501 名前:「お薬の時間」2/5[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 05:47:37 ID:IPI2eMa3
「ねえ、これはヤバイって。いくらなんでも、これはない」
「テッチ、あの女と付き合ってから、ミキに全然構ってくれなくなったね。ミキ、寂しか
ったな……」
「ミキ! 頼むから、これなんの冗談だよ! 注射って、意味がわかんない。危険すぎる。
シャレんならないって」
 ミキはためらわなかった。
「はうっ……!」
 あ。
 あ……ああ。
「う、うう……うううぅぅぅッ」
 声を上げたのは、哲生ではなかった。
 痛みと恐怖で哲生は少しも声も出せず、ただただ針の先が埋められていく自分の腕を見
つめていた。
 恍惚の声を漏らしたのは針を刺したミキの方で、興奮のあまり口元から涎をたれ流して
いる。ううう、と小さく喘ぎながら、そのまま哲生の耳たぶを齧った。
「あ、ああっ……!」
 哲生が初めてうめく。
「ん……テッチの耳たぶ、美味しい」
 ミキは針を抜いたが、そのまま哲生の耳たぶをピチャ、ピチャと噛み続ける。ゆっくり
と咥えて、歯と歯の間に挟んだまま、顔を上下に擦る。ほんの軽く噛んだり、時々強く齧
ったり。
 痛みが瞬時に快感に変わっていき、哲生は眩暈がした。
「大丈夫、このお薬は、……少しも、痛くない。気持ちよくなる、る、んだよ。ミキもさ
っき、自分でうったか、ら……」
 大丈夫なもんか、全然ロレツが回っていないじゃないか、と哲生が訴えようとするが、
できなかった。薬の効き目は信じがたいほど早く、すでに彼もまともに口を動かせない。
腹の下からせり上がってくる快感に全身を包まれる。哲生のペニスは瞬く間に勃起し出
した。ブレザーの制服がはち切れそうになって痛む。どこを触れられてもすぐに絶頂に
達してしまいそうなほど体が熱い。
「テッチ、好き……」
 そう言って、ミキは抱きついてきた。
 いつの間にか、セーラー服を脱いでいた。
 パステルブルーのブラジャーの上から小ぶりな胸の膨らみを露わにさせ、哲生を挑発す
る。乳首の先はどちらも、何かの生物の角のように尖っていた。

502 名前:「お薬の時間」3/5[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 05:50:06 ID:IPI2eMa3
「おっぱい、噛んで……」
 ミキの声が耳に届く前に哲生はむしゃぶりついていた。
「あっ……」
 ミキのブラが外れて、地面に落ちる。
 膨張したペニスの痛みに耐えられず、哲生の頬に涙がこぼれた。
 ミキがそれを見て、舌を絡めて哲生の目じりから水滴を舐め取った。そしてブレザーの
ファスナーを下ろし、哲生のペニスを取り出した。勢いよく飛び出したそれの先端はぬら
ぬらと輝き、掴んだミキの指先から糸を引いた。哲生はそれだけでイキそうになる。
「ふふふ。テッチの、すごく元気……」
 あ、ああっ、と哲生は言葉にならない声でうめいた。
「テッチ。ミキのこと、好き?」
 ミキはカウパーがあふれ出している哲生のペニスをぎゅっと握り締めたまま、それ以上
は少しも動かさずに尋ねた。
「ミキのことを好きって言ってくれたら、フェラしてあげる」
 哲生は頭がおかしくなりそうだった。
 あのミキが「フェラ」という言葉を使うなんて。その声だけで、勃起が加速する。
「お願い。言って?」と言いながら、ミキは綺麗な舌の先をペニスに、ぴと、とつけた。
でもそれ以上は動かさない。哲生の先端に伝わるのは、ミキの舌先のなめらかな感覚だけ
だ。哲生はかすれた声で哀願する。
「す、……すき」
「あの女よりも?」
「あ、のおんな、って……」
「もう、テッチったら。本当はわかってるくせに」ミキはペニスに頬を押し付けたまま、
悪戯っぽく笑う。「だったら、呼んであげるわ」

503 名前:「お薬の時間」4/5[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 05:52:43 ID:IPI2eMa3
 ミキはそう言って、地面に伸びたコードを掴むと、そこについていたスイッチを押した。
2メートルほどしか離れていない、哲生のすぐ前のスペースに裸電球が灯った。
「真奈美さん……!」
 そこには、哲生と全く同じ格好でソファに座らされた一人の少女がいた。二年に上がっ
て、ミキと哲生と同じクラスになった真奈美だった。ひと月前から哲生と付き合っている。
彼女の眼鏡の奥にある両目から、大量の涙がこぼれている。ただ一つ哲生と違ったのは、
ピンポン球状の緘口具をきつく噛まされていて、少しも喋れないことだった。ミキの声で
目覚めた時、哲生はあまりの状況に混乱していて、すぐそこにもう一人いることなど全く
気づかなかった。
「テッチ、あの女とも、もうこんなことしたの?」
 ミキはそう言って哲生を見つめながら、ゆっくりと小さな口をあけて、ペニスを含んだ。
ミキの口の中で糸を引いた涎が、哲生のペニスの先端に突き破られていく。
「ううっ!」
 ミキは口の中で舌をモゴモゴとさせて、何か声を出す。おそらくは同じ質問を、亀頭に舌
を絡みつかせながら言ったのだろう。
「や……あっ、あっ!」
 真奈美さんとはまだ付き合ったばかりだ。先週初めて映画を見て、ようやくキスをしただ
けだ。もうやめてくれ。哲生はそう言い返そうとしたが、あまりの気持ちよさに言葉を搾り
出せない。
「テッチ、あの女よりもミキの方がずっと上手いでしょう?」
「ミキ……。や、め……」
「何回もバナナとかで練習したんだよ。でも実際にはまだ誰にもしてないの。ミキがこんな
ことする相手はテッチだけだよ。だからテッチもミキだけにして。あの女にだって、もうさ
せないから」
 ミキは真奈美を振り返ると、これまでとは別人の口調で吐き捨てた。
「よく見てなよ、クソ女」
 ミキは再び哲生のものにそっとキスしてから、根元まで口に含んだ。

504 名前:「お薬の時間」5/5[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 05:55:02 ID:IPI2eMa3
「うううううっ!」
 真奈美は哲生と、そして哲生の屹立したペニスを見ていた。ミキがそれがちゃんと見れ
るように横からフェラチオをしていたからだ。真奈美の顔は、恐怖か快感か屈辱か、よく
わからない感情に苦しそうに歪む。ミキはそれを楽しそうに眺めながら哲生のペニスに舌
を擦り付けてフェラチオを続けた。真奈美が泣き叫ぼうとしているのが哲生にはわかった。
でも緘口具のせいでその願いは叶わない。
 哲生にはこれ以上耐えられない。だがそれ以上に何も考えられなかった。快楽だけが全
身と脳を犯していく。その快感に身を委ねることしかできなかった。ミキは哲生を見つめ
ながら、右手でペニスを握り締めたまましゃぶり続ける。左手は尖った乳首に、自分で触
れている。ミキはそれであっ、あっ、と恥ずかしそうな声をあげる。ミキはイキそうな
哲生の顔を見て欲情しているのだ。哲生の口端からも涎が零れ落ちる。また涙が溢れてく
る。ミキはフェラをとめない。今度は顔を横にしてペニスにむしゃぶりつく。それでも
しっかりと真奈美から見えるようにして。涎とカウパーが尿道から湯水のように零れ落ち
ていく。真奈美がガタガタとソファを激しく揺らした。
「あ……! イクッ、イクッ……!」
 哲生は叫んだ。
 ミキのまぶたと眉毛に、濃く白い液体が勢いよく飛び散った。何度も射精の快感が続く。
ずるずると粘着液が垂れ落ちて、ミキの綺麗な顔の上に広がる。やがて哲生の射精が止まっ
た。ミキは目を開ける。ミキの口の中に精液が入っていく。ミキは哲生の顔を見つめたまま、
それを舌で舐め取る。
「おいしい……」
 指先で拭い取って集め、それもまとめて舐めて、飲み込んだ。
「おいしいよ、テッチ」


割り込んでしまったらごめん。m(_ _)m

505 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 07:27:29 ID:4MJDcMy7
投下キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
>>498GJ! ヒロイン二人とも病みそうな展開にwktk
>>504 これは続きを期待です!

506 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 08:45:33 ID:m51cOJNG
両方とも凄く勃起しますた (*´д`*)

507 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/23(金) 12:52:45 ID:lzTARrcb
>>505
俺もだ。ぜひ続きを…
 
508 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 15:38:14 ID:EkXpq62m
釣り橋効果で恋のドキドキを誘発させる為に、
恐怖のどん底に陥れるってのもありだよな。

509 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 18:03:16 ID:qPKR7Ut1
>>508
調教とかで使えそうじゃない?

510 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 18:19:43 ID:EkXpq62m
まあ、昔サンデーであったネタなんだけどね。

511 名前: ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:24:35 ID:cGyDgwpw
おにいたん2までROMろうかと思ったんだけど、ネタ思いついたので投下。
あの最凶幼女と出会わなかったら耕治はどうなってたかって短編です

512 名前:いない『かぁる』に、いる『みいな』 ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:25:22 ID:cGyDgwpw
<<<いない『かぁる』に、いる『みいな』>>>

白のブラウスに濃い緑色のミニフレアースカート。スカートは肩にかかる同じく深緑のサスペンダー状のものでつるす。
腰には白いエプロンをつけ腰の括れを強調。ぱっと見、アン○ラや神○屋風だが構造はまるで違う。
頭には赤いナプキンを帽子状にして身につけている。遠くから見たらチューリップに見えないこともない。
そう。そう見せてるのだ。なんせ、お店の名前も「チューリップ」なのだから・・・。

ファミリーレストラン『テュリパン』。ロシア語でチューリップを指すこの店が麻枝耕治の仕事場。
フロアマネージャーの要職にある彼は自分の仕事と称して(事実それが仕事なのだが)一人の女の子を観察していた。
(ミナちゃん、かぁわいいなぁ・・・)
彼女の名は禾森美衣奈(のぎのもり・みいな)。他のスタッフからはミナちゃんで通ってる。
俗に言う「小動物系」の女の子でみんなの人気者だった。しかし彼女には問題があり・・・

げしっ!

「おうっち!」
「またミナばっかり見て!」
問題。それは彼女の姉の存在だった。禾森あずさ。2歳年上の彼女の姉。
あずさはミナに言い寄る男に対し徹底的に攻撃した。
見てるだけで攻撃。仕事以外で話しかけても攻撃。
デートに誘おうものなら徹底的に妨害。
テュリパンはウエイトレスの質が高いので有名なのだが、
この店に関しては彼女のせいか、男の従業員の定着率が低かった。
大体、耕治も別の店で働いてたのを男手が足りないからという理由でこの店に赴任したのだ。
「あずさ、てめぇ、職員の仕事を観察するのが俺の仕事だっていってるだろ!」
「鼻の下伸びてた」
「ぐっ!」
真実を突かれたじろぐ耕治。
「大体!おまえ過保護すぎないか?!話しかけたりするだけで鉄拳制裁ってどういうことだ?」
「ミナはね!いい子過ぎるから、悪い男にころっとだまされるのよ!特にアンタみたいなのにね!」
「なぁにを~!」
「はいはい、落ち着いて落ち着いて」
手をパンパンと叩きながら店長が二人を仲裁する。
「店長・・・」
「二人とも、私語を謹んで仕事をお願いするよ」
「はい」
「はぁい」
心にわだかまりを残しながら、二人は仕事に戻った

513 名前: ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:40:37 ID:Bf5qw5eb
スマソ、うぷする時間がなくなった。続きは明日昼に。

514 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 22:06:36 ID:4ng4wpCo
嗚呼、生殺しかな。

515 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 22:49:30 ID:4MJDcMy7
wktkして待ってます

516 名前: ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 00:08:34 ID:Ka/ykNRC
>>488
そこにヤンデレがあるから…ではなく、
本ルート以外は全てバッドにしようと目論んでいるからですw

>>498
狂うのは好乃ですか?
な、夏月ですか?
もしかして両方ですか?ww

>>504
真奈美は放置ですかw

>>513
期待して待っています。

517 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 00:19:44 ID:SKbtSsut
>本ルート以外は全てバッドにしようと目論んでいるからですw
んな作家的マジレス返されても困るw

518 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 01:38:13 ID:YshK1P8u
このスレにおけるHappyEndは普通の物語でのBadEndと解釈している。

519 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 01:43:21 ID:8Oa797CE
いま518がいいこと言った!

520 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 01:53:10 ID:kOeIO8yk
>>518
なんですとぅ?!

登場人物全員が生存したままでハーレムエンドを迎えるのが好きな俺はこのスレでは異端者なのか?
いや、もち「あなたを殺して私も死ぬ」的エンディングもアリですが。

・・・・・・でもやっぱし全員が生きているのが好きなんだよな俺。

521 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 01:59:29 ID:oGdBaGgB
>>250
今まで死んだ敵と今まで死んだ仲間と今まで死んだ脇役と最後に死んだ主人公と最初から死んでたヒロインが
ラストで全員集まってハーレムエンド

こういうことですね

522 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 02:05:15 ID:71ss1cZn
登場人物たちがハッピーだと感じているのなら、
それがハッピーエンドなのだと信じている。

523 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 02:07:49 ID:tTCpNNc+
ところでSS保管庫経由の新参で申し訳ないのだが、このスレのお陰でヤンデレにどハマリしてしまった。
感謝と尊敬の念を込めて、稚拙ながらヤマネ壁紙作ってきたんだけど、どうしよう。
保管庫BBSに勝手に貼ってきてもよいのかな?

524 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 02:11:20 ID:/9wBEobS
あっちに張っておけば管理人さんが拾ってくれるはず。

525 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 02:14:41 ID:kOeIO8yk
ここに書き込んでいる時点で既に『勝手』ではない件。

貼るのはいいんじゃないか。色塗った強者だっていたわけだし。

526 名前:504[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 02:17:29 ID:nlGVNHH7
>>516
実は真奈美の病み具合の方がディープだった、という話にしたかったんだけど、
長くなるからとりあえずミキ編だけでも、と。反応イマイチだったらやめる気でいたので。
時間できたら、続き書いてみまつ。

527 名前:523[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 02:32:54 ID:tTCpNNc+
orz
保管庫BBSのアップロード画像サイズの規定を超えてるみたいだ…。
ろだ探すかサイズ縮小するかしてみる。

528 名前:523[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:02:27 ID:tTCpNNc+
http://bbs11.fc2.com/bbs/img/_219000/218976/full/218976_1172252553.jpg

圧縮したら貼れましたありがとう。
全ての作者様方、絵師様に感謝を捧ぐー。
おいら英語超ニガテなんで、いろいろ間違ってたら訂正よろ。

>>504氏
続き心待ちにしてます!

