151 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/02/15(木) 22:28:31 ID:2GB3l3et
>>146
そのうちヤンデレカフェとか出来たらどうしようかなんて思った。メニュー想像したくねぇw
よもや出ないとは思うが、それはツンデレの時もそうだったしなぁ……

153 :名無しさん@ピンキー [sage] :2007/02/15(木) 22:52:33 ID:UZweTjAT
>>151
「はい、これサービスです」
 席を立ち上がろうとした瞬間、給仕のお姉さんが席に寄ってきてそう言った。
白と紺のメイド服。喫茶店の制服というよりは、本当にメイドのそれに近い。過剰な装飾の
ない分だけ、逆にお姉さん本人の可愛さがよく映えていた。
「はあ、どうも……」
 浮かしかけた腰を下ろす。サービス。この店にきたのは十回目だが、そんなものは一度としてなかった。
 ――まさか、そういって金を取る気じゃ。
 絵画の販売などで、サービスといって金を取るところがある――そんな話を思い出した。コーヒー一杯、ケーキ
一つとはいえ、法外な値段が吹っかけられないとも限らない。
 そんな思いが、顔に出ていたのだろうか。
 給仕のお姉さんは、心配を吹き消すようににっこりと笑い、
「今日、十回目のご来店ですよね? いつも来てるの、なんとなく目で追っちゃうんです。
 私からの、個人的なサービスです」
「…………」
 そういわれて、悪い気がするはずもない。
 メイド服のお姉さんは可愛くて、そんな風に微笑まれたら、それだけで陥落してしまいそうになる。
いや、ここは陥落していいのだろう。目で追っていた、ということは、気にされていたというわけだし。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
 浮かしかけた腰を沈めて、ケーキとコーヒーに手をつける。コーヒーはともかく、ケーキは一度も店で
見たことがない。多分、このサービスのためだけに創られたものなんだろう。
「あ、分かります? それ、私の手作りなんです」
 お姉さんが嬉しそうに笑う。店員としてではない、個人的な笑みに見えた。
「うん、美味しいよ」
 答えて、ケーキを半分ほど食べ、コーヒーへと手を伸ばす。
 伸ばした手が、コーヒーカップをつかめなかった。
「……?」
 おかしい。
 視界がゆれている。コーヒーカップへと伸ばした手が、斜めに傾いでいく。意識がはっきりしない。
揺り籠の中にいるように、体がふらふらと安定しない。
 意識と視界が揺れる中で、笑ったお姉さんが言う。

「サービスで、色々と入れておきました」

 ――色々?
 そのことについて疑問に思うよりも早く、意識が薄らいで。

「駄目ですよ、かってに帰っちゃ。もっとずっと、ここにいてくださいね。
 いっぱいいっぱい、料理作ってあげますから――」

 それが、最後に聞いたお姉さんの言葉だった。
最終更新:2008年07月28日 12:07