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712 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] :2007/02/12(月) 17:45:49 ID:pPuhHdo9

 真綾が家に帰り着くとちょうど祐人からメールが届いた。

  to;真綾
  from;祐人
  message;無事家着いたか?

「はぃはい着いたよぉっと……」

 メールを返しながら鍵を開けて家に入る。

「ただいまー。お母さーん?」
「おかえり真綾。今日はずいぶん早いのね。さては祐人くんと喧嘩でもした?」
「もぅやめてよお母さん。私と祐人はラブラブですょうだ。
 ってかお母さんが電話くれたから早く帰って来たんだけど?」
「え?電話なんかしてないわよ?」
「え?だって早く帰って来てって…」

 真綾が着信履歴を確認する。そこにはしっかりと履歴が残っていた。

「変ねぇ…電話してないわ。ほら」

 母親の携帯にはもちろん発信履歴など無かった。


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「お姉ちゃん。祐人が目覚まさないんだけど」
「真弓……まだ眠らせてから一時間しか経って無いわ。
 最低六時間は目覚めないと言ったでしょう」
「でもこのまま眠ったままだったらどうしよう。どうしたらいい?」




714 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] :2007/02/12(月) 17:46:50 ID:pPuhHdo9

 倒れてから深く眠ったままの祐人を見続けるうちに不安に駆られた真弓はほとんど
半泣き状態だった。
 さっきまで眠った祐人を部屋へ運んだり祐人の携帯から真綾にメールを送ったりと
忙しくしていたために余り祐人をゆっくり眺められ無かったため気にならなかった。
が、家に着いた祐人が体がダルいので早く寝た、と真綾に思いこませてメールが一段落
したところで改めて見ると本当に文字通り死んだように眠っていた。まるで二度と
目覚めないかのように。

「目覚めなかったら……絶対にどこにも行かないからそれでいいんじゃないかしら」
「お姉ちゃんは良くても私は良くないわ!私は人形が欲しいんじゃない、
 生きて動いている祐人が欲しいの!」
「大丈夫よ。十時間は効くって意見も載ってたから……むしろ今すぐ目覚めた方が
 どんな体質なのか不安だわ……」
「他人事だと思って!」
「大丈夫よ真弓、泣かないで……それより貸した機械返して欲しいのだけど」
「あ、忘れてた。ごめんね」

 真弓は電池式の充電器のような機械を拾うと亜弓に返した。もちろん充電器では無い。
携帯のロックを強制解除するためのものだった。




715 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] :2007/02/12(月) 17:48:12 ID:pPuhHdo9

「それと真綾に電話かけてくれたのありがとう。助かったわ。お姉ちゃんがいないと
 関係ない真綾にまで実力行使しなきゃいけないとこだったから」
「それなら思ったより簡単だったわ……薬を探すことの方がむしろ大変だったもの」
「お姉ちゃんには感謝してるよ。本当にいつかこの借りは返すね」

 真弓は不安そうな目を祐人に戻した。

「祐人……本当にごめんね」

 真弓は祐人の手を握りしめた。
 そして数秒、祈りを込めるような仕草で手の甲に口付けると立ち上がった。

「じゃあお姉ちゃん、行ってくるね」

 真弓は暗くなりはじめた街へ消えていった。祐人を自分だけのものにするために。


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716 :恋人作り ◆5PfWpKIZI. [sage] :2007/02/12(月) 17:49:02 ID:pPuhHdo9
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 結局姫野真弓が帰ってきても聖祐人が目を覚ましておらず、彼が目覚める前に真弓は
眠ってしまった。もちろん祐人の手は握ったままで。やはり疲れきっていたのだろう。

「夕食ぐらいは食べて欲しかったのだけど……」

 亜弓は2人の微笑ましい光景を見ながら祐人が起きるのを待つかどうかを迷っていた。
別に真弓に頼まれたわけでは無いので待っている必要は無いのだが。それに起きたら
起きたで状況を説明するのが面倒くさい。

「……あら」

 ぐずぐずと悩んでいるとちょうど祐人が目をあけた。

「おはよう……祐人くん」

 祐人はまだ薬が抜けきって無いようでぼんやりと視線をさまよわせている。彼の
視界には白っぽい部屋と微笑んでいる見慣れない――長い黒髪の青白い顔のどこか
見覚えのある女性が写っていた。

「ぇぇと……とりあえず朝になったら真弓が起きるから。そしたら状況を説明して
 もらってね……多分真弓もそうしたいと思うわ」


 亜弓の生き方は少し独特だった。彼女は妹の真弓と自分の「運命の人」以外の全ての
事象に固執しない。興味が無い。配慮が無い。亜弓は――

「真弓には内緒ね。じゃあおやすみなさい……」

 スタンガンで祐人をもう一度眠らせた。


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