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192 :1/4 [sage] :2007/02/01(木) 23:59:22 ID:1U+KQnna
今、俺の目の前にはチョコレートがある。
そして俺はいったいこれからどうすればいいのか考えていた。

 数ヶ月前、28才彼女無し趣味は2chの俺は何をどうやって奇跡を起こしたのか姫野亜弓に
告白された。駅で見て一目惚れしたと。彼女は少し痩せ気味ではあったが青白いほどの
肌をした割と美人な女性だった。告白されたのだが、二次元にしか興味が無くロリ属性を
兼ね備えた俺は丁寧にお断りした。もう少し正確に理由を言えば手首に刻まれた何本もの
傷跡が俺を思いとどまらせた。

 そして、姫野はストーカーになった。
 まず、無言電話から始まった。電話をとらなければ一晩で50回以上かけてきた。
履歴が50までしか残らないので本当は軽く3桁をこす回数なのだろう。着信拒否をかけると
公衆電話からかかってくるようになった。




193 :2/4 [sage] :2007/02/02(金) 00:00:25 ID:1U+KQnna
 この頃からメールも来るようになった。俺が朝何時に起きて飯は何を食い、誰としゃべって
トイレにいつ行ったかこと細かに書いてあった。そして、夕飯がカップラーメンってのは
健康に良くないです、体を壊さないか心配です、とか、今日話していた子は化粧が濃くて
あなたには釣り合いません、などと逐一コメントがあった。

 非通知電話と彼女のアドレス(とおぼしきもの)も受信拒否をすると電話はさすがに
無くなった。が、メールだけは東南アジアだとかアフリカだとかの訳の分からないサーバーを
経由して送られてきた。姫野亜弓にはハッカーの才能があったらしい。
 登録しているアドレス意外からはメールを受け取れないようにした。すると今度は
2日に一回、郵便受けに手紙が舞い込むようになった。

 俺は次々と連絡手段を絶つ意外は一貫して無視の態度をとっていた。
 下手に反応を返せば喜ぶと思ったからだ。
 だが、しばらく手紙攻撃が続いた後で友人達に手が及んだのには腹がたった。電話で
もう彼とは付き合わないで下さい、あなたといるとあなたの汚さが彼にうつるかもしれない、
彼をたぶらかさないで下さい等々と述べたてたらしい。



194 :3/4 [sage] :2007/02/02(金) 00:01:14 ID:xMkeqk+n
 5人の友人に姫野から電話があった翌日、俺は帰り道で物陰から姫野をひきずり出して
思い切り平手で殴った。
そして大声でふざけんなストーカー女がいい加減にしろ、てめえの事なんざゴキブリ程度にも
思ってねえんだよというようなことを喚いて去った。

 それが3日前だ。

 そしてつい数時間前。
「はじめまして姫野真弓です」
 姫野亜弓の妹だという女が訪ねてきた。

 とりあえずその子を家にあげることにした。制服だし見たとこは女子高生だ。
「これ、お姉ちゃんからです」
「…えーと、俺にってこと?」
「はい。チョコレートです。バレンタインの。少し早いですけど」
「ちなみに今…亜弓さんはどうして…?」
「傷がちょっとやっぱり膿んじゃって発熱してます。あ、命に別状は無いから大丈夫ですよ」
「俺のせいか…」
「え?違いますよ?手首です手首。傷つけることは良くあったんですけど切り落としたのは初めてで…やっぱり危ないですよね。だから指にしようって言ったのに」
「……」




195 :4/4 [sage] :2007/02/02(金) 00:02:22 ID:xMkeqk+n
「じゃあ、長居するとお姉ちゃんに殺されるんで私帰りますね」
「あ…ああ」
「チョコ、絶対に食べて下さいね。お姉ちゃんの身を削った愛が詰まってるんですから」

 姫野真弓は言いたいことだけ言って帰って行った。

 そして俺の前にチョコレートが残されている。どうすべきか。
 食べるという選択肢は無い。一切無い。…切り落とした手首の行方を俺は知りたく無い。
だが捨てるのは…果たして捨てて大丈夫な代物なのか。腐敗臭のする可能性のある状態で
あれば俺が疑われる危険性がある。
 とりあえず箱を開けて形状を確かめればいいのだが…もし手の形をしたチョコレートが
入っていたら俺はきっと立ち直れない。

 俺はいったいどうすればいいのか。答えは当分出そうに無かった。