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72 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:37:47 ID:nKGnbif8
 コンビニ裏の空き地で修二は不良三人に因縁をつけられて絡まれていました。理由は
分かりません。ですが不良たちにとっては目の前にスーツ姿の男性がいたというだけでも
絡む理由になってしまいます。つまりはその程度の理由で絡まれていたのです。

 不良たちは三人。それに対して彼の味方をする人間はいません。辺りは暗く、月明かり
しか彼らを照らすものはありません。

(昨日から厄日続きだ。変なことばっかり起こる)

 胸の大きいアルバイトの女性店員にくっつかれたり、その人が夢にでてきたり、朝から
痴女に会って、しまいには不良に絡まれる。修二は我が身の不幸を呪いました。
 修二はすでにかなり弱っています。追い討ちをかけるように不良の一人が脅迫の言葉を
かけます。
 
「はやく金を出せ。はやくしねえと二度と町を歩けなくしてやるぜ」

 三人に囲まれながらそう言われたらどうしようもありません。
 修二が諦めて財布を取り出したそのとき。



73 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:38:35 ID:nKGnbif8
 がたがたがた! がたがたがた!
 がたがたがた! がた!

 何かが暴れているような音がしました。ドアを無理やりこじ開けようとしているような。
 そして。


 ばぁん!

 大きな音とともにコンビニの裏口が開きました。 
 誰かが出てくる!不良たちは身構えました。何が来てもいいように。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 しかし、いつまで経っても裏口からは誰も出てきません。
 
「なんだよ脅かしやがって・・・・・・」

 そう呟き裏口に背を向けた瞬間。
 
『お離し・・・・・・』 『お離し・・・・・・』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 女の声が聞こえてきました。

 消え入りそうな声です。
 しかし、その声はだんだん大きくなります。

『お離し・・・・・・ お離し・・・・・・・・・・・・
 お離し・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 ・・・・・・・・・・・・。

『早く、お離し!!!!』


 どばぁん!

 怒鳴り声が聞こえてきたあと、裏口が勢いよく閉まりました。


 ・・・・・・・・・・・・。

 彼らが後ろを振り向くと、
 裏口には白い服を着た女が立っていました。



74 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:39:16 ID:nKGnbif8
『お離し・・・・・・』

 ぺた・ぺた・ぺた

 女はゆっくりと歩いてきます。
 一歩一歩近寄るたびにぺた、ぺた、と音がします。
 
 白い服はところどころ黒く汚れており、長い髪は顔の前に垂れ下がっています。
 女は前かがみの状態で下を向きながら彼らに向かってきます。

 ぺた・ぺた・ぺた
 ゆっくりと、ゆっくりと。


『お離し・・・・・・ お離し・・・・・・』
「こ、このアマ! なんのつもりだ!」

 不良の一人が声を荒らげます。
 恐怖に駆られないよう、必死になって虚勢を張っています。

「ふざけてるんならこの辺で――」
『ひああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああ!』

 びたんっ!

 叫び声を上げながら前のめりに倒れました。
 倒れた勢いで両腕と長い髪を地面に投げ出しています。

 ・・・・・・・・・・・・。

 そのまま動きません。不良の一人が女に近寄ります。
 しかし、すぐに女が体を起こしました。


 がばあっ!!

 
「っ・・・・・・!」
   
 体を起こした女の顔を見て四人は絶句し――

「うぎゃああああああああああっ?!」

 一拍置いて今度こそ悲鳴を上げました。

 女の顔は赤く染まっています。
 比喩ではなく、赤い絵の具をそのまま塗ったように赤く。
 その顔に水に濡れた長い髪が貼りついて奇妙な模様を描いています。
 目は瞳孔が開き、感情を宿していません。

 そして額には二本の角が。


 女は鬼の顔をしていたのです!



75 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:39:50 ID:nKGnbif8
 びだんっ! びだんっ!