529 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/24(土) 03:04:32 ID:TtoUJojg
>>528
GJ!!早速壁紙にしたw

530 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:08:51 ID:oGdBaGgB
>>523 氏
GJ!!
早速壁紙にさせてもらいました。可愛いなあ……

>>伊南屋 氏
「時を見る者」が格好いい……
ifで兄妹がメインの話を描きたくなりますこれ見てると

>>297 氏
確かにここ最近展開が鈍っていたので、ここからちょっとラストまで突っ走ることになりそうです。
もう十分もしたら続き投下します。

531 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:22:52 ID:oGdBaGgB
・十七話
 
 発狂しそうな三日目と、圧死しそうな四日目が過ぎた。
 正確に言えば六度の食事と二度の排泄だ。正確な日付も、正確な時間も、もう忘れてしまっ
た。食事の回数を――いや、神無士乃が地下室を訪れる回数を数えることしかできない。『外』
をしる手段は、それ以外には何もない。
 何もない地下室で、暗闇の中で、独りきり。
 普通ならば、発狂しているだろう。
 普通でないのならば、最初から発狂しているに違いない。
 どちらにせよ狂ってしまいそうな空間。
 いずれにせよ狂ってしまいそうな世界。
 意識が白く消えてしまいそうな地下室。
 そんな中で、わずかにでも正気を保てたのは。

「元気そうだね、冬継」

姉さんが、いたからだ。
「…………」
 地下室には明かりがない。時折神無士乃が持ってくる蝋燭の炎は消されているし、電灯のス
イッチは遠すぎてつけることにもできない。時折開く上への扉は、いまは完全に閉じている。
 それでも、はっきりと見えた。
 ――姉さんの姿が。
「てっきり、死にかけてるかと思った」
 三つ編みを三つつくったような髪型。如月更紗のそれと同じ制服。狂気倶楽部に入ってから
見せるようになった笑顔を見せている。思えば、こんな口調になったのも、あの頃からだ。
 どことなく――マッドハンターに似た喋り方。
 どっちがどっちに似たのか、僕は、分からない。
 それでも、姉さんのそんな喋り方を見るたびに、如月更紗のことを思い出してしまった。
「……どうにかね。正直、参ってるよ」
「そうだろうね」
 姉さんはそう言って、僕の正面、反対側の隅に腰掛けた。何もなかったはずなのに、姉さん
は椅子に座っている。心の中に、記憶の中にしかいない存在だからこそできる芸当だ。
 今、そこにいる姉さんは、生きている姉さんでも、幽霊でもない。
 僕の心の中に残る姉さんだ。
「姉さんが、いてくれたからだよ」
 僕は言う。嘘偽りなく。
 暗闇の、何もない地下室で……けれど僕は独りではなかった。
 姉さんがいた。
 姉さんがいてくれた。
 独りでは、なかった。それだけが正気を保つ手助けになった。神無士乃がいないときを見計
らって、僕は姉さんと会話をし続けた。喉が痛くて声が出なくても、心で思うだけで、姉さん
とは会話ができた。それだけが、暗闇の中で正気を保つ手段だった。
 ――いや。
 死んだ姉と会話をしている時点で――それはもう、正気ではないのかもしれない。
 けれど。
 今、ここでこうして考えている『自分』がある。
 それで十分だった。
 話し相手がいる。姉さんがそこにいる。それだけで、どうにか自己を保てる。
 けれど。
 
532 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:23:33 ID:oGdBaGgB
 
「本当に?」
 椅子に座る姉さんは、微かに微笑みながら言った。
 僕を、からかうように。
 僕を、うたがうように。
 姉さんは、そう、問いかけてくる。
「……本当?」
「何が――『本当』だろうね」
「…………」
「真実が何か、冬継は知ってる?」
 意味の分からない、意図の分からない姉さんの問い。本当。真実。そんなものは――知らな
い。考えてこともない。何かを考えようともしなかった。
 今は、姉さんがいれば、それでよかったから。
 そんな僕の心を読んだかのように。
「冬継が――」
 微かな微笑みを消さないままに、姉さんは言った。

「冬継が、本当にいてほしかったのは、私なのかな」

一瞬だけ。
 その微笑みが――酷く、寂しそうなものに思えた。
「どういう……意味だよ」
 手足をつながれたまま僕は問う。本当は、今すぐに近寄って、姉さんにキスをしたかった。
姉さんを抱きしめたかった。けれど、神無士乃によって拘束されている今、そうするためには
姉さんのほうから近寄ってくる必要がある。
 姉さんは、近寄ってこない。
 僕と距離を置いたまま、話し掛けてくる。
 まるで、心の距離を、そのまま表しているように。
「冬継はさ、」
 椅子に腰掛けたまま、立とうとしないままに、姉さんは言う。
「私のこと、好き?」
「好きだよ」
 質問の意図は、分からないままだった。
 それでも、僕は即答する。
「士乃と比べて、どっちが好き?」
「姉さんの方が好きだよ」
「士乃のこと、好き? 嫌い?」
「好きでも嫌いでもないよ」
「他の誰と比べても、私のことが好き?」
「他の誰と比べても、姉さんのことが好きだよ」
 矢継ぎばやに繰り出される質問に、僕は悉く即答する。
 そんなことは、分かりきっていることだった。
 訊かれるまでもない、ことだった。
 じゃあ、と姉さんは前置いて、

「マッドハンターのこと、好き?」

そう、訊ねてきた。
 

533 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:24:40 ID:oGdBaGgB

「…………」
「それとも冬継には、如月更紗と言った方がいいかい?」
 姉さんの顔からは、あくまでも微笑みは消えない。微笑んだままに、そんなことを、僕に訊
いてくる。
 僕は、その問いに。
 答えることが――できない。
 即答、できない。
 如月更紗。僕のクラスメイト。
 マッドハンター。姉さんの『仲間』。
 如月更紗は、マッドハンターで。
 マッドハンターは、如月更紗だ。
 じゃあ。
 僕にとってのマッドハンターは、何だ?
 狂気倶楽部の一員ならば、敵だ。姉さんを殺した奴の仲間なのだから。けれど、姉さんを殺
した奴は、姉さんの仲間でもあった。僕を殺そうとしてきた奴も狂気倶楽部の一員なら、僕を
守ったマッドハンターも狂気倶楽部だし――こうして僕を監禁している神無士乃は、狂気倶楽
部でも何でもない。
 パラドックス。
 何が大切で、何がいらないのか。
 誰が敵で、誰が味方なのか。
 分からない。
 分かるのは――いつからか。
 あの昼の屋上からか。
 あの朝の部屋からか。
 あの夜の路地からか。
 いつからかは、分からなくても。
 神無士乃の存在が――深く心に焼き付いて、離れないということだけだ。
 それだけは、ごまかしようのない、事実だった。
「私じゃなくてマッドハンターを待ってたんじゃないの? 助けにきてくれるって」
 姉さんは、確信に満ちた口調で言う。
 それは、僕が姉さんに喋らせているのか、姉さん自身が喋っているのか。曖昧で、判別がつ
かない。
 かつて、冬継は私のことを好きだよね、と言ったその口で。
 姉さんは、それと正反対のことを、口にする。

「あの子を信じてたから――耐えられたのかい」
 

534 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:25:56 ID:oGdBaGgB

「そんな――」
 わけがない、と言葉が続かなかった。
 まるで物語の中のヒーローのように、アリスから救ってくれた如月更紗。
 今また助けに来てると、心の中で思っていなかったと、どうして断言できるだろうか。
 もし、それが本当なら。
「……みっともねぇ」
 心の底から悔恨の響きを載せて、僕はそう吐き出した。姉さんの片眉が微かに動く。
 気にせずに、僕は続けた。
「情けない……僕は攫われた御姫様かよ」
「そのままだね」
「姉さん、そんなにばっさり言わないでくれ……余計に悲しくなる」
 この状況。
 口に出してしまえば、生殺与奪の権を他人に握られているこの状況が、ひどく滑稽なように
思えた。幼馴染に監禁されて、物騒な鋏を持つクラスメイトが助けに来てくれるのを待つ、復
讐に燃えるシスコン。
 情けないやら、みっともないやら、複雑な気分だった。
 楽観視できるような状況じゃない。
 楽観視できるような状況じゃないのに――笑えてしまう。
 思えば。
 鋏を喉元に突きつけられたときでさえ、僕らは、笑っていた。あの状況に比べれば、まだこ
れは『笑い事』なんじゃないかと、そう思えてしまう。
 それもこれも、あのとんでもない女のせいだ。
 人の迷惑も考えず、人の困惑も考慮せず、ずかずかと人の心の中に入ってきた――あのトン
デモ女のせいだ。
「たまには、ヒーローの側に回ってみたいもんだよ」
「冬継は似合ってないよ」
「知ってるよ……竜にさらわれた御姫様を救いにいくなんて、ガラでもない」
 正義で救いにいくのなんて似合わない。
 嫉妬で竜の元へ僕に、ヒーローの役なんて似合うはずもない。
 認めよう。
 この四日間、暗闇の中では考えることしかできなかった。考えて続けて、はっきりしたこと
がある。
 僕は、姉さんを殺した奴に、復讐がしたいんじゃない。
 姉さんを救った奴に嫉妬して、そいつに救われた姉さんに嫉妬して、置いていかれたことに
嫉妬して影を追っているだけだ。
 救われてしまった姉さんが羨ましくて――救われずに置いていかれたことが、悲しいだけだ。
 その一心で、周りも見ずに、復讐に走っていただけだ。
 考えるのを、放棄して。
「……まあ、分かったところでどうにかなるもんじゃないけどな」
 何を今更、というやつだ。
 そんなことが分かったところで、やるべきことが変わるわけじゃない。
「姉さんの死の理由は――知りたいしな」
「そうだね。この私は、それは知らないから」
 何せ、『私』は君の知らないことは知らないんだから――姉さんはそう言って笑った。
 
535 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:26:51 ID:oGdBaGgB

姉さんは、此処にいる。
 僕がそう望んだからだ。僕が望んでいる限り、死んだ姉さんはこうして現れる。どこだろう
と。いつだろうと。望む限りに。
 だから。
 姉さんがいなくなったときこそ――全てが、終わったときだ。
 姉さんを必要としなくなって、一人で生きれるようになったときだ。
 過去を成算するか。
 未来を会得するか。
 姉さんの死の真相をしるか――姉さんよりも大切なものを見つけるか、それしかない。
 嫉妬も、復讐心も、消えたわけではない。はっきりと心の中に残っている。燻ったそれは、
どう足掻いても消せないものだ。
 だからこそ、立ち止まるわけにはいかない。
 こんな場所で、監禁されている場合じゃないのだ――
「……とは分かってても、自分じゃどうしようもないんだよなあ」
 はぁ、と僕はため息を吐く。手足が封じられているので、それくらいしかできない。
 意気込んだところで、囚われの身であることには変わりはない。神無士乃に屈服すれば外に
出れるのだろうが、屈服してしまっては何の意味もない。
 ぎりぎりの寸止めを繰り返す神無士乃。
 その意図は痛いほどに分かっている。神無士乃は、僕を抱こうとしているのではない。
 僕に抱かれるのを待っているのだ。
 僕の方から手を出して――僕から一歩踏み出すのを、誘っているのだ。無理矢理に襲っては
意味がない。無理矢理に襲われなければ、神無士乃の目的は達せられない。
 愛情を手に入れるという、その目的は。
「どうするかな……本気で助けを待つだけって情けないよな」
 四日。
 本当に四日もたっているなら、外でも少しは噂になっているだろう……いや、それは楽観的
な観測なのかもしれない。家には僕と姉さん以外には誰もいないし、学校でも目立つタイプじ
ゃない。如月更紗と似たようなものだ。ふらっといなくなっても、誰も気にしないだろう。
 気にするのは、それこそ如月更紗くらいか。
 ……。
 …………如月更紗が助けにこなかったら、誰もこない?
 ちょっとだけ悲しくなった。
 
536 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:28:14 ID:oGdBaGgB

「あいつ、身の安全保証できてないよなこれ……」
 屋上で誓った言葉を思い出しながらぼやいてしまう。全てを頼るのはアレだと知りつつも、
ぼやかずにはいられない。
 まあ、勝手に飛び出した僕が悪いんだから、自業自得か。
 つながれたままうな垂れる僕を見て、姉さんはくすくすと笑う。
 笑って、
「もし――」
 笑ったままに、冗談でも言うかのように。

「マッドハンターが、私を殺したのだとしたら、どうする?」

わかっていて、考えないようにしていたことを、姉さんは隠すことなく口にした。
 さらりと、あっさりと吐き出された言葉が、何を意味するのかすぐには分からなかった。
 いや。
 正確に言えば――わかりたくなかったのだろう。
 好きか嫌いかはわからなくとも、心の中に深く存在が根付いてきた如月更紗。
 彼女の言っていることが全て嘘で、如月更紗自身が姉さんを殺した可能性だって――零じゃ
ないのだから。
 限りなく少なくても。
 決して、零じゃない。
 そのことについて、僕は、何かを言おうとして――
 
「――ひゃん!」
 
 天井が開くと同時に堕ちてきた神無佐奈さんの悲鳴によって遮られた。
「……!?」
 文字通りに、堕ちてきた。天井が開くと同時に、降り注ぐ光と一緒に神無佐奈さんのふくよ
かな身体が落下する。梯子が下ろされるよりも早い。どん、と、むき出しの床にぶつかって痛
そうな音を立てた。
 痛そうですむのか、今のは……?
 受身が取れているとも思えない。そう高さはないとはいえ、下手に落ちれば、皹くらい入り
かねないぞ。
 そもそも、神無佐奈さんも上にいたのか。一度も姿を見ないから、すっかり存在を忘れてい
た。
 いや、そもそも。
 この人は、僕がここにいることを、知っていたんだろうか。
「悲鳴がうるさいですお母さん」
 次いで、言いながら降りてきたのは、他の誰でもない神無士乃だった。神無佐奈さんとは違
い、梯子を使って丁寧に降りてくる。かつん、かつんと、足音が狭い地下室に響く。
 姉さんの姿は、もういない。光が入ると同時に、消えてしまった。僕が意識しない限り、僕
が必要としない限り、姉さんは現れることはない。
 だから、今――地下室にいるのは、僕と、神無佐奈さんと、神無士乃だけだ。
 
