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377 :『ハッピーなライフ』 [sage] :2008/07/30(水) 19:04:01 ID:5Ycs/vv4
夕方のひと時、辺りは買い物袋を下げた主婦やまだまだ遊ぼうしている子供たちの元気な姿が在った。
そんな中に仲の良さそうな男女の姿が一つ。
片方は小動物をイメージさせるような可愛らしい少女、もう片方は少し目つきの悪い、が決して悪い人ではなさそうな青年。
どうやら二人は家に帰る途中のようだ。
「御波くん、今日の数学の時間居眠りしてて先生に怒られてた」
「おまっ、俺の隣なんだから見てたなら起こしてくれよな。そしたら先生に怒られてみんなに笑われる恥ずかしい思いもしなかったのによぉ」
「ふふ、ごめん。寝てる顔が可愛くて・・・・・」
「止めろよ恥ずかしい・・・・」
「その顔も、ふふ、ふ」
「うるせえなぁ、ったく可愛くない奴だ」
俺の名前は奥寺御波。
口ではこんなことを言ってるけど俺は人生十六年目にして初めて出来た彼女こと清水愛歌のことを心底惚れていた。
彼女はさっきの会話のようにすんごく口下手で、おまけに人見知りという完璧な根暗っ娘だ。
いつもの俺ならそんな女の子などに興味なんて示さないで他の子に想いを馳せていただろう。
しかしだ!!
「あ、その・・・・・。ご、ごめんなさい・・・・・・」
「い、いや今の嘘!嘘だから!可愛いってば!!」
「ほんと?」
「ほんとほんと!」
「わぁ・・・・」
(あぁ、さっきのショボンとした顔が天使みたいに、いや天使の微笑みになって喜んでるよ。か、かわええ!これはもう犯罪だ、うん)
今の彼の反応を見れば解るように口下手だろうが人見知りをする根暗だろうが、それでも十分惹きつけてやまない位彼女は可愛かった。
そんな彼女を狙う男は彼の他にも当然のように学校にいた。むしろはき捨てる程にだ。




378 :『ハッピーなライフ』 [sage] :2008/07/30(水) 19:04:27 ID:5Ycs/vv4
しかし彼女も甘くはない。
相手が告白してきても持ち前の『人見知り』というスキルをいかんなく発揮し、告白してきた男性全てを撃沈させていた。
そしてそんな撃墜王の愛歌に今年の春、彼は自分の気持ちに我慢できず無茶を承知で彼女に告白したらなんと二つ返事で了承してくれたのだ。
しかも相手も自分のことが好きで今まで彼氏など作ったこともなかったという奇跡的で素敵なこともその時わかった。
(あぁ、こんなめちゃくちゃ可愛い彼女を自分のモノに出来た俺は三国一の果報者だ。ありがとう神様。
 去年までは彼女持ちの男は全員死ね、氏ねじゃなくて死ねなんて願ってた俺にこんなプレゼントをくれるなんてあんたやっぱ最高だ!!)
「ガッツポーズ・・・・・?」
「あ、いや何でもない。こっちの話だよ」
「変な、御波くん」
苦笑いをする御波を愛歌はにこにこしながら彼の手を握る。指と指を絡める、俗に言う恋人握りというものだ。
(うぉぉぉおお・・・・・)
この心地いい胸の痺れが萌えなのかと彼は小さな指で握ってくる彼女の手を見て素直に感嘆した。
「・・・・・」
「どうしたの?手に、何かついてる?」
「あ?うん。何かさ、愛ちゃんって指を絡めてくるの好きだよなぁって思ってた」
「好きじゃ・・・・・ない?」
「いやぁ、むしろ大歓迎であります大佐」
「よかったぁ。嫌いなら、どうしようかと思った」
私ね?と一言置いてから彼女は言った。
「こうやって、人の手を握るのが好き・・・・」
「どうして?」
「なんかね、こうしてると相手と心が繋がってるって感じがして・・・・・・、とっても安心するの。
 それに・・・・・・」
「それに、何さ?」
「こうやって、御波くんとくっつける、でしょ?」
むにゅっとお世辞にも大きくないが十分服の上でも柔らかさを感じ取れるほどある胸を彼の腕にすり寄せる愛歌。
腕から伝わってくる甘美な感触は御波の頭脳を破壊することは造作もないことだった。


彼は死んだ(笑)