 女――いや、鬼は両手を使って動き出しました。
 上体を浮かせて、腰から下はひきずりながら、不良たちに近づいてきます。

 びだんっ! ずるり
 少しずつ。

 びだんっ! ずるり ・・・・・・ びだんっ! ずるり  ・・・・・・
 少しずつ。

『お離し・・・・・・ お離し・・・・・・』

 鬼はうわごとのように『お離し』と繰り返します。
 その場に居た男四人は何のことを言っているか理解できません。
 そのいでたちと、奇怪な動きは男たちの思考を完全に止めてしまいました。

「うああ・・・・・・」
『お離しいいいいいいいいいいいいいいっ!!』

 ばんっ!
 ぶあっ!!

 鬼が両手で地面を叩き、男たちに向かって飛び掛りました!

「ひいいいいいいいいいいいいっ!」

 
 どちゃり!

 しかし、鬼の腕は不良の足を捕らえることなく空を切りました。
 倒れながらも顔を上げ、叫び声をあげます。

『早く! 早く! 早く! 早く早く早く!
 早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く!
 早く! お離しいいいいいいいいいいいいいいいいっ!』
「!・・・・・・あ・・・・・・う・・・・・・ひ・・・・・・
 う、うああああああああああっ!」

 至近距離で鬼の顔を見せられ、同時に叫び声を浴びせられました。教師の胸ぐらから
手を離し不良たち三人は逃げ出しました。



76 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:40:30 ID:nKGnbif8
 修二は不良の腕から開放され、支えを失って尻餅をつきました。

「あ、・・・・・・ああ」
『・・・・・・・・・・・・ひひ』

 鬼が声を漏らしました。

『ひあああああああっはははははははは!
 あはははははははは、はははははははは!
 きゃはははははははははははははははは、は、は』

 おぞましい笑い声をあげた鬼が、修二を見つめています。

『ようやく、離したねえええええええええっ!』

 ばんっ!

 修二に向かって襲い掛かり、今度は空を切ることなく肩を掴みました!

 鬼の顔が近づいてくる!

「ぎゃあああああああああああああっ!」

 修二は悲鳴を上げて気絶してしまいました。



「あちゃあ。やりすぎちゃった・・・・・・かな?」

 鬼は自分の顔を掴み、耳の後ろに引っ掛けていた輪ゴムを取り外しました。
 現れたのは、裕子の顔。

 鬼の正体は変装した裕子でした。

「そんなに怖かったかな?
 節分用の鬼のお面と、汚れたボロ布の組み合わせって」

 彼女はそう言っていますが、少しだけ違います。
 その変装もそうですが、叫び声や動きが真に迫っていたからこそ不良たちは
逃げ出し、目の前にいる男性も気絶したのです。

「でも・・・・・・これはチャンスだわ。
 最高よ。うふふふふふふふふふふ。
 あっははははははははははははははは!」

 鬼の面をしていないというのに裕子はまたしても笑い出しました。


 ・・・・・・もしかしたら、あれは彼女の本来の性格だったのかもしれません。



77 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:41:13 ID:nKGnbif8
・ ・ ・ ・ ・ ・

「う・・・・・・ん?」

 修二が目を覚ましたとき、目の前は真っ暗でした。
  
「あれ? 俺・・・・・・あの時、鬼に食べられそうになって・・・・・・!」

 自分の体が無事かを確認しようとしましたが、動けません。両手は縛られて頭の上に
回された状態で固定されていました。足首は縛られていて、股を開いた状態にされています。

「目が覚めましたか? 修二さん」
 
 女性の声が修二の耳に届きました。その声を修二は聞いたことがありました。蝋燭に火が
灯り、女性の顔がぼんやりと見えてきました。

「もしかして・・・・・・裕子さんですか?」
「はい。覚えててくれたんですね」
「ええ。それはもちろん・・・・・・って! なんて格好してるんですか!」 
「格好? 何も着てないだけじゃないですか。何かおかしいですか?」