537 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:29:18 ID:oGdBaGgB

「神無士乃。食事か? それにしては間隔が早すぎるが」
 皮肉の意味を込めて、痛い喉を駆使する。
 床に降り立った神無士乃は、どこか優雅な仕草で僕を見て、
「おはようございます先輩」
 なんて、とんちんかんなことを口にした。
「いつだっておはようだな」
「いつだって世界のどこかは朝です」
「知ってるか神無士乃、朝日に向かって走れば一日中朝なんだぞ」
「知ってますよ。それより知ってますか先輩、朝日と逆走したら昨日に戻れるんですよ?」
「それは知らなかったな」
「ただし、光より早く走る必要がありますけど」
「その時点で無理だと気づけ……」
 いつも通りのやりとりだった。
 いつも通り過ぎる、やりとりだった。
 僕はこういう状況になれている。姉さんもそうだったし、如月更紗もそうだった。如月更紗
と異常な状況で普通に喋ることに違和感を感じるはずもない。
 けれど、日常の象徴だった、《幼馴染》である神無士乃とこんなやり取りをするのには――
どうしても違和感を覚えてしまう。
 こんな状況に陥った今でさえ、心のどこかで神無士乃が『まとも』なのではないかと、望ん
でいる部分があった。
 全て狂っていたなら――姉さんの苦しみに、意味はなくなってしまうから。
 せめて、ここだけでも、まともであって欲しかったのに。
 淡い希望を打ち砕くかのように、神無士乃は電気をつけ、倒れたままの神無佐奈さんと僕を
見比べて、薄く微笑んだ。
「ああ、『これ』ですか?」
 神無士乃は、堕ちた衝撃で身を起こすことのできない実の母親を一瞥し、
「お仕置きの最中なのです。先輩は気にしなくていいですよ」
 笑ったまま、蹴り飛ばした。
 無造作な、一撃だった。造作もなく、爪先が神無佐奈さんの腹に突き刺さる。あまりにも自
然すぎて、何をしたのか理解できなかった。
「ぎゃん!」
 飼い主に蹴られた犬のような悲鳴を、神無佐奈さんがあげる。痛みに身体を九の字にまげて、
げほ、げほと幾回か咳き込んだ。鳩尾にでも刺さったのかもしれない。見た限り、蹴った足に
手加減の様子はなかった。
 急きこむ神無佐奈さんの身体を、神無士乃は、サッカーボールのようにもう一度蹴り飛ばす。
「いた、痛い士乃ちゃん、佐奈さん痛いの、やめて士乃ちゃん――」
「煩いですよ」
 さらに一度。三度目の蹴りを神無士乃が放つ。胸板よりもすこし上にぶつかり、声が無理矢
理に中断された。げほげほと、咳き込む声だけが狭い地下室に満ちる。
 なんだ――これ。
 何が起きているのか、全く分からない。事態が人を放って勝手に進行している気がする。い
ったい何がどうなって神無士乃が母親を蹴り飛ばしてるんだ。
 何よりも。
 なぜ、神無佐奈さんが――それを当然のように、受け入れてるんだ。
 痛い、という神無佐奈さんは、けれど決して逃げようとはしない。甘んじて、神無士乃の蹴
りを受けているようにも見えた。それが分かっているからなのか、神無士乃は四度目の蹴りを
いれるべく脚を振り被り、
「神無士乃! 何やってるんだお前は」
 さすがに、止めた。
 止めてしまった。
 止める必要があるのかとか、そんなことは意識しなかった。ただ、目の前で起きている異常
な行為を止めさせたかった。それだけの一心で、制止の言葉を投げかける。
 功を労したのか、神無士乃の脚が止まった。両足を地面につけ、倒れ伏して動かない神無佐
奈さんを無視するように振り返る。
 
538 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:30:44 ID:oGdBaGgB

「先輩? こんなものを気にしないでください。私だけを――気にしてください」
 微笑んだまま――神無士乃は、そう言った。
 心からの、本心のように。
「……さすがにこれを気にするなってのは無理だろ」
「いえ、先輩ならできますよ」
 妙に、断定するような口調だった。
 断言するような言葉だった。
「だって――ずっと、気にしてなかったじゃないですか」
 お姉さん以外のことを、そう神無士乃は付け加える。
 その言葉に、反論できるはずもない。
 見られている。
 見透かされている。
 長年側にいたのは、伊達ではないのだろう。僕は神無士乃を見てこなかったけれど――神無
士乃は、僕だけを見てきたのだから。そのことに気付かれていてもおかしくはない。
 いや。
 そのことに気付かれているからこそ――こうして、監禁されたのか。
 ようするに、自業自得だ。
 ……自業自得で監禁されるのって嫌だなおい。
「ならいまからちょっとだけ気にしてやる。お前、何やってんだよ」
「見ての通りです」
 言って、四度目の蹴りを神無士乃は放つ。今度のは振り被っていない分だけ威力はなかった。
肩口を蹴られて、神無佐奈さんの体がひっくり返る。仰向けになった腹を踏んづけて、踏みに
じるように神無士乃は言う。
「お仕置きの最中です」
「……お仕置き?」
「士乃ちゃん、痛い、痛いよ……お願いだからもうやめて、痛い、痛いの、佐奈さん、痛いの
嫌なの……」
「黙っててください」
 ぐい、と脚を踏み込むと、神無佐奈さんはうぇ、と呻いて沈黙した。腹を踏みつけられて、
言葉を出すこともできないのだろう。
 ないがしろにされている。
 親子とは思えない行為だった。それとも、親子だからこそ、するのだろうか。
 家の中で行われていることは、家族にしか分からないのだから。
 僕と姉さんだって――外側から見れば、ただの仲が良い姉弟だ。
 
539 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:31:52 ID:oGdBaGgB

とはいえ、気にならないはずがない。僕はもう一度、「お仕置きって、何がさ」と質問した。
「お仕置きはお仕置きです。このヒトが、あんまりにも使えないからこうしてお仕置きしてる
んです」
「士乃ちゃん、で、でも、佐奈さんちゃんとやったの……士乃ちゃんの言うとおり、佐奈さん
、ちゃんとやったよ? 士乃ちゃんがいない、って、冬くんに教えにいったし、冬くんのご飯
だって、佐奈さん、ちゃ、ちゃんと造ってる、じゃない。士乃ちゃんのしたいこと、全部、佐
奈さん、し、してあげてるでしょ?」
「だから――黙ってください」
 途切れ途切れの神無佐奈さんの言葉を、神無士乃はさらに脚を踏み込むことで遮った。
 ……というか。
 今さらりと、とんでもないこと言わなかったか、この人。
 いつも通りの弱々しい、悪気なんて、悪意なんて一切感じないような声で――なにか、看過
できないようなことを言ってのけた気がする。踏みつけられているインパクトで流しかけたが
、流していいことじゃないぞ、絶対。
「なあ神無士乃、今のって――」
「気にしないでください」
 きっぱりと、断言された。
「……。あの日お前、ずっとあそこにいたんじゃなくて――」
「気にしないでください」
 繰り返し断言された。
「気にしないで、ください」
 さらに念押しされた。
「…………」
 ここまでやってしまえば認めているのも同然だが、神無士乃はどうしても肯定したくないら
しい。
 勝手に想像をするならば――あの日、神無士乃は一旦家に返り、盗聴器で家の話を聞いた後
で――待ち合わせ場所に向かって罠をしかけた、ということだろう。
 多分、如月更紗と引き離すためにだ。
 あの物騒な女と僕を引き離して――監禁するためだろう。ある程度、僕の行動は神無士乃に
読まれているから……神無佐奈さんが家を訪れた場合、どういう反応を返すかも、神無士乃の
思惑通りだったに違いない。
 我が事ながら、神無士乃の手の平の上でくるくると踊っているな。釈迦の掌から抜け出せな
い孫悟空といい勝負だ。
「気にしないのは得意分野だからいいんだけどさ。神無士乃、何のお仕置きなんだよ。いくら
お前が非力でも――やりすぎると、死ぬぞ」
 人は、簡単に死ぬぞ。
 蹴られた体の痛みじゃなくて。
 蹴られた心の痛みで。
 そう、僕が神無士乃に忠告すると、神無士乃は「知っていますよ」と笑った。神無士乃に満
面の笑顔はよく似合う。こんな状況でもなければ、それは見る人を魅了する笑顔だった。
「こんな役立たずは、死んじゃってもいいんです」
「役立たずって、何が」
「言い換えれば不能ですね」
「それは言い換えるな!」
「勃たない役立たず……」
「うまいこと言ったつもりか! うまいこと言いやがって!」
 叫んだら喉が痛かった。
 馬鹿か僕。
 馬鹿なんだろうな、僕。
 監禁されてて馬鹿だなんて、ちょっと救いがない。
「ああ……喉痛い」
「大丈夫です先輩、あとでシロップあげますから」
「ドロップですらねえのかよ」
 シロップで喉の痛みが和らぐか。
「頼むからシリアスに行こう――神無士乃、一体何があったんだ?」
 
540 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:32:52 ID:oGdBaGgB

僕の問いに神無士乃は。
「だからですね、この人が、よりにもよってとんでもない失敗しちゃったんです」
 踏んづけていた脚を離し、離したその勢いのままで五度目のけりを放った。一際強い一撃に
、神無佐奈さんの体がごろごろと壁際まで転がる。壁に詰まれた箱にぶつかって、ようやくそ
の動きは止まった。
 ちょっとだけ、死んだかと、思った。
 すぐに「ううう……」とか細いうめき声が聞こえてくる。かろうじて死んではいないらしい。
蹴ったのが非力な神無士乃だからだろう。
 今は神無佐奈さんのことよりも、神無士乃の言葉の方が気になった。
「失敗……?」
 失敗。
 失い敗北すると書いて、失敗。
 それは、不都合なことが起きたということだ。
 僕を監禁している神無士乃に不都合なことが起きたということは――それは即ち、僕にとっ
ては好機が訪れたということなんだろうか……?
 いや、わからない。もし警察がここにきたら、色々な意味で危なすぎる。
 僕だって、潔白の身というわけではないのだ。
 今、ここで中断するわけにはいかない。
 一度始めたことを簡単に中断できるほど――器用な人間ではないのだ、僕は。
 姉さんへの思いが真実であれ偽者であれ、死の真相を知りたいのは事実だ。それに、アリス
なんてものが関わってきている以上、もう事態は他人事でもなんでもない。
 それを、警察の介入なんてオチで締めくくるわけにはいかなかった。
 考え込む僕を無視するように、神無士乃は、倒れ付す神無佐奈さんを蔑むように見て。
 
「言いましたよね――尾けられるなって。言われたことも守れないから、お父さんに捨てられ
るんです」

そんな、突っ込みどころを満載した言葉を、口にした。
 前者を追求するか後者に突っ込むか僕は迷い、
「ううう……」
 迷った僕が何を言うよりも早く、神無佐奈さんが、唐突に泣き出した。
 子どものように、頭を抱えて、泣き始めた。 
「そんな、そんな酷いこと佐奈さんに言わないでよ……佐奈さんだって、佐奈さんだって捨て
られたくて捨てられたんじゃないもん……士乃ちゃんだって、お父さん、欲しいでしょ? 佐
奈さんも欲しいのに……でも、あの人、佐奈さん、捨てて、捨てていっちゃって――う、うわ
あ、うわああん……」
 泣き始めたどころか、大号泣だった。
 子どものように、泣き叫んでいる。そんな神無佐奈さんを、神無士乃は、やはり蔑む目つき
で見下ろし、見下している。
 ……後者に突っ込む必要はなかったみたいだ。
 神無士乃の父親は見たことがなかったが――そうか、そういう理由があったのか。正直、ま
ったく気にしていなかったから知らなかった。偶然会わないんじゃなくて、会う可能性が零。
 まあ、たとえ気にしていても、捨てられたとまでは分からなかっただろう。
 外から見ただけでは、中のことなんて分からない。
 神無士乃と神無佐奈さんの関係を知るためには――もっと深く、中に踏み込む必要があった。
 けれど僕は、その選択肢を選ばなかった。
 神無士乃に歩む道を、選ばなかった。
 だから――この話は、それまでだ。
 僕の、気にすることではない。
 
541 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:33:41 ID:oGdBaGgB

僕の気にすることは、ただの一つだ。
「神無士乃。尾けられた、って、何のことだ――誰に、だ?」
 どこか確信を持って、僕は問う。
 尾けられてた、と神無士乃は言った。
 誰かに、この場所の位置を探られたということだ。
 その誰かは、囚われている僕を探し出そうとしているのだろう。
 思い当たるのは、一人しかいない。
「ええ、先輩の、想像している通りです」
 神無佐奈さんから僕へと視線を戻り、苦々しい口調で神無士乃は言う。声の苦味を隠そうと
もしていない。心の底から、嫌そうな声。
 その声が、僕の予感を、確信に変える。
 本当に、如月更紗は。
 主人公のように。
 ヒーローのように。
 僕を助けにきたと、言うのだろうか――
「あの女に――この場所を、突き止められました」
 苦々しい口調のままに、神無士乃は、そう吐き捨てた。
「…………」
「先輩を、私から奪い去るためにです」
 しくしくと響く神無佐奈さんの泣き声をBGMに、神無士乃は吐き捨て続ける。
 呪詛のように、言葉を吐く。
「きっとすぐに、あの女はやってきます。だからお願いです先輩、それより早く、私を、」
「……私を?」
 ぐ、と言葉を呑み込んで。
 覚悟を決めるように、神無士乃は間を置いて。
 呪詛でも怨嗟でもない、純粋な瞳で、僕を見つめて――懇願した。
 

「私を――抱いてください」
 
 散々の絡め手から、打って変わったような正攻法だった。
 真正面から、嘘偽りなく、神無士乃は言った。
 ――抱いてください、と。
「…………」
「奪われる前に――私のものに、なってください」
 神無士乃は懇願を繰り返す。昨日までの、からかうような、小悪魔のような余裕はない。必
死の懇願とさえいっていい態度だった。
 きっと、予想外の展開なのだろう。
 予想よりも、ずっと速かったのだろう。如月更紗が動き出すのが速すぎたに違いない。
 予想よりも、ずっと遅かったのだろう。僕が、誘惑と暗闇に屈するのが遅すぎたに違いない。
 一つだけなら、問題なかった。
 二つ重なったせいで――致命的な、時間のロスになってしまった。
 だからこそ神無士乃は、真っ向から僕に懇願してきたのだ。
 抱いてください、と。
 私だけのものになってくださいと、そう、言っているのだ。
 
542 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:34:20 ID:oGdBaGgB

「私のものになってくれるなら、私も、先輩のものになります。私も、この人も、先輩の好き
にしてもらって構いません」
 神無士乃は、泣き続ける神無佐奈さんを指差した。いきなり名前を出されても、神無佐奈さ
んは反応しない。
 肯定も、拒否もしない。
 決定権は自分ではなく娘にあるのだと、そのすすり泣く背中が物語っていた。
「先輩と一緒にいられるなら、私はどんなことだってします。どんな人にだって、負けません。
だから――お願いします。先輩は、私たちに、必要なんです」
 監禁されている僕に対し。
 神無士乃は脅迫ではなく、懇願する。
 これじゃあ……どっちが場の決定権を握っているのか、分かったもんじゃない。
 自由な身である神無士乃のほうが、よっぽど不自由で。
 今にも、泣き出してしまいそうに見えた。
「頼れる人が、必要なんです」
 涙を瞳に携えて、神無士乃は言う。
 捨てられた小犬が、主人を求めるように。
 神無士乃と、神無佐奈さんは、懇願する。
 僕は。
 僕は。
「僕は――」
 僕は、泣く二人に対して。
 
