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1 名前: ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23:23:43 ID:3F4iYY5m
・このスレッドはヤンデレの小説を書くスレッドです。
・プロット投下やニュースなどのヤンデレ系のネタ大歓迎。
・ぶつ切りでの作品投下もアリ。
・作者のみなさんはできるだけ作品を完結させるようにしてください。
 
ヤンデレとは
・主人公が好きだが(デレ)その過程で心を病んでしまう(ヤン)状態の事をさします。
 (別名:黒化、黒姫化など)
・ヒロインはライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつ確実に病んでいく。
・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することがある。

ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫
http://yandere.web.fc2.com/
前々スレ
ヤンデレの小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148704799/
前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169476735/

2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23:28:10 ID:yPOnFcDW
>>1 乙!

関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 修羅場の28
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1170714407/

3 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23:28:58 ID:wqvf+upe
>>1にして作者どの、乙。

4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23:35:14 ID:pr+Lavid
>>1乙~
 
ところで、最近このジャンルに入ったばかりの新参で悪いのだが…
「好きだった相手が、不慮の事故や殺人によって殺されて、闇落ちしてしまう」

ってのはヤンデレに入るんだろうか?

5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 23:39:02 ID:zj6Fc85K
>>4
入ると思う。まぁ展開にも依ると思うけど。

6 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00:00:12 ID:eRVaRylj
>>1乙です。
小説の方も楽しみにしています。

>>4
闇落ちして何らかの行動を起こせばヤンデレだと思います。

7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00:03:00 ID:tmOEM4/d
>>4
大河内さんが一番近いかも…

8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00:05:11 ID:dJAJczQi
>>4
それなんて園崎詩音

9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 00:57:14 ID:Cp55S9g9
なんだ・・・
ヤンキー娘がデレるって意味だと思ってた・・・

10 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 01:01:17 ID:ITwVDmp/
古いネタをww

11 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 01:11:45 ID:EIaTgmpr
>>9
ふん、なによ、勝手に誤解して勝手に失望しちゃって!
貴方なんかこっちからお断りよ!
 
その点○○君は私に優しいし、明日もふたりでデートするんだから♪ねぇ?○○君。
………え?○○君、なによその顔、わ、私とのデートが、い、嫌なの!?
なによそれ!私はもう明日デートするつもりで予定立てたのよ!
え?『そもそも彼氏じゃない』ですって?そんなこの前ケーキ食べながら告白してくれたじゃない!
『ケーキが好きって言ったけど君が好きだとは言ってない』ですって?
…………………あ、あはは、あははははは!な、なにを、なにを言ってるのよ○○君!
私は○○君が好き。○○君も私が好き。私は○○君が好き。○○君も私が好き。
私は○○君が好き。○○君も私が好き。私は○○君が好き。○○君も私が好き。
私は○○君が好き。○○君も私が好き。私は○○君が好き。○○君も私が好き。
○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君
○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君
○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君………………あはっ♪

12 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 02:11:47 ID:0mRpN3BG
>>4

僕は事故に遭った……らしい。
らしい、と言ったのは、僕に記憶が無いからだ。
僕が覚えているのは、デートの後、彼女─美月に手を振りながら横断歩道を渡ろうとした所までだ。
家族の話によると、その時に横から突っ込んできた車に挽かれ、病院に運ばれた後、3日も寝ていたらしい。
怪我は、と言うと、両足複雑骨折。
正直に言って、再び歩けるようになるのは難しいらしい。
まぁ、僕は小説家になりたいから───と強がりを言ったところで、もう歩けない事に対する喪失感は拭えなかった。
僕を挽いた車を運転していたのは、近くの会社に勤めるOLらしい。
今回の事故は僕が全面的に悪いので、本当にいい迷惑だったと思う。

まあ、そんな事があって、僕は入院中だ。
そこに、彼女の美月が見舞いに来た。
旅行用のトランクをもって。

「駿!心配、したんだからぁっ!」
そう言って抱き付き、泣きじゃくる美月に、僕はごめんと言って背中をさする事しか出来なかった。

「あのね、駿に朗報があるの!」
「それはねぇ……ほら!」
美月が差し出したのは、トランク。
それを開けると────
 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 08:14:38 ID:j908xWak
>>12
その中に入っていたのは人の顔だった。

・・・・・・・・・・・・。

よく見ると少し違った。
中にはもう一つトランクが入っていた。それに人の顔が書いてあったのだ。

「あははは! うわぁぁぁぁぁぁ!!! だって!
 何驚いてるのよ。人間の頭でも入ってると思った?」
「お前なあ・・・・・・」

美月はにやりと笑うと僕に向かってこう言った。

「うふふ。朗報っていうのはね、その中に入ってるのよ。開けてみて」
「まったくお前ってやつは・・・・・・」

もう一つのトランクを開けると、中に入っていたのは――
 
「――――――え?」

14 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 08:45:06 ID:gnRHxdtb
>>13
小さい小さい箱だった。この形の箱はドラマとかでよく見かける。
そう、プロポーズのシーンなんかで、よく――
震える手でそれを開けると指輪が入っていた。銀色のシンプルなものだ。

「駿、あのね、結婚しよう」

美月はつっかえながら必死に続ける。

「あのね、わかってる。普通これは女がやるもんじゃないってわかってるの。
 こんな時までカケラも大人しくなくてごめんなさい。でも、考えたの」

もうほとんど彼女は泣きそうだった。

「私はね、あなたが、あなたがどんなになってもそばにいたい。私は駿のお嫁さんに
 なりたい。歩けないなら私が支えるから一緒にいて欲しいの。駿と一緒に生きたい」

美月はもう泣いていた。それでも彼女は必死に続ける。

「駿が死んじゃうかもしれないって思った時本当に怖かった。離れるぐらいなら死にたいと思った。……もう離れない。離さないから……け、け、結婚して」

残りの言葉は僕の口唇のなかに吸い込まれた。

僕はこの時最高に幸せだった。
この時は、まだ自分と周りがどんな状況なのか全く把握していなかったからだ。
 

15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 12:55:37 ID:DsXBobEd
美月からプロポーズを受けて数日がたった
この数日間は幸せだったと断言出来るだろう
美月は僕の事を献身的に介護してくれたし朝早くから来て面会時間ぎりぎりまでいてくれた。帰る時にはいつも名残惜しそうに
「駿、明日も絶対くるからね。だからちゃんと待っているんだよ」
と言ってくれた。
毎日美月にこの言葉を言われるたび、僕はなんとなく幸せな気分になった。
今の僕は美月を必要としている。そして美月は僕を必要とし助けてくれる。
とても理想な関係だったと言えるだろう
この関係はこの先ずっと続くだろう
しかしこの関係がヒビの入ったガラス細工のような物だったことに僕はまだ気付いて無かった。
そして僕はその事を思い知らされることになる
 

16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 13:56:52 ID:ZLb7CIwF
書きながら投下するのは止めてくれませんか
もし携帯からならメモ帳なりメールに書き溜めてから投下して下さい

17 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 14:01:08 ID:bM3OW3V5
>>1
乙!

>>16
おまえは何を言っているんだ

18 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 14:13:59 ID:40K7HDry
まあ、とりあえず前スレ>>777
伊南屋氏投下щ(゚Д゚щ)カモォォォン 
 
 
19 名前:13[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 14:17:24 ID:j908xWak
まあ、書き込みづらい空気になってたかもな。
みんなすまん。

20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 14:32:24 ID:DsXBobEd
>>16
あれって全員別の人が登校したんじゃないのか?
だからID(?)がバラバラなんだと思うんだが
 
21 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 14:46:38 ID:ITwVDmp/
ROCO氏GJ!!

この女性視点のエロさがたまらないですね。
もともとこの属性は無かったのですが、今から芽生えてきそうです!!

22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 14:49:25 ID:ITwVDmp/
スマソ。

スレ間違えちまったんだよ……(´・ω・`)

23 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 14:50:00 ID:ZLb7CIwF
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
死ぬから、今すぐ死ぬから嫌いにならないで!!
あはっ、あはははは
『グサッ』
あはははははははは!!
『グサグサグサグサグサっ!』
 
短絡的で本当にすまんかったorz

24 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 15:08:56 ID:FnEeh2NW
>>23
あんたのせいで・・・あんたのせいで途絶えちゃったじゃないの!
どう・・・、どう責任とってくれるのよ・・・。殺してやる・・・コロ・・・シテ・・・
 
 
 

サクッ

25 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 15:21:25 ID:DsXBobEd
>>24
貴女がそんなこと言って良いのかしら?
貴女だって>>23と同じ雌豚なのよ。
貴女たちがいるから、七志君は怖がって出てこれないの、でも安心して七志君。今この豚を殺してあげるから…

26 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/13(火) 17:14:46 ID:odr1Uu9e
新ジャンルの『素直狂う』ってヤンデレ?

27 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 17:30:34 ID:EIaTgmpr
>>26
狂人が男に惚れるのと、男に惚れるあまり狂うのは別物です。

28 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 18:02:36 ID:dyXsTalx
ヤンデレの定義も難しいよな…

愛した男が死んで、それを認められずに
「あはは、もう、早く起きないと遅刻するよ?」
と、誰もいないベッドに毎朝男を起こしに来たり、
「今日はご馳走にしたんだぁ」と、自分しかいないテーブルに
二人分の食事を用意してる。

これはヤンデレなのか痛キャラなのかどっちなんだろ?

29 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 18:33:07 ID:v4rGzLRf
俺が思うに

・主人公に対して愛情をもっている
・狂っているのでは、と思わせるほど精神が病んでいる
・しかし生まれつき狂ってはいない。どこかで狂った
・ヒロインが美少女である

の基本さえ押さえていればヤンデレなのではないかと。
あとは魅せ方次第だと思う。

>>28もそこに至る過程次第でどう見えるか変わるだろうし。

30 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 18:38:51 ID:EIaTgmpr
>>28
その場合男の生前にどうやって狂ったかじゃない?
出会う前から狂ってれば痛女だし、男と出会って狂えばヤンデレ。
男の死が原因で死後に狂ったのならヤンデレだと思う。

あと痛女とヤンデレの区別の基準のひとつに、「男以外への接し方」がある。
たとえば誰彼構わず痛い行動を繰り返しているのならただの精神病or痛女だし、
男と、男が絡む事情にだけ過敏に反応するのはヤンデレになる。

31 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 19:06:45 ID:1TzDS62S
基準なんて少ない方がいいんだよ
作品の幅が狭まるだけだ

病んでいる、そして主人公にデレている。
これで十分

32 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 19:10:24 ID:1TzDS62S
てわけで痛女はヤンデレの一部分だと思います

33 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/13(火) 19:46:23 ID:Jcwk0VJZ
>>31
そう!
頭で考えるんじゃない。
心で感じるんだ!!

34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 19:50:27 ID:gnRHxdtb
>>33がいいことを言った。

35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 20:52:20 ID:HbS1YR/w
ここを見るまでヤンデレってヤンキーなデレかと思ってた。
普段ヤンキーっぽいけど時々デレるみたいな。

36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 21:01:45 ID:v4rGzLRf
>>10w

37 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/13(火) 21:25:54 ID:Jcwk0VJZ
>>35
そ、それはそれで…

「ぎ、義理なんだからねっ!……カン違いしないでよねっ?」

…スマソ、これではツンデレだ……orz
いよいよ明日だ!!
頭にバのつく婦女子が溜まりに溜まった想いをカフェインを
炭水化物と共に摂れる形でその他色々なオプションを付けて
そんでもって場合によっては血の雨が降ったりなんかもする日は!!!
 
38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 21:26:06 ID:dyXsTalx
まあ、こういう話をすると荒れる原因だと思うが、

「痛女はヤンデレを内包している」

と思うんだよな。
痛女のカテゴリーの一つとしてヤンデレがある、というか。
 

まあ、結論は>>31って事には激しく同意だがなッ!

39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 21:27:57 ID:4vxG40j9
もて王の綾はヤンデレ?

40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 21:30:15 ID:91rHc3Xx
>>35
つ ttp://ashigaru.f-adult.com/index.html
こちらの「成人向けオリジナルに」にある「喜多さんと僕」シリーズがお勧め

41 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/13(火) 21:31:16 ID:Jcwk0VJZ
残り二時間と半…
 
         -2:30-
 
 
42 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 21:35:29 ID:v4rGzLRf
>>37
誰か俺宛に食べきれないチョコレート送ってくれないか?
俺は会社入って一度も貰ったこと無いし。
いや、もらったらお返ししないといけないから貰いたくは無いんだ。

しかしチョコは欲しい。俺が毎月チョコレートにかけている金額は
相当な額になるから少しでも食費を浮かせたいのだ。

愛は要らん。女も要らん。セクロスも要らん。
ただチョコレートをよこせ。俺がバレンタインに言いたいのはそれだけだ。
 
まあ、明日はSSが投下される確率大だからな。
今から楽しみだ。

43 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/13(火) 21:41:25 ID:TiStBspt
闇討ち/須藤冬華
http://imepita.jp/20070213/779790
イベント絵らしきものシリーズ

44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 22:02:38 ID:J4YNFArw
冬華ちんはもっとロリ上品なサイ娘なんだい!

45 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/13(火) 22:04:34 ID:Jcwk0VJZ
残り二時間
 
     -2:00-

46 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/13(火) 22:22:45 ID:TiStBspt
>>44
イメージにそぐわなかったようでスマヌ。功夫が足りんかった。

とりあえずカラーも出来たので一応は置いとく。
http://imepita.jp/20070213/803910

47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 22:24:06 ID:ofO+wJaT
>>46
これは怖可愛いですね((( ;゚∀゚)))ガクブルハァハァ

48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 22:36:36 ID:v4rGzLRf
>>46
クンフーが効いておりますな。雰囲気充分です。

49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 23:10:24 ID:eRVaRylj
>>46
カラーだと様になるw

50 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 23:36:59 ID:8Irdrcd7
闇打ちウサギの妄想では目が最後らへんのアンデルセンみたくなって鼻の頭に筋が浮かんでたヤツ手を挙げろ
 
 
 
 
 
 
 
お願い……私を一人にしないで……

51 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 23:49:09 ID:3QD6tNG5
個人的な嗜好だが、ヤンデレは

「幸せな一時があって、それが一方的に理不尽に奪われ、ゆえに狂うしかなかった」

という展開がツボ。
 

てか、ちょっとネタ思いついたんで形にしてくる

52 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/13(火) 23:50:14 ID:TiStBspt
期待してる

53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:07:47 ID:eRVaRylj
>>51
新たな職人誕生か!?

54 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:09:37 ID:dy7nRHr9
メリーバレンタイン!

というわけで女店長のSSを投下します。

55 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:10:20 ID:dy7nRHr9
ことのはぐるま番外編~女店長・越えられない壁~

日本のある町にコンビニエンスストアがありました。
 その店は胸の大きな女性が店長を務めています。
 胸がどれぐらい大きいかというと、成人男性の手にも収まらない
くらいの大きさをしています。
 お店にやってくる男性たちは店長の胸元に釘付けになってしまいます。
 ときどき、店員の女の子がその胸を見てため息を吐いています。
 その女の子のバストサイズは日本人の平均以上ありますが、それでも店長の
胸の大きさにはかないません。それほど大きいのです。

今日は2月14日。
 バレンタインデー当日です。
 コンビニエンスストアの店内にもチョコレートのコーナーが設けられ、
女の子たちはそこで義理、または本命の相手に贈るためのチョコを選んでいます。

胸の大きい女店長は楽しそうな女の子たちを事務所の監視カメラから観察しています。
 物憂げな眼差しは見る者全てを恋に落としそうな色気を放っています。

「懐かしいわ。わたしもあんな頃があったわよね・・・・・・」

彼女が物憂げな視線で女の子たちを見つめているのには理由があります。
 遠い昔を懐かしんでいるわけではありません。まだ20代ですから。
 バレンタインデーは彼女にとって特別な日です。
 今でも愛している彼の心を射止めた記念日なのですから。

あれは三年ほど前のことです・・・・・・

 
56 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:10:59 ID:dy7nRHr9
 当時の女店長は店長ではなく、コンビニのアルバイト店員でした。
 
 この回想の中では便宜的に裕子と呼ぶことにします。
 本名ではありません。仮名です。

大学を卒業後、彼女はフリーターとして生計を立てていました。
 就職はできなかったものの、勤労の喜びを味わいながら日々楽しく
暮らしていました。
 
 ある日のことです。
 時刻は夜八時数分前。裕子は退屈そうにバイト終了の時間を待ちながら
レジ当番をしています。

すると店内にスーツ姿の男性が入ってきました。

「いらっしゃいませこんばんは!」

裕子は元気良く挨拶します。
 彼女の挨拶はお店に入ってくる人にはっきりと聞こえます。
 その男性にももちろん聞こえました。

男性は裕子の方を向いて微笑を浮かべながら会釈を返しました。
 優しい微笑みでした。その笑顔を見て裕子はどきっとしてしまいました。

(か・・・・・・かっこいい・・・・・・)

清潔感のある短い髪に、穏やかな微笑み。
 すらりとしたスーツをかっこよく着こなした男性の姿を見て、
目を離せなくなってしまいました。
 
57 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:11:43 ID:dy7nRHr9
「これ、温めてください。袋は結構ですので」
「はい! かしこまりました!」

男性がレジに弁当とお茶を持ってきました。
 レジを挟んで裕子と男性は向かい合っています。

(はああ・・・・・・いい匂い)

男性を目の前にして、裕子は緊張したり興奮したりと大変です。

(そうだ・・・・・・)

お弁当とお茶にシールを貼ってから男性に差し出します。その場で彼女は
あることを実行することにしました。
 両手で弁当を差し出して、男性が手を出した瞬間にその手を握ったのです。

「う、うわっ?」
「あ・・・・・・ごめんなさい!」

裕子は謝りながら男性を上目遣いで見つめました。
 ぶりっ子全開、おとす気満々の瞳です。
 男性は軽いパニックになって慌てています。

「ええっとあの、その・・・・・・」
「ごめんなさい! 間違って握っちゃいました。
 ほんと、ごめんなさい! う・・・・・・ぐす」

今度は下を向いて嗚咽を漏らしました。
 もちろんうそ泣きです。

「いいえ! 全然怒ってませんから! 気にしないでください!
 そ、それじゃ、失礼しますっ!」

男性は弁当とお茶を持って慌てて店から出て行きました。

(やった! これで顔を覚えてもらえたわ!)

