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485 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2008/05/21(水) 00:43:27 ID:GTPgy4sN
君の涙が乾くまで~西田義孝⑤

上条との痛烈な出会いの後、あまりのことからか錯乱して僕たちにサブマシンガンを乱射する
さやかを落ち着かせた後、俺は上条を廃ビルに誘い、三人で廃ビルに戻った。
上条は僕が落ち着かないさやかを寝かしつけた後に、ゆっくりと落ち着いた口調で今まであった
こと、そして彼女の身に起こった事を語ってくれた。
僕と同様に家族を殺され、S-00号として改造されたこと、そしてなんとか脱出して逃げ回り
LYSと敵対する組織の力添えで敵支部のあった学園に潜入していた事などを、彼女は淡々と語っ
てくれた。ひとしきりに話した後、彼女は俺をその組織に入るように進めた、改造人間ではない
一般人を抱えてゲリラのみではいい加減勝ち目も薄いだろうし、今後は大きな作戦の予定もある
らしく、最悪連帯を取ろうという話だった。
「義孝の身に何かあったら大変だし、彼女さんを巻き込むのもよくないわ」
「うん…でも彼女は彼女で役に立ってるし…」
煮え切らない僕に対して上条は業を煮やしたのかこういった。
「あの子、大体今日だって錯乱してあんな感じだったし、それにあなただって同じBクラスの改造
人間に攻撃が聞かないくらいでだいぶ遅れを取っていたじゃない、あの子のことが心配なら組織の
ほうで保護するから、私と一緒に…そうね、ここに私も住むって言うのはどう?そうね、それが
いいわ!そうしなさい!!家事全般と君のサポートはやっておくから」
押しの弱い俺は一気に彼女にはいと言わされてしまい、翌朝さやかもせっとくされてうまいこと俺達は
上条を抱え込む事になってしまった。

それから一ヶ月ほど日々が過ぎた。
俺達はまた住処を移り、採石場跡地の宿場で生活を行い、昼は上条の考えた新技の特訓トレーニングに
精を出し、夜は街で怪人たちとの死闘を繰り広げていた。
「はい、できたよ、今日は鳥の水炊きね」
そういって上条は鍋を用意してご飯を盛り付ける、彼女もまた家事は全般的に得意で僕たちの食事を
用意してくれたりした。
「うん、まあ上条さんにしては良く出来た方だね」
さやかは苦々しい顔で水炊きを食べてはそう評価する、上条は上条でさらりとそれを流し、僕と特訓
について会話をはじめた。
さやかと上条はとことんに相性が悪く、ことここ最近の日々は最悪といって良いほどにうまくいって
いなかった。
さやかはあれやこれやと上条のやる事に口を挟むが、上条はそれをのらりくらりとかわして逆にさやかの
盲点を突くという日々の攻防は、余計に二人の間の雰囲気を険悪にしていた。
上条が特訓のメニューを立てたときなど、反対したさやかは2日も口を利いてくれなかったくらいだ。
「それはそうと義孝、今日の午後は少し出かけないか?」
さやかはふいに僕に声をかけた。
「うん、いいよ」
俺はそう返した、それに対して上条は反応する。
「また町に出て民間人を巻き込む気?」
それにかっとなったのか、さやかは食器を音を立ててテーブルに置く。
そして俺の手を引いて外に飛び出した。
「夜の倉庫襲撃までには帰ってくるんですよ?」
上条は笑顔でそう告げる、その顔はどこと無く笑っていた。



486 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2008/05/21(水) 00:46:34 ID:GTPgy4sN
君の涙が乾くまで~西田義孝⑤

