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219 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/07(水) 00:46:27 ID:vSpxNIPX
「……あなたは、逃げないの?」
違う。 逃げないんじゃない。 逃げられないんだ。腰が抜けちゃってるから。
「……あなたが初めて。 私をみて、逃げなかったの」
いや、だから違うって。本当は逃げ出したいよ。
「私ね、早希っていうの。 松崎早希」
誰も聞いてないのに、勝手に自己紹介を始めやがった。
「あなたの名前は?」
そいつは、ひどく嬉しそうな顔で僕に名前を聞いてきた。
「俺は……えっと、賢一。 大山賢一」
とっさに答えてしまった。
「そう。 よろしくね、賢一君」
これが、僕たちの出会いだった。


220 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/07(水) 00:51:32 ID:vSpxNIPX
最初は、そう、ほんとに気づかないくらい些細なことだった。この服たたんでたっけ? とか、この本この場所に置いてたっけ? とか。
事態が急変したのは1ヶ月ほど前だった。僕が大学から下宿先のアパートに帰ると、なにやら部屋からいい匂いがするではないか。
まさか妹が料理をつくりにきたのか!? と期待したが、よくよく考えてみると僕に妹はいないわけで。
なんだろ、とリビングに入った瞬間、目に入ったのは豪華な夕食だった。 僕がぽかんとしているといつの間にか彼女がでてきて。 後は前述の通りだ。
それ以来、彼女は夜になると、毎晩のように僕の前に姿を現すようになった。恐らく今晩も。


221 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/07(水) 00:52:34 ID:vSpxNIPX
――ああ、やっぱりきた。
神経が特殊な感覚を感知したと同時に、脳内に女性の声が響きわたった。
「あは。 こんばんは、賢一君」
僕がうっすらと目をあけると、もはや日常とかした彼女がいた。 日本人形を彷彿させる、腰のあたりまである長い艶やかな黒髪とぱっちりとした瞳。
そして雪のように白い肌に栄える着物。 その全てが美しかった。 だが彼女のもっとも大きな特徴は目を凝らすと、体が透けていることである。つまり、幽霊。
「賢一君。 今夜もずっと一緒だよ」
恨みや哀しみとはかけ離れた、まだ十代半ばくらいであろう可愛らしい声が脳内に反響する。
「今日も一緒に気持ちよくなろうね」
そう言うと、彼女はニコッと笑い僕に抱きつく。途端に、全身が優しく撫でられているような、むず痒い感覚に襲われる。
「服……脱がせてあげる」
早希は器用に僕のパジャマのボタンをはずしていく。手慣れたものだ。僕は瞬く間に裸に剥かれた。
「……んもう、賢一君のえっち」
僕がじっと早希を見つめていたからだろう。 しかし、早希は顔を真っ赤にしながらも手際よく着物を脱ぎ始める。 一糸纏わぬ姿になった彼女は、美しいとしかいいようがなかった。
「それじゃ、いれるね」
僕は彼女の体に触れられないので、前戯はない。僕が頷くと、早希がゆっくりと腰を沈めていく。同時に僕のあそこが、何
かに包まれているかのような感覚になる。早希いわく肉体には干渉できないので魂に干渉しているらしい。そこのとこの事情は分からないが。
「あぁ……気持ちいいよぉ……」
幽霊であっても快感は感じられるのか、僕の上で早希がいやらしく腰をふっている。
「すごいよぉ……だめ……あんっ……」
普段の和風の美少女の外観からは想像もできない、いやらしい声で喘ぐ早希。そんな早希を見ると、徐々に僕の射精感も高まっていく。
「早希……俺……」
開始して三分経っただろうか、僕は早くも射精しようとしていた。
「早希……」
「うん……いいよ……いつもの通りに……あっ……」
早希の腰を振る速度が速くなる。 頭が快感で真っ白になった瞬間、射精したのだとわかった。


222 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/07(水) 00:53:54 ID:vSpxNIPX
「私が人間だったらなぁ」
ことを終え布団で抱き合っていると、不意に早希がそんな言葉を漏らした。
「早希が幽霊じゃなかったら、俺たち出会えてなかったかもしれないよ」これは僕の本心だった。実際、早希が生きていたら僕みたいな男を好きになることなんてなかっただろうし。
「そっか。 そうだよね」早希は自分を納得させるように頷くと、僕の顔を覗きこんできた。

「賢一君……明日もきていい?」
早希が少し不安を滲ませた表情で表情で語りかけてくる。
いいよ、と返事をして、彼女の髪を撫でる。実際は触れてはいないのだが、早希はとても嬉しそうに笑う。
それから、彼女が消える時間帯まで、僕らはずっと抱き合っていた。例え体温は感じられずとも、お互いを感じていた。