「――お前の、父親にはなれない」
 
 突き放すように、言った。
 言うしか、なかった。
 僕は、神無士乃を選ばなかった。
 僕は、神無佐奈を選ばなかった。
 僕の狭くて小さな、歪な心を占めるのは、一人しかいない。
 それは、かつては姉さんで。
 今はきっと――違う人だ。
 姉さんでも、神無士乃でも、神無佐奈さんでもない。
 今、僕を助けにきているという――物騒な鋏を持った、あの女だけだ。
 僕は矮小な人間だから。
 神無士乃と、如月更紗の、両方を抱きしめることなんて、できやしない。
 
543 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:35:11 ID:oGdBaGgB

「恋人にだって無理だ。お前だけじゃない、お前以外の誰だって無理だ。僕は誰かを助けれる
ほど――立派でもまともでもねえんだよ」
 できるとしたら。
 共倒れに依存して倒れるか。
 手を繋いで――歩いていくか。
 きっと、そのどちらかでしか、ないのだろう。
 神無士乃を、神無佐奈さんを助けることだって、きっと出来たに違いない。そう望めば、た
とえ道の先ががけっぷちでも、助けることはできただろう。
 選びさえすれば。
 そして僕は――選ばなかった。
 それが、全てだ。
 それしか、ないんだ。
「お前は幼馴染で、幼馴染でしかないんだ。馴染むだけで――同じにはなれない」
 同じ穴の狢に馴染む。
 同病相憐れむ。
 脅威的な共依存。
 どんな言い方をしても、それは同じことだ。僕は狂っているかもしれないが、そういう狂い
方は、きっとしていない。
 それは、姉さんの狂い方だ。
 それは、姉さんが僕に対してやった狂った愛情だ。
 姉さん以上に――同一になれるものなど、ありはしないのだ。
「だから神無士乃。僕は、お前の思いに応えられない」
 ごめん、とは言わなかった。
 謝るべきことではない。
 これは誤りのない、僕の本心なのだから。
「――――」
 神無士乃の瞳から、涙が消える。
「――――」
 神無佐奈さんの泣き声が途絶えた。
 虚ろな。
 涙が消えて、感情が消えて。
 虚ろになった神無士乃の瞳が――僕の瞳を、覗き込んでいた。
 ――殺される。
 一瞬、そう覚悟した。
 殺されるような状況に僕はいて。
 殺されるような瞳を、神無士乃はしていたから。
 けれどもその口から出たのは、呪詛でも殺意でもなく。
 
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――そっか」

納得したような、呟きだった。
 納得してしまったかのような……呟きだった。
「…………ッ、」
 思わず息を呑む僕に対し、神無士乃は、笑った。
 けたけたと。
 けたけたけたと。
 神無士乃らしくもない、壊れたような笑みを、浮かべた。
 いや。
 壊れたような、笑みじゃない。
 けたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたと、完全に壊れた笑いを、神無士乃は
吐き出した。
「あの女がいるから――先輩は、私のものにならないんですね」
 けたけたと笑いながらそう言って、神無士乃がゆらりと揺らめいた。幽かに風が揺らめく。
人魂のような動きで、神無士乃はふらふらと、踵を返した。
 僕を見ずに。
 動かなくなった神無佐奈さんを見ずに。
 ゆらめきながら、戸口へと向かう。
 
544 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:35:57 ID:oGdBaGgB

その背中に声をかけようとして――声をかけることが、できなかった。
 怖い。
 神無士乃が、振り返るのが怖い。
 今声をかけて彼女が振り返ったら、彼女がどんな表情をしているのか、見てしまう。
 けたけたと笑う神無士乃の瞳に、見られてしまう。
 今度こそ、殺される。
 神無士乃の背中は、そう確信付けるだけの気配があった。
 完全に、常軌を逸している。
 かろうじて存在していたものが、ぐらぐらと、揺らいでいる。
 こんな神無士乃を、僕は知らない。
 まるで狂気倶楽部の一員であるかのような神無士乃なんて――知らなかった。
 知らない人にかける言葉を、僕は持たない。
「なら――答えは一つです。応えは、簡単だったんですね、先輩」
 ぞくり、と。
 背筋に怖気が走るような、低く平坦な声だった。そのまま振り返ることなく、天井へと、上
へと繋がる梯子に脚をかけながら、神無士乃は言う。

「私が――――――――――――――――――――あの女を、殺してしまえばいいんです」

――そうすれば、先輩は、私のものになるから。
 振り返ることなく、そう言って。
 かん、かん、かん、と、神無士乃は、上へと昇り始めた。
 あの女を、殺すために。
 あの女――如月更紗を殺すために。
「――待て、神無士乃!」
 ようやく。
 ようやく声が出た。神無士乃を引き止める制止の声を喉から絞り出す。けれど神無士乃は止
まらず、かん、かん、かんと音は連鎖して。
 か、という、途切れるような音を最後に――神無士乃の姿が、上へと消えた。
 そのまま、戻ってこない。
 きっと、戻ってこないだろう。
 如月更紗を、殺すときまで。
 そう、思った瞬間。
 

じゃきん、と上から音がした。
 
 開いた扉の向こうから、そんな金属同士をかみ合わせる音がすると同時に、ぼん、と物が落
ちてきた。サッカーボール大のそれは、先に神無佐奈さんが落ちてきたときと同じように、地
面にぶつかって――跳ねた。重量が軽いせいか、液体を撒き散らしながら一度跳ね、二度目は
跳ねずに床に転がった。
「…………」
 開いた天井から降り注ぐ蛍光灯が、ソレを照らし出している。照らし出されたソレが、僕の
顔を、真っ直ぐに見つめていた。
 
 
 神無士乃の、生首だった。
 
 

545 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:38:43 ID:oGdBaGgB
   ◆
 以上で十七話終了です。
 遅くて長くてごめんなさい。もう次スレか……

散々じらしながらも、神無士乃ルートでないため本番はなしで申し訳ない。
 ラストまで急速落下します

546 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:41:55 ID:e/l4aHL7
GJ!

547 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 03:44:07 ID:wU5XWDjJ
>>545
超GJ!!リアルタイムで読めて幸せです!!
にしてもママ可愛いよ、ママ(*´д`*)

548 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 04:02:01 ID:tTCpNNc+
GJGJ!!
初遭遇に興奮が抑えられなlp;士乃うわああああぁぁあ

549 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 04:45:46 ID:697spp/c
GJGJGJ!
わ、wktkが止まらないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ佐奈さん可愛いよぉぉぉぉぉぉぉ!!

550 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 05:36:21 ID:Tld5KEcd
>>545
GJ!ママン可愛いよママン(*´Д`)ハァハァ
そして志乃が……志乃が……((( ;゚Д゚)))アワワワ

551 名前: ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 07:23:35 ID:5fgpLZk9
>>514-516
待たせて申し訳なかった <(_ _)>

>>523 GJ!!センスいいなぁ。

>>530 msUmpMmFSs師
GJ!!!ていうか士乃ぉぉぉぉ!!orz
所詮は当て馬だったか。
しかし「彼氏を求めてる風で、実は父親を求めていた女」って構図を見て、
『逆襲のシャア』のクェスを連想したよ。
ならば冬継はシャアかハサウェイか。姉に母性を見出していたら確実にシャアだが。

では残り投下します。

552 名前:いない『かぁる』に、いる『みいな』 ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 07:24:34 ID:5fgpLZk9
夜。お店閉店後、店の事務所内。
「いつもすみません!」
ミナは耕治に謝っていた。
「姉は私に対して異様に過保護でして・・・」
「いや、気にはしてないけど。いつものことだし」
目線をそらして、頬を指で掻きながら耕治は答える。
「しかし、あんなお姉ちゃんだと大変だね」
「はい・・・とは言っても、お姉ちゃん、ミナがいないとダメなんです」
「はぁ?」
「家では、食事・洗濯・掃除、ピオンの世話、全部ミナがやってます。お姉ちゃん、何も出来ないんです」
それは姉として以前に人間として失格だなぁ。耕治はふと思った。
「ミナとしては、お姉ちゃんの未来のほうが心配なんです」
「言えてる・・・」
「耕治さん!」
ミナは耕治の胸元にすがり、上目遣いに耕治を見た。
「お姉ちゃんと、付き合ってみませんか?!」
「はぁっ?!」
「今まで、ミナに付き合って欲しいっていってくれた男の人に、お姉ちゃん、それはそれはすごいことしてきたんです。
けど、耕治さんにはあまりきついことしてないみたいなんです」
「はい・・・」
「もしかしたらお姉ちゃん、耕治さんにはちょっと気があるかもしれません!」
「そうかなぁ・・・?」
「今度の休み、ミナの家に来てください!ミナがお姉ちゃんを説得します!」
「ミナちゃんがそういうなら・・・」
「ありがとうございます!」
ミナは耕治から離れ、深々とお辞儀をした。
「今日はもう遅いから帰ろう。お姉ちゃん待ってるんじゃない?」
「はい!」
「俺まだ残業だから」
「はい!耕治さんがんばってください!」
そしてミナは事務所を出て行った。
一人になった事務所内で、耕治は考えた。
(まぁ、店長から『あの件』の調査も頼まれてるし、一度行こうとは思ってたけど)
そしてある事実に気がつく。
(・・・まて!俺とミナちゃんが話してる間、あずさはなにしてたんだ?!)
(いつもなら途中で必ず乱入して会話に割り込むはずなのに?)

夜道、二人連れの女性の会話。
「・・・お姉ちゃん、これでいいの?」
「いいのよ。あたしだけの、かわいい美衣奈・・・」

553 名前:いない『かぁる』に、いる『みいな』 ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 07:28:04 ID:5fgpLZk9
次の休みの日、耕治は禾森邸を訪問した。
ぴんぽーん。
「あら、いらっしゃい」
あずさのほうが出てきた。意外に普通な反応に戸惑いながらも耕治は玄関の中に入る。
「ここがあずさの家かー」
「中はいって」
「ん・・・」
耕治が靴を脱ぎ家に入ろうとした瞬間。

ごん。

後頭部に鈍い衝撃が走った。気を失う寸前、耕治が見たのは、金属バットを手に立つ美衣奈の姿だった。
「ご、ごめんなさい。ごめんなさい、耕治さん・・・」

目が覚めたとき、耕治は全裸でつるされていた。
手首は手枷がはめられ、枷から伸びた鎖は天井へ続いている。
足はひざをつく形になっており、やはり足首には枷が嵌められ動くことが出来ない。
そして目の前では---

---あずさと美衣奈が痴態を晒していた。

「こ、耕治さん!み、見ないでぇ・・・」
「どぉう?耕治、いい眺めでしょう?」
美衣奈は全裸でベットの上に座らされていた。胸も、アソコも、見たい放題な状態。
あずさは美衣奈に後ろから寄りかかる形でいた。
あずさの左手は美衣奈の胸をもてあそび、右手はアソコをもてあそんでいた。
「お、おまえ、なにやってんだ!」
「い・い・こ・と(はぁと)」
「・・・!」
「美衣奈はあたしのものなの。この体も、心も。全部」
あずさは両手を動かし始める。目をつぶり、感じているらしいしぐさをする美衣奈。
「この膨らみかけの可愛い胸も・・・きれいなお腹も・・・ピンク色のお○んこも・・・ぜんぶあたしのもの」
「お、お姉ちゃ・・・あん♪」
「どぉう?このきれいなルビーみたいなクリトリス」
あずさは人差し指で美衣奈の秘核を包む薄皮をめくりあげる。小ぶりの、きれいな赤い宝珠が姿をあらわす。
「これも、あ・た・し・の・も・の♪」
そしてあずさは美衣奈の宝珠をつまみあげる
「いあっ!」
快感と痛みの混じった感覚に支配され悲鳴をあげる美衣奈。
「あんたなんかにあげるもんなんて、これっぽっちもないの」
「やめろ!いいかげんにしろ!」
 
554 名前:いない『かぁる』に、いる『みいな』 ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 07:28:44 ID:5fgpLZk9
耕治の声を無視し、あずさは話を続ける。
「あんたには犬なんかがお似合いね。ピオン!」
「ぴおん?」
すると、あずさの後ろからゆっくりと何かが出てきた。
「い、犬・・・?でけぇ・・・」
「うちの飼い犬。ピオンっていうの」
「へぇ・・・」
「ロシア語で石楠花って意味なの」
「あ、あっそう・・・」
「けどピオンはもう一つ意味があってね。ピオン、チンチン!」
ピオンと呼ばれた犬は後ろ足で立ち上がる。片方の前足はあずさの肩に置き体を安定させる。
あずさはピオンのペニスをぎゅっと握り、そしてしごいた。長さ20センチはあるだろうか。
「ロシアにはピオンって名前の戦車があるんだって。その戦車の大砲、世界最大なの。
その名に相応しいおちんちんだと思わない?」
「ま、まさか、おまえ・・・」
「もちろん二人とも味見済みよ。すっごくよかったわ。けどね、ピオンの大好物は別にあってね」
「な、なんだっていうんだよ?」
「男の人の、お・し・り♪」
ぶぅっ!
いつの間にかピオンは耕治の後ろに回りこんでいた。
「ちょ、ちょっと、おい、やめろ!尻舐めるな!」
「うふふふふ!い・い・な・が・め♪」
「まさか、店長が言ってた、男の店員がことごとく気が触れてやめていったっていうのは・・・」
「おしり、気持ちいいのにねぇ。なんでだろ」
「お、おまえなー!!!!」
「さあ、ぴおん。たっぷり味わいなさい」
ばうっ
「や゛め゛ろ゛ーーーーー!!」

あんっ♪

555 名前: ◆dkVeUrgrhA [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 07:32:35 ID:5fgpLZk9
以上です・・・またアナル姦オチかよorzしかも今回獣姦だしwww
あと、『ロシア語の発音がおかしい』とか、
『2S7は戦車じゃなくて自走砲だろうが』とかの突っ込みは却下させていただきます。
本人も重々承知ですのでw

では今度こそ、次スレ、『おにいたん2』にて会いましょう・・・

ノシ

556 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 07:42:05 ID:SKbtSsut
>>545
えぇぇぇぇぇ、志乃さん死んじゃったよ!
監禁編から読み始めたから愛着あったのに!

続きはみますけど。乙ー

557 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 08:28:58 ID:RDkoRDWi
お前らウルトラダイナマイトを知らないな

558 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 08:35:19 ID:Tld5KEcd
>>555
コーヒー吹いたw
耕治カワイソスw

559 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:00:44 ID:nCaMXbKS
SS執筆中にこんにちは。来てない間に容量が440まできたので、テンプレについて少し練りたいとおもいます。。
前スレではさっさか立てすぎてしまったので・・・すいません。
まず、ベースは1でいきたいと思います。文でこの文はいじった方がいいんじゃない?というものがあったらお願いします。
そして、最大の懸案事項が、関連スレ。今のところ修羅場と新ジャンルほのぼの純愛が出てる感じです。
自分としては、どちらも入れないほうがいいかと。無用な争い等は起こる前に避ける、というスタンスなので。
またその他の提案も募集します。よろしくです。すこし速過ぎな気もしますが、投下が一気にくるので、
今の時期に提案しといて、やばくなったら建てる・・・ということです。

>>545
GJ!というか士乃死んだー!しかもあっさりシャキーンで!マッドハンター好きの自分にはたまらない展開ですが。
>>555
GJだけど・・・・ウーロン茶返してくださいw耕治・・・残念w

560 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:11:17 ID:SKbtSsut
>>555
レズ、シスコン、しかも>もちろん二人とも味見済みよ。 ・・・アレ経験済み。
ここまで病んだキャラは始めてみたwww

561 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:51:00 ID:V+tYs2Uo
テンプレは今スレと同じでいいんじゃないかな。
関連スレは>>2みたいに誰かが他スレのリンクを貼る、という方法に ノ
 
あと◆IPis68q5PUさん。
『慎』っていうのは名前として認識してもおk?

