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288 名前:斉藤副部長 第1話[sage] 投稿日:2013/12/21(土) 07:18:58 ID:xHlLv0jE [3/7]
今年もあとわずかで終わるというのに俺はまだ会社でPCと向かっていた。残業だ。
同僚達は合コンや少し早めの忘年会にも行っているというのに。
俺も行きたいなぁと考えていたところで目の前資料にミスがあったことに気づく。こんなんだから残業が増えるのだろう...。
そう思いながらただPCに手元の資料を打ち込んでいく作業を繰り返す。やはり残業は辛いな...。
しかし残業にもいいことはある。
俺は少し遠くの席に座っている人を眺めはじめる。残業で人が少ない時しか出来ない事だ。
あそこで俺と同じようにPCに向かっている斉藤副部長だ。
仕事もできるし、容姿端麗、おまけに性格まで言うこと無しと来た。俺と同じ年齢とは思えないほどである。若くして副部長にまで出世するのもうなずける。
副部長は仕事量が多いのか残業が多いらしく俺も残業が多いのでよく定時を過ぎても俺も副部長も帰っていないなんてことも。
俺としては副部長を眺められるのはかなり嬉しいことなので全く問題ない。うん、ないな。
今日も副部長を眺めていたら俺の目線がバレていたのか副部長がこちらを見てきて目が合ってしまった。俺はシャイなのですぐに目線をPCに戻す。おそらく顔が真っ赤だけど問題ない。ないぞ。女性が苦手とかじゃないならな。い、いや本当にな!
そんなことを思っていたら後ろから何か熱いものを頬に当てられた。
「もう仕事は終わったの?黒田くん。終わってないなら早く終わらせないといつまで経っても帰れないわよ?」
振り返ってみるとそこには副部長が立っていて、俺に缶を差し出してきた。
「コーヒー、嫌いって聞いたからコンポタにしてみたよ。」
そう言いながら微笑んでくれる副部長が天使に見えた。かわいい。
「あ、ありがとうございます。いただきます。」
そう言って缶を受け取ろうと思ったとき。
「コンポタとミルクティー。どっちがいい?」
と言われて缶を取れなかった。
「え、えと、コンポタをごちそうになります。コンポタは自分もよく飲みます。」
「よかった。コンポタも嫌いかなーって思ったから一応聞いたんだけど。」
副部長がもうひとつの手に持っているミルクティーは蓋が空いているように見えたけどきっと気のせい。うん。ペットボトルだから良く分からないが。
「コーヒーが嫌いでコンポタは好きだなんて、子供みたいだね。」
少し冗談混じりに言いながら副部長はやっぱり微笑んでいた。かわいい。しかし子供みたいと言われてしまうのはまずいぞ。訂正しておかなければ!
「コーヒーは嫌いじゃないですよ。苦手なだけですよ。」
カフェオレなら好きだぜ。お子ちゃまはコーヒー牛乳飲んでな。
「ふふ、じゃあそういうことにしておいてあげる。」
「ほ、ほんとですよ副部長!」
「.....。ねぇ、黒田くん。役職名で呼ばないでっていつも言ってるでしょ?名前で呼んでって言ってるじゃない。」
し、しまった...なぜか副部長は俺が役職名で呼ぶことを嫌に思うらしい。他の社員には呼ばせないのに...。
「す、すみませんこればっかりは癖みたいなもので...。でも、どうして自分だけ?」
「敬語も禁止。同い年の人に敬語とか使われると自分が年取ってるみたいだから嫌なのよ。だから黒田くんだけね?」
....。これが女なのか...。俺も副部長も今年で28になった。もっとも、俺はこの会社に入ったのは1年半前くらいで副部長はもう5年以上はここにいるらしいのでこんなにもポストは違うが。
「今年齢の事考えてたでしょ?」
「す、すみません副部長。」
「......。否定しないのね。」
「あ、いえ!考えてませんでした!」
「もう遅いわよ。」
「も、申し訳ありません。」
「斉藤。」
「へ?」
「ふふ、名前で呼んでくれたら許してあげるわ。」
「な、名前ですか?」
「そうよ、副部長って呼ばれるの好きじゃないの。だから名前で呼んでくれたら許してあげる。」
「え、はい!斉藤副部長!」
「......。思ってたのと違うのが来たけどそれで許してあげる。これからはそうやって呼んでくれないと起こっちゃうから。ふふふ」
そういいながらすこし頬をふくらませる斉藤副部長。かわいい。いやマジで。