その時点でバイトが終了する時間になったので、事務所へと入っていきました。
 
58 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:12:20 ID:dy7nRHr9
 かつてないほどの速さで着替えを終えた裕子は外へ飛び出しました。
 何故かと言うと、先ほどの男性と会って話をしたかったからです。

(まだそんなに時間は経ってないから、その辺にいるはずよ)

目を鋭くして、周囲をきょろきょろと見渡しています。
 男性はすぐに見つかりました。コンビニの外に設置してあるベンチに座って
弁当を食べています。
 裕子ははやる気持ちを抑えてゆっくりと男性に近寄っていきます。

「こんばんは」
「むぐ? ・・・・・・さっきの店員さん?」

男性は箸を止めて裕子の方に振り向きました。

「隣に座ってもいいですか?」
「ええ。構いませんけど」

男性は腰を浮かせて左側に空間を空けました。そこに裕子は座ります。
 二人の太ももが密着するかどうかという距離を空けて。

「う・・・・・・」

裕子の行動に男性は戸惑ってしまい、弁当を食べる動きが緩慢になりました。
 それを見て取った裕子は、すかさず男性に話しかけます。

「私、裕子っていいます。お名前教えてもらっていいですか?」
「荒川修二です」
「私ここでバイトしてるんです。荒川さんはなんのお仕事をしてるんですか?」
「そこの高校に今年から教師として赴任しました。今日は残業していたら
 いつもより遅くなってしまってこんな時間になっちゃったんですよ」
「高校の先生ってやっぱり大変なんですね」

あっさりと男性の名前・おおよその年齢・職業を聞き出しました。
 たたみかけるように裕子は次の行動を開始します。
 
59 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:13:02 ID:dy7nRHr9
「あ。動かないでくださいね。ご飯粒が・・・・・・」
「うわっ!」

裕子がご飯粒をとろうと体をくっつけてきたので、修二はまた慌てました。
 豊満なバストの谷間に左腕が埋まってしまったからです。
 ご飯粒を取ろうとして動くたびに大きな胸が形を変えます。

「ああん、動かないで。取れないですよ」
「いや、どこについてるか言ってくれたら自分で・・・・・・」
「いあ・・・・・・ん。むぁ・・・・・・そんなに抵抗しないで。私・・・・・・」
「へ。あ! すいません!」
「あ、取れました」

今度はご飯粒を指に取り、修二の目を色っぽく見つめながら口に含みます。
 ぺろり、と。
 
 裕子はここまでの一連の行動で修二を完全に手玉に取ってしまいました。
 しかし続けて攻勢にでることなく・・・・・・

「それじゃあ隣、ありがとうございました。
 またお店に来てくださいね! バイバイ修二さん!」
「え・・・・・・あ、はい。さようなら・・・・・・」

修二の隣から立ち上がり、その場を立ち去りました。
 修二はおあずけを食らった犬のように物足りない顔をしています。

「・・・・・・なんだったんだあの人・・・・・・」

ちょっと興奮してしまった自分を恥ずかしく思いながら、修二は弁当の残りを
食べ始めました。
 
60 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:13:44 ID:dy7nRHr9
 その夜、修二が電車に乗って家に帰り着く頃には十時を回っていました。
 部屋に入った修二はすぐにシャワーを浴びにいきました。

「・・・・・・ふう」

シャワーを浴びながら修二は今日あったことを思い出していました。

(今日はいつもより長く残っちゃったけど・・・・・・いいことがあったな。
 裕子さん・・・・・・結構美人で、なにより胸が・・・・・・)

左腕に胸を押し付けられたときの感覚を思い出すと気分が昂ぶってきました。
 
 そのとき。

がたん

(―――っ!)

部屋の方から音がしました。
 まさか泥棒?鍵はかけたはず。いやしかし開けようと思えば本職の強盗であれば
簡単に開けられる。忍び込まれたかもしれない。嫌な想像が頭をよぎります。
 シャワーを止めて、入り口から見えない場所に隠れながら耳を澄まします。
 
 ですが、一向に音が聞こえてきません。それどころか人の気配すらも感じられ
ません。
 静かに浴室から出て、バスタオルを体に巻いたまま部屋を覗きますが、何も
変わった様子はありませんでした。

「なんだ。音がしただけか。びっくりさせないでくれよ」

そう呟いてから体を拭き、寝巻きに着替えると歯磨きをせずにベッドに
倒れ込みました。

「今日はいつもと違うことばっかり起こったなあ・・・・・・」

そしてそのまま胸の大きなコンビニ店員の女性のことを最後に思い出してから
眠りにつきました。
 
61 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:14:33 ID:dy7nRHr9
 深夜。修二はなんとはなしに目を覚ましました。
 枕元の時計を見ると夜の二時。まだ眠り始めて三時間しか経っていません。
 もう一度目を閉じました。

・・・・・・・・・・・・。

ごそ ごそ する する

(・・・・・・ん?)

ベッドの下からかすかに音がしました。衣擦れのような音が。
 そういえば以前『ベッドの下に殺人鬼が潜む』という都市伝説を聞いたことが
ありました。もしや・・・・・・と思って耳を澄ましますが、しばらく待っても何の音も
聞こえてきません。
 自分が動いたときに布団が衣擦れの音をさせたのだろう。都市伝説なんか
所詮作り話だよ。そう納得して眠りにつきました。

――

『修二さん。私、私ね・・・・・・今日、一目あなたを見たときに恋に落ちちゃった
 みたいなの。こんなの初めて』

修二は巨乳の女店員が出てくる夢を見ていました。

『信じてもらえないかもしれないけどね・・・・・・私、今まで男の人と付き合ったこと、
 一度も無いの。
 だから、ちょっとだけ不器用なアプローチしちゃうかもしれないけど許してね』

そう言うと女の子は修二の唇に顔を寄せてきました。
 その唇と修二の唇が近づいていきます。

『修二さん・・・・・・』

――

「ちょ、ちょっと! 裕子さん待って!」

修二は叫びながら飛び起きました。

・・・・・・・・・・・・。
 自分が見た夢の内容を思い出して、頭を抱えています。まさか昨日初めて会った
女性の夢を見てしまうとは。しかもいきなりキスを迫られるなんて・・・・・・。

「大学卒業してから彼女なんかいないけど、いくらなんでもこれはなあ。
 ・・・・・・・・・・・・はあ。仕事行くか」

すでに時刻は朝六時。
 修二は気分を入れ替えて学校へ向かうことにしました。
 
62 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:15:29 ID:dy7nRHr9
 その日の満員電車の中にて。
 修二は勤務先の学校へ行くために今日もいつも通りの電車に乗り込んでいました。
 去年の春から毎日のように乗り込んでいるので、すっかり我慢も覚えました。
 
 そう。今のように女性と間違われて痴漢されてしまっても、我慢できるのです。

すり すり すり

「(うええ)・・・・・・」

痴漢がお尻を触っています。両手で太ももと臀部を揉んだり、さすったり。時々
痴漢が下半身を擦りつけて来たりします。
 やめてくれよ・・・・・・俺は男なんだから。そう思っても痴漢は察してはくれません。

今度は前のほうに手が回ってきました。股間を探るように執拗に触ってきます。
今まで触っていた相手が男だということを確認しているようです。今までに女性と
間違われたときはこの時点で終わっていました。

ジィィィィィ

(は!?)

しかし、今回の相手は違いました。なんとスラックスのチャックを下ろしたのです。
そのまま下着の上からペニスを撫でてきます。
 この時点で修二にも限界が来ました。ペニスを撫でている痴漢の手を掴み、その手を
見て――最初に浮かんだのは疑問でした。その手は男にしてはやけに細かったのです。

(女の人の手?)

ということは痴漢ではなくて――痴女?そういえばさっきから背中に柔らかい二つの
感触がある。ああ、至福・・・・・・いや、それどころじゃない!
 修二は混乱しています。男であれば駅に着いたときに駅員に痴漢として突き出せば
いいのですが、今回の相手は女性です。それにそのまま握っていれば自分が痴漢扱い
されかねません。
 修二がその手を離したとき。

ぷしゅーーーーーーー

電車が駅に到着し、ドアが開きました。そしてそのまま人の流れに押されてホームに
投げ出されました。
 辺りを見回してもすでに誰が同じ電車に乗っていたのか分からないほどごったがえして
いたので、修二は痴女探しを諦めました。

ふと気がつくと、数人の女子高生が自分の方を見てくすくすと笑っています。なにやら
下半身に目がいっているような――

(いいっ!?)

さっき痴女にチャックを下ろされていたことを忘れていました。修二は慌ててチャック
を上げて、下を向きながら恥ずかしそうに早足で歩き出しました。
 
63 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:16:14 ID:dy7nRHr9
 時刻は変わって、夜八時。
 アルバイトを終えた裕子はコンビニの外に設置してあるベンチに座って修二を待って
いました。今日は修二がお店に来なかったので、昨日より遅い時間にやってくると思い
待ち伏せているのです。

(早く来ないかな修二さん。たくさん話したいことがあるんだから)
 
 それに今日は渡したいものがありました。バレンタインデーのチョコレートです。
なんと彼女は会って二日目で修二に愛の告白をしようと考えていたのです。

「(もしOKをもらえたら家に連れ込んで・・・・・・)うふふふふふふふふ」

何を想像しているのかはわかりませんが、不埒な想像をしているのは間違いありません。
身悶えしながら笑い声をあげているということはきっとそういうことなのでしょう。

 しかし10分、30分待っても修二は現れません。これはもしかしたら今日は会えないかも。
そう裕子が考えたとき――口論しているような声が聞こえてきました。

その声が聞こえてくる場所へ向かうと、修二と数人の男が向かい合っていました。しかも
男の一人は修二の胸倉を掴んでいます。

(あのアホザルども! よくも修二さんに!)

頭に血が上ってそのまま乱入しようと思いましたが、思い留まりました。
 相手は男三人。彼女一人が加勢したところで状況は変わりません。しかし。

(このまま見過ごすなんてできないわ! 待ってて修二さん! すぐ戻るから!)
 
 裕子はひとまずその場に背を向けて立ち去りました。
 
64 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:18:13 ID:dy7nRHr9
とりあえず前編投下終了です。

本当はこんなに長くするはずじゃなかったんですけどね。
後編はまたあとで。多分夕方になります。

65 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:18:29 ID:m5YUejK5
リアル遭遇

66 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:20:15 ID:sR1tpHco
GJ!後編楽しみにしてます!

67 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:31:47 ID:3wpUmH2H
後編楽しみにしてます。
もうチョコは諦めましょ…orz

68 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/14(水) 02:20:42 ID:nhia5pcM
>>67
あきらめるのはまだ早いぞ!
きっとすてきなヤンデレが今日の帰り道に……

69 名前: ◆choco.get. [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 02:57:09 ID:acjIks4q
皆、今日はこのトリを付けようぜ。

つ【#h|,yJ6n' 】
 
70 名前: ◆choco.get. [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 04:12:02 ID:4m57XWYr
関連スレ候補
ほのぼの純愛 9スレ目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171372657/
 
 
71 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:37:11 ID:nKGnbif8
チョコが貰えないなら自分で買えばいいのよ。

では投下します。

72 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:37:47 ID:nKGnbif8
 コンビニ裏の空き地で修二は不良三人に因縁をつけられて絡まれていました。理由は
分かりません。ですが不良たちにとっては目の前にスーツ姿の男性がいたというだけでも
絡む理由になってしまいます。つまりはその程度の理由で絡まれていたのです。

不良たちは三人。それに対して彼の味方をする人間はいません。辺りは暗く、月明かり
しか彼らを照らすものはありません。

(昨日から厄日続きだ。変なことばっかり起こる)

胸の大きいアルバイトの女性店員にくっつかれたり、その人が夢にでてきたり、朝から
痴女に会って、しまいには不良に絡まれる。修二は我が身の不幸を呪いました。
 修二はすでにかなり弱っています。追い討ちをかけるように不良の一人が脅迫の言葉を
かけます。
 
「はやく金を出せ。はやくしねえと二度と町を歩けなくしてやるぜ」

三人に囲まれながらそう言われたらどうしようもありません。
 修二が諦めて財布を取り出したそのとき。
 
73 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:38:35 ID:nKGnbif8
 がたがたがた! がたがたがた!
 がたがたがた! がた!

何かが暴れているような音がしました。ドアを無理やりこじ開けようとしているような。
 そして。
 
 ばぁん!

大きな音とともにコンビニの裏口が開きました。 
 誰かが出てくる!不良たちは身構えました。何が来てもいいように。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

しかし、いつまで経っても裏口からは誰も出てきません。
 
「なんだよ脅かしやがって・・・・・・」

そう呟き裏口に背を向けた瞬間。
 
『お離し・・・・・・』 『お離し・・・・・・』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 女の声が聞こえてきました。

消え入りそうな声です。
 しかし、その声はだんだん大きくなります。

『お離し・・・・・・ お離し・・・・・・・・・・・・
 お離し・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

・・・・・・・・・・・・。

『早く、お離し!!!!』
 
 どばぁん!

怒鳴り声が聞こえてきたあと、裏口が勢いよく閉まりました。
 
 ・・・・・・・・・・・・。

彼らが後ろを振り向くと、
 裏口には白い服を着た女が立っていました。
 
74 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:39:16 ID:nKGnbif8
『お離し・・・・・・』

ぺた・ぺた・ぺた

女はゆっくりと歩いてきます。
 一歩一歩近寄るたびにぺた、ぺた、と音がします。
 
 白い服はところどころ黒く汚れており、長い髪は顔の前に垂れ下がっています。
 女は前かがみの状態で下を向きながら彼らに向かってきます。

ぺた・ぺた・ぺた
 ゆっくりと、ゆっくりと。
 
『お離し・・・・・・ お離し・・・・・・』
「こ、このアマ! なんのつもりだ!」

不良の一人が声を荒らげます。
 恐怖に駆られないよう、必死になって虚勢を張っています。

「ふざけてるんならこの辺で――」
『ひああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああ!』

びたんっ!

叫び声を上げながら前のめりに倒れました。
 倒れた勢いで両腕と長い髪を地面に投げ出しています。

・・・・・・・・・・・・。

そのまま動きません。不良の一人が女に近寄ります。
 しかし、すぐに女が体を起こしました。
 
 がばあっ!!

「っ・・・・・・!」
   
 体を起こした女の顔を見て四人は絶句し――

「うぎゃああああああああああっ?!」

一拍置いて今度こそ悲鳴を上げました。

女の顔は赤く染まっています。
 比喩ではなく、赤い絵の具をそのまま塗ったように赤く。
 その顔に水に濡れた長い髪が貼りついて奇妙な模様を描いています。
 目は瞳孔が開き、感情を宿していません。

そして額には二本の角が。
 
 女は鬼の顔をしていたのです!
 
75 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:39:50 ID:nKGnbif8
 びだんっ! びだんっ!

女――いや、鬼は両手を使って動き出しました。
 上体を浮かせて、腰から下はひきずりながら、不良たちに近づいてきます。

びだんっ! ずるり
 少しずつ。

びだんっ! ずるり ・・・・・・ びだんっ! ずるり  ・・・・・・
 少しずつ。

『お離し・・・・・・ お離し・・・・・・』

鬼はうわごとのように『お離し』と繰り返します。
 その場に居た男四人は何のことを言っているか理解できません。
 そのいでたちと、奇怪な動きは男たちの思考を完全に止めてしまいました。

「うああ・・・・・・」
『お離しいいいいいいいいいいいいいいっ!!』

ばんっ!
 ぶあっ!!

鬼が両手で地面を叩き、男たちに向かって飛び掛りました!

「ひいいいいいいいいいいいいっ!」

 どちゃり!

しかし、鬼の腕は不良の足を捕らえることなく空を切りました。
 倒れながらも顔を上げ、叫び声をあげます。

『早く! 早く! 早く! 早く早く早く!
 早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く!
 早く! お離しいいいいいいいいいいいいいいいいっ!』
「!・・・・・・あ・・・・・・う・・・・・・ひ・・・・・・
 う、うああああああああああっ!」

至近距離で鬼の顔を見せられ、同時に叫び声を浴びせられました。教師の胸ぐらから
手を離し不良たち三人は逃げ出しました。
 
76 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:40:30 ID:nKGnbif8
 修二は不良の腕から開放され、支えを失って尻餅をつきました。

「あ、・・・・・・ああ」
『・・・・・・・・・・・・ひひ』

鬼が声を漏らしました。

『ひあああああああっはははははははは!
 あはははははははは、はははははははは!
 きゃはははははははははははははははは、は、は』

おぞましい笑い声をあげた鬼が、修二を見つめています。

『ようやく、離したねえええええええええっ!』

ばんっ!