「何なんだあの子は?何で僕たちの間を邪魔しようとするんだ!なあ義孝?
君はやっぱり彼女の方が僕よりも良いのかい?本当は僕のほうが邪魔になって
きたのかい?」
バイクでふもとの喫茶店まで降りた後、さやかは僕に涙声でそういった。
「心配しすぎだよさやか、第一彼女は僕たちと一緒に戦ってくれて戦積もきっちり
あげてるじゃないか?それに元々彼女はあんな性格なんだから悩む事は無いよ」
「嘘だ!!あの子は絶対に君が目的なんだ!昨日だって僕に言ってきたんだ、君と僕
はつりあわないからどこかに行ってしまえって」
言い終わるなりめそめそする彼女だが、俺にはその発言はにわかには信じられなかった。
「上条が?嘘だろう」
そういう僕に対してさやかは涙混じりに言った。
「信じてくれないのかい?僕の事を、僕は君を信じてるのに!」
「ご、ごめん…許してくれ、さやか」
「嫌だ、僕を抱いてくれるまで許さない!!」
彼女はそう言っていつもの天才ぶりはどこへやらで大仰に駄々をこねた、そこまでに上条
の存在には相当我慢がならなかったらしい。
しかし彼女を性的な意味で抱くという事は俺にとっては無理な話だった、改造されたあの日
以来俺の性欲は薄れ、彼女を見ても今までのように性的に興奮する事はまるで無くなくなって
しまっている。
仕方ないので僕は彼女が満足するまで抱きしめてあげる事にした。
彼女を抱きしめると同時、彼女の体がびくんと反応した。
「ゴメン…冷たかったか?」
「ううん…あったかいよ、とても」
「もしお前が嫌なら…俺がきちんと頼んで、上条には明日にでも
出て行ってもらうから」
「…こんな彼女でごめんね、義孝」
「馬鹿、たまに文句ぐらい言って当たり前だよ」
俺は彼女にそう言って笑った、そうすることが彼女と僕との関係にとって一番良いことだと思った。



487 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2008/05/21(水) 00:48:01 ID:GTPgy4sN
君の涙が乾くまで~上条晴子⑤

「大体あの女、天才だかなんだか知らないけど生意気なんですよ…」
私はそういいながら手早にあの女…桃井さやかのパソコンをいじって
いた、日ごろ見て覚えたパスコードを元に、敵側の連絡網にハッキング
してすばやく情報を書き込んでいく。
「一般人の癖に、私の義孝に手出しして…」
つい愚痴が口からこぼれる、それぐらいにあの女のことが私は気に
入らなかった。
わたしのよしたかをとるなんて、ぜったいにゆるさない…わるいこにはばつを
あたえなくてはぜったいにいけない。
全てを書き込み終わった後、私はスカートのポケットから義孝の下着を取り出した
改造人間とはいえ彼の体臭がたっぷりしみ込んだトランクスだ、二人のいない間に
使わない手は無い。
「んはあ…よしたかあ…だいすきい…」
その臭いをかぎながら、私はショーツの上から自分の秘部をいじり始めた、力強く彼
義孝に押し倒されて、そのままに犯されることを想像しながら。
いや、これは想像ではない、そう、今晩にでも本当になることなのだ。
あの女が、これで消えてくれれば。
「…はあ、はあ…だーいすきだよ、よしたか…」
そういう私の顔は、きっと笑っていただろう、だって彼と一緒に入れること
ほど嬉しい事は無いのだから。
たとえあのおんながしんで、かれがかなしみにうちひしがれるとしても



488 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2008/05/21(水) 00:50:16 ID:GTPgy4sN
君の涙が乾くまで~西田義孝⑥

「はああ!!」
俺が叫ぶと同時に投擲されたアイギスシールドは次々に僕を取り囲んだ
D級怪人の首をはねていった、敵たちの一瞬の隙を突いて倉庫の内部に
さやかと晴子が乗り込んでいく。
今晩襲撃した敵支部の倉庫は基地も兼用しており、資料を手に入れれば
敵側の今後の作戦もわかるという、僕たちチームの今後の戦略において最も重要な拠点だった。
内部に乗り込むと同時にさやかは言った。
「この奥に敵の資料室がある、僕はそこに向かうから、義孝たちは警備場所からやってきた
怪人達を倒してくれ」
「一人で大丈夫なのか?さやか」
「大丈夫、事前情報ではゾルダートしかいないはずだ!」
そう言って走り出した刹那、さやかの左腕が強化スーツごと吹き飛んだ。
「へ?」
根元から吹き飛んだ自分の腕を見て驚愕するさやか、その先にあったのはトラップと
思われる、きらきらと光を放つ単分子ワイヤーだった。
「う、うわあああああああああああ!!!!!」
突然勝つあまりの事に絶叫するさやか、さやかがへたり込むと同時に現れたゾルダート
たちはいっせいにダートガンを構えた、僕はそれを見越していっせいにジャイロショット
でそれを狙い打つ。
「ぐああああああ!!」
前段が命中し、ゾルダートたちは悲鳴を上げて爆散した。
それと同時に背後からバッファロー型の怪人がせまったが、あえなくシナゴーグになった
上条のビーム砲でその姿は消滅した。
「…おしかったなあ、もう少しでばらばらになったはずなのに」
爆音が響く中で上条が、かすかにそう呟いた気がした。