562 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:51:03 ID:r4HEJtLa
投下しますよ

563 名前:『首吊りラプソディア』Take4[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:52:09 ID:r4HEJtLa
 心に多少の罪悪感を感じながらカオリを誤魔化し、手錠は趣味ではなかったと説明する
こと十数分、俺は漸く誤解を解くことが出来た。サキの妨害が無かったら数分で出来たの
だけれど、それでも不自然な部分はカバーして貰えたのでおあいこかもしれない。
「いや、違う」
 よく考えたら、事の発端はこいつだった。
「何ですか?」
「後で覚えてろ」
 同僚、しかも部下へのお仕置きなら余罪にはならない筈だ。その内に絶対後悔をさせて
やると決心しつつ、俺は上着に袖を通す。カオリの仕事は三時からだというので、どこか
遊びに行こうという約束だ。しかし、未成年は保護手当てを貰えるし、それで生活をする
ことも可能な筈なのに働いているなんて随分と真面目なものだ。裟場に出たときの心配が
一つ減って、何だか嬉しくなってくる。
「虎吉ちゃんは働かないの?」
 どうしようか。公務員は基本的には副業は禁止されているが、今の俺の立場は罪人だし
表向きはクビになっている。確かに給料は入ってくるものの、働いている様子が無ければ
金があるのが不自然だし、無職扱いをされるのも非常に困る。カオリにだけは情けない姿
を見られたくない、いつだって頼れるお兄さんでいたいと思う。
「カオリは何をやってるんだ?」
「プロムラミング学の講師だよ」
「じゃあ俺もそれで良いや」
 
564 名前:『首吊りラプソディア』Take4[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:53:00 ID:r4HEJtLa
 そこでの手当てや労働時間について話ながら歩いていると絶叫が聞こえてきた、しかも
聞き覚えのある声でだ。何事かと目を向けると、髪をポニーテールにした女性がのけぞり
悶えている。お陰で豊かな胸が強調される状態になり、視覚的に楽しめた。
 だが彼女の場合、そこから先がヤバいのを俺は知っている。
「これ以上言うならば、斬る!!」
 そう言って腰から刀を引き抜くと、何やら不味いことを言ったらしい占い師に切っ先を
突き付けた。どうやら悪い癖は全く治っていないらしい、寧ろあのヤバい目付きは悪化を
しているような気がする。このままだと不味いと思い、俺は勢い良く彼女の髪を引いた。
「な、何するでござるか!?」
「その辺にしとけよ、フジノ。また給料減らされるぞ」
「おぉ、虎吉殿。久し振りでござるな!!」
 一瞬涙を浮かべたが、フジノはすぐに笑みを見せた。そして刀を鞘に納めると、気さく
に肩を叩いてくる。妙な言葉遣いが珍しいのか、それともフジノの格好がおかしいのか。
恐らく両方か、サキとカオリは不思議そうな目をしてフジノを眺めていた。無理もない、
俺だって最初に見たときは現代にこんな人間が存在したのかと思ったのだ。
 奉梨・フジノの格好は、簡単に言えば浪人だ。簡素な木綿の着流しの上に厚手の上着を
着て、腰には左右三本ずつ刀を差している。以前見たときには五本だったから、つまりは
刀集めをきちんと終わらせることが出来たのだろう。それに加え、何故か今回は右目周辺
にバンダナを巻いている。それすらも、フジノの雰囲気の前では自然に見えた。
 
565 名前:『首吊りラプソディア』Take4[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:54:36 ID:r4HEJtLa
「おめでとう」
「うむ、かたじけない」
 これだけで通じるのが俺とフジノの仲だ。
「知り合いですか、先輩」
「あ、お前らは知らなかったか。紹介する、こいつはフジノ。第37監獄都市管理局探査部
所属の剣士で、俺の同期だ。腰の刀を集めていたんだが、今回で終了だな」
「うむ」
 柄を撫でながら、軽く頷く。
「こっちは後輩のサキと、幼馴染みのカオリ」
 フジノが刀の探査を開始したのとカオリがここに入った時期は丁度入れ違いだったが、
たまに話していたので覚えているらしい。フジノは目を細めるとカオリを見て何度か頷き、
続いて俺を見た。俺と年は変わらない癖に、こいつはこんな仕草がやけに様になる。
「虎吉殿が言ってた通り、可愛い娘でござるな」
「や、やだもう虎吉ちゃんたら」
 カオリはいきなり指輪を起動させようとするが、
「あれ?」
 それは上手くいかなかった。
 理由は単純なもので、フジノがカオリよりも先に刀を起動させていたからだ。フジノが
持つ六悪刀の内の一本目である『邪』、俺と仲良くなるきっかけになったものだ。六悪刀
はそれぞれ個性を持っているが、個人的にはこれが一番やっかいだと思っている。他の刀
は攻撃に特化しているが、これはその真逆を行っているのだ。効果は至ってシンプルで、
これの周囲にある確率システムを全て強制的に止めるというもの。だからカオリの制御が
どれ程に強力で早いものだったとしても、それ以前に刀を起動させれば無意味になる。
 
566 名前:『首吊りラプソディア』Take4[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:55:59 ID:r4HEJtLa
 フジノは刀を鞘に納めると、苦笑を浮かべた。
「これも、虎吉殿に聞いていた通りでござるな」
「まぁな。それよりも、そのバンダナはどうした? 接近戦なら距離感大事だろ」
「いや、こいつを回収するときにやられたのでござるよ」
 フジノは笑ってバンダナを外すが、そこには酷い火傷の跡があった。バンダナで隠れて
いた部分、顔の右半分の殆んどが焼け燗れている。気楽に笑う表情とは対照的なその姿に、
訊かなければ良かったと少し後悔した。こいつは女だし、しかも美人だ。バンダナで傷を
隠していたということは、やはり見られたくなかったからだと思う。
「気にすることはない、これは拙者の不手際。『炎』が手に入ったのだから、この傷跡は
寧ろ名誉の負傷でござるよ。だから、笑ってほしいでござる」
 肩を叩かれて、思わず苦笑を浮かべる。
 こいつは強い、どんなに体が傷付いても笑っていられるというのは凄いと思う。それを
誇りに思って前に進むなんて芸当は、普通の人間には出来やしない。格好がどうとかでは
なく、心が、魂が侍をしていると思う。
「格好良いですね、名誉の負傷ですか」
 カオリに輝いた目で見られ、照れ臭そうにフジノは笑う。サキもやはり無表情ながら、
その中には尊敬の念が見えた。俺も何本か刀を集めるのに協力したし、三本目である『聖』
を取ってきたのは俺なのに、フジノとの差はどこにあるのだろうか。
 
567 名前:『首吊りラプソディア』Take4[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:57:04 ID:r4HEJtLa
「虎吉殿、気を落と……何でござるかコレは!?」
「何が?」
 フジノが凝視しているのは俺の首元、SSランク罪人の証である二つの黒い首輪だ。極秘
の調査なので他の部署には伝えておらず、それが例え仲の良いフジノであろうとも例外に
当てはまらない。カオリが居なければ少し誤解を解きたいところだが、何とももどかしい。
 フジノは一旦肩を落とすと、しかしすぐに刀を抜いて俺を見つめてきた。未練を減らす
為なのか俺に向けられた刃は二本目である『舞』、第四惑星華西地区の軍技術を取り入れ
作られた刀で、本人の中に無理矢理狂った人格を作って暴走させるという極悪なものだ。
「待て、これには深い訳があってだな」
「虎吉殿が罪人になるなんて。いっそ、こうなったらいっそのこと拙者の手で!!」
 何がだよ!!
 降り降ろされた刀を白刃取りして、必死に堪える。こいつの技術は恐ろしい、その気に
なればビルもサイコロステーキのようにしてしまうのだ。例え首輪が邪魔をしたしとても、
それごと簡単に真っ二つにしてしまうだろう。
「落ち着け、落ち着いて刀を離せ!! 二人も見てないで助けてくれ!!」
 不味い、顔まで後10cmもない。
 直後。
 脇腹に衝撃が来て、吹き飛ばされる。激痛に滲んだ視界の端に映ったのは、指輪を構え
ているカオリとサキの姿だ。どうやら二人とも衝撃波を出したらしいが、どうせだったら
刀かフジノを吹き飛ばしてほしかった。
「虎吉殿おぉォ―――ッ!?」
 フジノの声が、辺りに響く。
 
568 名前:ロボ ◆JypZpjo0ig [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 12:59:53 ID:r4HEJtLa
今回はこれで終わりです

幼女売春婦とかメイドロボとか美女カマ野郎が居る世界なのに、
それでも何だかゴザル剣士が浮いてますね?
不思議です

569 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 13:23:20 ID:6KawXrYg
       ,. '´                     ヽ
        ,' ミ、           __,,....... _,.      l,
      i 、゙` 、.ヾ:,` ` '''' " ´    ´-'-_ン     !
       l  、、_>`            `ー-;...、  |
       |  ,r` ,r   ヽ、  /       ,)、゙i    |
.      |  ,!,.┘ゝ- 、_ ヽ、l i'   ,. -‐'",..ヽ、l  |
       ! ィ-‐'"`ー;;=、ヽ、';i{、_;:';-;=:;‐´、,,_`ヾ,  i  なんなんだ
      ! | =、'゙´(::),`'`` ' ゙ ` '、ーゞイ-、="  ::| ,!.イ,  
      ヽ |  `'''" ー'´  i:::.  `      .::|/rミヽ
      i´'i,i          |:::::         .:::' i '、} | このつまらない作品は!!
      !´ .,i        l !:::        :::::::〉::;!:リ
.     l '::(:l,           !         ::::::i:':::;:.ノ
      ヽヾ:;|      _...__,,,,,_      :::::|‐'ン
       ヽ、_l    ,r'ニ    -;ヽ    .::::/''´
            ト、    `''' ""´ ̄ ̄´   ..::;イ)
         ヽl\      ̄ ̄`   .::::/;:|-.、
         ,r'`‐、ヽ        ..:::/.-'´  ,ノ
         ヽ;、,  `ヽ、................:;/.‐´,. ‐'"/
             | `ヽ、 ヽ,''''''''' ´/,/    !
          |   \ ヽ:::::/ /      |
          ,|    `, 'i;/ ./      |ー-、_
       -‐' ̄'´.|      | | /      ,.ゝ ヽ.`ー-
 

570 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/02/24(土) 13:25:26 ID:6KawXrYg
       ,. '´                     ヽ
        ,' ミ、           __,,....... _,.      l,
      i 、゙` 、.ヾ:,` ` '''' " ´    ´-'-_ン     !
       l  、、_>`            `ー-;...、  |
       |  ,r` ,r   ヽ、  /       ,)、゙i    |
.      |  ,!,.┘ゝ- 、_ ヽ、l i'   ,. -‐'",..ヽ、l  |
       ! ィ-‐'"`ー;;=、ヽ、';i{、_;:';-;=:;‐´、,,_`ヾ,  i  くっ・・・
      ! | =、'゙´(::),`'`` ' ゙ ` '、ーゞイ-、="  ::| ,!.イ,  責任者を呼んで来い
      ヽ |  `'''" ー'´  i:::.  `      .::|/rミヽ
      i´'i,i          |:::::         .:::' i '、} | 日本語がおかしい物を追放処分にするのだ!!
      !´ .,i        l !:::        :::::::〉::;!:リ
.     l '::(:l,           !         ::::::i:':::;:.ノ
      ヽヾ:;|      _...__,,,,,_      :::::|‐'ン
       ヽ、_l    ,r'ニ    -;ヽ    .::::/''´
            ト、    `''' ""´ ̄ ̄´   ..::;イ)
         ヽl\      ̄ ̄`   .::::/;:|-.、
         ,r'`‐、ヽ        ..:::/.-'´  ,ノ
         ヽ;、,  `ヽ、................:;/.‐´,. ‐'"/
             | `ヽ、 ヽ,''''''''' ´/,/    !
          |   \ ヽ:::::/ /      |
          ,|    `, 'i;/ ./      |ー-、_
       -‐' ̄'´.|      | | /      ,.ゝ ヽ.`ー-
 

571 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 13:25:50 ID:+hXh19VI
おいおいこっちにも来たのかwwwwww

572 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 13:27:37 ID:kXFEXG8c
>>571

こっちは荒らして欲しくないんで、スルーお願いします。

573 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 13:29:28 ID:6KawXrYg
    //: : : /: : : :/,: : : : : : : : ,: : : /: : : : : : : : : : ::``ー-,‐
   //: : : :/: : : :/ /: : : : : : : /__/: : : : : : : : : : : : : <
 ∠-/: : : :/ : : : / /:/: :、-‐= ̄__ ノ: :|: : : | : : : : : : : : ヽ
   /|: : : /: /: :/ /| |: : : :了 ̄ // /}: 人: : :| : : : : 、: : \|
  //|: ://|: :/|/ {|: : : :/ |: :/ / ///| : |\{: : : : : `丶、\
  l| |: |: :{ |/冫==|: : /___|/-/ノ≠ニ弌: :`: : : :|_: : : : l`ーヽ
    ヽ{| ||: : |{ 仁ヽ|: /  ̄`__..-=≠ヽ.  |: : : : : / |: : : / こんなつまらない作品なんて
     `ヽ\ ',└┴lヾ    ´_{‐-'::::} ミ |: : : :ノ } l: : /
        `、|  /       ̄`¨ ̄ /: :/ /:/
         `、ヽ.         /-‐'´∠´: : /  さっさと追放すればいいのに
          ヽ `_          ノ / /レ
           \ `二‐ 、    , '   '/ノ}
            \    _ -    ィ戈 彳
   ___ -‐== ̄r≧≦二_-─=彡冖 : : ト、
  / :/: : : : : : : : : : |: : : : : : :| | ̄∧: : : : : : :l: : ヽ
. /: : /: : : : : : : : : : : : :V: : : : : :| |.,-ヘ/‐、: : : /: : : :`丶
/: : /: : : : : : : : : : : : :/ V : : : : | /⌒)乢⌒:/: : : : : : : : : \
|: :/: : : : : : : : : : : : : { {: :V: : : : | |: : :{山}'´: : : : : : : : : : : : : : \
|: :|: : : : : : : : : : : : : :// ‐- -//-‐´)(: : : : : : : : : : : : : : : : : : \
ヽ |: : : : |\ : : : : : //: : : : : : l l: : : : :于: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
. | |: : : : ||: : \: : //: : : : : : //: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
 