修二に向かって襲い掛かり、今度は空を切ることなく肩を掴みました!

鬼の顔が近づいてくる!

「ぎゃあああああああああああああっ!」

修二は悲鳴を上げて気絶してしまいました。
 

「あちゃあ。やりすぎちゃった・・・・・・かな?」

鬼は自分の顔を掴み、耳の後ろに引っ掛けていた輪ゴムを取り外しました。
 現れたのは、裕子の顔。

鬼の正体は変装した裕子でした。

「そんなに怖かったかな?
 節分用の鬼のお面と、汚れたボロ布の組み合わせって」

彼女はそう言っていますが、少しだけ違います。
 その変装もそうですが、叫び声や動きが真に迫っていたからこそ不良たちは
逃げ出し、目の前にいる男性も気絶したのです。

「でも・・・・・・これはチャンスだわ。
 最高よ。うふふふふふふふふふふ。
 あっははははははははははははははは!」

鬼の面をしていないというのに裕子はまたしても笑い出しました。
 
 ・・・・・・もしかしたら、あれは彼女の本来の性格だったのかもしれません。
 
77 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:41:13 ID:nKGnbif8
・ ・ ・ ・ ・ ・

「う・・・・・・ん?」

修二が目を覚ましたとき、目の前は真っ暗でした。
  
「あれ? 俺・・・・・・あの時、鬼に食べられそうになって・・・・・・!」

自分の体が無事かを確認しようとしましたが、動けません。両手は縛られて頭の上に
回された状態で固定されていました。足首は縛られていて、股を開いた状態にされています。

「目が覚めましたか? 修二さん」
 
 女性の声が修二の耳に届きました。その声を修二は聞いたことがありました。蝋燭に火が
灯り、女性の顔がぼんやりと見えてきました。

「もしかして・・・・・・裕子さんですか?」
「はい。覚えててくれたんですね」
「ええ。それはもちろん・・・・・・って! なんて格好してるんですか!」 
「格好? 何も着てないだけじゃないですか。何かおかしいですか?」

裕子は一糸纏わぬ、生まれたままの姿で修二の目の前に立っていました。
 細い足首と締まったふくらはぎ。肉感的な太腿から臀部へ続く緩やかなカーブ。芸術的な
くびれを描いているウエスト。
 そして芸術的なウエストの上には裕子の大きな身体的特徴である二つの大きな膨らみが。
 とても扇情的な姿です。修二が今までに経験してきた女性たちの中でも彼女ほど美しい肢体
を持っている女性はいませんでした。
 そのため、修二はその姿を見ただけで激しく興奮してしまいました。

「・・・・・・うふふ。修二さん。すっごく興奮してますね」
「え、何でそれが・・・・・・え、ええっ!」

修二も服を着ておらず、全裸の状態です。そのため彼の陰部が勃起しているのも裕子には
丸見えです。そのことに気づき慌てて隠そうとしますが――四肢を縛られていてはどうにもなり
ません。

「隠さなくてもいいでしょう? これからすることを考えたら・・・・・・」
「何をするっていうんですか・・・・・・」

修二も当然気づいてはいましたが、一応とぼけてみせます。

「男と女が裸になって密室でふたりきり。何をするかなんて決まっているでしょう?」
 
78 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:42:01 ID:nKGnbif8
 裕子は薄く笑いながら修二に体を重ね合わせてきました。二人の手と手が、足と足が重なり
ます。そうすると当然裕子の胸も修二の胸とくっつきます。修二は二つの乳房が潰されていく
のを目にしました。胸にとても気持ちのいい感触が二つあります。

「裕子さん。離れて・・・・・・」
「正直になっていいんですよ? ほら、ここはとっても正直ですよ」

裕子が太腿で勃起した陰茎を挟んできました。素股の体勢です。
 しかし裕子がその状態で全く動こうとしないので修二はだんだん物足りないものを感じて
きました。とはいえ自分から動くこともできず、おあずけを食らった状態です。

「あれえ? 修二さんなんだかもぞもぞ動いてませんか? 
 それに、またおっきくなってますよ」
「くう・・・・・・・・・・・・」

動きたい。けど自分から動くわけにもいかない。
 どっちつかずの状態に置かれて修二は呻いてしまいました。

「動いてもらっても私はいいんですけど・・・・・・」
「え・・・・・・」
「でも先にやることがあるので、おあずけです」

そう言って裕子は立ち上がって床から何かを拾いました。黒い四角形のものです。かすかに
甘い香りがただよってきます。

「もしかして・・・・・・チョコレートですか?」
「はい。今日はバレンタインデーですから。今修二さんに食べてもらいたいんですけど。
 いいですか?」

それを食べたらさっきの続きをしてもらえるかもしれない――そう考えた修二は答えました。

「・・・・・・構いませんよ」
「うふふ。じゃあ、さっそく・・・・・・」

裕子はチョコレートを修二の口に――入れることなく、自分の口に含みました。それから口の
中で咀嚼しています。
 そして修二の顔に近づいてキスをしました。

「ん、んぅ・・・・・・」
「うむうう?! う、ぅぅぅ・・・・・・」

裕子が噛み砕いて溶けたチョコレートが修二の口内に注がれました。突然甘いものを口に
注がれて、大量の空気と一緒に飲み込んでしまいました。ごくり、と。

「はあぁぁぁ・・・・・・美味しかったですか? チョコレート」
「こほっ、こほっ ・・・・・・んん、・・・・・・ええ」

その答えを聞いて、裕子は満足そうな笑顔を浮かべました。
 
79 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:42:54 ID:nKGnbif8
「続き。してほしいですか?」

修二は無言でうなづきました。それを見て、裕子は腰の上に跨ります。

「実は私経験したことないんです。だから・・・・・・」
「大丈夫ですよ。・・・・・・優しくします」
「いいえ。あ、それもですけど・・・・・・初めてをもらうんでしたら、
 最後まで責任をとってほしいんです」
「え?」

修二の耳元に口を寄せ、ささやきました。

「結婚してください」

「・・・・・・はい?」
「聞こえませんでしたか? 最後まで責任をとるという意味で、
 結婚してくださいって言ったんです」

修二はぽかんと口を開けています。まさか女性からプロポーズをされるとは思っていなかった
ようです。

「私と結婚するのはいやなんですか?」
「いや、そんなことは無いです。でもそれだけの理由で決めるのは・・・・・・」
「・・・・・・もっとわかりやすく言った方がいいみたいですね」

裕子の声が半音下がりました。修二の首に手を当てながら言葉を続けます。

「殺されたくなかったら、結婚してください」

(え・・・・・・・・・・・・?)
「今自分の置かれた状況を理解できていますか? 手足を縛られているんですよ。
 私がこのまま力を入れたらどうなるかは・・・・・・わかりますよね?」

軽く指に力を込めました。
 
「私は修二さんのことが好きです。愛してます。もうこの気持ちは止めようがありません。
 それなのに、修二さんが受け入れてくれないんだとしたら・・・・・・生きていけません。
 でも、一人で逝くのは寂しいから・・・・・・修二さんも一緒に連れて行きます」
「・・・・・・・・・・・・」
「返事は、YESですか? NO、ですか・・・・・・?」

修二は逡巡してその結果・・・・・・

「YESです。・・・・・・僕も裕子さんのこと、好きですから」

命が惜しいので彼女のプロポーズを受けました。
 
80 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:43:44 ID:nKGnbif8
 その後で、二人は結ばれました。

「はああっ! もっとぉ! もっと突いてくださいぃ!
 ああ! おくに、奥に当たってるううっ! はぁあぁっ!」

裕子は獣のように修二の体を貪り、

「あ、・・・・・・ぐああ・・・、・・・まってゆうござ、ん。
 も、じゅっがいめ・・・・・・あ、ぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」

修二は死にそうになりながらも彼女の猛攻に耐え抜きました。

本当はチョコレートを修二の体に塗りたくったり、裕子の胸を使って羨ましい事をしてもらった
のですが、それはこの哀れな雄の心の中にしまっておいてここでは語らないことにします。

裕子はこのようにしてバレンタインデーに愛しの男性を射止めたのです。


「あの子たちも幸せになってほしいな・・・・・・」

監視カメラに映っているアルバイト店員の男の子と、彼をときどきちらちらと見つめている
もう一人のアルバイト店員の女の子を見ながら女店長は呟きました。
 男の子が女性客と話をしている姿を女の子はじーーっと見つめています。

「そうねえ。あの子にアドバイスしても面白いかもしれないわね」

あの男の子の鈍感さは異常だし。
 言葉には出さずにそう思い、女店長は女の子にアドバイスするためにレジへ向かいました。

不器用な女の子の恋を応援するために。
 
81 名前:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:44:44 ID:nKGnbif8
 そのあと。

「あ、ねえ! キミ!」
「ん? どうした?」
「お、お離しぃぃっ! がおーーーーっ!」
「・・・・・・鬼の面なんか被ってどうしたいんだ?」
「あ、あれ? ・・・・・・おかしいなあ。店長の話では気絶するはずなのに」
「お前は俺を気絶させてどうしたいんだ・・・・・・」
「うぅぅ・・・・・・キミなんか鬼店長に喰われちゃえーーっ!」
「なあっ!? 豆を投げるな! 痛い、痛いって!」
 
 こちらの女の子は女店長のように上手くできなかったようです。

皆さんはこんな女の子がいたら気絶してあげてくださいね。

メリーバレンタイン!
 
 越えられない壁・終

----------

終わりです。

ああ、最後はなんだかグダグダになってしまった・・・・・・
自分でチョコ買ってくるよ ノシ

82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 15:50:54 ID:gomY7YCo
>>81
リアルタイムGJ!!
まあ、お離しって言われただけで逃げちゃう不良はお話にならないな

83 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 16:14:13 ID:sR1tpHco
後編キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
GJ! 女店長さんは人妻なんですか!?(*´Д`)ハァハァ

84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 17:47:58 ID:D5SoExi7
ぐっじょぶ(*´ρ`*)

>>82
熟成されたヤンデレのオーラが出てたら結構怖いと思うんだが……
オーラがないと「お離し」が「お話」に聞こえたりなんかして……意味不明か。

85 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 18:11:15 ID:ZzD7HcjX
三月兎/眠らないヤマネ

バレンタインネタ描こうかと思ったけど誰もチョコを贈る場面が浮かばなかった……。

86 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 18:13:06 ID:ZzD7HcjX
いい加減リンク張り忘れるのをなんとかしろ俺……orz
http://imepita.jp/20070214/653620

87 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 18:42:46 ID:EAK1qzXb
      __      __   ___ _      _  __  _____     ___ ___    ___
      /..   |     /   /  |   / |  |   / ./ |  / /__  __/ [][] _| |_| |__ _| |_
.     /    .|   /    / ../  /   .|  |  / ./  /  /      / /     |    _  | |_  レ'~ ̄|
    /     |  /     /  /  /. . .|  |/ ./  ./  /       |  |___     ̄|  | / / /   /| |
.   /  /| ..|/ //  /  /  /. . . .|   /   /  /        \__|       |  |  ̄ /_  /  | |_
   /  ./..|    / ./  /  /  /   /   |     /  /                      |_|     |__|.  \/
.  /  ./. |  /  /  /  /  /.  / ... ..|   ./  /
 /  ./   ̄   /  /  /  /  ./ / |  |   /  /
./  ./       /  /. /  | ./ /  |  |. /  |

88 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 18:44:45 ID:NESgu9dX
>>83
しかし、随分凄い手で旦那さんゲットしてるなwww

89 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 18:48:31 ID:0YzpXEKD
>>81
GJ!店長可愛いよ店長>>86
相変わらずの高クオリティGJ!

90 名前:姉弟:バレンタイン by前スレ367[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 19:10:35 ID:GS4dNN5H

佐藤育に取っては、バレンタインという行事は、年に一度のビッグイベントの一つだ。他はクリスマスと正月である。
 なにしろ、バレンタインは時に秘めがちな思いを持つ女性には絶好の機会であり、自身の思いを確かめる重要なときであるからだ。
 チョコを作ったり、買ったりする。そしてそこで思う。コレをあげていいのか、あの相手にと・・・。そう言う葛藤の中、自身の暴走や思いの強さを持って行動する。
 そしてまた自分に気づく。その思いの弱さ。その思いの強さ。
 育の思いは、当然強いものだった。
 彼女が弟にチョコをあげたのは、中学1年の頃。授業で作ったのをあげたのが始まりだった。
 それからはまるで惰性の様に続いているが、受け取る方はともかく、作るほうは真面目だった。
 
 育は材料を買い、その梱包を一つ一つ解いて行った。銀紙を破り、チョコを砕く。溶かし少量のミルクを加える。
 くどいチョコは好みではない。ミルクの味は強すぎない方がいい。彼女なりの経験から出された結論だった。
 攪拌しているとき、育は少し振るえた。
 日常の料理を作るではない、違う感覚。特別なものを作ってる自負。
 弟にあげるチョコレート。
 甘い甘い、私の味のチョコレート

 佐藤伸がコンビニに久しぶりに入ると、店の一角にはチョコにチョコがあふれている事に気がついた。
 腕時計を見て、なるほど、今日はそう言う日なのか。と理解する。2月14日。バレンタイン。
 しかし、彼にとってバレンタインと言うものは、特別な意味を持たない。
 幼少の頃から聞き及ぶ行事ではあれど、世間一般でその対象になったことはなく、自身もそれを当然と捕らえていた。
 ただ、バレンタイン戦車ってのがあったな。と言うのを思い出すための日。その程度の日だった。
 ちなみに、彼がゴリアテ自爆有線戦車を思い出すのはなぜか9月1日である。
 コンビニを後にして、車のイグニッションを捻る。直6シングルカム3キャブレターのエンジンがうなりをあげる。
 つながる綺麗な音。ロータリーなどとは違う回転感。やはり直6はいい。ココロが洗われる。
 時計を見れば夜の7時。
 今日がバレンタインと言うことならば、姉はチョコを作って待っているということになる。
 こう言う日は何かと早めに帰った方がいいのだが。伸はS30Zに耳を傾けた。
 普段は変化の無い顔を少し笑わせる。少し乗ろうか、首都高に。

91 名前:姉弟:バレンタイン by前スレ367[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 19:12:28 ID:GS4dNN5H
 7時50分頃。
 そろそろ弟が帰ってくる頃だと、育はエプロンを脱いだ。
 家事を一段落下と言うことで、椅子に座り、安堵のため息を付いた。
 テーブルには夕食がすでに準備してあり、チョコレートも冷蔵庫に叩きこんである。
 残念だが、漫画のような「私を食べて」などという事はしない。溶けたチョコは熱いのだから。
 そんな事を考えていると、携帯のアラームが鳴った。午後8時。普通なら、もう帰って来ているはずだ。
 仕事や渋滞で遅れるときは事前に連絡してくるから、そう言うことではないのだろう。
 でもまだ帰ってこない。
 メールを打つ。いまどこにいるの?
 数分後、メールが来る。今帰ってるところ。
 早く帰ってきて。
 なるべく速めに帰る。
 一度携帯を畳む。
 聞こえないはずの、秒針が動く音が聞こえる。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 ちょっと遅くないかな?
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 おそいよ。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 おかしいよね。こんなに遅いんだから。
 もう一度メールを打つ。
 誰かとあってるの?
 否、帰り道に居る。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 やっぱり遅い。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 遅いよ。遅い。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 遅い。
 遅い。
 遅い。
 遅い。
 遅い。
 
92 名前:姉弟:バレンタイン by前スレ367[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 19:13:55 ID:GS4dNN5H
 ひどいよ。お姉ちゃんはこんなに待ってるのに

聞きなれた音が、育の耳に入った。
 今の車ではない特徴的な音。
 弟が乗っている車の音だった。

やっと帰ってきた。
 でも駄目、こんなに遅いんだもん。
 少し、叱らないとだめだよね。

そう思って、育はフラフラと玄関へ歩いて行った。
 時計は8時6分を指していた。
 

ヤンデレと言うよりは、メーンヘルして来た気が・・・・。
 スイマセン、板違いかも知れませんね。
 それでは

93 名前:前スレ367[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 19:15:45 ID:GS4dNN5H
そうそう、姉からチョコ頂きました。
リアルで

94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 19:31:20 ID:dy7nRHr9
スリルライダー(仮)の人ですね。グッジョブ!
車好きの匂いがプンプンします。

あと、次回からトリップつけてもらえると嬉しいです。

>>93
姉は高確率でくれますよね。
まあ、うちのはキモ姉じゃありませんでしたが。

95 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 19:32:07 ID:ZzD7HcjX
俺も。
その後二人でチョコ食った。

……おかしいな、彼女いるのに彼女とは会ってすらいない……。

96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 19:38:07 ID:7yfauPfh
>>95
大丈夫だよ。きっといつの間にか後ろにチョコとバールのようなもの持って立ってたりするよ。

97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 19:39:09 ID:SVZ16bUg
>>95
後ろを向いて見て!きっと生き霊だか思念だかがあなたをつつんでるよ!