379 :『ハッピーなライフ』 [sage] :2008/07/30(水) 19:04:53 ID:5Ycs/vv4
その後、御波と愛歌は彼の家の近くに来るまで誰が見てもラブラブのバカップル状態でいた。
「あ、俺ここを右だからもうバイバイだな」
「・・・・・そうだね」
(ああ、去年は糞長い帰り道だと思ってたのに彼女が出来てからはこんなにも短いなんて・・・・)
御波は嬉しいような哀しいようね溜息を小さくした。
「あ、そうだ御波くん。私ね、こうやって手を繋ぐよりも、もっともっと大好きなことがあるの。
 何だと思う・・・・・?」
「え、何?わかんないよぉ~(←wwwwww」
「ふふふ、じゃあ・・・・・、教えてあげる」
「教えて教えてぇ~(←wwwwwww、wwwwwwwww」
「これ・・・・・」

ちゅっ

「・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・へっ!?」
いきなりの不意打ちで唖然とする御波を彼女はふふふと微笑む。
「正解はね、好きな人とキスすること・・・・・。私、本当に御波くんのこと大好きだよ」
顔全体をほんのりとさせながら愛歌は上目使いで彼に言った。
その大きな瞳で自分を映し、形の整った唇の端を持ち上げた彼女に御波の心臓は大きく跳ねた。
「あ、はい・・・・・」
突然の事件に彼の頭の中は空前絶後の大パニックを起こしていた。
パニック具合を例えるならば海を泳いでたつもりが実はそこは空だったとか、
竹を切りに行ったおじいさんが竹を切ったら中にはゆで卵が入っていたというか。
まあとにかくパニクっていたのだ。世界が止まり、思考も止まり、文字通り石化していた。
「・・・・・・・・・・」
逆にこの状態だったからこそ、これから彼女が言う実に不穏で、かつ危険な言葉を彼は聞き漏らしてしまうことになる。
「私、御波くんのこと大好き・・・・。うううん、愛してるよ。御波くんは私のことどう思ってるの?」
「だいすき・・・・・」
「愛してる?」
「あいしてる・・・・・・」
「うふふ、よかったぁ。相思相愛だね御波くん。でもね、御波くんがもし私を裏切ったら・・・・・・、私・・・・。
 御波くんのこと殺しちゃうかも・・・・・、ね?」
ビルに沈み行く太陽の赤い光がが彼女を赤く染めていく。それは見方によれば赤い血を全身に浴びているようにも見えた。
「わかった・・・・・・・・」
「うん、わかってくれて、よかった。それじゃあね、御波くん」
「さよなら・・・・」
季節的にはそろそろ夏だというのに、何故か彼の周りには冷たい風が流れていた。




380 :『ハッピーなライフ』 [sage] :2008/07/30(水) 19:05:18 ID:5Ycs/vv4
愛歌と別れてから家に着くまで御波はまるで高熱を出したかのように意識がまとまらなかった。
ふらふらしながら家に到着する御波。
「ただいま」
変な浮遊感を感じながら彼は自分の部屋へ向かい、ベットへ着替えもせずに寝転ぶ。
「愛ちゃんとキス、したんだよな俺・・・・・」
自分の唇をなぞるとさっきまで夢みたな感じだったのものが急に現実味を帯びてきたのがわかった。
「・・・・・・・・っ!、やったぁぁああああああああああああ!!!!」
そして現実だったのだと頭が理解すると同時に彼は雄叫びを上げた、いや上げずにはいられなかった。
自分の好きな女性とキスが出来た(正しくはされた)のだ。もう制服がしわくちゃになろうとお構いなしに御波はベットの上で転げ回って喜びの雄叫びを上げた。
「やった、やった、やった!やっほぉぉぉおおおおお・・・」
「うるさい、黙れアホ」
ドゲシッ
「ぱぉっ!?」
しかしその雄叫びは突如として頭上に繰り出された鋭いチョップとハスキーなボイスで遮断された。
「いってぇな~、帰ってきてたのかよ千代姉。それと勝手に俺の部屋に入ってくるな」
「お前のうるさい声に癇癪を起こしそうだったんでな。すまないが勝手に入らせてもらった」
そう部屋の入り口でけだるそうに女性は言った。彼女の名前は奥寺千代音、彼の姉にあたる存在だ。
今の彼女の姿はタンクトップと短パンというルーズな格好している。普段はしっかり者なのに家の中でだと妙にずぼらだ。
「そっちはもう夏休みかよ千代姉」
御波曰く『千代音姉さんなんて呼び方は面倒くさいので千代姉だ』とのこと。
彼より二つ程年上で大学生だ。
スタイルは出るところは出て、締まるところは締まっているという部類で、しかも身長が175cmある御波より10cmも大きいものだからまるでモデルのようだ。
そんな姉が家の中でああいった格好で普通に過ごしているのは正直目のやりどころに困るというのが御波の意見(勿論姉には言ってない)なのだが、
姉曰く「この格好が一番楽だ、胸も苦しくないしな」だそうだ。
全くもってけしからん姉である。
「そうだ、テストが少なかったんでな。その・・・早くお前の顔が見たいと思って急いで帰って来たというのに・・・・・。
 大体何なんだあのアホみたいな叫び声は?貴様は猿か」
「うるせぇ、アホアホ言うな。俺だって叫びたいほど嬉しいことがあるんだよ」
「嬉しいこと?何かあったのか?」
頭を傾げる千代音に御波は不敵な笑みを浮かべながらびしりと人差し指を姉に向けた。