489 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2008/05/21(水) 00:52:41 ID:GTPgy4sN
君の涙が乾くまで~上条晴子⑥

おしかったなあ、単分子ワイヤー、あの女
の体をばらばらに出来ると思ったのに、せっかく
地図を書き換えて、わなの存在を知らせなかったのに。
まあでもいいや、彼は優しいもの。
私のこと、見てくれるのも時間の問題だもの。

君の涙が乾くまで~桃井さやか⑥

ダメだ、僕は、彼の前で傷ついてしまった、もう、彼は僕
を絶対に必要としなくなってしまう、いや、優しい彼故に
間違いなく僕を戦いから遠ざけてしまう…どうすれば良いんだろう?
と、腕を落として彼のバイクで運ばれながら僕はずっとそんなことを考えていた。
僕の腕などどうでも良かった、たとえワイヤーは電熱カッターのような構造で、組織を
焼ききられたため腕が戻らない事もどうでも良かった、それより何より僕にとっては彼
の前で怪我をしてしまった事がとにかく悲しかった…そして彼から離れるのが怖かった。

そして案の定、アジトで止血をしている僕の前で、彼は辛そうな表情で僕にこういった。
「さやか、ここは…ひとまず退いて、上条の言う組織で養生しないか?」
「嫌だね、それに僕なら大丈夫、明日にでもフル武装の義手を作って君とまた一緒に」
「無理ね、もう敵側もそんなレベルで済む話じゃないみたいよ」
僕らの会話をとぎらせて、あの女はそういった。
「さっきの資料、敵側の作戦の方向性が決まったみたい…LYSの奴ら、B級はおろか
A級の各支部の幹部怪人を全て集めて四国と淡路島の占領作戦を行うみたい…スーツ着て
武装してもせいぜいD級の上に手負いのアンタじゃ戦いには付いてこれないのは明白なのよ」
「そ、そんな、君はわかってないよ!そもそも僕は彼のためならーっつ!!」
上条にそう反論しようとした僕を、彼は手で制した。
「僕からも頼む、もうこれ以上君に傷を付けたくないんだ…お願いだから、ここは引いてくれ
さやか…俺は君が死ぬところは見たくないんだ、きっと戻ってきて、の頃の人生全てを君を愛
する事に使うから…だからお願いだ、さやか」
彼はそういって今にも泣きそうな悲しそうな顔をする、それ以上僕は何も言えなくなる、そんな
ふたりの間を一発の銃声が引き裂いた。
「許さないんだから、私の前でそんなのを見せ付けるなんて…」
その言葉と共に僕の胸の部分が暑くなる、上条は何か、麻酔薬のようなもので僕の胸を打ち抜いたらしい。
何かを言おうとしたがそれもむなしく、だんだんと僕の意識が遠くなる。
あまりの事に唖然としながらも、僕の意識は一瞬で闇に飲まれていった。

気が付くと、僕はベッドの上に縛り付けられていた、その横では、体を単分子ワイヤーで縛り付けられた彼が
騎乗位であの女を貫いていた。
「よ…義孝ぁぁ…」
「こ、これは違うんださやか、上条が、麻酔銃で…うう!」
僕の視線に気づいた彼は、気持ちよさそうに声をあげる。
「ん…はあ…残念ね桃井さん、彼の始めては私がもらちゃった…あん…とーっても
気持ち良いけど、あなたには分けてあげない…ああん!」
「そんな、そんなああ!!」
体が動かない僕が叫び声を揚げる、それを聞いて神上は嬉しそうに声を上げた。
「すごおい…義孝の、他の人に見られて興奮してますます大きくなってるぅ…でも馬鹿な
彼女さんよねぇ…改造人間は改造人間でしかセックスも、繁殖できないって言うのに、それも
知らずにのうのうと彼女なんて…でも安心してね義孝。わたしがこれからたーっぷり貴女のを絞って
子供も作ってあげる、そうすればあんな、魅力も無い馬鹿な女簡単に捨てられるでしょう…あ!ああ!!」
「ん…あああああ!!!!」
そういい残して二人が絶頂に達した、僕が見ている前で、僕には何もかもが信じられなかった。
こんなのは現実じゃない、僕が望んだのは…二人だけの幸せだったのに。
僕の心が音を立てて崩れた気がした、もし本当に子供が出来たら、責任感の強い彼が戻ってこないのも解って
いた、それを攻めれば彼が腹を切って詫びを入れかねないことも。
悲しかった、僕はただ、彼を愛したかっただけだって言うのに。
気が付けば僕は涙を流して泣いていた、それと同時に上条への殺意が沸いていた。
ぼくはそれでもただ、今は現実を受け入れるしかなかった。