98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 21:34:55 ID:sR1tpHco
前スレ367氏GJ!
キモ姉育かわいいよ(*´Д`)

…ついさっき、ハサミ落として足の甲にぶっ刺して一人で流血沙汰の俺……痛いよー

99 名前: ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 23:21:19 ID:3wpUmH2H
>>81
旦那も逃げないんですねw

>>92
姉は今頃何をしているんだか…。

明日にでも一日送れのバレンタイン短編書きたいです。
無理でしたらごめんなさい…。

100 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 23:24:52 ID:ZzD7HcjX
>>99
期待して待ってる。

101 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 23:26:41 ID:WcOgEC9V
さっき発作的に書き始めたバレンタインSS完成したので投下しまーす
どうだろう、キモウトではあるけどそんなに病んでないかも・・・

102 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 23:27:14 ID:WcOgEC9V
玄関の扉が開閉する音がして、針先のように研ぎ澄まされていたわたしの集中は、やや散ることになってしまった。
といっても、それで都合が悪いわけじゃないんだけれども。
ちょうど味の調整を終えたところだったし、何より、集中したままで兄さんの帰宅に気づかないものなら、妹の沽券に関わるというものだ。
わたしはコンロの火を止めて、玄関まで小走りに移動した。
「お帰りなさい、にいさん」
常々心がけているように、わたしの用意できる最高の笑顔で、世界で一番大切な人をお出迎えする。
もっとも、兄さんの前なら、そう意識するまでもなく自然と笑顔になれるけれど。
「お、いつもより早いんだな」
兄さんもまた、笑顔で応じてくれる。いつものことだけれど、やっぱりうれしい。
ふわりと温かくなるわたしの心はしかし、洗濯物に落ちない染みを発見したときに似た不快さに襲われた。
いつもより少し浮かれた、兄さんの態度。
言うまでも無く、兄さんが浮かれること自体が不愉快なわけじゃない。兄さんがうれしいときは、大概わたしもうれしい。
だけどやはり、何にでも例外はあるもので。
兄さんの明るい態度が、何やらいびつに膨れたカバンの中身にあるとなれば、わたしとしては嬉しがってなんていられない。
というか――切れて、しまいそうだ。

誰の許可を得て、兄さんにチョコレートなんてあげたんだ、淫売どもめ。

例年通りなら、兄さんの消化器官を汚染するこの汚物は、わたしが責任持って闇に葬ったのだけれど、今日は早退したから……。
――ああ、忌々しい。
靴を脱いでいる兄さんの背中を眺めながら、わたしは考える。
いくら今日をもってわたしの永久的勝利が確定するといっても、あのメス豚たちの目論見をかなえてやるのは些か以上に不愉快だ。
ごめんなさい兄さん、ちょっと意地悪をさせてもらいます。
「ねえ兄さん、今日ってバレンタインデイだよね?」
「んー? ああ、そうだな。ふふふ、そうだともさ!」
兄さんの声は弾んでいる。その原因を思うと、わたしの中の深淵から何かが這いずり出てきそうになるけれど、ここは我慢。
「バレンタインデイの豆知識、教えてあげようか」
靴を脱いで、廊下に上がった兄さんの後ろについていきながら、わたしは言う。
軽く首をかしげて、兄さんは、
「豆知識? ふうん、もう節分は終わってるけどな」と言った。
いや――それ上手くないよ、兄さん。
およそ天から必要なものは全て授けられている兄さんだけれど、ギャグセンスはもらえなかったらしい。
「そう豆知識。ジャニーズ事務所にはね、それこそトラック何台って単位のチョコが届くんだけど、誰も食べたりはしないんだって。
……どうしてだと思う?」
リビングに入った兄さんは、いつもより丁寧にカバンをソファに置いて、照明を仰いで慨嘆する。
「もったいねー! 愛情こもったものを無碍にするとは! そりゃ、一人頭でも糖尿病になっちまうくらいの量あるんだろうけどさあ」
どすっ、とソファに腰を下ろし、さも嘆かわしいといった顔でこちらに一言。
「やっぱ、あれかな。ファンの作ったものなんざ食えませんな! フハハ下賎な端女どもめ! みたいなノリなのかね」
わたしは苦笑する。顔も見たことの無い女の子たちの愛情の行き場なんて、心配しなくたっていいのに。そういうところ好きだけれど。
「さあ――そこまで酷いことを思ってるかはわからないよ。では正解を発表するね」

103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 23:28:22 ID:WcOgEC9V
台所に戻りつつ、歌うように言う。
「色々入ってるケースが多いから、なんだってさ」
色々……? と、よく分かってない様子の兄さんの声を背に受けながら、わたしは正答を述べる。
「髪の毛、爪はまだ序の口。涎に血液、果ては……えっちな液体までが、チョコに混ぜられてるんだってさ」
自分で振ったネタでアレだけれど、最後はちょっと恥ずかしかった。不覚。
そんな羞恥心はさておき、ここで芸能界という異次元の話題を現実世界に繋げる台詞をいわなくちゃ。
でないと、それこそわたしのかいた恥はただのかきっ放しになってしまう。
「――好きって感情は往々にして自己満足に陥るってこと。きっとわたし達の学校でも、そういうことは確実にあるよ。
ところで兄さん。チョコもらえた?」
わたしはくるりと振り向いて笑顔を向けた。
兄さんは自分のカバンに目をやっている。狙い通り。
「ああ、もらえたよ……3つ。でもまさか、これになんてことは無いだろ」
ここは肯うところだろう。わたしはそう判断した。
「もちろんだよ。兄さんに贈る人だもん、常識くらいあるよ――」

――食べてみないことには、分からないけどね。

そう付け加えることは、忘れなかったけど。
「だよな。心配なんてするまでもないわな……」
わたしは、この急ごしらえの稚拙な策が完璧に奏功したことを悟った。
兄さんの声からは、台詞とは裏腹に、さっきまでの高揚が見事に消えうせていたからだ。
「ごめんね、兄さん」
台所に向き直り、湯煎したチョコを型に流し込みながら、わたしは小声で呟く。
いくらメス豚どもの作った、飼料に等しいチョコでも、やさしい兄さんにとっては嬉しい贈り物だったのだろう。
受け取った高揚を冷ましてしまったのはちょっと心が痛まないでもない。
けれど、全然問題ないんだよ、兄さん。
じきに、どんなものも比較にならない幸せが兄さんのもとに到来するんだから。
だってそうじゃないかな。
兄さんは今晩、わたしを抱くんだから。
わたしのまだ誰にも手をつけられていないカラダを、好きなようにできるんだから。
常識者の兄さんでも我慢できなくなるようなキツい媚薬をたっぷり入れられたチョコだもん、わたしを襲ってくれるよね?
効果はわたしで実証済み。怪しげな通販で買ったものだから不安だったけど、効果はてきめんだった。
……ちょっと、てきめん過ぎたかな。
一時間で20回もイッちゃったの初めてだから、だいぶ焦ったよ。
でも、これくらい強烈なのじゃないと、理性の壁は壊せないから結果オーライ。
チョコの味が壊れないように、こっそり早退してからずっと味の調整を続けてきたけど、ようやくさっき完了したし。
まあ、何度も味見したものだから、わたしのあそこはすっかりぐちゃぐちゃになっちゃったけど……。
「…………」
ちら、と振り返って、兄さんがこちらに意識を向けていないのを確認してから、スカート越しにあそこを触ってみる。
指先が二枚の布越しに、わたしの硬くしこった肉芽にちょこんと触れた。
「――ひっ、――――っ――――――――――――――♪」
がくがくがくっ、と膝が笑った。
「ちょっ、と……出ちゃったじゃないの……っ」
おしっこじゃなくて潮でよかった。というか効果強力すぎ。そしてわたしは浅慮すぎ。
よく考えれば、夜になれば兄さんからたっぷりしてもらうのがほぼ確定してるのだから、ここで浅ましく快楽を貪る意味はない。
たくさんほじってもらえるんだ。奥までぐりぐりしてもらえるんだ。
その想像でまたわたしは達しかかったけど、今度は自制して、チョコを冷蔵庫にしまう。
固まるのを待って、ラッピングして、それで完成だ。
髪や爪をいれるような自己満足ののものとは一味違う、わたしのチョコ。
共利共栄の一品だ。
ひとたび食べれば、わたしも――兄さんも大満足である。

104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 23:29:00 ID:WcOgEC9V
リビングに戻り、わたしは兄さんに問いかけた。
「あとでわたし特製のチョコレートを差し上げます。楽しみ?」
兄さんはだいぶげんなりした顔になる。
「お前ね。さっき自分がした話、覚えてるか?」
「あはははは、タイミング悪かったかな。でも大丈夫。いかがわしいものなんて、何にも入ってないからね!
原材料は、砂糖、カカオマス、ココアバター、バニラ。まさにチョコレートそのものだよ」
あとは、隠し味。
「隠し味ぃ?」
訝しげな顔。ちょっとさっきの薬が効きすぎたかな。まあ、食べれば気にならなくなるよ。
「そう。たぁっぷりの、愛情!」

そして、たぁっぷりの、媚薬。

105 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/14(水) 23:55:17 ID:OGmIT4jF
妹描写の秀逸さに鼻からチョコ吹き出した
エロい!キモウト!

106 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 00:03:59 ID:0bxx7mci
>>104で終わりなのか、コレ?

107 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 00:58:53 ID:OBfj+6I8
GJ!キモウトエロかわいいよ!
続きあるのかな?

108 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:01:18 ID:Cp9k98Uq
GJ!!!!漏れもこんなキモウト欲しい・・・
あーあ どっかにキモウト落ちてねーかなー

109 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:47:11 ID:ZcwGpxUe
時期ネタ無視してしまいましたが……
いない君といる誰か、投下します

110 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:47:57 ID:ZcwGpxUe
 
 蛆虫が湧いてくる。
 ぞわりぞわりと、肌を這うようにして蛆虫が生まれてくる。手錠で欝血した手首を食い破っ
て、化膿にした肉を食料にして、ぞわり、ぞわりと、蛆虫がわいて出てくる。皮膚を一枚また
一枚と食い破られる感触。繊維をちぎりながら肉の中を這う感覚。
 幻覚だ。
 幻痛だ。
そんなものが生まれるはずがない。まだ一日しか経っていない。この暗闇の地下室に閉じ込め
られてから、一日と経っていないはずだ。その期間で蛆虫が生まれるような怪我はしていない
し、欝血する手錠もきつくない。光一つない地下室の中にいるせいで、想像力が暴走している
だけだ。
 そう、わかっている。
 わかっているのに――否定できない。
 繋がれている腕が見えないせいだ。暗闇の中では、何も見えないせいだ。視覚が閉ざされて
いる分、他の感覚が鋭敏になる。想像力が膨大になる。このまま狂ってしまいそうになる。
 自分が狂っているのか、狂っていないのか、判断さえできなくなる。
 暗闇の中で『何もない』というのが、ここまで心にくるとは思わなかった。
 考えること以外に何もできないせいで――思考だけがどこまでも暴走しそうになる。
 狂って、しまいそうになる。
 まだ、一日しか、経っていないのに。
 いや。
 本当に、一日しか経っていないのだろうか。
 暗闇の中。太陽の光も、時計も、何もない。そんな中で、精確な時間なんて分かるはずもな
い。まだ五分しか経っていないのかもしれないし、すでに何日も過ぎているかもしれない。神
無士乃はあれから一度もやってきていないし、点滴をつけられていることもない。腹の調子か
ら考えれば、一日と経っていないはずだ。
 はず、だが。
 自信は――まったく、ない。
 いくらなんでも、こんな状況は初めてだ。クラスメイトに突然鋏を突きつけられるよりもあ
りえない。幼馴染に、地下に監禁されるなんて。
 そもそも……ここ、どこなんだ?
 神無士乃の家に地下室があるなんて知らない――いや、そもそも。
 僕は、神無士乃のことを、知らない。
 如月更紗のことを知らないように。
 姉さん以外のことに、興味がなかったから。
 神無士乃が、僕の目の届かないところでどんな人間だったなんて、考えたことすらなかった。
 
「先輩。生きていますか?」
 
 
111 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:48:31 ID:ZcwGpxUe
 
 声がして。

顔をあげると、光があった。天井の一部がぱっかりと開いている。そこから漏れこむ光が、
地下室の一部を照らしていた。もっとも光の範囲が狭すぎて、奥につながれる僕のところまで
は届かない。薄い光に照らされているのは、神無士乃の姿だけだ。
 いつもの制服姿じゃない。デニムの短パンと、ノースリーブのヘソだしシャツ。夏らしい、
涼しそうな部屋着だった。
 涼しそうという意味では、如月更紗には敵わないけれど。
 澱んでたまっていた空気が、あいた天井から上へと抜けていく。けれど、新鮮な空気は降り
てこない。扉が小さ過ぎて、遠すぎて、ここまで空気が循環しない。ねっとりと、空気が肌に
張り付くような気がする。
 とん、とん、とん、と折りたたみ式の梯子を降りてくる神無士乃は、片手で器用にお盆を持
っている。上に皿が載っているが、この位置からだと中身は見えない。
 食べ物、だろうか。
「ぎりぎりでな。あんまり大丈夫じゃない」
「それは大変ですね」
「大変だろう?」
「主に後始末をする私が大変です」
「…………」
 さらりと酷いことを言う。
 何の後始末だ、と聞くのは躊躇われた。答は一つしかないし、その答を想像するのが怖かっ
た。
 こんな地下室で朽ち果てるなんて、冗談じゃない。
「冗談ですよう先輩、そんな顔しないでください。私が、先輩に死んで欲しいだなんて思うわ
けないじゃないですか」
 笑いながら、神無士乃がとん、と地下室の地面に降り立つ。天井の扉は閉まらない。けれど、
電気をつけることもしなかった。明暗のはっきりした立ち居地。
 神無士乃は、光の下に。
 僕は、光の外に繋がれて。
 別れて、向かい合う。
「うっかり死んじゃうかもしれないぞ」
「うっかりじゃ人は死にませんよ」
 あはは、と神無士乃は笑い、

「でも、すぐに死んじゃうんですよね、人って」

笑ったまま、そう言った。
「…………」
 それは、脅しなのか。
 ただの、経験談なのか。
 父親のいない、神無士乃の、経験談なのか。
 それとも。
 それとも――誰かを殺した、経験談なのか。
 僕には、分からない。
 

112 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:49:45 ID:ZcwGpxUe

「でも、先輩に死んで欲しくないから、こうしてご飯持ってきました。喜んでください、手料
理ですよ?」
「へぇ。神無士乃、お前料理作れたのか」
「お母さんの手料理です」
「お前のじゃないのかよ!」
 思わず突っ込んでしまった。
 その文脈だと、誰だってお前の手料理だと考えるだと……ていうか、そうじゃなかったらお
前、コンビニ弁当でも食わすつもりなのか。
 ある意味お似合いのシチュエーションかもしれない。
 地下室で、コンビニ弁当。
 …………。
 よく考えるまでもなくキャンプ場でフランス料理くらいありえない組み合わせだった。
「まあなんだって、食わせてくれるなら、食うけどさ」
「ええ。食べさせてあげます。ちゃんと、私が」
 言葉と共に、神無士乃は笑う。
 蜘蛛のように。
 絡み付くような、笑みだった。
「……手錠解いてくれたら、自分で食べるんだけどな」
「あららー、駄目ですよ先輩」
 笑みが深まる。
 神無士乃は一歩こちらへと近づきながら、逃げることもできない僕へと近づきながら、
「そんなことしたら、先輩、逃げちゃうでしょう?」
「…………」
「私、先輩がどんな人間か、ちゃあんと知ってますもん。もし両手が自由になったら、先輩、
私なんてこきりとやっちゃいますよね」
「やらねえよ」
 こきりってなんだ。
 お前の想像の中の僕は、平気で首でも折る人間なのか。
 首でも――斬る人間なのか。
「そんなこと……するやつがいるはずないだろ。他人を殺す人間なんてそうそういないぞ。人
間の命ってのは大切なものでな、それをあっさり消せるなんて――」
「頭の壊れた人間にしかできない、ですか?」
 僕の言葉を遮って、神無士乃が言う。
 核心的に言って、確信的に笑う。

「狂気倶楽部の人間みたいに、ですか?」

「――――」
 空気が、固まった気がした。
 どうしてお前がその名前を、という疑問と。
 まさかお前も、という疑問が浮かんでくる。
 

113 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:50:25 ID:ZcwGpxUe
 
 狂気倶楽部。
 狂人たちのお茶会。まともでいることのできなかった少年少女の最後の拠り所。終着駅。終
了地点。行き詰り生き詰まった子供の溜まり場。底の抜けた楽園の底。
 姉さんがいた場所。
 如月更紗がいる場所。
「お前は……」
 お前は。
 お前は何だというのだろう。何と言おうとしたのだろう。
 けれど、そこから先の言葉は出てこなかった。何を聞こうとしたのか、心中でもはっきりと
しない。気付けば、そう言葉が出ていただけだ。
 僕の表情から何かを読み取ったのだろう。神無士乃は笑い、
「先輩、安心していいですよ。私は、あんな狂ったヒトタチとは違いますから」
「お前は――違うのか?」
 狂ったヒトタチと違う。
 そう、神無士乃は言う。
 この状況のどこをもってして、何が違うのか、僕には分からない。
 狂人は狂っていることを認めないという、例のアレだろうか。
「神無士乃。お前は、狂気倶楽部の人間じゃ、ないのか?」
 どうにか、その質問が、カタチになった。
 狂気倶楽部は狂人の行き着く果て。ならば、こんなことをしでかす神無士乃が所属していて
もおかしくはない。狂気倶楽部は秘密主義だから、幾ら幼馴染とはいえ、気付かなくてもおか
しくはない。ましてや、神無士乃に対する興味なんて、ほとんどなかったんだから。神無士乃
の正体がチェシャでも、僕は驚くだけで、その後で納得しただろう。
 けれど。
「まさか」
 即答した。
 神無士乃は、即座に、首を横に振った。
「あんな狂ったヒトタチと――一緒にしないでください。あんな弱いヒトタチと、一緒にしな
いでください」
「…………?」
 前者は分かる。
 狂ったヒトタチ、といわれるのは仕方がない。姉さんを思い出しても、如月更紗を思いうか
べても、否定などできない。
 後者は、どうなんだろう。
 弱いヒトタチ。
 姉さん。
 神無士乃。
 アリス。
 弱い――?
 その言葉は、到底結びつかない気がした。
 僕の疑問に気付かず、神無士乃は、うっとりと、僕を見つめて言った。