574 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/02/24(土) 13:31:45 ID:6KawXrYg
         / ̄ // //  /   ...::::ヽl     \  `ト-、_
        .,イ   //// / ./ /::::::::::::|/   _  l,  `  l
       /   /::/ // // / /:::;;;;;;;;:::::::/ /:: ̄   :l     |
       |    /:/ // ./ ./  :l/ ̄    ̄⌒'=ニ、;二ミ :::l    人
       λ l /:/ // |  !、   ̄,)         l;\::::|./    l
      /  |/:/ /ll;:| l, イ T 7 /          l:::|::://./  /
      l   |:::|l | :::l,ヽ、_|ヽ|ヽ∨ |      ____ }::人//:  ,,イ
      \  |::.l,_从:::::t,. _ニ,=.r=、l,   ーイ弐r=t、  イイソ'´イ イ:::l
        T::..`ヽ;\''::ヘ《イヒ='c个`    ´个='c'l 》. ノ/:::::::_:::/
        l:_:::...__ソ:::丶.ヽ.ゝ== '      ゝ==メ /ノ:::::::::/{ ロボさん
          T、::::::_/l.イ      :::;         /:T7' ̄|:|l |
          ||:::Tハ l;l |\       ::!      ,<::::/.::::::;f.|:| l,
          ,l |::/l:::| l;ゝ::::丶、  (  ̄ )  ,.イ:::::://:::::::| l:l,l こんなつまらない作品を書いて恥ずかしくないんですか!!,
         /./イ人:| .l;;;::-'´ |ミ丶、 ニ ,.イ::/l \l {::=-Y=、|l,: l
        ,//ゝ,-ー┤ |  ::::丶\` -<´ ヒ/::::::::| |`ー-Yン{;l,.\ あなたのせいで荒れているんですよ!!
      _,.イ  /__)::. | |    ::::\`_,. /:::::::: イ.|   :::ソーイヽ、ヽ、
     /    Y(;::::::  l l     :::::::::::::::::::::::   | |  _ノ:(_ {  ⌒ヽ、  
    イ     | ヽ:::.. /./ - 、__    :::::::     _| |- '  :::::::::)      l ちゃんとした責任を取るべきです!!
   /|    l,  .,):::://    `` -、   ,. -ー '´ .l .l,  :::::::,イ  |    .|
  //|     l, 丶//:::       `  ´     l, l,  ::::::::,つ l'    |\
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575 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 13:57:55 ID:V+tYs2Uo
>>568
とりあえず置いていきますね。

つ GJ

576 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 14:02:49 ID:7zCNgWbd
ちょ、GJが追いつかないw

>>559 本当に消費が早く、もう次ですね
関連は>>561でいいかと思います
あと、sage進行と荒しや趣味嗜好に合わないものはスルーをテンプレに加えて欲しいです

577 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 14:04:43 ID:RROAaWwv
仕返しヨクナイ!
ニホンの2ちゃんねらー、皆仲良くするヨロシ!!
……すいません。

578 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 14:27:43 ID:eDpJ9zs+
今日も作品が投下されていた
神々に感謝を(-人-)
>>555味噌ラーメン吹いたwヒドスw
>>568ロボ氏GJ!
それにしても癖のあるキャラがまた一人w
でも全員魅力的ですよ!
>>559基本的には>>576さんに同意です。関連スレは入れなくてもいいかなあ、とは思いますが。
興味のある人はまとめサイトのリンクから自分で見つけるんじゃないかな
 
579 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 14:35:50 ID:e/l4aHL7
置いときますね
http://imepita.jp/20070224/524430

580 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 14:40:59 ID:eDpJ9zs+
>>579
これはGJ!

581 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 17:06:58 ID:nCaMXbKS
>>561
名前ですね。認識してもかまいません。誰かが貼るというのがいいかもしれませんね。
関連スレは入れないという方向で。
>>576
sage進行は入れたいと思います。荒らしスル-、趣味嗜好スルーですね。そういえばないですね。入れたいと思います。
ではちと作ってみます。
 
 
582 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/24(土) 17:19:47 ID:nCaMXbKS
テンプレ案
 
このスレッドはヤンデレの小説を書くスレッドです。
・プロット投下やニュースなどのヤンデレ系のネタ大歓迎。
・ぶつ切りでの作品投下もアリ。
・作者のみなさんはできるだけ作品を完結させるようにしてください。
 
ヤンデレとは
・主人公が好きだが(デレ)その過程で心を病んでしまう(ヤン)状態の事をさします。
 (別名:黒化、黒姫化など)
・ヒロインはライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつ確実に病んでいく。
・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することがある。

ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫
http://yandere.web.fc2.com/

前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171290223/

約束事
・sage進行でお願いします。
・荒らしはスルーしましょう。削除対象ですが、反応すると削除人「荒らしにかまってると」判断され、
削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばしてください。また作者さんも苦手な人がいるかも、
というジャンルの場合は先に宣言してください。お願いします。
 

583 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 19:10:46 ID:7zCNgWbd
テンプレはこれでOKだと思います

584 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 21:15:07 ID:+HDNKhXk
ちょっと見栄えを意識していじくった程度ですが、修正案。
 

ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
 ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
 ・ヒロインは、ライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつだが確実に病んでいく。
 ・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することもある。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫
http://yandere.web.fc2.com/
■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171290223/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

585 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 22:16:13 ID:pko/Jgrd
>568

GJ!! 首吊りラプソディアは一番心待ちにしていた作品なので、読めて嬉しいです。

586 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/24(土) 23:46:56 ID:s3ZH7OkJ
ヤンデレスレは!

587 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 00:00:49 ID:y9F5nFc4
エロエロよー!

588 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 00:35:56 ID:w+yJYVOK
いきなりだけどムックのイタイ手紙って典型的なヤンデレだよね

行なってるのは男の方っぽいけど

やっぱり女がやるからこそ映えるもんだね

589 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 00:47:37 ID:S4t41Ekl
>>584
の案がなかなかいいみたいなので、それで建ててきます。ちょっとお待ちを。
>>588
ググッてみた。・・・・これは確かにヤンデレ・・・でも男がやるとどうしてもストーカーチックになっちゃうという感じがしますね。
女のヤンデレのほうが、確かに映えます。というか女のヤンデレと男のヤンデレは違う気がするのは自分だけでしょうか?
行動や思考などが違うというか。

590 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 00:53:31 ID:rHhuUN8y
男であろうと女であろうと、ヤンデレってのは病んでない時の魅力が大事だと思うんだよね。
病んでる時がより引き立つか引き立たないかは、病んでない時にかかってる。

病んでない時に魅力が無いキャラが病んだところで、急に魅力が現れるとも思えないし。

591 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 00:54:02 ID:S4t41Ekl
ヤンデレの小説を書こう!Part4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172332198/
建てました。テンプレに関しては、一応これで固定で。何か問題があれば、そのつど議論しましょう。
一応長編が投下されてもこれで大丈夫かな・・・いえ自分はまだ投下できないので・・・すいません。
埋めネタ考えてきます。今回はこれで。いつもながら職人の方々、お疲れです。

592 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 00:55:29 ID:AMJCUY6P
>>591
お疲れ様です!

593 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 00:56:39 ID:1GScpdDl
>>◆dkVeUrgrhA 氏
>>556
一月二十七日の分岐でBを選んでたら士乃or佐奈ルートに突入してました
その場合話が大幅に変化する予定

>>伊南屋 ◆WsILX6i4pM 氏
GJ!

>>591
新スレ乙です。ちょっと埋め小ネタ投下します

594 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 01:12:34 ID:1GScpdDl
すみません明日になりそうですorz

595 名前: ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 01:34:28 ID:MlyMp9a6
>>528
今更ですがGJ!早速壁紙にさせて頂きました。

>>555
◆dkVeUrgrhA氏、GJです!
会っても会わなくても不幸過ぎる耕治ww

>>568
ロボ氏GJ!
個性的なキャラが本当に多いですw

>>579
里村姉が可愛過ぎる件について…伊南屋氏GJ!

>>594
◆msUmpMmFSs氏、楽しみにしています。
それにしても十七話は怒涛の展開でした。

という事で、>>517への謝罪の意味を込めて予定より早く続き投下します。
上書き本ルートの7話です。

596 名前:上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 01:35:26 ID:MlyMp9a6
「誠人くんっ、早くしないと遅刻しちゃうよ?」
「いや、このままのペースで行けばいつもより20分は早く着いちまうぞ」
「え?誠人くんの時計壊れてるんじゃないの?」
「この腕に付いてる物が見えないのか?」
 そう言って加奈に腕時計の付いた左腕を見せつける。
 銀盤に曇り空から僅かに射す日光が反射し、いい具合に俺の目線を遮る。
 長針と短針が微妙なバランスで共存し示してくる時間は、いつもの登校時間より遥かに早いものだ。
 その腕時計を明らさまに興味なさげに流し見し、すぐにまた前を向く加奈。
 しかし、こんな姿は”今朝は”何度も見ているので今更特別視しない。
 特別視しないというのは”諦めた”という事ではなく、”認めるのが怖い”という事だ。
 ”今日の”加奈はおかしいという事を。

加奈の異変は早朝のインターホンから始まった。
 丁度俺が靴を履き終わりドアを開けようしたところでインターホンが鳴り、そのまま開けてみるとそこには加奈がいた。
 いつもはやっと起き始める時間だというのに妙だとは思いつつ、今日は偉いなと感心し頭を撫でてやると加奈が顔を上げた…その顔を見て驚いた。
「どうしたの?」
 はっきりとした口調で言った、一点の曇りもなく真っ直ぐ言った…顔に不釣り合いな位に。
「加奈!どうしたんだよその顔!?」
「へへ…ちょっと徹夜しちゃって…」
 笑う加奈、その目の下には薄黒く隈が染み込んでいた。
 色は大して濃くないがかなり広がっていた、塗り付けられた洗顔クリームのように。
 陰気な感じを釀し出すその化け化粧といつもの明るい笑顔が融合を拒み、互いに居場所を主張するようにコントラストが目立っていた。
 正直かなり不気味に思った。
 顔のやつれ具合も不安だが、それ以上に不審に思ったのは加奈のさっきの言葉だ。
 明らかにおかしい、だって、加奈が”徹夜”なんかする訳がないのだ。
 合宿先でだって皆が馬鹿騒ぎしている中一人おとなしく寝ている加奈が、何も勉強していなくても試験勉強で徹夜する事のない加奈が、徹夜するなんて信じられない。
 でも、実際眠れていない跡は色濃く刻まれている…何故だ?
 確かに昨日は加奈と”あんな事”をしたから俺も中々寝つけなかったが、一晩中なんて信じ難い。
 加奈が徹夜する程の理由って、何だ…?
 昨日散々使い回した頭を朝からフル回転させて立ち尽くしていた俺をよそに、加奈は俺の腕に両手を巻き付け、急かすように歩き始めた。
「早く学校に行こ!」
「あ、あぁ…」
 そんな加奈を見て、更に疑念が増す。
 普段は学校なんて行きたくないって愚痴を溢すような奴なのに。
 しかも俺がいつも昼飯を買う為に寄っているコンビニをも素通りしようとしてきた。
 先に行けと言ったが”一緒に行きたい”と子供みたいに駄々をこねるし、何とか説得して店に入っても視線が気になってまともに選べなかった。  通学路でいつものように話ても軽く上の空だ。

そんなやり取りとはとても言えない状態が今も続いている。
 加奈が言う事といえば学校に関する事ばかりだ。
 しかも早く行きたいなどの催促しかしてこない。
 一体昨日加奈に何があったのか…聞いてみたい気もするのだが、今の加奈の笑顔が崩れそうな嫌な予感がして思い止まってしまう。
「もう少しだから…」
 頭の中が考え事で埋まっている俺に、突然加奈が口ずさんだ。
 何かを言いかけたような気もしたが、また学校の事だろうと思ってたかをくくる。
「わかったよ」
 返事はなかった。
 
597 名前:上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 01:36:04 ID:MlyMp9a6
 結局学校へはいつもより30分は早く着いた。
 つまらない話題で淀んだ俺たちの空気とは裏腹に相変わらず賑やかな感じだ。
 この一見煩わしい雰囲気が俺は好きだ。
 青春を思う存分楽しんでいる事を認識出来るからだ。
 将来大人になってしまったら様々な事に追われてこんな風に騒ぐ機会なんてほとんどなくなってしまう。
 勉強も含めて、”今しか”出来ない事は沢山ある、大抵の人間はそれに気付かないだけだ。
 後で知って後悔したって後の祭り、俺はそんな人生絶対にご免だ。
 勿論加奈にもそんな道を歩ませる気は毛頭ない、だからプライベートな話題は学校内ではなるべく避け、この一時を噛み締めて欲しい。
 後ろからいつも学校の風景を見ると思ってしまう事を加奈の背中に訴えかけながら、そんな俺の願いを無視するように加奈は足早に校門を抜けていった。
 途中ピカソ並に個性的な字体をした校名を書道した木片を日課のように流し見しながら。
 そして俺も校門を通りすぐ先に広がる校庭を見たのだが、ここで妙な事に気付いた。
 さっき聞こえてきた―勿論今も聞こえている―うるさい声が嘘のように、校庭には誰もいないのだ。
 風が時々寂しそうに砂埃を舞い散らせるだけだ。
 校庭に人がいないという事は全員校舎内にいるという事か、しかし今日は曇っているとはいえ雨も降ってないから校庭は使える。
 いくら俺たちがいつもより早く来過ぎたにしても人っ子一人確認出来ないこの状況は明らかにおかしい。
 加奈の事にしても今日はおかしい事が起こり過ぎだなと思いながら俺は頭を掻いた。
「とりあえず校舎に入ろうか…?」
 いつもならこんなアホみたいな確認取る必要ないのに、ただならぬ雰囲気に包まれた今俺の警戒心はかなり高まっている。
 客観視したらきっと大袈裟だろと笑うのかもしれないが、今の俺は本当にジメジメとした不安が頭にこべりつき離れてくれない。
 そんな俺の心中を察してくれたのか、
「うん!早く入ろ!」
 明るく答えてくれる加奈。
 今日は今まで終始この態度だったからこんな返事も当たり前なのだが、それでも今の俺にとってはかなり救いとなった。
 一瞬笑顔が溢れそうになった途端、突然校舎内から生徒らしい人物が出てきた。
 かなり慌ただしそうな様子だが、人の存在を確認した事で俺のわだかまりは一気に消えていった。
 安心して胸を撫で下ろしていると、その生徒が俺たちに気付いたからか、走って近付いてきた。
「沢崎に城井ッ!”やっと”登校してきたのか!」
 接近してきて徐々に顔は読め声で確信した、こいつは同じクラスメイトの小松楢木だ。
 席が近かった事で一年の頃から一番話す親友だ。
 さっきの叫びに対して若干のツッコミを入れとく。
「馬鹿野郎、早過ぎて暇を持て余しちまうだろ。俺は運動部のお前と違って朝練はないの」
「そんな事はどうでもいいから!」
「そんな事ってお前なぁ…」
 俺が呆れた感じでいると、小松が俺の肩を突然掴んできた。
 俺より背は高いので見下ろされる形になる。
「お前まだ知らないのか!?」
 鬼気迫る表情を見て、ようやく何か深刻な事態に直面しているんだという事に気付く。
 もう最初感じた不安を忘れてしまったのかと頭の中で自らを叱咤しながら問う。
「何かあったのか?」
「やっぱりまだ知らないのか…!」
 そう言うと小松は夏指定の若干茶味がかった制服の胸ポケットを探り一枚の折り畳まれた赤い紙を取り出した。
 それを乱暴に開くと、文面のある側を無言で突き付けてきた。
「…は?」  本当にそういう声が漏れてしまった。
 一度その文を眺めただけではその意味を理解出来ない。
 目で一文字一文字を凝視しながら慎重に意味を読み取ろうとするが、やはり分からない。
 自分が見ているこの現実を疑いたくなった、もしかして「現実は夢、夜の夢こそ真実」って奴なんじゃないかとさえ思った。
「何なんだよ…これ…」  もう一度だけ読み返し、表面上の意味だけは理解した。
「”別れろ”…だと?」
 正確には、ドラマなんかの脅迫文めいた歪な字体で打ち込まれており、こう書かれていた。

