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407 :再見 ◆ZUUeTAYj76 [sage] :2008/05/18(日) 00:52:15 ID:guWKPB74
川の水が押し寄せる堤防を、僕は歩いていた
1週間前から降り続く雨のせいで河川敷は水没
堤防の下2メートルまで増水していた
そんな景色を眺めていると、あの時の事を思い出す
彼女と初めて出会ったあの時を

僕が中学に上がって一月たった頃
その日、僕の住んでいる町は水の中に沈んだ
東西二つある堤防の西側が決壊し川の水が流れ込んだからだ
降り続いた雨、台風、そして堤防の虚弱性
水害など過去に例がなく、まったくの想定外だったからだ
流れ込んでくる水から逃げるため、僕は家族と反対側東の堤防へ非難した
堤防へ駆け上がり気づく、弟がいない、どこかではぐれたようだ
僕は慌てて探し回った、両親は僕と逆方向を探しに行った
その時だ、彼女に出会ったのは
手を伸ばせばすくえるぐらいに増水した堤防の淵に彼女は立っていた
魂のない抜け殻のように呆然と水面を見つめ、雨に打たれずぶ濡れになった少女
年は僕と同じぐらい、見覚えがないのは多分別の学校だからか
弟を探すのを一旦止め、僕はそっと彼女に傘を差し出した
その時、今まで人形のようだった彼女の目に光が宿り、涙が溢れだす
顔をくしゃくしゃにして涙を流し、彼女は言った


409 :再見 ◆ZUUeTAYj76 [sage] :2008/05/18(日) 00:55:16 ID:guWKPB74
「お母……さん、が……お…父さん……が……っ」
最悪の場合も考えられる、でもそれは僕も同じだった
「大丈夫、きっと別の場所に非難してるよ、僕も弟とはぐれたんだ」
早く弟を探さなくては、でも彼女をこのままにしては行けない、だから
「よかったら、一緒に探そう、傘貸してあげるから、ね?」
彼女はコクリ、と頷いた
それから僕らは互いの家族を探しに歩き始める
他に非難してきた人が大勢いて、はぐれてしまわないようにと手を繋いで
30分もしないうちに彼女の両親は見つかった
弟を見つけないといけないから、と別れようとした時
なかなか手を離してくれなかったのを覚えている
今思えばあの時が人生で初の相合傘か、それも可愛い子と手を繋いで、だ
ちなみに弟は僕の両親が見つけた、意外とすぐ近くにいたようだった
それからずっと彼女のことが気になっていたが
水が引いてからの後片付けや、学校の再開で多忙を極め記憶の隅に追いやられていった

彼女と再会したのはその半年後だ