490 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2008/05/21(水) 00:54:54 ID:GTPgy4sN
君の涙が乾くまで~西田義孝⑦

あの日から数日が経った、あの後すぐに俺は上条に詰め寄ったが
彼女は俺を愛していたからやったと泣き落としを使った、そこで
彼女を殴って、すぐにでもさやかの元に駆け寄りたかったが、最早
そんなことを言ってはいられない事態だった、下手をすれば僕は力余
って彼女を殴り殺し、LYSと彼女の所属する組織から追われて殺される
そうなる事を上条は一番理解して、今回の凶行に走ったのだろう。
上条はすぐに自分の所属する組織に連絡をして組織の施設にさやかを
保護させ、やすやすと僕らの仲を引き裂き、僕のサポート役に納まった。
僕は怒りのあまりに彼女の肩をつかみ、お前を殺すと彼女を脅した、そう
脅しても上条は笑顔でいいよと答えた。
「だって私、義孝の事が大好きだから」
何の悪びれもするでなく、そう言える上条が僕は心の底から憎かったが、それでも
僕は上条を殺す事が出来なかった、そうこうする内にLYSの四国占領迎撃作戦が
決行し、俺達はバイクで四国に向かうことになった。
その間中も何度も彼女は絶えず僕にまとわりつき、隙を見つけては僕の体に麻酔を
打ち込んでは僕と交わった、僕は日に日に本当に彼女に対して殺意が沸いてきたが
結局そんな抵抗は何の意味も持たず、作戦決行の日になった。
僕たち上条を含めた10人の改造人間、通称ライダー部隊は鳴門海峡大橋から現れた
怪人軍団を相手に大乱闘を繰り広げる事になった。
始めは俺達のほうが、C、D級再生怪人軍団を相手にしたためかほぼ楽勝といった感じ
で攻めていったが、しだいにそれは敵側の罠だという事に気づかされ始めた。
そもそも手駒の数では勝てるわけも無いLYSは、はじめから僕たちをおびき寄せて
一網打尽にするためにわざと情報を流して場所の指定などをしたのだろう。
そんなことを最初に感じ始めたとき、防御担当のアルマジロタイプのライダーが、手に
持ったソードシールドごと攻撃を打ち抜かれて死んだ。
アルマジロこと、アイギスの体が爆発し、その爆音と共にバイクで現れた敵は、俺と同じ
バッタ型の怪人8体と、クワガタ型の巨大なグレイブを構えた怪人だった。
あわてて全体攻撃型のフグタイプライダーが火炎放射を使い、サボテンタイプライダーが
針を飛ばし、アリジゴクタイプのライダーにいたっては大橋自体を破壊し、敵の攻撃を寸断
しようとしたがそれでも敵の凄まじい猛攻は止まる事が無かった。
ライダー達はそれぞれにバッタ型…いや、僕の偽者たちにバイクで弾き飛ばされ、動けなくな
ったところでジャイロショットを打ち込まれ、それに続いて放たれたピンファイアキックやリム
ファイヤアタックで次々に殺されていった。
それまで無敵と思われた軍団の陣形は一瞬にして破壊された。
「くそお!!死ねえええ!!!」
上条ことシナゴーグは叫び、上空から何発ものビームを放ち、必殺の鏡のような羽をばら撒いて
乱反射させたビームを四方八方に打ちまくるという必殺技も使ったが、偽者の俺の装甲には手も足も
出ず、へとへとに疲れきったところで両方の翼を撃ち抜かれ、そのまま地面に落下した。
さすがにこのまま見殺しには出来ない、そう考えた俺は敵側のジャイロショットでぼろぼろになった
アイギスシールドで敵の弾丸を何とか避けながら駆け寄ったが、背後からいきなり迫った俺の偽者の
バイクの一撃には勝てず、俺はその場に倒れこんだ、長い時間の戦いで疲れきった意識は一気にブラックアウトした。
心の中はただ無念さと自分の愚かさ、そして悔しさと、最後に一目さやかに会いたいという気持ちで埋め尽くされていた。