『二年B組・沢崎誠人と二年C組・城井加奈、今すぐ別れろ』
 

598 名前:上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 01:37:06 ID:MlyMp9a6
「これが今朝貼られてあって…」
 小松の言葉に答えられない。
 代わりに俺が質問を投げ掛ける、今の俺の不安の根底にある素朴な疑問を。
「何でお前が”その紙”を持っているんだよ…?」
「そ、それは…」
 言い渋る小松を素通りし、俺は夢中で校舎へ向け鞄を投げ出し走り出した。
 小松が何か言ってきたがそれは俺を止める事は出来ない。
 今すぐ確認したい事があったからだ。
 冷静に考えればこれも”おかしい”事だ。
 少なくとも小松の慌て様と学校内のざわめきはあの紙によるものだろう。
 しかし、その紙が”一枚だけ”なら皆が校舎内にいるというこんな異変が起こる訳がない。
 小松が一人あの紙を俺と加奈に見せれば済む話だ。
 しかし、これ程の異変が起こっているなら小松の他にもあの紙の事を知っている人がいるはずだ、それこそ生徒の間に止まらず教師にも伝わっているはずだ。
 教師にまで伝わるなら、誰がやったのか調べる為にその紙の掲示を求められるはずだ。
 なのに小松は当たり前のようにあの紙を持っている。
 その理由は”一つしか”ない。
 息を荒げ校舎内に入った俺、そして…
「ハハ…」
 笑ってしまった。
 笑うしかなかった。
 あまりにも想像通り過ぎる光景を前にして、それ以外の反応の仕方を俺は知らなかった。
 校舎内で忙しく動き回っている生徒たちが呆然とした俺を見つめている気がしたが、目に入る光景に全ての思考が奪われる。
「何だこりゃ…」
 やっと絞り出せたのはこんな言葉でしかなかった。
 ”一つしか”ない理由…それは簡単、先生も生徒も持てる程”沢山”あるからだ。
 俺の視界に広がる赤い世界…廊下一面に貼られている無数の”あの紙”という光景にただ気押されながら立ち尽くしていた。。
「沢崎!これは何なんだよ!?」
 一人の生徒の叫びが廊下に響いた瞬間、土石流のように生徒の集団が俺の下へと集まってきた。
 芸能人の記者会のように取り囲まれる、人口密度が急に上がり一気に体温が上がった気がした。
 皆の物珍しいものを見つめるような視線が痛い。
「これ誰がやったんだよ」「お前ら付き合ってたの」、大体この二つを中心に皆が口を揃える事なく質問攻めを始めてきた。
 生徒の波に押し潰されそうな中、初めてスキャンダルを収められた芸能人の気持ちを理解した。
 俺が答えようとしても皆の質問でかき消されてしまう、こんなんでは一生この状況はいい方向に進まない。
 頭を抱えたくなった瞬間、生徒の半分近くが俺から離れた。
 僅かな解放感に浸りつつ振り向くとその理由が分かった。
「城井さん!沢崎と付き合ってたの!?」
「えへへ、まぁ…」
 加奈がいたのだ。
 きっと俺が勝手に走って行ったから追い掛けてきたのだろうと思いつつ視線を向けていると、さっきまでの俺のように取り囲まれ不自由そうな加奈が小さな体で人の隙間をくぐりながら笑顔で近付いてきた。
「誠人くん、忘れ物だよ」
「あ、ありがとう加奈…」
 差し出された俺の鞄を受け取ると満面の笑みで応えてきた、今のひきつっている表情の俺と違って…笑み?
 一瞬疑問に思いすぐにそれは”最悪な想像”へと変わっていった。
 何で加奈はこの状況で笑っていられるんだ?
 明らかな非現実的なこの空間で、何でそんなに心から笑っていられるんだ…?
 俺でさえあまりの非常事態に戸惑っているというのに、加奈は何でこんなにも”当たり前”のようにしていられるんだ…?
「加奈、ちょっと来い!」
「え!?」
 俺は名残惜しそうにしている加奈の手を強引に掴み取り、人混みをかき分け校舎から脱出していった。
 途中様々な質問を何回もされたが、全て「後で」で済ませ、俺は”あの場所”を目指した。
 
599 名前:上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 01:38:12 ID:MlyMp9a6
「何?誠人くん?」
 クスクス笑う、余裕そうに笑う加奈。
 場所が場所なだけに島村の事を思い出さずにはいられなかった。 ここは体育館裏、昨日男として屈辱的な事をされた場所だ。
 今更その事を思い出して苦笑しそうになった。
 誰も来ない為さっきまでのざわめきが嘘のように静かだ、冗談じゃなく葉が落ちる音まで聞こえてきそうだ。
 あの場所で昨日俺を見下すように笑った島村と今の楽しそうな笑いが重なる。
 しかし今はそんな事はどうでもいい。
 今は聞くべき事がある、朝加奈の笑顔が壊れるのを恐れ聞けなかった事…”昨日何をしていたか”という事をだ。
 これを聞いて加奈の笑みが消えたらどんな事をしてでも謝る、寧ろそうなって欲しかった。
 この質問にもし平然と答えてきたら…と考えると寒気がした。
 頭の中で必死に祈る…自分の思い過ごしだという事を。
 加奈の異変と学校での異常…この二つを繋ぐ一本の線をバッサリ切って欲しかった。
「加奈…」
「何?真剣そうな顔してるね」
 ニヤニヤ笑う、しかし決して腹は立たない、寧ろ清々しい。
 こんな悪戯好きな子供のように純粋な表情の加奈が”そんな事”する訳がない…揺らぐ予想を確信に変える為、俺は勇気を出した。
 そして………
「昨日徹夜で何をしていたんだ?」
「もう人が悪いなぁ誠人くんは!もう”分かってる”んでしょ、あはっ!」
 聞いた事を死ぬ程後悔した。  ”純粋に”笑っているからこそ、加奈にかつてない程の恐怖を感じた。 「あの紙パソコンで作るの結構大変だったんだよ?自分で書いたら筆跡でバレちゃうから駄目だしね」
 加奈が言っている事の意味を理解したくない…それでも残酷に俺の頭には繰り返しフラッシュバックのように事実を示す文字が浮かぶ。
 信じたくない…信じられない…。
 あの加奈が、”脅迫文めいた紙を作り、それを校舎中に貼った”という事実が。
 だが、その事実を裏付けるように加奈はひたすら静かに笑っている。
 事実は認めなければ先に進めない…観念した俺は、根本的な質問をする。
 かなり慎重にだ。
「何であんな事をしたんだよ?」  それを聞くと加奈はキョトンとした。
 大きな瞳が視線の行き場を失っている、俺の質問を予想だにしていない様子だ。
 あたかも”何でそんな事が分からないの?”と言いたげな、そんな感じだ。
「決まってるよ、あたしたちの仲を知らせる為だよ?」
 当たり前のように当たり前の事を言った。
 しかし、”当たり前”というのは結果としてそうなっただけだ。
 あんな文面の紙を大量に貼れば嫌でも皆俺たちが付き合っているんだと気付く。
 そこじゃない、俺が聞きたいのはその更に奥、何で俺たちの仲を示さなければならないのかという事だ。
 もう一度同じ質問をしようして、加奈に先手を取られる。
「だって、島村さんみたいな人が”あんな事”したのはあたしと誠人くんが付き合っている事を知らないからでしょ?」
「そ…」
「絶対そうだよ!」
 ”そうなのか”と尋ねようとするのをまた加奈に遮られる。  俺の言おうとしていた事を先読みしたかのようなタイミングに驚いた。
 いや、俺の意思は加奈に読まれているんだ…本気でそう思った。
「だから皆に手っ取り早く知らせたかったんだけど、誠人くんに”学校をやめる事になるような事はするな”って言われてるからストレートに伝えるのはマズイじゃない?」
 加奈がやれやれといった感じで右手を大袈裟に額に当てた。
「だから”ああいう風”に書いたんだよ?ああすればあたしたち以外の誰かがあたしたちの仲を妬んでやったように見えるでしょ?」
「なるほど…」
 思わず声を漏らしてしまう。
 加奈がまさかここまで考えて行動するなんて予想だにしなかった。
 普段はとぼけた態度のくせに、裏で何をやっているのかと思ってしまった。
 感嘆してしまった俺の反応に心から喜んでいる加奈。
 その笑顔に少しだけ言った事を良かったと思う自分が恨めしい。
「きっと皆あたしたちの仲を知ったら邪魔してこないよ。島村さんだってやめてくれると思う…でも…」
「ん?」

600 名前:上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 01:39:10 ID:MlyMp9a6
 そこまで言って加奈はうつ向く。
 それだけの事なのに、俺は嵐の前の静けさのようなものを感じた。
「もし…」
 加奈が何を言い出すのか、聞くのが怖い。
 聞いてしまったら後戻りがきかなくなるんじゃないかと根拠のない不安に駆られる。
 体中から汗が溢れる、制服は軽くビチョビチョだ。
「もし、それでも誠人くんを苦しめようとする人がいたら、絶対に”守ってあげる”から…!」
 ”守ってあげる”、この言葉の意味を加奈は果たしてどう捉えているのか?
 間違った解釈をしてはいないだろうか?
 臆病風に吹かれた今の俺には聞けない。
「島村さんは大切な事を教えてくれたんだ!」
 突然空元気のように明るくなる加奈。
 冷静な口ぶりからいつもの加奈に戻ったような気がしたが、安心は出来ない。
「あたし今まで誠人くんの事”上書き”する事考えていた…」
 ”上書き”、その言葉に昨日の背徳的な行為が思い起こされる。
「でも違ったんだよ、簡単だったんだよ。”上書き”する以前の問題…誠人くんを傷付けさせなければ全て良かったんだ」
 そう言いながら俺の下に歩み寄ってくる加奈。
 そのただならぬ雰囲気に思わず一歩後退りするが、そんな事は気にしない様子だ。
「そうすれば誠人くんが”傷付く”事はない…」
 やがて俺たちの距離差は縮まり、胸と胸がくっつきそうなまでになった。
 加奈の小さな胸がこんなに近くに…いつもならドキドキすべき場面だが、今は別の意味でドキドキしている。
 見上げてくる加奈は可愛い…どこまでも純粋に笑う加奈は可愛い…なのに、どうして俺はこの状況を楽しめないんだ?
 自己嫌悪に陥る俺をよそに、加奈が背伸びし俺の耳元に囁いた。
「もう誠人くんを傷付ける”要因”を近付けたりはしないから、安心してね?」
 加奈の言葉が俺の背筋を擽る。
 加奈の吐息が俺の耳を真っ赤に色付ける。
 赤ん坊をあやす母親のように加奈は優しく微笑んできた、その笑顔に不安を覚えている俺はどこまで不謹慎なんだ…。
「それじゃ、”また後でね”?」
 そう言い残し、俺に背を向けた加奈に罪悪感を感じながら、俺は結局何も言えなかった…。

601 名前: ◆kNPkZ2h.ro [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 01:40:33 ID:MlyMp9a6
投下終了です。
それにしてもこのスレも短命でしたね。

602 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 01:49:10 ID:47XAVE3V
>>601
怖っ、加奈怖いッ!じわじわと締め付けるような感じがGJです。

それにしても、ヤンデレヒロインと、鈍くない主人公の取り合わせは美味しいですね。

603 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 02:15:41 ID:QkuHneqi
>>594
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +

>>601
上書きキタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
加奈タン怖可愛いよ加奈タン((((;゚∀゚)))ガクブルハァハァ

604 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 02:26:45 ID:rHhuUN8y
自作自演もここまで来ると見上げたものですな。

605 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 02:55:23 ID:5KWAuM7G
>>601
おぉう…風邪引いた身で読んでたら体中震えてきやがったぜ…。
島村さんの巻き返しがどうなるか楽しみだべこ。

606 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 03:29:43 ID:mobXZ+r9
   ∩___∩         |
   | ノ\     ヽ        >>604
  /  ●゛  ● |        |
  | ∪  ( _●_) ミ       j
 彡、   |∪|   |        J
/     ∩ノ ⊃  ヽ
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /
 
607 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/02/25(日) 03:54:08 ID:c6resjfB
>>601
GJ!毎度ながら加奈のヤンデレぶりは素晴らしいです。
早く続きがよみやいです。

608 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 06:39:36 ID:8zf9hAup
詰め合わせ置いときますね。
http://imepita.jp/20070225/237440
http://imepita.jp/20070225/236660
http://imepita.jp/20070225/236110
幻影シリーズは作中では有り得ないイラストシリーズです。

609 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 06:52:54 ID:0X29IBbE
>>601
上書きで傷つけなおすぐらいならいっそ傷つかないようにするとは。
加奈ちゃんも進歩・・・いや、進化しましたな。デラGJ!

610 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 07:57:07 ID:bBOlp17r
>>601GJ!加奈タンの病みが進み具合がすばらしいです
>>608GJ!ヤマネが可愛すぎる(*゚∀゚)=3ハァハァ

611 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 08:19:11 ID:R8HjgYyd
何故ここまで文章上手くできるか
小一時間問い詰めたい。

え?才能…?

612 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 08:49:58 ID:y9F5nFc4
ヤンデレスレは!

613 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 09:32:18 ID:nhHuY3ed
エロエロよー!

614 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 12:03:12 ID:rHhuUN8y
ああ、悪い。確かに今見ると釣りと読めるな。

アリスに裁かれてぇ(*´ρ`*)

615 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 16:46:54 ID:tDVc7h/F
>>614
『――君は一つ勘違いしてるんだなあ、これが。
  本物は有罪者を殺さないんだ。
  聖痕を持ち、罪を抱えて生きる少女を殺したりなんてしない。
 ――罪を忘れた無罪の者を殺すのさ。
 自分が罪人であるのを忘れ、異端の道をさらに踏み外してしまった、そう――君のような、偽者を。
 その服を着る資格のないものを、僕は殺すのさ 』

↑らしい。
よし、今すぐ『アリス』の格好をして街を練り歩くんだ!!