「私はただ、先輩が好きなだけです」
 
 
114 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:51:03 ID:ZcwGpxUe

「…………」
「それ以外に、必要なものなんてないんです。あのヒトタチみたいに、どうしようもなくなっ
たヒトタチが群れるなんて、私にはいらないんです。私には先輩がいればいいし――」
 ――先輩には、私だけがいればいいんです。
 そう、神無士乃は言葉を結んだ。
 笑顔のままに。
 本心を、吐いた。
「お前だけの、僕か」
「そうです。でも、先輩はお姉さんのものでしたよね。里村春香さん」
「…………」
 その通りだ、と心の中で思った。
 僕は姉さんが好きだった。
 姉さんも僕を必要としていた。
 少なくとも、姉さんが『三月ウサギ』になるまでは。
「それはまだ良かったんです。先輩とお姉さんはがっちりかみ合ってて、それで一つのモノで
したから。お姉さん以外に何も持たない先輩の――一番でいれれば、それでよかったんです」
 よかったんです、と。
 過去形で、神無士乃は言う。
 その意味に、僕はもう気付いている。次に誰の名前が出てくるのか知っている。
「あの女が――出てくるまでは」
 神無士乃の言葉は、予想の通りだった。
「横からいきなり出てきて……とんびみたいに、先輩を攫っちゃおうとしました。いきなり出
てきて酷いですよね。私なんて、何年も何年も、ずっと先輩の側にいたのに。お姉さんがいな
くなって、その代わりに、先輩と一つになろうと思ってたのに」
 神無士乃は笑っている。
 その笑いは、少しもおかしくない。
 光の下、心冷えるような笑みを浮かべて、神無士乃は立っている。
「横から攫われるなんてごめんです。だから――私が先に、攫わせてもらいました。こうすれ
ば、先輩にあの女に近づくことがないですから」
「それが……お前の善意か?」
「いえ、恋心です。ほんとは、もうちょっとロマンチックな告白がしたかったんですけど」
「地下室で鎖につながれた相手に告白するのは、結構ロマンチックだと思うけどな」
「むしろマロンチックって感じですね」
「栗っぽいのかよ……」
「刺々しい先輩にぴったりですね」
「上手いこといったつもりか!」
 というか、ただの皮肉じゃねえか。
 うまくもなんともねえ。
 
115 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:51:38 ID:ZcwGpxUe

「でも安心してください先輩。あの女からも、アリスとかいう人からも、私がちゃあんと匿
ってあげますから――守って、あげますから」
「…………」
 守ってあげる。
 身の安全を保証してあげる。
 それは――如月更紗の言ったことだ。
 如月更紗が言ったことと、同じだ。
 似ている、のだろうか。この二人は。如月更紗と、神無士乃は。
 僕のことを好きだといって。
 僕のためだと言って。
 動悸は同じだ。
 行為は似ている。
 けれど。
 似ていても――同じだとは、思えなかった。
 如月更紗のそれと、神無士乃のそれは、決定的に何かが違うような気がしてならなかった。
「そんなわけで、ご飯です」
 かつん、かつんと、お盆を持った神無士乃が近づいてくる。その音で、彼女が靴をはいてい
たことに気付く。
 ……室内じゃないのか?
 見れば確かに外靴をはいていた。地下室の床は冷たいから、そのせいだとも考えられるが
……ひょっとしたら、ここは神無士乃の家の地下ですらないのかもしれない。
 じゃあどこかといわれたら困るけど。
 光の下から、暗闇の中へと、神無士乃が踏み込んでくる。彼女の姿が曖昧になる。光を背に
しているせいで、どんな表情をしているのか、よく見えない。
 気付けば。
 すぐ、触れそうなところに、神無士乃は座っていた。触れそうな、といっても、手は後ろで
つながれているので、どうあがいても触れることはできないけれど。
 薄暗い闇の中でも、ここまで近ければ、表情くらいはかろうじて分かった。
 動けない僕を見て――神無士乃は、笑っていた。
 嬉しそうに、笑っていた。
「はい、どうぞ」
「……。神無士乃、どうぞって言われてすむなら警察はいらないんだ」
「ここに警察はいませんよ?」
「警察と弁護士が必要な状況だとは思うがな。とにかく――どうやって食べろっていうんだ、
この状況で」
 じゃり、と手を動かしてみる。触れた鎖が小さな音を立てた。
 音を立てる程度にしか動かない。とても、前へと手を運ぶことはできない。せめて足の鎖が
なければどうにかなったのかもしれないが――両脚はしっかりと木箱にくくりつけられていて
、足を閉じることすらできない。よく考えれば股間のアレは出っ放しなことを今更思い出す。
時間がたって萎えてしまったとはいえ、むき出しなのは流石に恥かしかった。
 見ているのが、神無士乃だけだとしてもだ。
 

116 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:52:13 ID:ZcwGpxUe

「あはは。言ったでしょ先輩、私が食べさせてあげますーって。もう忘れちゃったんですか?」
「ああ……そんなことも言ってたな」
「先輩……酸素欠乏症に……」
「マニアックを通り越してメジャーになったネタはいいから」
「フリマノリカル・クリプトノークにかかって……」
「マイナーすぎて突っ込みにくいネタはやめろ!」
 なんでそんなマニアックな単語がさらっと出てくるんだ……ああそうか、一緒に見たからか。
 こいつ、僕と一緒に過ごしたことなら、大抵憶えてるわけか。
 些細なことであっても。
 どうでもいいことでも。
 一つ残らず。
「はい、あーん」
 手に持ったシチュー――ジャガイモやらニンジンやらがごろごろと浮いている――を掘りの
深いスプーンですくって、神無士乃は僕の前へと差し出した。
 食べろということだろう。
 ごくり、と喉が鳴るのが分かった。考えてみるまでもなく、あの夕方から何も食べていない
。胃の中にはほとんど何も残っていないだろう。このまま放っておかれたら、まず間違いなく
飢え死にする。
 あーん、と食べさせられるのは、屈辱的でもあったけれど。
 それでも――空腹に、打ち克てるはずもなく。
「…………」
 せめてもの抵抗で、神無士乃を睨むようにして食べる。もっとも暗くて、睨むように見ない
とはっきりと表情が見えないのだが。
 神無士乃は、笑っている。どこまでも楽しそうに。この状況を幸せだと感じているのだと、
彼女の笑みは物語っている。
 スプーンが口の中に入る。微かに傾けられ、スプーンの中に溜まっていたシチューが注がれ
る。ごくりごくりと、喉が勝手に蠢き出す。温いシチューは、けれど、何よりも美味しく感じ
られた。空腹は最高のスパイス、というやつだろう。
「あんまり熱いと、火傷しちゃいますからね」
 言って、神無士乃はスプーンを引き抜き、新たにシチューをすくった。そのスプーンから、
目を逸らすことができない。早く二杯目が欲しいと、喉が訴えている。
 そんな僕の目を――神無士乃は、まっすぐに覗き込んでいた。
「もっと食べやすいようにしてあげますね」
 悪戯っぽく、そう言って。
 神無士乃は、僕の見つめるそのスプーンを、自身で咥えた。
「……!?」
 お前が食べるのかよ、という突込みをしようとした。けれど、シチューを嚥下したばかりの
喉からは、ひぁ、という奇妙な音が出るばかりだった。
 うまく、言葉が出せない。
 
117 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:52:52 ID:ZcwGpxUe
 
 神無士乃は僕の見る前で、ぬるりと、唾液に塗れたスプーンを引き抜いた。そのくぼみには
もはやシチューは残っていない。
 ――子供のような嫌がらせだった。
 そう、思った瞬間だった。
「んーん」
 あーん、と言ったのだろう。
 その意味を理解するよりも早く――神無士乃は僕に覆いかぶさるようにしてキスをした。如
月更紗と同じように、自分から、強引に。けれど如月更紗よりも巧く、何よりも、目的が違っ
た。
 触れ合った唇の向こう、神無士乃の舌が僕の唇を上から割っていく。舌を伝うようにして降
りてくるのは、神無士乃の唾液と混ざり合ったシチューだ。
 ――口移しで、食べさせようとしている。
 口内へと侵入した舌が、ぐちょぐちょとシチューをかき混ぜながら奥へと進む。上から下へ
と零れ落ちるようにくるせいで、喉に直接シチューと唾液が落ちていく。
 神無士乃の一部だったものが。
 僕の胃の中へ。
 混ざり合うように。
 溶けるように。
「ん……ん、ん……」
 ねっとりと舌が蠢く。シチューを効率よく運ぶはずだったそれは、獰猛に僕の舌を絡め取っ
ていた。目的と手段が狂っている。初めから狂っている。
 何もかもが狂っている。
 シチュー味のキスが長く長く続く。空腹が舌を動かす。ごくりごくりと喉が動き、より多く、
もっと食べたいと主張する胃が、舌を衝き動かす。シチューの染みた神無士乃の舌目掛けて、
意思とは関係なく僕の舌は進む。
 ざらりと。
 神無士乃の舌と、僕の舌が、からみ合う。舌の感触。舌に染みたシチューの味。
 神無士乃の味。
 姉さんのとも、如月更紗とも違う。
 神無士乃との、キス。
 地下室で鎖につながれた僕は、幼馴染と、シチュー塗れのキスをしている。
 滑稽だった。
 馬鹿馬鹿しい。
 そしてそれこそが、今の現実なのだ――
「ん……んぁ、」 神無士乃の舌が僕の口内から抜け出し、触れていた唇が離れる。つぅ、と
シチュー交じりの唾液が糸を引いた。「おご馳走様でした」
 どこか蕩けた瞳で、神無士乃はそういった。
 幸せそうな、顔だった。
 

118 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:53:52 ID:ZcwGpxUe

「ご馳走したのは……お前の、方だろう……」
 息も絶え絶えに、僕はそう答える。やられっぱなしというのは性に合わないが――おなかが
減って力もでない。ましてこんな、吸い取るようなキスをされては、どうしても疼いてしまう。
 昨日のあれを、思い出して。
「先輩……気持ちよかったんですね」
 くすりと。
 笑って、神無士乃の右手が走る。チャックの開いたままだった僕のズボンへと。萎えていた
はずのそれは、今のキスで、硬さを取り戻している。
 それをそっと、神無士乃は左手で握った。冷たくはない。どこか熱い感触があった。触れら
れたことで、びくりと震えてしまう。刺激が脳まで一気に走る。それだけで達してしまいそう
なほどに。昨日と同じことを、心のどこかで望んでいる自分がいた。
 その全てを、きっと、神無士乃は把握している。
 把握していて、神無士乃は、笑う。
「でも駄目ですよ先輩、今はご飯の時間なんですからね――」
 そう言って神無士乃は、右手でシチューをすくい、再び自身の口にいれる。その間にも右手
離れない。ゆっくりと、時計の短針よりもゆっくりと、上下運動を始める。
 股間に意識が集中し、
「ふぁひ、んーん」
 意識の集中を奪うように、神無士乃の口移しが始まる。ゆっくりと股間を弄くりながら、獰
猛に舌が蠢き出す。両方からくる快楽が、脳を縛り付ける。
 間近に見えるのは、神無士乃の笑い顔。
 それ以外には――何も見えない。
 何も、見えない。
 
 結局、この日も達することのできないままに――拷問のような快楽は、シチューがカラになるまで続いた。
 
 終わる気配を、見せぬままに。
 
 
119 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 02:57:42 ID:ZcwGpxUe
以上で終了です。

>>ジャンル関係
狂ってるほど純粋に愛してて、両思いならなお良し……かなあ
あんまり細分化しないほうが楽しめる気がします。色々内包。

>>伊南屋 氏
GJ!
こんな日本人形があったら即買う
あとヤマネがすごく可愛い。グリムとあわせていつか過去編を書こうかなあ……

120 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 03:18:52 ID:jl1vSxW7
>>119
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
GJ!
やはりただ者ではなかった神無志乃の独占欲がステキです

121 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 04:56:37 ID:IqXQXTK1
GJ
すげえ、正気な人間が一人もいない(褒め言葉)

122 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 05:41:41 ID:DyjwA65W
書いてたSSのファイル消えたorz
>>119
いつもどうりすばらしい・・・GJ
神無志乃・・・恐ろしい子!
 
123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 08:01:08 ID:Bqb7COKn
保管庫のBBSに姫野姉妹のイラストが投下されてた。
皆気づいてた?俺は今気づいた。

124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 08:15:44 ID:HV5+WC/H
やばい。
>>123の書き込み見てようやく気がついたぜ。

125 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 09:53:06 ID:0bxx7mci
>>119 GJ!
これ置いときますね。

5月生まれの三月兎/須藤幹也
http://imepita.jp/20070215/354380

126 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 11:00:54 ID:LH4E1jJ0
>>123
ちょっ………俺も気づいてませんでした。無駄に長文になるんであっちのBBSでレスします!

>>お茶会の方
神無志乃は本当に何者なんだ……あんなエロい食べさせ方はただもんじゃないですね!

>>伊南屋氏
GJ!!仕事の綺麗さ早さは見習いたい限りです……

127 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 11:12:45 ID:LH4E1jJ0
……と思ったんですが携帯から書き込めないようなのでここで。
私信っぽく使って本当に申し訳ありません。
……俺の通信環境が悪いんだろうか

描いてくれた方本当にありがとうございます!!
死ぬほど感激しました。真弓なんかイメージ通り過ぎて怖いぐらいです…
……でもごめんなさい、亜弓姉の髪は真っ黒なんです…
偉そうに注文つけて本当にごめんなさい……

不快なんて本当にとんでもないです!!嬉しくて狂うかと思いました。
 
128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 14:19:41 ID:Bqb7COKn
こんな感じでいろんなSSのキャラを描いてくれる絵師さんが
増えてくれたら嬉しいな。

………と。

129 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 16:16:59 ID:6Dgs4qNv
みんなに質問があるんだ
実は今日知り合いに線路に落とされかけたんだ。
ついでに死にかけた。
まあここまではどうでもいいんだが
この時なんかが弾けてこの事件をベースに作品を書こうと思うんだ。
それでだヤンデレは泥棒猫や主人公を線路に突き落とすのは入るか?

130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 16:51:26 ID:1SykPIUw
1、泥棒猫を突き落とす→修羅場スレ向け

2、独占欲や嫉妬心が強すぎず、ただ純粋に主人公の事が好きな女の子を突き落とす→ギリギリヤンデレ?

3、主人公を永遠に自分の物にするために突き落とす→ヤンデレ

4、主人公と二人だけの世界を創るために、二人で飛び降りる→ヤンデレ!!!
 