289 名前:斉藤副部長 第1話[sage] 投稿日:2013/12/21(土) 07:21:06 ID:xHlLv0jE [4/7]
「わ、わかりました、コンポタご馳走様でした。」
「いいのよそれくらい。それよりも黒田くんはもうすぐ終わりそう?」
「はい、もうすぐ片付けて帰れます。」
「そう、ならよかった。私ももうすぐ終わるからまた一緒に帰りましょう?」
俺と斉藤副部長はよく一緒に残業をするのだが、終わりそうな時間が一緒なら二人で帰ったりもする。初めは断っていたのだがーーこんな美人と長時間も話をすると恥ずかしすぎて何も言えなくなってしまう。
斉藤副部長いわく
「こんな時間に一人で夜道を歩かせるつもり?」
と、いうことらしい。1回一緒に帰ってしまえばその次を断れるはずもなくこうして何度か一緒に帰えることも増えてきた。
「はい、わかりました。すぐ終わらせますね。」
「あ。焦ったりしてミスしちゃダメよ?黒田くんただでさえミス多いんだから。」
う、痛いところを突かれてしまった。
「大丈夫ですよ。注意してますから。」
「なら、私も早く終わらせるわね。」
そう言って自分のデスクに戻っていった。後ろ姿もきれいだなぁ...。
そう思いながら自分の作業にのめり込んでいった

290 名前:斉藤副部長 第1話[sage] 投稿日:2013/12/21(土) 07:21:42 ID:xHlLv0jE [5/7]
「それじゃ、帰りましょうか。」
「もうこんな時間になりましたね。」
腕時計を見ると、21時すぎになろうとしていた
「こんな時間まで残るのは久しぶりね。」
「そうですね、年末ですからね。どこも忙しいですね。」
そう、実際年末はどこも忙しくなる。俺も会社の総決算、来年度予算案など実際に忙しく働いている。副部長である斉藤さんが俺より忙しいのは当然だろう。
「そうね、年末といえばお正月やクリスマスはどう過ごすのかしら?」
「正月は実家に帰りますね。やっぱりクリスマスは...」
「あぁ、みなまで言わなくてもわかるわよ。クリスマスは一人で悲しく...でしょ?」
目が ...斉藤副部長の目が笑ってやがる...俺って一体どんなふうに思われてるんだろう...
でもいつも遊ばれてばかりの黒田健一ではない。ここで斉藤副部長の俺のイメージを変えるべく俺はさも当然のように
「クリスマスは、彼女と仲良く過ごすつもりです。」
1度は言いたいセリフNo.1を言ってしまったがそんなのは問題ない。別に悲しくなんかないし...。さて、気になる斉藤副部長の反応は...?
「...。」
「んー?よく聞こえなかったからもう一度言って欲しいな?」
くくく、目が点になってやがる。まさか斉藤副部長のこんな表情を見る日が来ようとは。
「だから、クリスマスは、彼女と過ごすんですよ。」
「....。」
あ、あれ?斉藤副部長が黙ってしまった?それになんか...怖い。
「....んー。」
しばらくの沈黙が続く。怒らせてしまったのか...?
「あのね、黒田くん?」
「は、はい!」
急に話しかけられて思わず声が上がってしまう。
「冗談でも言っていい事と悪いことってあると思わない?」
「あと、また聞こえなかったからもう一度言って欲しいな?」
「あ、そのク「クリスマスはどう過ごすのかしら?」
お、怒っているのか?今まで見たことがない表情の斉藤副部長。とても冗談を言える空気じゃない。
「ひ、ひとりで過ごします...」
「......。」
何も言われない...?胃が痛い。この空気に耐え切れそうにない。
「ふ、副部長?」
「.....。」
少し離れた所にいた斉藤副部長がこちらに近づいてくる。
何も言わずに無表情で
「....。」
目の前で立ち止まった。ずっとこちらを見ている。
「す、すみませんでした!」
俺は必死に頭を下げ謝っていた。









