114 :渋沢夏恋の話◇ミツバ :2007/01/27(土) 17:32:49 ID:6hTEtMR1
――告白しよう。
私こと渋沢夏恋は、唯一の肉親である、渋沢剛毅を誰よりも愛している。

思えば私は、剛毅がより私の愛を感じる事が出来るように、いろいろと手を尽くしてきた。

十五年前、剛毅に対して私以上の愛情を注いでいた両親を、交通事故に見せかけて亡きものにした。
――私以上に剛毅を愛する者などあってはならない。
両親の葬儀の際、多くの人が『可哀想に…』と私に同情してくれた。
けれど、剛毅とのふたりきりの生活を夢想する私にはどうでもよいことだった。

私達を引き取ろうとする親族もいたが、丁重に断った。
「ふたりきりの家族ですから、これから支えあっていきたいと思います」
親族達はそんな私を気丈だと誉め、そっとしてくれた。

――正直助かった。もし強引に引き取られでもしたら、その人たちまで殺さなくてはいけなくなるところだった。
殺人はどうでもよいが、警察に嗅ぎつけられたら剛毅と離れ離れになってしまう。


115 :渋沢夏恋の話◇ミツバ :2007/01/27(土) 17:49:51 ID:6hTEtMR1
剛毅が小学校に上がる時はとても心配だった。
剛毅は私の為に操を立ててくれると信じでいるが、クラスの汚らしい雌餓鬼共が剛毅を誘惑するかもしれないからだ。
私の危惧は当たった。
剛毅が雌餓鬼を連れて帰ってきたのだ。
掴みかかりたい衝動を堪え、よそ行きの笑顔を張り付かせた。

唇を噛むと、血が滲んだ。
その痛みの報復は、その日のうちに晴らした。


――次の日、剛毅は酷く落ち込んでいた。
駄目だよ?私の前では笑顔でなきゃ。
剛毅の笑顔はこの世で一番可愛いんだから。

夕食になっても剛毅は落ち込んだままだった。
話を聞いてみると、昨日一緒にいた雌餓鬼が、バラバラにされて発見されたらしい。
なぁんだ、そんなこと、剛毅が気にする必要ないのよ?

その夜、剛毅を慰めるために、私たちは一戦を越えた。
最終更新:2011年05月26日 11:14