1の場合は修羅場スレ向けになるので要注意。

131 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 16:57:34 ID:2GB3l3et
>実は今日知り合いに線路に落とされかけたんだ。
>ついでに死にかけた。
>まあここまではどうでもいいんだが

どうでもよくねえよww

132 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 17:02:40 ID:ey4itAyd
死にかけても「どうでもいい」の一言で片付ける>>129の正体は須藤幹也君と予想

133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 17:48:42 ID:6Dgs4qNv
縺セ縺よュ」逶エ驕九′濶ッ縺九▲縺溘s縺
蛹怜嵜縺縺九i髮ェ縺ァ關ス縺。縺滓凾縲∬。晄茶縺悟ー代@邱ゥ蜥後&繧後◆縺・
關ス縺。縺溽キ夊キッ縺ォ繧・▲縺ヲ縺上k髮サ霆翫′譎ョ谿オ繧医j・大・縺サ縺ゥ驕・°縺」縺溘@縺ュ縲・
 
縺薙%縺ョ菴丈ココ縺ッ縺ソ繧薙↑縺・>螂エ縺縺ェ縲√%縺ョ縺薙→繧堤衍繧雁粋縺・◆縺。縺ォ隧ア縺励◆繧峨梧ュサ縺ュ縺ー濶ッ縺九▲縺溘・縺ォ縲阪▲縺ヲ縺・o繧後◆縺・
蟆代@諢溷虚

菴懷刀縺ォ縺、縺・※縺ッ縲∝ョ梧・縺セ縺ァ譎る俣縺梧寺縺九j縺セ縺吶・縺ァ譛溷セ・○縺壹↓蠕・▲縺ヲ縺ヲ縺上□縺輔>

134 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 17:49:48 ID:m0zLYvRF
>>133
日本語でおk

135 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 17:55:37 ID:6Dgs4qNv

今回は運が良かったんだ。
北国だから雪で落ちた時の衝撃が少し緩和されたし、落ちた線路にやってくる電車が普段より1分ほど遅かったしね

ここの住人はみんないい奴だな。
今回のことを知り合いに話したらみんな「死ねば良かったのに」といわれたよ冗談である事を願うが

なんといいますか君達に少し感動した。
日本語へんですまん

作品の方だが完成まで時間はかなり掛かると思うんで、期待せずに待っててください

136 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 18:05:35 ID:m0zLYvRF
>>135
>作品の方だが完成まで時間はかなり掛かると思うんで、期待せずに待っててください
そう言われても期待して待つのがこのスレのクオリティ。

それより>>133はどうやって・・・・・・いや、なにも聞くまい。
たぶん右手に武器を持ったキモウトの呪いであろう。

137 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 18:45:43 ID:nLUbH4Ai
これが、>>135の最後の書き込みになるとはこの時誰も予想していなかったのです。
 
 

つか冗談抜きにして身の安全を図れ。

138 名前:屍[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 18:50:20 ID:OBfj+6I8
>>127◆5PfWpKIZI氏 
BBSに書き込めないという事でこちらでレスさせて頂きます。私信で申し訳ない。
温かいお言葉ありがとうございます、屍と申します。
亜弓さんは髪は真っ黒でしたか!散々迷ったのですが妹が少し薄い茶色という事で茶系にしてみたんです。
またお言葉に甘えて描かせて頂く際には真っ黒でいきます。
保管人さんも保管して頂いてありがとうございます。それでは。

139 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 18:52:57 ID:ZF5bLrb4
>>130
いや、一番上でもヤンデレじゃねーか?
恋敵を追い払おうとは思っても普通殺傷したりしようとは思わんよ。

そもそもこの二つのスレには大きな境界はないしな。
単にここは単独でも恋敵ありでもOKな場所であって。

140 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 20:40:28 ID:gKBRDiCF
風邪ひいた…
どこかに解熱剤と称して媚薬飲ませたり百度参りと言って
チンピラ100人狩るヤンデレな女の子いないかな…ゴホッゴホッ orz

141 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 20:53:10 ID:dmh4t4BB
こう考えるんだ
風邪菌がヤンデレなのだと

142 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 20:56:52 ID:m0zLYvRF
毎年タイプが変化する面白い女の子ですね。
そんな女の子がいたらぜひお誘いしたいものです。

143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 21:09:59 ID:ZF5bLrb4
前スレにて、ヤンデレオンリーイベントが開催されるらしいが、
ヤンデレを理解している奴がいるかどうかってあったが、
 
ほらな、やっぱりな。ただ病めばヤンデレって思ってる奴がいる。
ツンデレがただの捻くれ者になってる時代だもんな。しょうがないよな。
ttp://www.new-akiba.com/archives/2007/01/post_6406.html

144 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 21:40:25 ID:m0zLYvRF
>病んでいるキャラクターが1 人でも登場する創作物が1作品でもあればご参加できます。

ふ ざ け る な !

デレがないやん・・・・・・全然デレ必要とされてないやん!
デレが無きゃただの狂気に侵された人間であって萌えないやん!

>また条件を満たしている作品が1 作品以上あれば他作品の頒布物があってもかまいません。
そんなんただの同人誌即売会とかわらへん!
どういうことですのん!これがミクシィのクオリテ(ry
 
どんなものも広まっていくにつれて底辺に合わせていくからなあ。
ヤンデレはマイナーな方がいいと思うんだが。特殊な性癖の持ち主が萌えてるだけだし。

・・・・・・まあ、ヤンデレの意味を理解している人たちだけが参加していると期待しよう。

145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:00:31 ID:ZF5bLrb4
これも酷い。
ttp://yami.yakiuchi.com/
>むしろ病んでるだけでもオッケー
キチガイ同盟でも作ってろや( ゚д゚)、ペッ

特に下の、何だありゃ。なんかの女性雑誌の特集みたいだな。
実際に勘違いした雑誌に掲載され、デレも知らん馬鹿女がマネし始め・・・。
犯罪者を増やす気か。糞が。

146 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:08:22 ID:HV5+WC/H
ヤンデレを布教するつもりらしいが、こいつが布教したら「ヤンデレ亜目キチ○イ種」とかそんな感じになりそうだな。

147 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:09:07 ID:UZweTjAT
ツンデレは ツン→デレ あるいは ツン⇔デレ だけど
ヤンデレは 病ん+デレ だと思っている
病んでる女の子が狂的なほどに純粋に愛情を向けるのがいいんじゃないか

148 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:21:22 ID:ZF5bLrb4
ツンデレイプみたいなわけわからんもんがあったが、
ヤンデレイプなんてもんが出たら俺が病みそうだ。デレ抜きで。
 
いや、病む過程にてレイプがあり、あくまでそれがおまけ程度ならありって人もいるだろうけど。

149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:22:42 ID:ZF5bLrb4
でも、ヤンデレに逆レイプされたいなぁ・・・。

150 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:26:58 ID:nnEuGBry
ヤンデレなら逆レイプもありだが
それはあくまで愛あってのものでないと
なんというか「気に入らない」

俺は愛ゆえに病んでいくのがみたいなぁ

151 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:28:31 ID:2GB3l3et
>>146
そのうちヤンデレカフェとか出来たらどうしようかなんて思った。メニュー想像したくねぇw
よもや出ないとは思うが、それはツンデレの時もそうだったしなぁ……

152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:29:02 ID:m0zLYvRF
>>149
うん。おまいが怒っているのはよくわかる。
どのリンク先もひどいことばっかり書いてあるからな。

俺も神無嬢に逆レイプされるのならば本望だと思っている。
大河内嬢でもかまわない。

だがヒートしすぎだ。茶飲め。

つ旦 旦 旦

153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:52:33 ID:UZweTjAT
>>115
「はい、これサービスです」
 席を立ち上がろうとした瞬間、給仕のお姉さんが席に寄ってきてそう言った。
白と紺のメイド服。喫茶店の制服というよりは、本当にメイドのそれに近い。過剰な装飾の
ない分だけ、逆にお姉さん本人の可愛さがよく映えていた。
「はあ、どうも……」
 浮かしかけた腰を下ろす。サービス。この店にきたのは十回目だが、そんなものは一度としてなかった。
 ――まさか、そういって金を取る気じゃ。
 絵画の販売などで、サービスといって金を取るところがある――そんな話を思い出した。コーヒー一杯、ケーキ
一つとはいえ、法外な値段が吹っかけられないとも限らない。
 そんな思いが、顔に出ていたのだろうか。
 給仕のお姉さんは、心配を吹き消すようににっこりと笑い、
「今日、十回目のご来店ですよね? いつも来てるの、なんとなく目で追っちゃうんです。
 私からの、個人的なサービスです」
「…………」
 そういわれて、悪い気がするはずもない。
 メイド服のお姉さんは可愛くて、そんな風に微笑まれたら、それだけで陥落してしまいそうになる。
いや、ここは陥落していいのだろう。目で追っていた、ということは、気にされていたというわけだし。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
 浮かしかけた腰を沈めて、ケーキとコーヒーに手をつける。コーヒーはともかく、ケーキは一度も店で
見たことがない。多分、このサービスのためだけに創られたものなんだろう。
「あ、分かります? それ、私の手作りなんです」
 お姉さんが嬉しそうに笑う。店員としてではない、個人的な笑みに見えた。
「うん、美味しいよ」
 答えて、ケーキを半分ほど食べ、コーヒーへと手を伸ばす。
 伸ばした手が、コーヒーカップをつかめなかった。
「……?」
 おかしい。
 視界がゆれている。コーヒーカップへと伸ばした手が、斜めに傾いでいく。意識がはっきりしない。
揺り籠の中にいるように、体がふらふらと安定しない。
 意識と視界が揺れる中で、笑ったお姉さんが言う。

「サービスで、色々と入れておきました」

――色々?
 そのことについて疑問に思うよりも早く、意識が薄らいで。

「駄目ですよ、かってに帰っちゃ。もっとずっと、ここにいてくださいね。
 いっぱいいっぱい、料理作ってあげますから――」

それが、最後に聞いたお姉さんの言葉だった。

154 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:54:09 ID:UZweTjAT
ヤンデレカフェってこんな感じだろうかと妄想五分
初めの内は普通なのに、常連になると店から出ることすらできなくなる

155 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 22:58:08 ID:m0zLYvRF
>>154
これが営業スタイルだとしたら笑えねえwww
まるで都市伝説だ。GJ!!

アンカーは>>151向けだな。

156 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:00:31 ID:ZF5bLrb4
>>152
ああ、スマン。怒りで俺がヤンデレかしてたぜ。デレ抜きで。
 
デレ抜きのヤンデレって、飯抜きの牛丼みたいだ。

157 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:09:09 ID:0bxx7mci
また幹也置いときますね。

怠惰に沈む兎/須藤幹也
http://imepita.jp/20070215/830780
またのタイトルを“ヤンデレ王子の退屈な午後”……いやウソだけど。

158 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:38:00 ID:LH4E1jJ0
>>157
ヤンデレ王子キタ――(゜∀゜)――GJです!!

↓それでは投下します。

159 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:39:05 ID:LH4E1jJ0

「おはよう、祐人」

聖祐人が目を覚ますと姫野真弓が制服姿で笑みを浮かべて上からのぞきこんでいた。

「今日は祐人はとりあえずお留守番ね。学校と真綾には連絡しておいたから。
 でもこれでやっと恋人同士の生活が出来るね!!」

そうだ、真綾とこいつの家に来て紅茶こぼされて、それでココア……!
 そこまで思い出した祐人は跳ね起きた。

「ぐぇっ」

正確には跳ね起きようとして首輪に締められて昇天しかけた。

「だめだよ祐人、危ないから。とりあえず起きられないようになってるからね。
 トイレとか行きたくなったらお姉ちゃん呼んで」

混乱する。首輪がついていてそのおかげでベッドから起き上がることは出来ない
らしい。手足も同じように拘束されていた。

「本当にごめんね。昨日どうしても疲れちゃってさ。本当はもっと色々準備してた
 んだけど今日はとりあえずこれで我慢して」

そう言って真弓は心底申し訳なさそうな顔をした。

「ちょっ……待てよおい!!」

呼び戻そうとしても彼女は笑って手を振りながら去っていった。
 
■■■■■■
 
160 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:40:25 ID:LH4E1jJ0
■■■■■■
 
 ゆるゆると時間が過ぎていく。真弓が出て行ったあとしばらくは拘束が緩まないかと
もがいてはみたがどうやら無駄なようだった。

見える範囲の視界から得られる情報によると普通の女の子の部屋のベッドに
寝かされているようだった。真弓の趣味なのだろうか全体的に黄色やオレンジ色の
小物が多い。特に変わったものは見当たらない。
 そう、取り立てて変な箇所など無い。普通に机があって上にはファイルや教科書が
並んでいて。床にはいくつかクッションが転がっている。チェストがあって鏡が
あってアクセサリーや香水か化粧水か何かの瓶がいくつか前に無造作に並んでいる。
淡いオレンジのカーテン越しに差し込んでくる陽の光は柔らかい。
 普通の、可愛い女の子の部屋だ。少年がベッドに拘束されていることを除けば。

少年が……というよりは俺が、か。祐人はそこまで考えてバカバカしくなった。
他にも考えることはあるだろうと自分に言いたくなる。

真綾については真弓が何とか言いくるめているのかもしれない。学校にだって熱を
出したと言えば二、三日はごまかせるだろう。だが両親はどうだ。友達の家に泊まった
と言ったところでもう既におかしいと思い始めるんじゃないか。何とか切り抜けても
普通の状態では二日連続の泊まりは有り得ない。電話がかかってくるなり何らかの
アプローチがあるはずだ。そうすれば聖祐人がどこにもいないことが何とか
露見するんじゃない……だろうか。
 ならこの状態は両親の行動力にもよるが三日から四日、長くて一週間程度で
終わるだろう。それまで生きれば良いだけだ。祐人はそう見当をつけた。
 
■■■■■■
 

161 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:42:43 ID:LH4E1jJ0
■■■■■■
 
 真弓が出て行ってから何時間たったのだろうか。残念ながら祐人の位置からでは
時計は見えなかった。もう何十時間もたったような気さえする。物音一つしないのだ。
おまけに体はほとんど動かない。体が動かないことがこんなに辛いとは知らなかった。
無理な姿勢を取らされているわけではないがそれでも体がゆっくり固まって行く
ような、体内の流れが壊死していくような感覚を覚えた。

本当に物音一つしない………そこにもう何度目か思考がたどり着いた時、一つ
おかしいことがあると気づいた。真弓は確か姉がいるようなこと言った。
ならもう一人この家に人がいるはずだ。
 ではこの静けさはなんだ。人が生活をすれば何らかの音がするはずだ。
……もしかして本当はいないのか?
だが真弓は……確かにそう言い捨てた。

一度気になると他に考えることも無いので俄然引っかかってきた。確かめる方法は
簡単だ。呼んで見れば良い。

「あ……あの」

声がかすれて上手く出ない。なのにだれもいない空間にはやけに響いた。

「あの……お姉……さん?いらっしゃいますか?」

監禁されている身で敬語を使うのも変な気がしたが会ったことも無い相手で、年上
であるという事実が何となく優先された。
 応答は無い。それどころかいまだに物音一つしない。

「あ……あの」
「なに……?」

突然、何の前触れも無くドアが開く。黒髪の、真弓にどこか似ている暗い感じの
女性が立っていた。どこかで見たような気がするが思い出せない。

「なに……?」

自分で呼んだのに祐人は何を言ったらいいかわからず口をパクパクさせていた。
 
■■■■■■
 

162 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:44:57 ID:LH4E1jJ0
■■■■■■
 
「真綾いる?」
「あ、真弓だ~ごめんね昨日は」
「全然気にしてないから大丈夫だよ」
「それとね、あの、祐人なんか今日休みなの。高校生にもなっておたふくだって」
「本当に?あれ子供じゃない人がやると大変みたいだよ。大丈夫かしら」
「ぅん、祐人にもうつるとヤバいから見舞い来るなって言われちゃった」
「行かない方がいいと思うよ。かかるとかなり酷い顔になったりするし。
 そうなると真綾の可愛い顔も台無しだよっ」
「もう、やめてよ真弓……真弓の方が可愛いよぅ」

学校の昼休みは極めて平和に過ぎて行った。
 
■■■■■■
■■■■■■
 
「じゃああの電話は偽物だったんですか!?」
「ええそうよ……そんなに驚くことかしら」

亜弓と祐人も平和な昼を過ごしていた。取りあえず精神的には。
 祐人は今度はリビングで椅子に両手両足を拘束された状態だった。さっきまで
亜弓に実に一日ぶりの食事をさせてもらっていたのだ。妙に人に食べさせるのに
手慣れていた亜弓は手際よく食器を――物音をほとんど立てずに
片付けると祐人の向かいに座った。

「驚くことですよ……どうやってかけたんですか」
「それは言えないわ……企業秘密よ」

そう言うと亜弓は少し笑った。
 なんだ、笑えば綺麗じゃないか。
 黒い影みたいな人だと思ったが、割と普通の人かもしれない。
 
 
163 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:46:35 ID:LH4E1jJ0
「ずいぶんと余裕そうね……真弓のものになるのに」
「そんなこと無いですよ。一応焦ってますけど今は動けないですし」
「真弓が誰かを好きになったのは初めてだから確かなことは言えないけれど……
 あなたの見通しは甘いと思うわ」

そう言って亜弓はまた微笑んだ。さっきより綺麗に。
 
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「ただいまー!!」
「お帰りなさい真弓」
「祐人?祐人生きてる?ひょっとして食事してない?学校でそのこと思い出したんだけど」
「亜弓さんに食べさせてもらったから大丈夫だよ」

椅子に拘束された状態で祐人は答えた。亜弓はいい意味でも悪い意味でも祐人に
興味が無かった。だからのほほんと話していられたがこいつは違う。出来れば穏当に
行きたいと祐人は思った。

「祐人……ただいま」

真弓が抱きついてくる。椅子に座った人間に立っている人間が抱きついているため
首に腕を回しているだけだが。

「今動きやすくしてあげるからね!」

真弓はかなり予想外の言葉を口にして身構えた分拍子抜けした祐人を置き去りに
自分の部屋に何かを取りに行った。
 
■■■■■■
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「はい、これで一心同体かな。動く時は気をつけてね。首締まると苦しいから」

祐人の右手は真弓の左手と手錠で繋がっている。更に左手はギリギリ体の幅程度の
長さ、両足は歩幅を狭くすればギリギリ歩ける程度の長さの鎖で祐人自身の右手と
繋がれていた。
 

164 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:47:30 ID:LH4E1jJ0

そして、首輪。祐人の首にも真弓の首にもお揃いで。普通のベルトの形状をした
ものなのだが、金具に通しただけできちんと留められていない状態だった。つまり
端を引けば首が絞まる。鎖が端に繋がっていて、必要以上に首輪が緩まないように
一カ所大きな金属製の球がついていた。一メートル半程度の鎖が祐人と真弓の首の
間に渡っている。鎖の長さ以上離れれば真弓の首も祐人の首も絞まるだろう。

