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151 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 18:07:31 ID:rzDVq6FD
                     第1話  瞬 夏

俺は、ラグビー部に通う高校生。
・・・暑い。もう受験の時期だけど、俺はそんなの気にしない。
まぁなんとかなるだろう、そんな軽い気持のまま迎えた夏だったと思う。
それにスポーツ推薦を使えば進学には困らないだろうし。高校から始めたラグビーは自然と自分に合っていて、苦にはならなかった。
きっと大学でもラグビーでやっていけるだろう。けど、俺は今ラグビーやってないよな。・・・まぁ、人の気持ちは変わるもんだしな。

高校はなかなか楽しかった、友人もいたし。
まぁ彼女はこの通りの大きな体格だから女子と友達になる事はあっても恋人。とまでは、いかない。
俺の高校時代のニックネームは「野獣」だし。
別に暴れるわけではないんだけれど、クラスの男子が命名して自然と広まった。
告白された事?まぁ、何回かは。けれど、俺の何処がいいんだろうな。・・・え?付き合ったのかって?ああ、もちろ・・・あれ、思い出せない。いやいや、嘘だろ?何でこういう大事な事を思い出せないんだよ。


153 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 18:13:47 ID:rzDVq6FD
それから、月咲美代子の事だっけ。ぼやけているけど俺の知ってるかぎりの事を話す。

月咲美代子。俺と同級生の女子生徒。170センチぐらいの身長に細身の体に大きな胸。
極めつけの大きな特徴は髪を金髪にしていてセミロング。校則的に問題は無いけど、金髪という感じだからやはり目立つ。
え?容姿を詳しく言え?ああ、一言で言うなら、フランス人形をそのままにした感じ。え?解りにくい?う~ん・・俺に容姿を聞くなよ、本当にそういう感じなんだ。
独特の雰囲気というか、控えめな子。
成績優秀で学年順位はいつも5番以内に入る。スポーツも堪能、リレーでは女子陸上部エースの野田を3秒の差で圧勝した。そんな万能な人間だ。

でも唯一の欠点というか、なんというかそんな感じの子なのに人とあまり関ろうとしない。
女子からも話かけようとするが、無視をしたりすぐに逃げる。まるで「貴女達には興味なんかない」と言わないばかりに、それは男子生徒にも同じで、告白をしてくる男子には、かなり冷たく興味が無さそうに断りを入れる。ラブレターを目の前で破られた奴もいたらしい。
そんな俺と月咲との接点はまるで無く、同じ高校にいながらも話す事は一度も無かった。
―――あの時を除いて。


155 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 18:19:44 ID:rzDVq6FD
――――2年の夏、教室に向かう階段を登っている時、背後に足音が聞こえて何気なく後ろを見ると月咲が後ろから階段を登っている事に気付いた。
あれが、月咲美代子。成程、なかなか可愛いな。
男共が騒ぐのなんとなく理解出来る、白い肌に明るい程の金髪、スタイルの良い体つきに大きな胸。

・・・何言ってんだ俺は、そんな男が部屋で考えそうな事を思いながら階段を登りきる、すると再び月咲の顔を見る。
何か顔色が悪いな。
暑さで熱にやられたのか、軽く汗を滲ませ、息を少し粗く吐いている。階段をもう登りきる所なのに、どうしたんだろう?
俺が階段の頂上で気になり、見下ろしていると月咲が俺の方を気分が悪そうに見上げると少し驚いた様子で俺に向けて口を開いた。


156 :野獣とアングレカム ◆OxLd.ko4ak [sage] :2008/07/24(木) 18:21:59 ID:rzDVq6FD
「・・・さん・・・?」

何かを呟いたが聞こえない、さん?何だ、何を言ったんだ?俺に向かって言ったんだよな。聞き返そうとした。

すると月咲が急に止まったかと思うと、フラフラと頭を触りながら膝がガクッ!と下がりそのまま後ろに倒れかかる。

――お、おいッ!?

後ろは階段、転べば確実に大怪我だ。俺は無我夢中で叫びながら、部活のバックを落としそのまま、月咲へ自分の方へ抱き寄せると勢いのまま階段を一緒に転げ落ちた。
階段から凄い音が響き渡る。階段の下落で俺は月咲を抱きしめながら蹲る。
無事だ・・月咲は、俺の上に乗る形で抱きしめられていた。俺は背中を少し強打したけれど、痛いと言えば痛いがラグビーのタックルに比べればまだ大丈夫だ。
こういう時に大きな体だったという事に感謝をした。


157 :名無しさん@ピンキー [sage] :2008/07/24(木) 18:29:39 ID:rzDVq6FD
「いてぇ・・・あぶねぇ~・・・柔道の受身を習ってて正解だったな。痛ッ・・」
「あ・・あの・・」
「あ、わ、悪ぃ・・!!」
「すいま・・せん・・・」
月咲は、何が起きたのかを理解していたのか、御礼を告げるとそのまま俺の上で動かなくなった。
気絶している、俺は慌てて月咲を担ぎ、痛い背中に耐えながら保健室へと向かった。

「軽い日射病ね。今日は暑いから。君は~・・・軽い打撲ね。冷やしとけば治るわよ。階段から落ちたのに、それだけ動ければ大丈夫よ。もし、何か痛みだしたら念の為病院に行きなさい。彼女は、暫く休ませるといいわ。」

「どうもッス・・・。」
俺はやれやれと思いながら眠っている月咲を見た。頭に冷えピタを乗せたその姿は、本当にフランス人形みたいで、その、なんというか・・・うん可愛いんだ。
「こらこら、寝てるんだから邪魔しない!今日部活でしょう?行った行った!」
「す、すいません・・・」
俺は先生が届けてくれたバックを肩に乗せ、部活へ向けて大きな体を走らせた。

―――・・・・助けなかった方が良かったに決まってる、後にファミレスで倒れた俺を運んだ友人はそう俺に言った。

                                                                                 第1話 完 つづく