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292 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/10(土) 22:57:21 ID:sGvQN3sL
「あー眠い……」
ついそんな言葉が漏れる。当然といえば当然である。毎晩のように早希と交わっているので、あまり寝ていないからだ。
しかし、単純に寝不足だけなのだろうか、この疲労は。
気づいたら幽霊に精気を吸い取られてました、なんてホラー映画や昔話でよくある話だ。
まあ、早希に限ってそんなことはないだろうが。


293 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/10(土) 22:57:50 ID:sGvQN3sL
「……弁当でも食べよ」
軽い自己嫌悪に陥りながら、バッグから早希が用意してくれた弁当を取り出す。肉体には触れないが物には触れられる、とは早希の談である。なんと都合のいい幽霊だろうか。
ふたを開けると、見事な和風弁当だった。鮭の塩焼きにだし巻き、きんぴらゴボウ。食欲をそそるには十分だ。
「いただきまーす」
未だに友達がいない僕は、独りで昼食を食べた。


294 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/10(土) 23:01:06 ID:sGvQN3sL
彼は、今日も一人で昼食をとっている。単に友達作りが苦手なだけなのか、それとも彼が孤独を好むからであろうか。
私としては後者の方がいい。男友達ならまだしも女友達を作られたら間違いが起こる可能性もある。
しかし、つくづく自分の臆病さを呪いたくなる。大学に入学して彼に一目惚れして、早くも一年が過ぎた。
彼の専攻している講義を全て調べ上げ、一緒の講義をとった。だから、四六時中彼と接触するチャンスはある。
なのに。ただ一言、お昼一緒に食べない?というだけでいいのに。私は、どうやら男の目からはなかなか美人な部類に入るらしい。
中学高校と何度も告白された。だから、本気で好きになったわけではないとしても、付き合った経験はある。
だから、ここまで行動できない自分が歯痒い。そんな経験じゃ、今の胸のときめきにはとるに足らないものなのだということなのだろう。


295 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/10(土) 23:02:01 ID:sGvQN3sL
……まぁいい。これも大事に思っているからこそ。チャンスはまだまだある。
……そういえば、お昼というと最近気になることがある。1ヶ月ほど前から、彼の昼食がお弁当に変わったのだ。
しかも手作りの、豪華な和のお弁当だ。昔はコンビニ弁当や、パンだったのに。彼女でもできたのか? と心配したが、家の者を使って調べた結果白だった。うーむ……
思案していると、いつの間にか隣に彼がいなくなっていた。
携帯で時間を確認すると、次の講義まであと五分という時間だった。ちらりとふりむくと、学食をでていく彼の背中が見えた。なんたる不覚!
お弁当箱をバッグにしまい、学食をでる。彼に小走りで彼に追いつき、二メートル後方をぴたりと歩く。
まるでストーカーみたいだなと、我ながらちょっと異常に思えてくるが、愛の前ではなんのそのだ。そして教室につき、今日も彼の後ろの席をキープ……したのはよかったが、安堵しかけた後、私は思わずこう呟いていた。
「なん……だと」


296 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/10(土) 23:04:27 ID:sGvQN3sL
あたしの名前は、神江優花。家は代々続く由緒正しき陰陽師の家系だ。
現代風にいうとシャーマンだとか霊能者とでも言うべきか。家がそんなだから、あたしは生まれながらに強い対霊能力を持っていた。
そんなあたしに祖父や父は期待したのか、あたしは幼少から修行の毎日だった。
皮肉にも才能があったらしく、あたしはめきめきと実力を伸ばしていった。
と同時に、同年代の子供には異端者として映ったらしく、だんだんと独りぼっちになっていった。
寂しくなかったといえば嘘になる。 だが、ここで父達に反抗してもお金がない自分はどうにもならないことを知っていた。 だから必死に耐え、修行の傍ら勉学に励んだ。


297 :幽霊だったらいけないの? [sage] :2008/05/10(土) 23:05:50 ID:sGvQN3sL
すべてはこの実家からぬけだし、一人暮らしをするためだ。努力の結果私は国立大学に合格し、母の手助けもあり、現在の一人暮らしの生活を勝ち取った。
が、つくづくあたしは運がないらしい。あたしのレーダーが、ここ最近一人の男から霊威を感じるようになった。正確には彼に接触している霊からだ。男の名前は大山賢一というらしい。偶然にも専攻している講義も一緒だった。
邪悪な意志は今のところ感じないが、危険因子は取り除いておくべきだ。
早いうちに彼に接触せねばと思ったあたしは、今日の昼食後の講義で彼に接触を試みた。偶然を装い、彼の隣に座る。そしてテキストを忘れた振りをし、一緒に見せてもらったのだ。
単純な計画だが、お礼をするからという理由でアドレスも聞き出せたし、我ながらgoodな計画だった。
……それにしても先ほどの講義中、後ろから凄まじいプレッシャーを感じたが、あれはなんだったのだ?