 裕子は一糸纏わぬ、生まれたままの姿で修二の目の前に立っていました。
 細い足首と締まったふくらはぎ。肉感的な太腿から臀部へ続く緩やかなカーブ。芸術的な
くびれを描いているウエスト。
 そして芸術的なウエストの上には裕子の大きな身体的特徴である二つの大きな膨らみが。
 とても扇情的な姿です。修二が今までに経験してきた女性たちの中でも彼女ほど美しい肢体
を持っている女性はいませんでした。
 そのため、修二はその姿を見ただけで激しく興奮してしまいました。

「・・・・・・うふふ。修二さん。すっごく興奮してますね」
「え、何でそれが・・・・・・え、ええっ!」

 修二も服を着ておらず、全裸の状態です。そのため彼の陰部が勃起しているのも裕子には
丸見えです。そのことに気づき慌てて隠そうとしますが――四肢を縛られていてはどうにもなり
ません。

「隠さなくてもいいでしょう? これからすることを考えたら・・・・・・」
「何をするっていうんですか・・・・・・」

 修二も当然気づいてはいましたが、一応とぼけてみせます。

「男と女が裸になって密室でふたりきり。何をするかなんて決まっているでしょう?」



78 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:42:01 ID:nKGnbif8
 裕子は薄く笑いながら修二に体を重ね合わせてきました。二人の手と手が、足と足が重なり
ます。そうすると当然裕子の胸も修二の胸とくっつきます。修二は二つの乳房が潰されていく
のを目にしました。胸にとても気持ちのいい感触が二つあります。

「裕子さん。離れて・・・・・・」
「正直になっていいんですよ? ほら、ここはとっても正直ですよ」

 裕子が太腿で勃起した陰茎を挟んできました。素股の体勢です。
 しかし裕子がその状態で全く動こうとしないので修二はだんだん物足りないものを感じて
きました。とはいえ自分から動くこともできず、おあずけを食らった状態です。

「あれえ? 修二さんなんだかもぞもぞ動いてませんか? 
 それに、またおっきくなってますよ」
「くう・・・・・・・・・・・・」

 動きたい。けど自分から動くわけにもいかない。
 どっちつかずの状態に置かれて修二は呻いてしまいました。

「動いてもらっても私はいいんですけど・・・・・・」
「え・・・・・・」
「でも先にやることがあるので、おあずけです」

 そう言って裕子は立ち上がって床から何かを拾いました。黒い四角形のものです。かすかに
甘い香りがただよってきます。

「もしかして・・・・・・チョコレートですか?」
「はい。今日はバレンタインデーですから。今修二さんに食べてもらいたいんですけど。
 いいですか?」

 それを食べたらさっきの続きをしてもらえるかもしれない――そう考えた修二は答えました。

「・・・・・・構いませんよ」
「うふふ。じゃあ、さっそく・・・・・・」

 裕子はチョコレートを修二の口に――入れることなく、自分の口に含みました。それから口の
中で咀嚼しています。
 そして修二の顔に近づいてキスをしました。

「ん、んぅ・・・・・・」
「うむうう?! う、ぅぅぅ・・・・・・」

 裕子が噛み砕いて溶けたチョコレートが修二の口内に注がれました。突然甘いものを口に
注がれて、大量の空気と一緒に飲み込んでしまいました。ごくり、と。

「はあぁぁぁ・・・・・・美味しかったですか? チョコレート」
「こほっ、こほっ ・・・・・・んん、・・・・・・ええ」

 その答えを聞いて、裕子は満足そうな笑顔を浮かべました。



79 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:42:54 ID:nKGnbif8
「続き。してほしいですか?」

