※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

867 名前:「気になるあいつは…」[] 投稿日:2015/03/22(日) 21:52:11 ID:wA9MLtJo [1/2]
※新参者です。
書きたいなら書けばいいと言われたので、駄文ですが書かさせていただきます

俺には中学から気になっている奴がいる。と言っても好意とかそんなんじゃない。純粋な関心だ。俺とそいつは高2の今まで五年間ずっと同じクラスなんだ。

しかし接点は全くと言っていいほどない。中3のときにクラスで再会しても特になにもなかった。さすがに高校まで一緒だったときは驚いたがな。

それでも関わりが増えることはなかった。俺も他人との会話は得意ではないし、向こうも関わろうとしないのだから無理に接する必要はないだろう。

ここまで聞いても特に気になる要素は一つもないが、最近になって気づいたことがある。

園枝は俺の色々なことを知っている。

あぁ、園枝というのは園枝乙葉(そのえだ おとは)。話題にしている奴の名前だ。

話を戻す。ある日、俺が筆箱をどこに置いたかを忘れたときがあった。どこかに持ち運んだ記憶もないので全く分からなかった。そのときだ。

「教卓の下に落ちてるよ。」

園枝が俺だけに聞こえる声で言ってきた。教卓のほうに行くと確かに落ちていた。恐らく誰かが誤って落とすなり蹴るなりして移動していたのだろう。

まぁ、このときは「よく俺の筆箱って分かったな」くらいにしか捉えていなかった。それから二日後、家の鍵が無くなったが、園枝が売店で落としているのを見たと言ってきて無事発見された。

さらに二日後、授業で使ったプリントが無くなったが移動教室で使った教室にあると園枝が言ってきて発見された。それからも俺は色んな物を無くしたが全て園枝によって手元に戻ってきた。

……おかしくないか?なぜ園枝は俺の物が全てどこかにあるかを知っていたんだ?

偶然という可能性もある。だが可能性はほとんどないに等しい。俺以外にも物を無くした奴はいたが、園枝はなにも言わなかった。むしろ無関心だった。

つまり俺の物にしか行動しなかった。

なぜ俺だけなんだ?正直不思議でしかない。ガキの発想なら俺に気でもあるのではと思うのだろうが、本当に不思議すぎる。

まして俺と園枝は関わりがほとんどない。 それこそ無くし物をどこで見たと言ってきたぐらいでしか会話していない。それとも、本当に偶然見ただけでしかないのか?

この疑問がずっとあるのは気持ち悪いと感じた俺は園枝に尋ねた。なぜ俺の無くし物の場所が分かったのか。

だがその反応は予想外のものだった。

「……え?もしかして私に話しかけてるの?」

確かに教室内には他にも人がいたが俺は園枝と面と向かって言ったんだ。他の人に言うなんてことはない。

「本当に?本当に私に話しかけてるの?」

……?こいつは一体どうしたんだ?

「そう…。そうだよね。ずっと一緒だもんね。私たちはやっぱり運命の糸で…」

言っている意味が分からなかったがとりあえず理由を聞ける状態ではなかったので俺は諦めた。

しかしその日の放課後、俺は園枝に呼び出された。下駄箱に入っていた手紙によって。

内容は簡単、話があるから教室内に来いとのことだ。しかし回りくどい呼び方をしたものだな。同じクラスなのだから面と向かって言えばいいのに。

教室の前まで戻ってくる。手紙のとおりなら園枝は既に中にいるようだ。俺はドアノブに手をかけて、止まった。

中から変な音がする…?

ハッキリとは聞こえないが、なにか水のようなものの音だ。教室には水槽はないし、園枝が水でも飲んでいるのか?だとしたら随分と豪快に飲んでいるな…。

とりあえず中に入って確認しようと思いドアを開ける。

868 名前:「気になるあいつは…」[sage] 投稿日:2015/03/22(日) 21:54:18 ID:wA9MLtJo [2/2]
そこには俺の机を舐め回している園枝がいた。

反射的に俺は駆け出した。その判断に至った俺の防衛本能に感謝するしかない。

俺の机を舐める園枝の顔は狂っていた。一週間ぶりの食事を貪るように、そして嬉々とした表情と勢いで舐めていた。

納得がいった。園枝は病的なまでに俺を好いている。片時も俺から目を離さないレベルに。だから俺が無くした物の場所を知っていた。片時も目を離さなかったから。そしてそれが俺の所有物だったから。俺の机もまた、俺の所有物だ。だからあんなことをしていたのだろう。

今までのことを考えると冗談では済まされないレベルに恐ろしい。少なくとも俺は園枝から監視されていたのか。

下駄箱までの道が酷く長く感じた。しかしようやくその一部分が見えてきた。同時に一人の女性の姿も。

思わず足がもつれ転んでしまう。

「勢いよく転んだね。大丈夫?」

教室にいた園枝がすでにいた。机を舐めていたときの涎を拭いていないのか口の周りがテカついている。恐怖で立ち上がれず尻餅を着いたまま後ずさる。

「どうして逃げるのかなぁ?やっと私たち結ばれたんだよ?五年間、長かったなぁ。覚えてる?中学1年生のとき、私を助けてくれたよね。おあのときからずっと好きだったんだよ?」

そうだ。中1のとき、階段から落ちそうになった園枝を助けたことがあった。あれから好きだった?じゃあ園枝は今までずっとーー

「大変だったよ進路先聞くの。プライバシー問題になるからとか言ってなかなか教えてくれなかったんだ。なんとか粘って教えてもらったけど。」

「でも不安だったの。あなたは私のこと好きじゃないのかなって。だって私たちあまり関わりなかったよね。五年間も一緒にいて。でも今日話しかけてきてくれて嬉しかった。だってそうでしょ?話しかけるってことは私に近づきたいってことだもんね。つまり私を好きってことだもんね。」

…この女はなにを言っているんだ?俺はただ疑問に思っていたことを解消するために話しかけたのに、それを好きだからだと?妄想なんてレベルじゃない。ただの病気だ。

ドンッと背中に伝わる感触と共に体が動かなくなる。行き止まりだ。

男が女に追い詰められるなんて滑稽な話だ。

「大好き。大好きだよ。考えてる顔も、寝てる顔も、食べてる顔も、笑ってる顔も、ボーッとしてる顔も。私を助けてくれたヒーローなあなたが大好き。」

だが、

「だから、一緒になろう?」

園枝が相手では仕方ないかもしれない。

気になってしまった俺が悪いのだ。

園枝が俺の首にスタンガンを当てたのを最後に意識が途絶える。


「気になるあいつは狂っていた」

END