381 :『ハッピーなライフ』 [sage] :2008/07/30(水) 19:05:38 ID:5Ycs/vv4
「いいか?聞いて驚け!俺に彼女が出来た!!」
「・・・・・え。・・・・・・・・・え?」
おおう、驚いてる驚いてる。
あのポーカーフェイスで有名な千代姉が顔を歪めてびっくりしてるぜ。何てったってこのネタに関しては何度千代姉に馬鹿にされたことか、正直数え切れん。
しかし、これでもう二度と馬鹿にされないと思うとなんと清々しいことか。ビバ☆彼女だぜ!!
「う、嘘だな。お前みたいな男に彼女なんて・・・」
「嘘じゃねえよ。ほらこの子だよ、清水愛歌ちゃん。愛の歌なんて可愛い名前だろ?あ、顔もやばいくらい可愛いいんだぜ!」
携帯の待ち受けにしてあるプリクラで撮った写真を御波が見せると姉の表情はますます険しくなっていった。
そんな姉の状態を見ていると今までの復讐が出来ているみたいで御波は段々と興奮していった。
「しかも、だ。今日その女の子とキスしちゃったんだよ~ん。へへぇざまwwwwwww」
「なん、だと・・・・・・?」
「あっはっはっはっは!もう千代姉に彼女がいないって馬鹿にされないもんねwwww。悔しかったら別れさせてみろwwwwwww。
まぁwwwww無理wwwwwwですけどwwwwwww」
それにしてもこの男ノリノリである。
「・・・・・・・・・どこ」
ギシリ
姉の顔はいつも間にかいつもの何を考えている分からない、ポーカーフェイスに戻っていた。
「おぅふww、・・・・・・・へ?」
(今俺の耳がおかしくなければ空気がギシリって鳴らなかった?しかも何かすごく寒くなってきた・・・・・。
うわ、千代姉の顔やべぇ。無表情っていうか嵐の前の静けさ的な状態になってる。や、やりすぎたか?)
「どこ・・・・・・、いる、の」
「どこって、その、五丁目のスーパーの近くだよ」
「そぅ。じゃあ・・・・・・・、別れさせて・・・・・・・・・。・・・・・・・くる」
御波からそう聞くや否や千代音はスタスタと部屋から退出した。
彼はそれを間の抜けた顔で見送った後、事態の重さを理解した。
彼の姉、奥寺千代音の座右の銘は『有言実行』。
彼の記憶が正しければ彼女がやると言ったことは良くも悪くも全て実行してきたのだ。
「ち、千代姉ぇえええええええええええええ!?」
この瞬間、彼は風になった。




382 :『ハッピーなライフ』 [sage] :2008/07/30(水) 19:06:04 ID:5Ycs/vv4
「アイス・・・・・」
「あぁぁぁぁ、わかったわかったから」
「これ二個ね・・・・・」
「へいへい」
死ぬ思いで何とか姉を捕まえた御波。風になった彼でも死ぬ思いで走らなければ危うく姉の姿を見失うところであった。
捕まえてからは彼の必死の弁解により何とか姉に『彼女と別れさせる』という行動を止めさせられた。ただし代償付きで。
そしてその代償というのは姉を捕まえた近くにあるスーパー(因み場所は五丁目。本当にヤバかった)でアイスを好きなだけ奢るということだ。
(くっそぉぉ、まさかここに来るまで捕まえられなかったとは。結構走りには自身があったのになぁ、畜生全部あの無駄に長い足のせいだ!!)
「聞いてるのか御波、あとこれと、これ・・・・・」
「わかった。わかったから離れろ、くっつき過ぎなんだよ」
「うるさい」
うわ、今俺すごく大切なこと(顔に当たる胸とか胸とか)を言ったのにたったの四文字で跳ね返しやがったぞこいつは。
「あのな千代姉。千代姉は俺より背が大きいんだよ?そんな千代姉が俺にこんなにくっつくとどうなるかわかるか?
 更にそれが顕著に分かっちゃうだろうが!俺、男なのに女より小さいことを他人に見られてると思うとすっげえ恥ずかしいんだよ!!!」
「うるさい、うるさい!!これは罰だ!!!」
「何のさ!?」
「うるさい!!!!」
ああ、今月は金がないのに、と御波は見えない涙を流しながら大量のアイスをレジに持っていった。
金を払い終わる頃姉は既に外で御波を待っている状態だった。
「ほらこんだけ買えば十分だろ?帰るぞ」
「・・・・・うん」
むぎゅぅ
「・・・・・・あのな千代姉、何故抱きつく」
「さっき言ったろう。これは罰だ」
「つかぬ事を聞きますが、貴女にはこれだけアイスを買ってやったという弟を許す寛大な心がないんですか?」
「ない(キッパリ」
本日二度目の姉の冷たい態度に御波は本当に涙を流しそうになった。
「絶対に渡すものか、御波はワタシノ・・・・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「・・・・・なんでもない。早く帰るぞ」
ギリギリギリ
「ほっふぇが痛いほっふぇが痛いぃぃいいい」
姉に千切れそうな勢いで頬をつねられる御波は今度こそ泣いた。