491 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2008/05/21(水) 00:55:44 ID:GTPgy4sN
君の涙が乾くまで~???⑦

「敵ライダー、パスズとシナゴーグを覗いて全体破壊、完了しました」
パスズが倒れこむと同時、クワガタ型の怪人、ルキフグスは変身を解除
して携帯電話で組織に連絡を取った。
「はい、量産型パスズの性能もさすがです、これも全てプロフェッサーの
…はい、パスズは再度強化手術を受けさせた後洗脳を…はい、シナゴーグは
そのままプロフェッサーのラボに運べば良いのですね・・・つくづく恐ろしい人だ
プロフェッサー桃井は…はい、それではまた」
ルキフグスは携帯の電源を切ると、ゾルダートたちに指示を下しはじめた。



492 :リッサ ◆v0Z8Q0837k [sage ] :2008/05/21(水) 00:57:19 ID:GTPgy4sN
君の涙が乾くまで~桃井さやか⑦

あの女によって組織の施設に保護された僕は、その日のうちに施設を抜け出して
唯一の情報である四国に向かうべく、不便な片手を使って電車の切符を買おうと
していたところ、背後からスーツ姿の男に声をかけられた。
「プロフェッサー桃井、あなたにお話があります」
「何だい?LYSの勧誘かい?」
眼鏡をかけた品のよさそうな男は驚いたような顔をする、馬鹿かコイツは、いまどき僕を
プロフェッサー呼ばわりするなんて悪の組織の幹部くらいだと何故思えないんだか。
「あいにくだけどお断りだ、それに僕は君らのことなんてどうでも良い、今の僕は…」
「あの男、パスズをシナゴーグから取り戻して、ずっと自分の手元に置いておきたいので
しょう?ならいくらでも我々が力を貸しますよ、それにシナゴーグはずいぶんと我々の同胞
を殺してきて迷惑をこうむったが、あなた方パスズコンビの行動は我々にとっては実に評価
出来るものなのですよ」
「何が何だかわからないねえ?何だ君たちは、もしかしてLYSの過激派とか、それともLYS
の内部で分裂した勢力とかなのかい?」
男は嬉しそうな顔をして眼鏡を持ち上げる。
「はい、勿論その通りです…そして、あなた方はその内部勢力で、僕たちの障害になる勢力を残らず
殺してくれた、いわば恩人にあたるというわけです、おかげでずいぶんと楽に関東圏に進出する事も出来ました」
「そうかい、それはよかった。それで君に僕が力を貸した場合、一体どのくらいの権限が手に入る?」
「日本支部の支部長、いえ、あなたの頭脳を持ってすれば世界支部大総統の椅子は確実かと」
「それで君は何の見返りを望むんだ?」
「あなたのような、ただ純粋に愛に生きる人間の支配した世界を死ぬまで見させてくれるのなら、僕は
何も要りません」
僕はその言葉を聴いて少し悩んだ、多分この男の言葉に嘘は無い、そして信用とは行かなくても、こちらの
事情を知った上でそう言ってくれるのは非常にありがたいことだった、そしてなによりただ純粋に愛に生き
る人間、そう言ってくれたその言葉は僕の心を完全に支配した。
僕はしっかりと男の顔を見つめて、声をかけた。
「ねえ…ええと」
「シャックスとお呼びください、プロフェッサー…いえ、総統代行」
「シャックス、僕はもう、彼のつらくて悲しいヒーロー劇を終わらせてあげようと、そう思うんだ、もう復讐
なんかしなくてもいい、僕と二人で幸せになれる世界を作ってあげたいんだ」
「…そして、二人を引き裂いたあの女にも制裁を加えたいと…そう言うわけですか?」
「解ってるねえ君は、そのために、僕の考えた作戦に乗ってくれるかい」
「はい、貴女のためならどこまでも」
僕は笑顔で彼の言葉を受け入れた、そして彼を取り戻すための作戦を決行する事にした。
そう、僕にははじめから世界なんて要らなかったんだ、僕が欲しかったのは彼だけだったんだ。
だたらもう、やる事は決まってるじゃないか。
ぼくはこのたたかいをおわらせて、かれとしあわせにずっとくらすんだ。