「はい、お互い動く時は気をつけようね」

至極楽しそうに全ての拘束具を付け終わると真弓は祐人をで椅子から解放した。

「……何がやりたいんだ」
「え?祐人と一心同体。恋人だしね!新しい生活にはイベントが必要かなと思って」

祐人の中に怒りがわいて来る。

「いつ俺らが恋人になった?」

眠らされて拘束されて。

「やだな祐人。いつ、とかそんなんじゃなくて必然じゃない」

一体なにをされるのかと思えば笑って恋人同士だと言う。

「それは一方的な思い込みだろう」

何度も言ったはずだ。真綾が、彼女がいると。

「もう。ツンデレもいい加減にしないと怒っちゃうよ?」

上目遣いで軽くにらんで来る。
 
 
165 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:49:03 ID:LH4E1jJ0

「いい加減にしろよっ」
「……っ」

怒鳴ると同時に思い切り鎖を引いた。真弓の首が絞まる。

「祐……人、くるし……」
「お前いったいなんなんだよ!笑わせんなよ。恋人同士じゃねえよふざけんな!!」

真弓は涙目で顔を赤くして鎖を引いている方の手を掴んで離そうともがく。

「人の話聞いてるか!?そもそもお前のやってるこれはただの誘拐だろうが!
こんな恋人いねえよ!!意味わか」
「……祐人くん。鎖から手を離しなさい」

そこまでまくし立てたところで祐人はそれ以上言葉を継げなくなった。
 亜弓がいつの間にか背後に移動して、祐人の首を絞めていた。

「祐人くん」

亜弓は淡々と絞める力を強めていく。祐人はあっさりと鎖を手放した。真弓が解放
されて膝をつくのが目の端に映った。
 だが亜弓は力を緩めない。

「ねぇ祐人くん……真弓に危害加えたらダメよ……恋人なんでしょう?
 真弓のものなんでしょう……?」

無理やり亜弓の方を向かされて目を真っ直ぐ見られる。いや、亜弓の目は祐人など
見ていない。祐人のいる空間を見ている。同じことなのだが何かが決定的に違う。
冷たい目、ゴミを見るような目などですら無い。怒りも蔑みも害意も敵意も一切の
感情が無く、こちらを認識していないような暗い目。
 祐人はもう意識が飛びそうだった。
 
 
166 名前:恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:49:58 ID:LH4E1jJ0

「仲良くしなきゃだめよ……」

亜弓が更に言葉を継ごうとした時。彼女を酸欠から復活した真弓が蹴り飛ばした。

「お姉ちゃん。いくらお姉ちゃんでもやっていいことと悪いことがあるよ」

その割に真弓の声音は怒りを含んでいなかった。むしろ困惑したような。

「もう。恋人同士の邪魔するなんて最低だよ?そりゃお姉ちゃんは保護者なんだから
 心配なんだろうけど。でも邪魔は禁止!」
「そうね……悪かったわ。ごめんなさい」
「ごめんね祐人。お姉ちゃんが邪魔するとは思わなくて……」

真弓は困ったような少し照れたような笑顔を浮かべた。普通の女の子が浮かべる
照れ隠しの表情だ。少なくとも手錠で誰かを拘束したりするような人間の
それには見えなかった。
 この2人は違う。住んでいる世界がそもそも違う。酸欠で飛びかけた祐人の頭でも
とにかくそれはだけは理解することが出来た。
 
■■■■■■
■■■■■■
 
 
167 名前: ◆5PfWpKIZI. [sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:53:23 ID:LH4E1jJ0
今回はここまでです。

描写力低くくてごめんなさい。
 
168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:55:38 ID:9vC+17RH
>>167
リアルタイムGJ!
姉妹怖いよ姉妹(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル  

169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:59:09 ID:m0zLYvRF
GJ!!
姉が特に恐ろしいですな。
デレを向けていないヒロインがここまで怖くなるとは。

イラストを思い浮かべながら読むと本当に雰囲気でるなあ。

170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/15(木) 23:59:32 ID:QBW4PxWe
ところで、急に話は変わるがデレ描写とヤン描写。
デレのほうがヤンのほうより多くなってるのはどう思う?

試しに書いたら病み描写がデレ描写の1/3くらいになってきたんだが。

171 名前: ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:21:10 ID:VNEswL9I
二日遅れで申し訳ありません。
やっと書き終わりましたのでバレンタインの小説投下します。
とりあえず上書きの番外編と捉えてください。

172 名前:甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:25:25 ID:VNEswL9I
「加奈~!早くしないと先行くぞ~!」
「ちょっと、もうちょっとだから待ってよ誠人くんー!」
 今日もいつもと変わらないやり取りで朝が始まる。
 半開きのドアから漏れる声が朝の寝惚けてる耳に心地良い。
 加奈を迎えに行って登校するまでのこの些細な一時の幸せを噛み締めつつ、俺は手でメガホンを作って声を通す。
「置いてくぞ~!」
 そんな気持ちはさらさらない、加奈が隣にいない通学路なんて考えられない。
 それでも、俺のこんな一言を単純に信じてくれる加奈の反応を期待すると、つい意地悪な気持ちになる。
「お願いだからー!もう少しだけ!」
 加奈の声の震え具合いから必死さを感じ取って、制服に手を通しながらトーストをくわえてる様子が浮かんだ。
 そんな情景を思い描けただけで辛い朝の早起きが苦に感じなくなる。
 やがて半開きのドアが勢い良く開く。
 全開のドアから居心地の良い慣れた匂いが流れ込む。
 そして、目の前には少々息荒げにこちらを見つめてくる加奈の姿が映る。
 口元がやや不器用に動いている、どうやら俺の想像は当たってたようだ。
 数秒間お互い目を合わせたまま制止し、しばらくしてから加奈が口の動きを止め、真剣な眼差しを送ってくる。
「ごめーん!」
 手を合わせ頭を大袈裟に下げると、その長い黒髪が一斉に垂れる。
姿勢を低くしてるからか、地面についてしまいそうだ。
「気にすんなよ、いつもの事だ」
「”いつもの事”ってどういう意味よ!」
「そのまんまの意味だよ」
「もう!」
 顔を上げ頬をわざとらしく膨らませてこちらを睨んでくる加奈、口元が笑っているのが微笑ましい。
「さ、行こうか」
すぐに踵を返し、手慣れた通学路へと足を踏み入れる。
 すると加奈が何かを思い出しのか、「あっ!」と珍妙な奇声を発した。
「誠人くん!取ってくるから待ってて!」
 そう言い残すと慌ただしく再び家に入っていった。
 しかし”何を”取ってくるのかが分からない。
 鞄は今目の前に置いていったし…なんて思案する間をほとんど与えず加奈は戻ってきた。
 靴を履き直してるその隣には、小さな可愛いらしい袋が一つ置いてあった。
 こんな袋には最近見覚えがある…というより袋の中央にデカデカと英語で文字が書いてあった。
「それじゃ行こ!」
 袋を大事そうに右手で持ち、残った方の手で軽そうな鞄を持ち上げている。
 その間もその袋を見てニヤニヤしている姿を見て、俺まで思わずニヤけてしまった。
「今日はバレンタインか…」
 物欲しそうな態度でいるのはなんだか格好悪いので、加奈に聞こえない程小さな声で囁いた。

173 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:27:10 ID:6lP41cJS
>>170
構わんさ。むしろ微かなヤンの恐ろしさを引き立てる。

174 名前:甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:32:07 ID:VNEswL9I

「ルン・ルルン・ルルン・ル・ルルルン~♪」
 俺の隣で気持ち良さそうに鼻歌を歌っている加奈、いつも先を歩く俺をスキップして自然に抜かしている。そんな子供みたいな態度を、子供みたいな体で取るか
ら本当に子供みたいに見える。
 背中に美しく垂れている長い黒髪がかろうじて2、3歳大人びさせている。
「誠人くん~」
 突然後ろを振り向く加奈。
 歩き始めてからずっと鼻歌を歌っていたから通学路での会話は今日がこれで初めてだ。
「何だ?」
「今日何の日か知ってる~?」
 終始笑顔の加奈。
 何かを期待している表情を浮かべている。
 ニコニコこちらを伺っている加奈を見てなんとなくわかった、どうやら加奈は俺の口から”バレンタイン”という単語を出させたいらしい。
 きっと俺の事からかいたいのかななんて思いながら、反抗期の子供のような対応をしてみる。
「セント・バレンタインが殺された日だろ?」
「…」
 無言の加奈、俺の回答を聞くと一瞬ジト目で見つめながら、すぐに背を向けてしまった。
 俺の答えが気に入らないらしい、当の俺はそんな加奈の反応がおかしくて仕方がない。
 加奈とはクラスが違うから知らないけど、クラスでもこんな感じなのかな?
「嘘だよ」
「別に嘘じゃないでしょ。2月14日はセント・バレンタインさんが殺されちゃった
日だよ…」
 俺と目を合わせる事なく答える加奈。
 まいったな、本当につまんなそうな感じだ…。
 本当に子供じみてるというか、純粋というか騙されやすいというか…そこが好きなんだけどね。
 当然そんな事恥ずかしくて言えないので、僅かながら譲歩してやる。
「今日はバレンタインですね!私、沢崎誠人はその恋人の城井加奈様からチョコ
が欲しいです!」
 言い終わって予想以上に大きかった自分の声に驚く。
 周りに人がいなかったから良かったものの、駅でやっていたら赤面ものだ。
 若干うつ向く俺の反応に満足したのか、下から覗き込むようにして見上げた加奈の顔は満面の笑みで彩られていた。
 白い歯が溢れる。
 何秒か俺を見ながらクスクス笑った後、加奈は徐に大切に提げていた袋の中から更にもう一つの袋を取り出す。
 綺麗に装飾が施された袋の中から僅かにメインの物が見えた。
 それをわざと凝視してやると、そんな俺の様子を加奈が楽しそうに見つめている。
 これでとりあえずはご機嫌が取れたなと思った。
 ホッと胸を撫で下ろす俺をよそに、加奈はその袋と俺の顔を交互に見返す。
 意地悪そうな、悪巧みを企んでいる子供の目だ、完全に。
「沢崎殿、欲しいですか?」
 そう言うと加奈は見せびらかすように袋を持った左手を動かす。
 ようやく気付いた、これがしたかったんだなって事に。
 普段少し意地悪な俺への細やかな復讐って訳か…。
 いつもなら”やっぱいい”と言ってコンビニのチョコを買ってやるところだが、今日は特別な日だ。
 特に女の子にとっては、自分の意中の相手へ”想い”を形にして贈る訳だから、非常に重要なイベントのはずだ。
 俺は手を合わせ軽く頭を下げる。
「とても欲しいです、加奈様」
「3個か!?甘いの3個ほしいのか?3個…イヤしんぼめ!!」
 楽しそうに勝手に自分の中で話を進めていく加奈、「1個しかないだろ」とツッコんでやりたかったが、わざわざ気分良さげな加奈が作ったこの空気を壊す必要もない。
 親指、人差し指、中指の3本を立て「うお」と連呼する。
「誠人くんおかしい~!」
 腹を抱え笑う加奈、しかし不思議と不快な気分じゃない。
 加奈の幸せそうな顔が見れた事で俺の心は満たされていた。
 この笑顔が見られるなら加奈に一生ついていくのも悪くないなと思った。
 

175 名前:甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:32:43 ID:VNEswL9I
ようやく笑いの収まった加奈が真剣な面持ちになり、一度気をつけの姿勢を取った後、小学生が卒業証書を受け取る時のようなガチガチの動きで俺に袋を明け渡す、勿論無理のない最高の笑顔を添付して。
「誠人くん、バレンタインチョコ受け取って下さい!」
 差し出された袋を手に取る、そこから袋の中に入っていながらも甘いほのかな香りが漂う。
「ありがとな、加奈」
 さっきのお返しとばかりに俺も最高の笑顔を加奈に贈る。
 そんな俺を見て、加奈は俺に抱きついてきた。
 頭を俺の首下辺りに猫のように擦り付けてくる。
 「えへへ」とはにかむ、そんな汚れを知らない無垢な少女の姿を見て、それとは逆に思わずよこしまな事を考えてしまう。
 危ない妄想を寸でのところで止め、俺も加奈を抱き返す。
「本当にありがとな…!」
「誠人くん、好き!」
 物欲しそうに抱き締められたまま俺の顔を見上げる加奈。
 今日は特別…だから加奈の期待通りな事をしてやるべきだ。
「俺もな」
「あたしの方が誠人くんの事好きだよ?」
「何を言う!俺の方がお前の十倍は好きだな」
「じゃあたしは億倍だよ!」
「急に桁変わったな!」
 互いにおかしく思い笑い合う。
 こんな馬鹿丸出しの俺ら、周りから見たら冷やかしを喰らう、絶対に。
 でもいいんだ、俺らは俺らの”世界”にいるんだから。
 誰も入り込めない俺と加奈だけの”世界”にいるんだから…。
「じゃ早速貰おうかな」
 俺が袋を開けようとする、それを加奈がやや緊張しながら見つめてくる、そしていよいよ袋を開ける――――――――――

176 名前:甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:37:08 ID:VNEswL9I
 
 そこまでしか俺は想像できなかった…。
 幾ら甘い幻想…いやきっと現実になったはずなのに…目の前にいる目の輝きを失った少女の圧倒的存在感に想像はストップする。
「早く早く早く!!!早くしないと誠人くんがっ!」
 さっきまで俺が作り上げた理想像…その本体はあまりにも狂気的な目線で俺を襲う。
 俺の家の裏でさっきから加奈に殴られ続けている鼻からはとめどなく血が流れる。
 それでも加奈にとってはまだ足りないようだ………”上書き”し切れていないようだ。
 永遠にも感じられる苦痛の惨劇に俺が踊らせているのには、れっきとした理由がある――――――――――
 
 
 今日の朝の朝食は…何故にか”チョコ”だった。
 母親が何かの会に入会しているんだが、その会の集まりでバレンタインの日に女性会員が男性会員にチョコを振る舞う事になったらしい。
 年甲斐もなく俺の母親もそんなイベントに参加しようとしたらしいが、十何年ぶりのチョコ作りとあってか、作り過ぎてしまったらしい。
 その超過分の消費役として朝から父親と一緒に無数のチョコを食らわされた訳だ。
 確かに美味かったが、チョコなんて飯の代わりになる訳がない。
 甘ったるい気持ち悪さにさいなまれる中、何とかして親から掲示されたノルマをクリアした俺は、慌てて加奈を迎えに行こうと思ったその時、驚く事に加奈が俺を迎えにきたのだ、いつもなら今頃慌てて準備しているって時に。

「加奈、どうしたんだよ?今朝はやけに早いな」
「だって今日は…」

モジモジしている加奈を良く見て、手に持った小さな紙袋を確認し、そして理解した。
 わざわざ俺に早く渡したいから早起きしたのかと感動している矢先、加奈が突然表情を曇らせた。

「誠人くん…甘い匂いがする…」
「えっ!?」
 
177 名前:甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:37:44 ID:VNEswL9I
 俺と目を合わせず言う加奈に不安を覚えた。
 まさかしっかり歯磨いたというのにまだ匂いが残っていたとは…油断したと後悔した。
 とりあえず、本当の事を伝えようと思った、”変な誤解”されたらかなりヤバいと直感が告げたからだ。

「加奈!これは確かにチョコの匂いだが、朝飯で食っただけだからな!あっ、決してバレンタインに自分でチョコ買ったなんて思うなよ!母さんが作り過ぎてだな………って加奈?」

俺が我に帰ると、その時既に加奈の目に色はなかった。
 こんな表情の時の加奈はとにかくヤバい…でも、そんな顔させるような事俺はしてないはず…何故?
 自問の答えは簡単だった…。
 加奈が俺の顔に突然触れた、下から掬い上げるように。
 その手に付着している”もの”を見た瞬間、背筋が凍った。

「…血…?」

自分で顔を手探りしてその手を見ると、加奈と同じように血が指先を染めた。
 そしてようやく鼻に鼻水の時と同じ違和感を感じ確信した…俺が鼻血を出している事。
 アホらしい話だった、今時チョコ食って鼻血なんて聞いた事もない。
 しかし、あれだけの量なら納得は出来た…。

「ハハ…アハハッ…」
「…加奈…?」

加奈は笑っていた、目を除いて。
 肩が上下し、俺を見ているはずなのに視線が交錯する事はない。
 壊れたラジオのように繰り返しただ笑っているだけだ。

「加奈、違うんだ!これは…」
「アハハ!」

俺の声を笑い声で吹き飛ばし、想像のつかない無尽蔵の握力で俺の腕を掴むと、そのまま家の裏まで半ば引きずられるような形で連れていかれた。
 この間俺の頭にあったのは、ただ絶望感…。

(終わった…)
 
178 名前:甘い世界 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:41:55 ID:VNEswL9I
 裏まで連れていかれた俺は壁に押し付けられる。
 笑うのをやめた加奈にこれから何をされるのかにただ脅えるだけだ。
 目を閉じ天命を待つ事数秒………何もアクションが起きないので加奈の方を細目で見ると、「早く」と小声で呟きながら先程まで大切そうに持っていた紙袋を引き千切って何かを取り出そうとしている。
 強引に袋を破り、中から出てきたのはチョコだった。
 僅かだが、ハートマークの真ん中に俺の名前が書いてあるのが見える。
 それを俺が確認した瞬間、加奈はそのチョコを俺の口をこじ開けねじこんだ。
 さすがに予想外の行動に驚く俺。
 ポカンとしながら加奈を呆然と見つめていると、「早く食べて!」と加奈が怒鳴ってきたので慌ててそのチョコを飲み込んだ。
 飲み込むまでの間、僅かだが加奈のチョコの甘い味を噛み締められた…それが嬉しかった。
 どんな形にせよ彼女からのチョコを食べられたのだ、男にしてみれば最高の気分だ。
 もしかしたら、これが加奈にとっての”上書き”なのではなんて今飲み込んだばかりのチョコより甘い想像もした…それは一瞬で打ち砕かれた。