 修二は無言でうなづきました。それを見て、裕子は腰の上に跨ります。

「実は私経験したことないんです。だから・・・・・・」
「大丈夫ですよ。・・・・・・優しくします」
「いいえ。あ、それもですけど・・・・・・初めてをもらうんでしたら、
 最後まで責任をとってほしいんです」
「え?」

 修二の耳元に口を寄せ、ささやきました。

「結婚してください」

「・・・・・・はい?」
「聞こえませんでしたか? 最後まで責任をとるという意味で、
 結婚してくださいって言ったんです」

 修二はぽかんと口を開けています。まさか女性からプロポーズをされるとは思っていなかった
ようです。

「私と結婚するのはいやなんですか?」
「いや、そんなことは無いです。でもそれだけの理由で決めるのは・・・・・・」
「・・・・・・もっとわかりやすく言った方がいいみたいですね」

 裕子の声が半音下がりました。修二の首に手を当てながら言葉を続けます。

「殺されたくなかったら、結婚してください」

(え・・・・・・・・・・・・?)
「今自分の置かれた状況を理解できていますか? 手足を縛られているんですよ。
 私がこのまま力を入れたらどうなるかは・・・・・・わかりますよね?」

 軽く指に力を込めました。
 
「私は修二さんのことが好きです。愛してます。もうこの気持ちは止めようがありません。
 それなのに、修二さんが受け入れてくれないんだとしたら・・・・・・生きていけません。
 でも、一人で逝くのは寂しいから・・・・・・修二さんも一緒に連れて行きます」
「・・・・・・・・・・・・」
「返事は、YESですか? NO、ですか・・・・・・?」

 修二は逡巡してその結果・・・・・・

「YESです。・・・・・・僕も裕子さんのこと、好きですから」

 命が惜しいので彼女のプロポーズを受けました。



80 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:43:44 ID:nKGnbif8
 その後で、二人は結ばれました。

「はああっ! もっとぉ! もっと突いてくださいぃ!
 ああ! おくに、奥に当たってるううっ! はぁあぁっ!」

 裕子は獣のように修二の体を貪り、

「あ、・・・・・・ぐああ・・・、・・・まってゆうござ、ん。
 も、じゅっがいめ・・・・・・あ、ぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」

 修二は死にそうになりながらも彼女の猛攻に耐え抜きました。

 本当はチョコレートを修二の体に塗りたくったり、裕子の胸を使って羨ましい事をしてもらった
のですが、それはこの哀れな雄の心の中にしまっておいてここでは語らないことにします。

 裕子はこのようにしてバレンタインデーに愛しの男性を射止めたのです。





「あの子たちも幸せになってほしいな・・・・・・」

 監視カメラに映っているアルバイト店員の男の子と、彼をときどきちらちらと見つめている
もう一人のアルバイト店員の女の子を見ながら女店長は呟きました。
 男の子が女性客と話をしている姿を女の子はじーーっと見つめています。

「そうねえ。あの子にアドバイスしても面白いかもしれないわね」

 あの男の子の鈍感さは異常だし。
 言葉には出さずにそう思い、女店長は女の子にアドバイスするためにレジへ向かいました。

 不器用な女の子の恋を応援するために。



81 :越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/02/14(水) 15:44:44 ID:nKGnbif8
 そのあと。

「あ、ねえ! キミ!」
「ん? どうした?」
「お、お離しぃぃっ! がおーーーーっ!」
「・・・・・・鬼の面なんか被ってどうしたいんだ?」
「あ、あれ? ・・・・・・おかしいなあ。店長の話では気絶するはずなのに」
「お前は俺を気絶させてどうしたいんだ・・・・・・」
「うぅぅ・・・・・・キミなんか鬼店長に喰われちゃえーーっ!」
「なあっ!? 豆を投げるな! 痛い、痛いって!」
 
 こちらの女の子は女店長のように上手くできなかったようです。

 皆さんはこんな女の子がいたら気絶してあげてくださいね。

 メリーバレンタイン!


 越えられない壁・終