりだったので俺も驚き、首筋から顔をあげ、口元がベチョベチョの彼女を見る。

「楽しくて忘れるところだった! たかくん、もし私を裏切ったら、――――みんな殺しちゃうからね」

 彼女は満面の笑顔で楽しそうにそう言った。
 濡れた口元や首筋が、スースーと冷える。だが、それとは比べ物にならないほど背筋に異様な寒気を覚える。

 あれ? 確か彼女って、俺の部屋に盗聴器と盗撮器を付けてたんだよな。
 ってことは、もしかしてアレも見られてたりするのか……?
 アハハハ……、やばい。本気でやばい。どうしよう……。
 まあ、未来の俺がどうにかしてくれるから大丈夫だろう。
 だってこの話、短編で続きがないんだから。そうだよな、そうなんだよな。


 そういえば俺も言い忘れてた。
 君はヤンデレになりたがっていたけど、充分れっきとしたヤンデレだよ!