616 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 19:53:06 ID:YKFFduUp
電波を受信したのでプロットを投下。
 
・主人公は中肉中背で、筋肉質なわけでもなく平平凡凡な体格
・酒も煙草も女遊びもしない(童貞)ため、つまらない男として周囲から見られていた
・ところが突然絶世の美少女(超資産家の娘)に求婚されて、あれよあれよと婚約(結婚)に
・初夜のあと、突然彼女が語る家の掟と主人公が選ばれた理由

「家の掟? きみのお父さんやおじいさんたちは片足や片手だったけど、なにか関係あるのかい?」

「うん…うちは今でこそ資産家だけど、江戸時代はただの貧農だったの…
 でもね、ある年に飢饉が起こっちゃってご先祖様は妊娠中の奥さんを生かすために、
 あるものを食べさせて飢えを凌いだの…
 ところが生まれた子は成人後、戦で武勲を立ててね。以来験(げん)を担いで同じことを
 するたびに事業が当たっただの戦争で武勲を立てただの家はどんどん大きくなったのよ…
 それ以来妊娠した妻に夫はある者を食べさせるのが我が家の掟になったの…
 だからね、私にも食べさせてほしいな………

あ な た の お 肉 を ・ ・ ・」

主人公が選ばれた理由。
それは 美 味 し そ う だったから。
 
以下釣り神様のAA禁止w

617 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 20:14:34 ID:8zf9hAup
詰め合わせ
里村冬継/私服
http://imepita.jp/20070225/720450
なんか王国の心じみてる気が…。バトル漫画とかそれっぽい感じ。

冬継、士乃/今は無き日々
http://imepita.jp/20070225/721310
神無士乃追悼イラスト。神無士乃ルートがあるのは分かってるが一応。

須藤冬華/姫巫女の幻影
日本人形→和服→和ゴスっていう発想。服は一応オリジナルデザイン。

618 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/25(日) 20:17:41 ID:8zf9hAup
ヤバい。三つ目リンク張り忘れ
http://imepita.jp/20070225/722150

619 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 20:52:43 ID:vvXpoPRs
もういいっての

620 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 20:57:30 ID:tDVc7h/F
ここまでいっちゃうと、そろそろオリジナルの方が良いかなーなんて思ったり……。

621 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 21:00:28 ID:y9F5nFc4
>>618
えらく変わっている、しかしグッドなデザインの服ですな。
そのすばらしいセンスを分けて欲しい・・・・・・。

622 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 22:17:22 ID:0X29IBbE
>>616
それはヤンデレじゃなくてキチガイだ!!

623 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 22:22:00 ID:RMIjci7f
>>616
デレてないしな。

624 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 22:45:25 ID:tYcc9EvM
俺はヤン9デレ1くらいの割合でもいいと思うんだぜ?

625 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/25(日) 23:06:35 ID:2DqJnu4d
背筋をゾクゾクさせてくれればなんでもいい

626 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 00:05:09 ID:Y5p+bLjt
だがそれでは素直狂うだ

627 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 00:15:42 ID:nApWPF5e
>>626
それこそ極致!

628 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/02/26(月) 01:01:23 ID:tvR6aIi5
ヤンデレのテンプレに追加しておけよ

〇SSスレのお約束
読者諸兄へ
・トライデント(荒らし)が投稿する作品にレスしないスルーすること
・日本語がおかしいSS作家(トライデント)は徹底的に無視
・つまらない作品ははっきりとつまらない作品だと言いましょう
・女の子を犬や猫程度にしか思ってない最低人格破綻者トライデントを見れば、NGしましょう
・阿修羅様や管理人様方はトライデント氏の作品を保管庫に入れないようにお願い致します
 

629 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 01:13:42 ID:tvR6aIi5
トライデントという最低人格破綻者がこちらに乗り換える前に先に手を打っておく
彼がこっちに来ても、レスと感想は絶対に送るなスルーするかNGしておけ

これはヤンデレスレ住人の総意である

630 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 01:14:15 ID:tz1U8FLP
(笑)

631 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 01:16:08 ID:4MXA52DS
なんというか、ここ破滅願望的なもの持ってる人間多いよなぁ。

632 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 01:27:44 ID:tvR6aIi5
趣旨は分かっているようだな
頼んだぞオマエラ!!

633 名前:616[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 03:01:51 ID:sc6TorN0
>>622-623
イメージは「食べちゃいたいほど愛してる」です。
プロットなんで具体的なデレ描写は書かなかったんですが、
「求婚」→「婚約(結婚)」の説明だけでは不足なんですか?

だめなら少し変えてほの純スレに行ってきます。
あっちはカニバルもOKみたいだし。

634 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 04:34:34 ID:MS8VuoBR
>>616
食欲だけで選んでたら単なるキチガイだな
血筋か教育のせいで愛情と食欲が一体化してるとかならヤンデレか?

635 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 06:23:30 ID:CCwsVKqS
愛しているが故に掟に逆らえなくて
喰ってしまうってのがヤンデレじゃない?

636 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 06:37:24 ID:2tN8rlIp
掟とは関係なく愛しているところを見せればいいのでは?

637 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 09:15:08 ID:wlAA2VU+
ほの純は女が疑似恋愛を楽しんで、逃げたくても逃げられない男が入れば成立するらしいから、どちらかと言うとほの純の方が合ってる気がするなぁ
まぁ詳しくはほの純スレの95を見るといいよ
後、どちらのスレに投稿するにしても読ませて頂きますからw

638 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 10:24:58 ID:q39byBT/
愛があればおkって事か
>>617伊南屋氏いつもながらGJ

639 名前:616[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 10:54:33 ID:sc6TorN0
みんなありがとう。
プロットだけ投下のつもりだったけど、ない文才を総動員して短編書いてみるよ。

640 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 10:58:22 ID:HPJxhDAA
ガンバレ、かなり応援してる

641 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 13:42:41 ID:3SxFHIVm
  /\___/\
/ ⌒   ⌒ ::: \
| (●), 、(●)、 |    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |  < やるじゃん
|   ト‐=‐ァ'   .::::|    \_____
\  `ニニ´  .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\
 
642 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 15:24:50 ID:H1OhoL/W
夜中の二時に目が覚めた。

悲しくて悲しくて悲しくて目が覚めた。

夢を見ていた。

あの人が私をおいていく夢。

私のことなんか振り返りもせず、一心に自分の望む未来に向けて努力するあの人。
なんど無理だって言われても、諦めるべき現実を突き付けられても必死に向かって行く。
私はそれを笑顔で応援する。時に一緒に苦しみ、時に明るく励ます。
笑顔の下で泣きながら。私を見て、と。
私のいない未来なんて追わないでと。
そしてあの人は私のいない望んだ通りの未来を手に入れて行ってしまう。

多分これは正夢。

現実でもあの人は未来を追っている。私のいない未来を。
私は一番近くでそれを見ている。必要ならば支えながら。
目が覚めても悲しくて悲しくて悲しくて泣いた。
この夢はただの夢じゃない。
実現する可能性の高い未来。

嫌だ、と初めて明確に思った。

あの人の未来なんて叶わなければ良い。

……なんて醜い思考だろう。
 

643 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 15:25:48 ID:H1OhoL/W
本当になんて醜いんだ。

あはは、あは、あはははははははははははは、は、は、は、、、、

笑いがこみ上げてくる。だって滑稽だ。これじゃ道化だ。
私はずっとこんな醜い感情であの人のそばにいたんだ。
あの人を騙して自分を騙して周りの全部を騙して。
そんなの全部間違ってた。

行かないで、そばにいて、私を見て、愛して、近くで笑って、手を握って、
声を聞かせて、明日も会って、出来れば私の話も聞いて、一緒に生きて、欲しい。

そうでないなら、嫌。

笑いが止まらない。なのに涙も止まらない。

明日、あの人に言おう。
行かないで、と。愛して、と。
きっとあの人は拒絶する。それは無理だと言う。
そしたらいったいどうしよう。
殺してしまおうか。手に入らないならいっそ。
それとも目の前で自殺してみようか。私のことを決して忘れないように。

ピピピピピピピピ

そこまで考えた時、電話が鳴った。

ピピピピピピピピ

こんな時間に……表示窓にはあの人の名前。

ピピピピピピピピ

出なくちゃ……

ピピピ

「もしもし…?」

恐る恐る電話を取った。
 

644 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 15:28:42 ID:H1OhoL/W
夜中の二時に目が覚めた。

悲しくて悲しくて悲しくて目が覚めた。

夢を見ていた。

俺が未来を掴む夢。

じゃあ何が悲しかったんだ。考える間もなくすぐにわかった。あいつだ。
いつも俺のそばにいて、俺を助けてくれるあいつ。
諦めそうになれば俺の代わりに苦境を笑い飛ばし、一緒に打開しようとしてくれる。
あいつが泣いていた。夢を掴んだ俺を祝いながら、心から笑いながら泣いていた。
全身で悲しがっていた。
夢の中の俺は気付かず、あいつをおいて進んでいった。

この夢はなんだ。

実現する可能性のある未来だ。それも俺の望んだ未来だ。
じゃあなぜ、俺は悲しい。なぜ、あいつはあんなに悲しそうに泣く。
一番近くで俺を見ていたあいつなら喜んでくれるはずだ。
わからない。
わからないわからないわからない。

ああ。唐突に何かがわかった。

あいつ俺のこと好きなのか。
だから悲しそうだったんだ。

俺、あいつのこと好きなのか。
だから悲しかったんだ。

……なんて簡単なことだろう。
 

645 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 15:29:49 ID:H1OhoL/W
本当になんて簡単んだ。

あはは、あは、あはははははははははははは、は、は、は、、、、

笑いがこみ上げてくる。だって滑稽だ。これじゃ道化だ。
俺はこんな簡単なことにも気付いて無かったのか。
あいつが一緒にいてくれるのは単にいい奴だからと、俺とあいつは友人だと思ってた。
そんなの全部間違ってた。

これからもずっと、そばにいて、顔を見て、愛して、近くで笑って、手を握って、
声を聞いて、明日も会って、出来れば抱き締めて、一緒に生きて、いたい。

そうでないなら、嫌だ。

笑いが止まらない。なのに涙が溢れてくる。

あいつに言おう。今すぐ。
一緒に生きてくれ、と。愛してる、と。
きっとあいつは驚く。泣き出すかもしれない。
そしたらいったいどうしよう。
今から会いに行くと言おうか。抱きしめたいから。
俺も泣いていると告げてみようか。俺の方が嬉しいから。

ピピピピピピピピ

電話のコールが鳴る。根拠は無いがあいつは出るだろう。

ピピピピピピピピ

こんな時間に電話するのは初めてだ。

ピピピピピピピピ

早く出ろ……

ピピピ

「もしもし…?」

恐る恐るあいつが応えた。
 

646 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 15:30:55 ID:H1OhoL/W
↑埋めたかったんだ。
特に病んでもデレてもいないけど許してくれ。

647 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/26(月) 16:33:19 ID:Y5p+bLjt
>>642-645
おおこれは
あっさりしたヤンデレもいいもんだね

648 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/02/26(月) 17:24:29 ID:dtdV5RQn
>>616
カニバリは愛情だったり同一視だったり死者への畏敬だったりするから
期待して待ってる

>>617
和ゴスもいいなあ……いつか新キャラで出してみたい

649 名前:慎 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/26(月) 23:52:02 ID:Q0p7axqA
埋めネタ>>219の続き。ギャグ。今回は病みなし。
タイトル・・「淳、屋上にて・・・」

650 名前:>>291の続き「淳、屋上にて・・・」 ◆lPjs68q5PU [sage] 投稿日:2007/02/26(月) 23:54:21 ID:Q0p7axqA
うわ~とは叫んではみたが痛みがまったく来なかった。
あぁ死ぬときって痛みは感じないものなのか、なんて考えてみたが、実際は違った。
どういうことか、俺の目の前には、盛大にすっころんだ真紀の姿があった。
「あいててて・・・」
笑いが止まらない。なにせ、転ぶ要因になるような障害が何もないところで転んだのだから。
状況はちっとも変わらない。包丁を持ち襲い掛かってくる彼女がいる。しかしその彼女はドジっ子。
とうとう我慢できずに俺は声を出して笑ってしまった。
「うぅ笑うなぁ~!」
「いやだってさwww大体どうしてこんなことしようと思ったんだ?俺の手足切るなんて・・・」
「だって、お姉さんとか、幼馴染の愛さんとかが狙ってるもん、淳君のこと・・・」
「狙ってるってそんな・・・」
「だからさ、早く私のものにしなきゃって・・・そのためには私に頼るようにすればいいんだって。」
なんだそんなことか・・・よし。おれはおもむろに、真紀を抱きしめこう言い放った。
「大丈夫だ、俺はいつだってお前のもんだ。姉さんや、愛のものには絶対ならない。」
「ほんと?」
「あぁ、誓うよ。なんなら真紀と結婚したっていい。」
「うれしい!」ぎゅっ
まぁ自分のものにするために彼氏の手足切る、なんていう風な考えは改めさせなければならないが。
なにはともあれこの件は丸く収まろうとしていた。しかし、突然勢いよく開いたドアがすべてを壊した。
どーん!
「話は全部聞いたわ!」
げぇ!姉さん!
「淳君の姉さんも真紀さんも考えてることは一緒なのね!」
愛まで・・・いやなにこの修羅場。
「「結婚相手はこのあたしよ!」」
お前らは何を言ってるんだ!そもそも姉さんは結婚できないでしょうが!
考えてみるとさっきからずっと追っかけてきてたわけかこの二人・・・執念恐るべし。
「淳君」
なんだ・・・っておい何脱いでんだ真紀!
「抱いて!この二人の前で!お願い!」
いやその・・・ってそこの二人も何脱いでるんだ!
「「ならあたしたちだって!」」
なんだってー!というか何でノリノリなんだ!
まずい!俺の貞操の危機!とりあえず逃げる!・・・あれ屋上のドアが開かない・・・
あぁあの二人ドア壊しやがったな・・・なんてことを・・・
・・・はぁ、もう終わりだ・・・もう好きなようにしてくれ・・・
「「「うりゃー♪」」」
こうして俺は押し倒され3人の気が済むまで相手をする羽目になった・・・
結局何発やったんだよ俺・・・
そして後日、俺は過労で入院することになってしまった・・・
入院先の病院でまた気のおかしくなるようなことがあったがそれはまた別の話。

651 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/27(火) 00:09:11 ID:I/YQ/CHY
とりあえず埋めときますか。

スレが立ってから二週間ですか。
このスレになってさらに活発化してきましたね。
これだけ勢いがついてきたのも職人さん・保管庫の管理人さん・スレ住人のおかげです。
次スレもマターリと行きましょう。
 
652 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/27(火) 02:33:24 ID:j8iv1xrN

653 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/02/27(火) 02:34:21 ID:j8iv1xrN
                                                                                          
                                                                      
                                                                      
                                                                   
                                                                     
                                                                                    
                                          
 
最終更新:2008年07月10日 14:44