※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

996 名前:幼なじみの早見さん[] 投稿日:2013/04/28(日) 09:24:54 ID:arZbYdec [2/3]
 男女で幼なじみなど実際に存在するものだろうか? 僕はそんなの空想上の設定にしかないと考えている。しかし、僕のクラスメートの早見さんは、僕と早見さんの関係のことだと言い張る。僕自身はただ早見さんが過保護にかまってきてるだけだと思う。例えば、僕が利き手を骨折したりしたらどうだろう。
 病院でギブスをつけられた僕は深く溜め息をつく。この状況が妄想ならどれほど良かったか。

 翌日の早見さんは家まで迎えに来た。おかげで一緒に登校することなった。全く嬉しくない。
「貴方って本当に馬鹿なのね」
「利き手の骨折だけで何度目だと思っているの?」
「でも、まぁ複雑骨折ではなくて安心したわ」
「流石に少し焦ったわ」
 同じペースで歩く早見さんが色々と話しかけているが無視する。あんまりに黙ってるものだから、流石に気に障ったのか残された腕を絡め取り、関節を決めてくる。傍から見れば、抱き合ってるようにも見えなくもないが、全然嬉しくない。
「次は生きてられるかしら? 安心していいのよ、貴方を一人で逝かせないから」
冗談じゃない。死んでからも、この女と一緒なんて御免だ。
「娘が加害者だなんて知ったら、医者の母親は泣くだろうな」
「愛の形は人それぞれなのよ、親であろうが関係ないわ」
「だったら、僕は赤の他人でありたい」
「貴方は、私がいないと何も出来ないのに何を言うのかしら?」
「寧ろ、早見さんがいるせいで、何もさせて貰えないんだが」

学校に着いてからも、早見さんの過保護に付き合わせられる。こうして授業中から休憩時間まで、ずっと付きっきりで世話を焼かれると益々僕の駄目さに磨きがかかってしまうから、正直やめて欲しい。
早見さんは昔から勉強もスポーツも何でも出来る奴だった。だからこそ近くにいる僕は、常に自分と早見さんを比べてしまう。小さい頃は追い付こうと努力もしたことがあった。でも、時間が経つにつれて諦めるようになってしまった。


いつも昼休みになると、早見さんは僕を連れて空き教室で昼食を食べる。でも今日は利き手の使えない僕に、早見さんが食べさせることになる。
「いい加減に口を開けなさい」
僕は差し出される料理から顔を背けることで『食べたくない』と伝える。別に早見さんの料理に不満はないが、素直に従っていたら次は何をさせてくるか分からない。
「まぁいいわ、それより次の授業提出の課題は?」
「やってないし、やらないぞ」
「このままだと卒業出来ないわよ」
「知るか」
早見さんと一緒に卒業して、同じ大学とかお断りだ。まさか、大学のレベルを下げてまで一緒の大学にするとは思わなかった。
「あまり、貴方の為にはならないから、こういうことはしたくないのだけれど」
「何の話だ」
「課題の話よ」
何を言ってるんのさっぱり分からない。まぁ、分からないのはいつものことなんだが。その後、昼休みは早見さんから解放された。教室を覗いてみると、早見さんは勉強していた。僕は『忙しい奴だ』と思い、そのまま通り過ぎた。
放課後、帰る支度をしてると、山積みにされた今日提出の課題が目に入った。課題をやらなかった僕には関係ないと思ったが、よく見ると僕の課題がある。正確には僕の名前で出されてる課題なのだがいったいどうして。
「早く、帰りましょ」
「お前か?」
突然、早見さんが後ろから話しかけてきた。そして気付いた、こんなことする奴は一人しかいない。
「ええ、そうよ」
課題を見て、何のことか分かったらしく早見さんは素直に答えた。
「やっぱりか」
「親切な幼なじみを持ったことに感謝するのね」
こうして、僕の卒業は決定してしまった。