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147 :完全世界 [sage] :2007/01/30(火) 07:26:38 ID:WgKNhTCo
「…ゴメンネ…ゴメンネ…」
そう呟きながら僕の胸に頬を擦り付けるように抱きついているのは幼馴染みの祐子だ。
小さかった頃には、ゆうちゃん、なんて呼んでいた仲だ。
今では、その…恋人になっていた。
その祐子に何で謝られてるのか、だって?
それは、祐子が───
「…ゴメンネ…ヒック…、ゴメンネ…ふ、フライパンでぶっちゃったりして…グスッ…」
と、言うことだ。
「ゆ、祐子、わかったから、この、手を縛ってる紐、解いて、くれない…?」
「…ダメ」
あまりの痛さに、朦朧としながらの僕の願いは、苛立ちを隠さない祐子によって即却下された。
「な、んで…?」
「だって、そうしたら○○ちゃん、どこか行っちゃうでしょ…?」
「どこにも…いかないよ…?」
なんだか要領を得ない言葉を紡ぐ祐子。
僕の言葉にも黙って首を横に振るだけだ。
僕の言葉に嘘は無いのだけれども。
「ゆ、ゆう、こ?」
「だ、だって、だってね?
○○ちゃん、私の事今まで、『愛してる』って言ってくれない、んだもん…グスッ」
「……」


148 :完全世界 [sage] :2007/01/30(火) 07:27:55 ID:WgKNhTCo
「私は、私はね?
○○ちゃんの事、ずぅぅぅっと、ずぅぅぅっと、愛してるの…
でも、でもね?
○○ちゃんは、私の事、『好き』なんでしょ?
わ、私はね?
本当は、ズルい、嫌な女なの…ヒック
だから、『好き』じゃ、不安なの…
ううん、足りないの…グスッ…
だからね?
○○ちゃんを、私だけの物にしよう、って
ちょっとだけ、痛いかもしれないけど…アハハ…。
い、良いよね?○○ちゃん…アハッ…」
狂った眼で、狂った笑顔で、狂った詞(ことば)を、真摯にぶつけてくる祐子。
それに、僕は、狂っているとは思わなかった。
僕はむしろ、情けなく、悔しく、そして、ほんの少しだけ、嬉しかった。
「…い、いよ」
「え?」
「ぼ、僕を祐子の物にしても…いいよ」
「○、○○ちゃん!」
「でも、一つだけ、伝えたいんだ」
「…」
「祐子、ずっと愛してる」
「…ヒック…グスッ…わ、私も、ずっと愛してます」
そう、二人で言葉を交わした後。
祐子が持っていた、鈍く光を反射して輝く刃。
それで、お互いの首筋を────裂いた。

それぞれの血を体に浴びながら

僕と祐子は誓いのキスをした。

永遠で、絶対の、約束。

そうして、僕達の世界は、完全世界になったんだ。