「うふふ、冗談よ。びっくりしたかしら?」
と言いながらいつものように微笑んでくる斉藤副部長。さっきまでの表情が嘘のようだ。心臓に悪すぎる...
「も、もう!やめてくださいよ!」
「ふふ、ごめんなさい、でも黒田くんもあんな冗談はダメよ?」
「そ、そんなに悪い冗談じゃないじゃないですか!」
「うふふ、そんなことないわよ。もう二度としないこと。いいわね?」
「は、はい。わかりました」
笑顔なのに笑顔じゃなかった。
「それじゃ、帰りましょうか?」
やっぱりいつもの斉藤副部長だ。女って怖い....。
そんなことを思いながら駅まで向かってまた歩き始めた。




電車に乗り些細なことを話していると自分の最寄駅に着いた。
「では、お先です。」
「はい、お疲れ様。またね。」
「斉藤副部長もお気を付けて。」
「ほら、早く降りないと電車出ちゃうよ?」
電車の中にもアナウンスがかかる。
「おっと、ほんとに失礼します。」
そう言って早足に電車から降りる。
ドアが閉まる。まだドアの向こうでこちらに手を振ってくれる斉藤副部長。正直恥ずかしい。恥ずかしいので俺も小さく手を振るだけにしておく。
「電車が発車します。ご注意ください」
電車が遠ざかっていく。斉藤副部長はここからまだ少し離れた駅なのでまだ帰宅に時間がかかるだろう。
「腹...減ったな。」
何か買って帰るとしよう。
明日も仕事だ、早く帰ろう。

291 名前:斉藤副部長 第1話[sage] 投稿日:2013/12/21(土) 07:22:17 ID:xHlLv0jE [6/7]
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黒田健一。黒田くん。けん君。
私の愛する人。


高校の頃、私とけん君は付き合っていた。
愛し合っていた。
デートして手を繋いで抱きしめあって初めても捧げた。
けど、大学に入ってしばらくしてけんくんは私の元から去っていった。
何故か分からなかった。電話もメールも通じなくてけん君がどこにいるのか何もかも分からなかった。
けん君がいない。
けん君。けん君。私のけん君。
怖かった。けん君が私のところから離れていく。

必死にけん君を探した。
でも、もうどこにもけん君はいなかった。

気がつけば大学を卒業していてこの会社に入社していた
仕事に没頭した。
何もかも忘れて仕事をしていたと思う。
そのおかげで社内でのポストはどんどん高くなっていった。
けど、そんなことは嬉しくなかった。
部下や上司から賛辞を受けても私にとってなんの意味もなかった。
私にはけん君さえいてくれれば良かったのに。
けん君。けん君。けん君けん君。
私のけん君。私だけのけん君。
また昔みたいに手を繋いで。
デートして。抱きしめて。
けん君。けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君けん君
あなたに会えるならなんだって....

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懐かしい夢を見ていた。
けど、忘れちゃいけない夢。
けん君に捨てられたこと。

私が悪かったんだ、私がきちんと管理していなかったから。
だから私は決めた。
けん君にまた会えた時から
けん君を私のものにすると。

うふふ、待っててねけん君。
もう準備は終わってるのよ....?

あとはけん君を私のものにするだけ...

あぁ、けん君。
けん君はきっと私のこと覚えてないんでしょう?
うふふゆっくり思い出ささせてあげるから...

でも、その前にお仕置きかしら?

ふふ、ふふふけん君。愛してる