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206 :つながり [sage] :2008/05/06(火) 09:00:45 ID:a6pKX0TS
「もうやめよう・・・」
・・・なんで?
「俺たちの関係は・・・ホントは平行線じゃないといけないものだから・・・」
・・なんで?
「俺と夏輝は兄妹だから・・」
なんで?どうしてダメなの?
こんなに好きなのに!ずっとずっと昔から好き合っていたのに。
私たちは誰よりも深く深く繋がった存在なのに・・・なんで?
「だからダメなんだ・・・ここで終わらせないとダメなんだ・・・」
・・・
・・


思い出して涙。世界が歪んで見える。
空を見上げる。やっぱり歪んで見える。
なんで・・・?
「おーい、何泣いちゃってんのなつっちゃん。私が席はなれて一人になったのがそんなに寂しかった?」
・・・・・・
涙を拭うと見慣れた顔があった。
さわやかに整った顔立ちのスポーツ少女。工藤近衛だ。
「あー、コラコラ。洋服のすそで涙を拭くな。ほらハンカチ」
「・・・」
「ハア、いったい何があったのか知らないけど最近なつっちゃん元気なさすぎ」
無言でいる私の顔をハンカチで拭きながら近衛がそう言った。
でも私は・・・
「・・・」
「ハア・・」
また近衛にため息をつかせる。
「なんつーかさぁ、まるで失恋した乙女って感じだね。今のなつっちゃんは」
うつむいた顔を上げ、静かに近衛を見ると、彼女は手のひらを太陽に向かって掲げ、空をまぶしそうに見ていた。
「・・・・・・」
「もしかして正解・・だった?」
近衛を見つめていると彼女もまた静かに私を見つめた。
「ハア」
またため息。そして言葉を続ける。
「なんかショックだな・・・」
「・・・何が?」
間をおき尋ねる。
「ん~・・・なつっちゃんに好きな人なんてもんがいたことが」
「・・・」
「相談してくれてもよかったのになーっと思って」
「・・・・・・・」
わたしがまた俯くと近衛が左手で頭をポリポリと掻いた気がする。近衛は困ったとき必ずそうする癖があるから。
「ごめんね。今度は相談するね・・・できるだけ」
だから私はそういった
「そっか。次の恋は・・・・叶うといいね・・・」
「・・・」
叶うといいね・・か。
少し違うな・・・
なぜ?私と「彼」の恋、いや愛は叶っていたんだから。
ずっとずっと昔。子供の頃から。もしかしたら母さんのお腹の中にいた時から・・・


207 :つながり2 [sage] :2008/05/06(火) 09:18:38 ID:a6pKX0TS
「ねえ、今日さ・・・近衛の家に泊まっていっていい・・・?」
「いいよ」
私の突然の提案に親友は間髪いれずに承諾した。
「できればゴ」
「GWの終わりまでいいよ」
今度は先手を取られた。

5月4日。
近衛の家に厄介になってから3日目だ。
「彼」からの連絡はない。
3日前に「近衛の家に泊まる」と言ってから何の音沙汰も無い。

「でさ、明日はどうする?私も明日部活が無いからどっか遊びに行こうよやつっちゃん」
「そうね・・・」
空返事。そして近衛の表情が曇る。
「・・・もしかして例の彼の連絡待ってるの・・?」
「・・・」
沈黙。
「ハア」
そしてため息。
「ん~・・・あのさ。「彼」って誰なの?私の知ってる人?」
「・・・」
見詰め合う瞳。近衛の眼は真剣そのものだ。
別に近衛には私たちのことなんて関係ないのに。
「・・・・ハア。まあいいや。とりあえず出かけよ」
またため息。そして立ち上がる近衛。
「どこに?」
質問する私。
「知らない。とりあえず出掛けるの!」
私は手を握られ、引かれるまま外へと出て行った・・・


209 :つながり1-B [sage] :2008/05/06(火) 09:45:19 ID:a6pKX0TS
もうやめよう・・・
「・・・なんで?」
俺たちの関係は・・・ホントは平行線じゃないといけないものだから・・・
「・・なんで?」
俺と夏輝は兄妹だから・・
「なんで?どうしてダメなの?こんなに好きなのに!ずっとずっと昔から好き合っていたのに。 私たちは誰よりも深く深く繋がった存在なのに・・・なんで?」
だからダメなんだ・・・ここで終わらせないとダメなんだ・・・
・・・
・・

「ハア」
思い出すとため息が出る。あの日・・・いや、あの日というには2週間はまだ短すぎるな。
「どうかしたの智行。ため息なんかしちゃって」
「いや、別に。大した事じゃないよ」
話しかけてきたのはロングヘアがよく似合う大和撫子(でいいのかな?)要幸江。
俺にはもったいないような彼女だ。
「ふーん・・・そう。大した事じゃないのにため息が出るんだ」
「いや・・まあ」
俺は右手で頭をポリポリと掻く。困ったときしてしまう俺の昔からの癖だ。
「困ってますね」
「はは・・・」
彼女はSッ気があるのかもしれない。

「でも・・まあ、なんでもないならいいか」
「そうそう。せっかくのデートなんだからいいだよ」
場所は街中にある2階建てのハンバーガーショップ。
俺たちは小腹がすいたため、窓際の席から外を見ながら残り少ないポテトをつつきながら談笑していた。
「でもさ、もし本当に困ったことがあったら迷わず私に相談してね」
幸江が言った。
「ああ」
そして俺はうなずいた。
やっぱり俺にはもったいないくらいの人だ幸江は。
でも、だからこそ今回の事・・・「彼女」のことは絶対に相談なんかできない。

「彼女」は・・・そう俺の妹だから。しかも双子の。
ずっとずっと子供の頃から愛し合ってきた。体も重ねた。そして、世界の基準が俺たちの基準と大きく違うと知って別れた。
そんなこと、絶対に知られてはいけないんだ・・・


智行が「彼」が窓の向こうの世界から幸江に眼を戻したと同時。
決して見られたくなかったその光景を。
「彼女」は見ていた。決して見たくなかったその光景を
「・・・やだ」
そして「彼女」の見る世界は涙で歪んだ。