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6 名前:一朝一夕第2話[] 投稿日:2013/09/24(火) 00:21:58 ID:jTib45jM [2/5]
迂闊だった
洋さんを狙う雌猫がいることには薄々感付いていた
しかしそれはあまりにも唐突で、理解するのに時間がかかってしまった
私の洋さんを…
こうなったら私も行動を起こすしかないだろう
今までずっと影から彼を見続け、今ではどうしようもないほどに彼に惹かれながらも見守ることだけに終始してきた
彼を知り、彼という人間を無意識に意識するまでに彼という人間に一方的ながらも惹かれてきたこれまでの日々…今、その見るだけだった日々が私にこの最悪の状況をもたらしてしまった

一生の不覚だ

もうぐずぐずなんてしてられない。一刻も早く、彼を私のものにしなければ………

7 名前:一朝一夕第2話[] 投稿日:2013/09/24(火) 00:23:06 ID:jTib45jM [3/5]
夜。洋は一人街灯の照らす道を散歩していた。
夜の散歩は好きだ。人気のない、静かな空間を夜風を体に受けながら歩いていく。さすがに夜には登校・下校の時に受けるあの視線はない。むしろ何かに守られているような感じさえする
俺の住んでるアパートの近くは割と平和な地域だし、今まで変な輩にからまれたこともない。不思議と朝よりも安心な気分になれる。よく風当たりにこうして散歩するようになって3年くらいか、今では日課の一つと言っていいだろう
高校にも大分慣れてきて、今のクラスで過ごす時間も当たり前の日常になりつつある
あとは新しい友達ができて、プライベートでももっと遊ぶことがこれから増えればより密度の濃い時間を過ごせそうだ
「この目前に迫る憂鬱な期末テストが終われば夏休み。そしたらバイトでも始めるかな」
幸いうちの高校はバイトを禁止していない。小遣い稼ぎのため、経験のためにも何かバイトはしておいた方がいいだろう
「今のうちに目星だけでもつけとくか」
今の時代、携帯からネット検索で簡単に見つかるし、決まるのにそう苦労はしないはずだ
「そのためにも、期末で赤点取って補習地獄って最悪の事態だけは避けなきゃな」


翌日。朝の電車に揺られ、洋は立ちながらうたた寝していた。
試験勉強した後、携帯でバイト募集検索をしていたらつい遅くなってしまい、寝たのは3時近くだった
ダメだ、眠い…
「…駅、…駅でございます」
「あの、…駅ですよ?」
「ん…降りなきゃ…」
寝過ごしそうになりながらも、親切な人に声をかけられなんとか下車した。
「あれ?」
ふと後ろを振り返り閉まっていく電車の扉を眺めるも、自分に声をかけてくれた人が誰だか分からない。
「お礼言えなかったな」
次からは気をつけよう

8 名前:一朝一夕第2話[] 投稿日:2013/09/24(火) 00:24:37 ID:jTib45jM [4/5]
その数分後。洋が降りたその次の駅では、洋と同じ高校の制服を着た女子生徒が下車し、何事か呟いていた。
「…町の喫茶店、…商店街の本屋、…駅前のレンタル屋…」
彼女が呟いている店達。それらは洋の携帯の閲覧履歴にある店達の履歴と、全く同じものだった。
「あとは、洋さんが通ったバイト先に私も応募すればいいだけね」
大丈夫私なら絶対受かるから、と静かに笑って一人自信満々に頷くと、彼女は反対行きのホームへと歩き出した。
「ふふ、さっきのうとうとしてる彼、かわいかったなぁ…」
そう、出来ることならすぐにでも食べちゃいたいくらいに…
遅かれ早かれ、私は彼を美味しく頂くことになるのだから



「おはよ」
「おう、おはよ」
チャイムがなる10分前、教室に入って顔を合わせた雄次に挨拶する。
「眠そうだな」
「ちょっとね、夜中に色々やってたら寝るの遅くなった」
「色々って?」
「期末終わったらバイトでも始めようと思ってさ」
目をこすりながら返答する
「ああバイトね、いいんじゃないか?」
「へー清戸くんバイトするんだ」
自分の斜め前に座っていた旭さんが会話に入ってきた
「うん始めるなら早い方がいいし、期末終わった後に始められれば新学期までには慣れると思うし」
「そっかー、私も何かバイトしようかなぁ」
旭さんが悩む仕種を見せる
「旭さんなら面接とかすんなり受かりそうだよね」
「そんなことないよ~」
そんな感じで談笑しているとチャイムが鳴って先生が教室に入ってきたので会話はそこで打ち切られた
「まぁ決まったら教えてよ。私も参考にしたいし」
「うんいいよ」
とは言っても、彼女なら大体のところは受かりそうなものだし、後は本人がどこでやりたいか次第だと思うけどな

「…ゼッタイ、同じとこ応募して採用されるから、ネ…」

洋には聞き取れないくらい小さな声で言った、彼女のその呟きは洋の耳には届かなかった。


「さて、下校か」
授業も終わり、これから下校だ。しかし期末テストは来週、勉強の最後の追い込みをかけなければならない
「とりあえず、できるだけ頑張ってみるか」
そう呟くと洋は教室を後にした