「そんな…!あたしのチョコ食べても血出さない!これじゃ誠人くんの鼻の傷”
上書き”出来ない!」

加奈にとって、今俺にチョコ食わせたのも、あくまで鼻血を出させて自分がしたように”上書き”するたもの手段に過ぎなかったんだ…それに気付いて一気に現実に突き落とされた。
 今の加奈の頭には俺の傷を”上書き”する事しかない…それがわかって絶望した。

「そうよ…!大丈夫大丈夫大丈夫…誠人くん、痛いのはすぐ終わるから大丈夫だ
よ…アハハ!」

だから…加奈が笑いながら俺の鼻を拳で殴りかかってきてもあまり動揺しなかった――――――――――
 
 
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!」
 加奈が謝っている…本当に深刻そうに…。
 意識朦朧とした頭で必死に状況を整理した。
 先程、鼻から鈍い音が響き、血が制服を真っ赤に染めるところまできて、ようやく加奈は満足したのか、俺を殴るのを止めた。
 血の出過ぎで思考が上手く出来ない。
 それでも、俺の血で真っ赤に染まった手で必死に俺の顔を擦る加奈を見て、許してやるべきだって事だけは理解出来た…。
 むしろ悪いのは自分なのだ、加奈が悲しむような事をしなければ加奈がこんなに必死に謝る事も、俺がこんなにボロボロになる事もなかったんだ…そう頭に念じながら、やっとの思いで腕をあげ加奈のフワフワした髪を撫でる。
「ごめんな…加奈。折角のバレンタインだったのに…」
「誠人くん泣かないで!あたしが全部悪いの…ごめん…!」
 加奈に指摘され目を擦ってみる、でも付着したのは血だけ…必死に笑ったつもりだったが、泣いているのだろうか…俺は…?
「すぐ手当てに行こ!あたしの家でしっかり治療して…」
 そう言って家へと向かおうとする加奈を俺は何とかスカートの裾を掴む事で止めた。
「止めてくれ…」
 ただ懇願した。
「でも!早くしないとこんなに血が…」
「このままお前の家行ったらおばさんに見つかる、そしたらどう説明するんだ!俺は加奈と別れたくないよ…お願いだよ…」
 情けない話だが、今度こそ俺は泣いていた。
 加奈と別れるなんて嫌だ、加奈はいつも俺と一緒にいた存在…離れるなんて…悲し過ぎる。
「誠人くん、ごめん…ありがとう!ごめん…」
 いつの間にか泣きじゃくる加奈を見て、残された力でその小さな体を抱き締めた。
「もう謝るな…」
「ごめ…ありがとう…ありがとう…!」
 俺の言葉を聞いて加奈が笑顔になる。
 これが俺にとって最高の至福だ…。
「加奈、チョコ美味かっよ、ありがとう…」
「誠人くん…」
 涙目で笑う加奈を見て、理想通りにならなかったけど、この笑顔が見れたんだからそれでいいやと思った。

口の中に残るかすかな甘味を思い出しながら、俺はお返しにその味を加奈にも教えてやった。
 
 
甘い世界 END

179 名前: ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:44:35 ID:VNEswL9I
投下終了です。
しかし本編では死亡フラグ立ててバレンタインではこんな目に…。
誠人も救われないですね。

>>167
こんな姉がいればとつくづく思いますよ…。

180 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 00:46:21 ID:PK44QiOg
>>179 GJでした!

小ネタまでに
キャラアイコン/須藤幹也
http://imepita.jp/20070216/017870
キャラアイコン/須藤冬華
http://imepita.jp/20070216/018360
キャラアイコン/里村冬継
http://imepita.jp/20070216/019220
キャラアイコン/神無士乃
http://imepita.jp/20070216/019960
キャラアイコン/対比図
http://imepita.jp/20070216/020540

神無士乃が設定上は一番背が低いのに、直立ツインテールのせいで一番大きくなっている残念な代物。

181 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/16(金) 00:55:10 ID:0z9e1zEO
>>179,180
GJです!

182 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 01:31:57 ID:6lP41cJS
>>179
割り込みスマソ。番外編もGJです!

しかし毎度毎度思うんだが、普通好きな人が痛めつけられたら、
許せない!仕返しにお前を痛めつけてやる!ってするのが普通なのに、
許せない!私の方がもっと痛めつけれる!って凄い病みっぷりだwww
こんな秀逸な病みっぷりのアイデアが出るなんてまさしく天才だ。

183 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 08:07:29 ID:yLrdk++1
SS保管庫のレイアウトが少し変わってる。
管理人さん毎度ごくろうさんです。

あと姫野姉妹のイラストも新しくなってるぜ。

184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 11:11:24 ID:UIlcnd9e
871 名前: 名無しさん [sage] 投稿日: 2007/01/24(水) 01:41:58 ID:VXxEampY
境界例だけはマジでヤヴァイ。
もし惚れた女が境界例だったりしたらホント悲惨だ。
……俺は、境界例の女を妻にして自殺したヤツの話を大学時代の恩師から聞いた。

872 名前: 名無しさん [sage] 投稿日: 2007/01/24(水) 03:51:44 ID:ijcZX38U
まあボーダーに普通惚れないだろうがね・・・・

876 名前: 名無しさん [sage] 投稿日: 2007/01/25(木) 04:42:34 ID:Jzh74VUK
>872
・・・いや、何故かボダ女には男を引き寄せる何かが出てるとしか思えねぇ

一見、隙のある、か弱い女、
保護欲なのか、妙な求心力があり、簡単に深い仲になるが、一旦捕まると、底なし沼

先に吸い尽くされ、壊されるのは、男とその周囲
しかもその男が一人、ということは大抵無い

呼吸するように嘘をつき、信じていたことは簡単に裏切られる
浮気をしても、いつの間にか悪いのは男の側になっており、謝されるのは、何故か男の側

で、数時間もすれば、何も無かったようにラブラブ

そうかと思えば、何年も前の、どうでもいいようなこと(ラメーンに勝手にネギ入れた、とか)で
急にキレだす

自分が悪いの!と言いながら絶対に自分が悪いと思っていない精神構造
男がマトモであればあるほど、壊れる時は派手にブッ散らばる
壊れ切るまで、その地獄は終わらない、徹底的に吸い尽くされる

で、数週間も経たないうちに「私って、こんなに悲劇のヒロインなの~」と、新たなターゲットに・・・・・・

185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 11:55:11 ID:9fvV01KX
>>184
>876がやけに生々しいというか、経験者は語るっぽい件について。

186 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 12:20:00 ID:rDJr3cBG
それただの痛女じゃないか

187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 12:21:50 ID:EN/ShLSh
三次元は地獄だぜ! フゥハハハーハァー

188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 12:32:46 ID:El5OIu9X
痛女  →  簡単に捨てる
ヤンデレ  →  愛さないと殺すor死んでも愛す

そういやグリムって死んだ『お兄ちゃん』は忘れちゃうんだっけ?
……ああ、だからぽっと出てすぐに消えて行ったのか…………。

189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 12:49:35 ID:uhNARlLb
そもそもヤンデレは
「あまりにも一途過ぎるがゆえに狂った」でしょう。
境界女とは似て非なるものだと思う

190 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 13:03:06 ID:SkBsN2/6
>>189
確かに。それらしいが別物だな。

191 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 13:24:35 ID:rDJr3cBG
(恋愛以外でも)最初から狂ってる女が男に惚れる → 痛女
男を思うあまりに(恋愛に関係ある部分が)狂う → ヤンデレ

個人的にはこうだと思う

192 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 13:50:14 ID:baXMLX+H
投下しますよ

193 名前:『首吊りラプソディア』Take3[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 13:51:15 ID:baXMLX+H
「また、か」
 管理局からの報告書を読んで、舌打ちをした。くわえていた煙草に火を点け、煙を深く
吸い込み吐き出す。メンソールの刺激が粘膜の弱い喉を痛めつけてくるが、このくらいで
ないと吸った気にならなかった。局長の影響だろうか、俺の考え事をするときの悪い癖で、
どうしても煙草を吸ってしまう。殆んど無意識の行動だが、喉の軽い痛みのお陰で仕事を
している、と実感出来るからだ。気のせいかもしれないが、喉の痛みを自覚すると思考が
上手く回転し、考えがまとまりやすくなる気がしてくるのだ。
「これで八百人目、随分と頑張っているもんだな」
「全くです」
 コピーを指輪で読んでいたサキが、溜息を吐いて頭を掻いた。こいつはもっとクールな
女だと思っていたのだが、それを保てない程に参っているらしい。最初の無表情で無口と
いう印象が強く、また会っていたときもそれを崩さなかったのでこいつはクールな女だと
思っていたのだが、どうやら根っこの部分はそうでもないらしい。サキに対する印象が、
ほんの少し変わった。悪い意味ではなく、人間らしいと思ったからだ。機械人形も感情を
持つこのご時世に随分と無感動な人間も居たものだと認識していたが、それは仕事をする
為に被っていた仮面だったのかもしれない。
「それ、一本貰えますか?」
 黙って煙草を渡すとサキは口に挟み、指輪を起動させた。続くのは野球ボールサイズの
小爆発、それで煙草に点火をして煙を吐き出した。一瞬遅れて、熱量の風で舞い上がった
前髪が降りてくる。煙草などにこんな大きな火を作る必要などないのに、本当に微調整が
苦手らしい。昨日の茶も、この調子で冷ましたならば氷浸けになっていたことだろう。
 
194 名前:『首吊りラプソディア』Take3[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 13:52:49 ID:baXMLX+H
 横にずれかけた思考を戻し、犯人像を考える。
 今回の被害者の数は二人、そのどちらも残虐な殺され方だ。片方は両手両足を折られた
上で窒息死をさせられているし、もう片方も全身を火達磨にされての焼死となっている。
過去の殺し方も今回のものと同様に惨いものばかり、軽くても全身骨折だ。
 いつの間にか普段の無表情に戻っていたサキを見て、吐息する。
「どんな奴だと思う?」
「そうですね。まず殺し方ですが、可能性は大きく分けて二つあります。一つは微調整が
苦手な、私のようなタイプの人間。これは厄介です、いざというときには大破壊が起きる
かもしれませんし、暴れなくても全身が重火器のようなものですから」
「もう一つは、カオリのようなタイプか」
 自分で例に出して、少し嫌な気分になってしまった。立場的にはカオリの調査をする為
にここに入ってきた訳だが、心情的には無罪だと示す為に来ているのだ。それなのに背を
押すような例えを出してしまうのは、何だか具合いが悪い。この場に居ないカオリに心の
中で謝り、サキに説明の続きを促した。今俺に出来ることは、地道な捜査だけだ。
「先程先輩が言ったカオリさんの例えですが、まさにその通りなんです。上の方では寧ろ、
こちらの線を推しています。例外もありますが、様々な殺し方をしている以上、必然的に
確率システムを使うのが上手い人だという考えになります。前者では、火力が高いけれど
それだけの人間だという考えの方が強くなりますから」
 
195 名前:『首吊りラプソディア』Take3[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 13:53:31 ID:baXMLX+H
 成程、だからカオリがマークされたのか。最初にそれを知らされたときは怒りが沸いて
きたのだが、今の説明で理解が出来た。納得は出来ていないが、理屈だけは分かる。
 要は、化物並に確率システムの制御が上手いからなのだ。
 普通の人間ならば打ち出すことが出来ないどころか、空気を固めるのも不可能な空気弾。
それを平然と行うことが出来る程に確率システムの扱いが上達したのを見たら、容疑者と
なってしまうのも無理はないのかもしれない。刃物などの道具を使った物理的な殺し方を
しているのならば殺害方法や傷の深さ、角度などで大体の身長や体格を測ることも出来る。
だが全てにおいて確率システムを使われている以上、人種や身体的特徴などは分からない。
ならば扱いが上手い奴が候補者に上がるのは、道理というものだろう。俺だって幼馴染み
でなければカオリを容疑者に選ぶだろうし、そこを探ろうと思う。まぁ、その幼馴染みを
幼い頃から見てきて、性格を熟知しているからこそ俺は違うと思ったのだが。
 だが現実は非情なもので、更に不味い状況にさせているものがあった。両親の死に方だ。
 カオリの両親は、『首吊り』をして死んでいた。形式的には自殺と発表されているが、
本当のところは不審死となっている。カオリに容疑がかかったものの、決定的な証拠が無かったので有罪判決は出されて
おらず、仮入獄という形でここに入れられているのだ。
 
196 名前:『首吊りラプソディア』Take3[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 13:56:39 ID:baXMLX+H
 『首吊り』の根本的な部分にその死に方が関係があるのかは分からないが、『首吊り』
という単語と確率システムの組み合わせで考えれば該当する者は殆んど居ない。だから、
カオリの方に容疑の矛先が向かってしまったのだろう。
 嫌な話だ、と思って報告書を読み進めていると、手が止まった。
「読みましたか」
「さっきの話、犯人は後者だったみたいたな」
 立ち入り禁止のテープと一緒に起動させていた侵入者排除の為のブログラムが、綺麗に
消されていたというものだ。本当に『首吊り』がやったのか証拠は無いが、被害者の片方
が殺された現場はテープが貼ってあった場所のすぐ近くだったので間違いは無いだろう。
何の痕跡も残さずにプログラムが消されていたことから、確率システムの扱いが下手では
ないことが分かる。これで、只でさえ小さくなっていた前者の可能性が殆んどなくなった
ことになる。全く、厄介な話だ。
「カオリさんのことですか?」
 感情が顔に出ていたらしい。
「違う、カオリは絶対に『首吊り』じゃないが」
 捕まえるのが、厄介になった。
 正体がカオリじゃないにしても、面倒なことになるだろう。今回も例によって、証拠は
何一つ残していないらしい。それだけでも頭が回る奴だということは分かるが、それだけ
ではなく、奴には確率システムという武器がある。仮に正体を突き止めて逮捕するという
ことになっても、強大な武力が立ち塞がるのだ。

197 名前:『首吊りラプソディア』Take3[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 13:57:56 ID:baXMLX+H
 可能性のもう片方だった、火力だけの素人ならまだ良いだろう。もっと強い火力で抑え
込むなり、プログラムに割り込むなりをして、幾らでも被害を食い止めることが出来る。
だが扱いが上手い玄人だった場合、それが出来ないからだ。『首吊り』は様々な殺し方を
しているが、それは出来ることの幅が広いということでもある。こちらが何かを仕掛けた
ときには上手くいなされ、逆に相手の攻撃に対応出来ないというケースも発生する可能性
があるからだ。どこまで考えても救いがない、そのことに肩が落ちる。
 軽音。
 気が付けばカオリが訪ねてくる時間だった。俺は慌ててベッドの下に報告書を蹴り込み、
立ち上がる。髭はきちんと剃っていたので問題ない、煙草の煙が充満していたので急いで
窓を開けて換気をした。副流煙は主流煙よりも遥かに有毒だ、これでカオリが肺癌にでも
なられたら困る。カオリには、いつでも健康でいてほしい。
 他におかしいところは無いか、部屋の中を見渡した。
「先輩、さっきよりも真面目ですね」
「黙れ」
 一通りチェックを済ませて、漸くドアを開いた。
「おはよ、虎吉ちゃ……」
 何故かカオリの笑みが固まった。
「何で手錠してるの?」
 いかん、管理局に行ったとき偽装用に付けていたのを外し忘れていた。
「先輩の変態的な趣味の一つだそうです。私も見たくなかったのですが、変態には逆らう
ことが怖くて何も言い返せませんでした。全く、厄介ですね」
「そうなんですか」
 何だそのフォローにならないフォローは、と思った直後、
「虎吉ちゃんの馬鹿ぁァッ!!」
 壁まで吹き飛ばされた。

198 名前:ロボ ◆JypZpjo0ig [sage] 投稿日:2007/02/16(金) 14:00:10 ID:baXMLX+H
今回はこれで終わりです

『首吊り』の正体は……
まぁ、どっちでも良いじゃないですか

199 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 14:02:11 ID:3+u/wwcS
有名だと思うけどSoundHorizonのArkって曲、これ重度のヤンデレじゃね?
歌詞出していいかわからんから大まかな内容を書くと、

・「妹」は脳の海馬いじられっ娘
・「妹」と「兄」はガチでまぐわう関係だった
・だがある時「兄」は嘘を付いて「妹」を拒絶する
・「ねぇ何故変わってしまったの? あんなにも愛し合っていたのに」
・「妹」は妊娠していた説アリ
・「兄」と「妹」は同じトラウマを持っていたらしい
・「兄」に拒絶された「妹」は、ナイフで「兄」を殺害する
・「さあ、楽園に還りましょう。お兄様…」クスススス…

あー。歌詞にしないと曲だけを聴いてもわからない部分は多いから難しいな
歌詞はググればある。曲は知らんがようつべで探せばあるんでないか

200 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/16(金) 14:04:27 ID:3+u/wwcS
ってキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
しかし虎吉…不遇wwwwwwwwwww