383 :『ハッピーなライフ』 [sage] :2008/07/30(水) 19:06:26 ID:5Ycs/vv4
ふん、ふん、ふん♪
今日はついに御波くんとキスしちゃった。
御波くん、すっごくびっくりしてたなぁ。あはは、かぁわいい。
このまま順調に行けばいずれ御波くんと、ミナミクン・・・・ト・・・・・・・・。
(The・妄想中)
~二分後~
えへへぇ、御波くぅん・・・・・はっ!いけないいけない。こんなお惣菜コーナーの前で涎垂らしてちゃまるで私がお腹を空かせてるみたいじゃない。
まぁ違う意味で空いてるけどね・・・・・。
あぁもう、早く御波くんと繋がりたい!御波くんをもっと深く感じたい・・・・。
そのためにも明日の彼のためのお弁当は気合を入れなきゃ。
彼の好物は勿論チェック済み、抜かりはないわ。
もう材料は揃ったことだし早く家に帰って下ごしらえをしよう。御波くん、美味しいって言ってくれるかな?
明日が楽しみだな・・・・・・。
「あぁぁぁぁ、わかったわかったから」
え?今御波くんの声が後ろから聞こえたようなって、本当にいたぁ!?どうして!?
よ、よし、声をかけてみよう。
御波・・・・・。
「これ二個ね・・・・・」
「へいへい」
く・・・・・・ん・・・・・・・?
あれ?え?誰、その子?その女?御波くんが私の知らない女と一緒に歩いている?
何で何で、何であんなにべったりしてるの?私が御波くんの彼女だよね、私以外の女はあんなことしちゃいけないんだよね・・・・・・・?
まさか裏切った・・・・・・?
ミナ、ミクン・・・・・・・・。


384 :『ハッピーなライフ』 [sage] :2008/07/30(水) 19:06:51 ID:5Ycs/vv4
「聞いてるのか御波、あとこれと、これ・・・・・」
「わかった。わかったから離れろ、くっつき過ぎなんだよ」
本当は私がそこにいるのに・・・・・、何で他の女がそこにいるのよ御波くん。そこは私の居場所でしょ・・・・・・・・・・・ッ。
今日私言ったよね、私のことを裏切ったら殺すって。私言ったよね!?
それともこれは何かの冗談かな?だとしても私、笑えないなぁ、笑えないよ御波くん。
もしかして御波くん。
ワタシトノカンケイハアソビダッタノ・・・・・・・・・・・?
「お、そこのお嬢ちゃん今日はから揚げが安いよ、一つどうだ・・・ひぃっ!?」
「ウふ、あハハはは、いいのおじサン。ワタシ、これから薬局ニ行かなキャいけなクナったから。うふ、うフフフフフ」
「そ、そうかい。し、失礼したね」
「エェ、全くよ」
・・・・・・いいよ、御波くんが悪いんだからね?私の忠告を無視した御波くんがいけないんだからね?
御波くん、私は御波くんのことが大好き。愛してるよ。
だから・・・・、本当は殺してやりたいけど殺しはしないよ・・・・・・・・・。
でもキツぅいお仕置きをしなきゃいけないよね。だって御波くんが私を裏切ったんだもん。
だからお仕置きをしなきゃね。御波くんの身体にキツぅいお仕置きしなきゃいけないね?ね?
「どうシようかナ。何をしてアゲヨウかなァ・・・・・」
あは、あはははは。
くはははははははははははははははははははははははははは!!!!!
「くふ、くふふふ、あ、明日が、楽しみぃだなあぁぁああああ」