596 :上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/25(日) 01:35:26 ID:MlyMp9a6
「誠人くんっ、早くしないと遅刻しちゃうよ?」
「いや、このままのペースで行けばいつもより20分は早く着いちまうぞ」
「え?誠人くんの時計壊れてるんじゃないの?」
「この腕に付いてる物が見えないのか?」
そう言って加奈に腕時計の付いた左腕を見せつける。
銀盤に曇り空から僅かに射す日光が反射し、いい具合に俺の目線を遮る。
長針と短針が微妙なバランスで共存し示してくる時間は、いつもの登校時間より遥かに早いものだ。
その腕時計を明らさまに興味なさげに流し見し、すぐにまた前を向く加奈。
しかし、こんな姿は”今朝は”何度も見ているので今更特別視しない。
特別視しないというのは”諦めた”という事ではなく、”認めるのが怖い”という事だ。
”今日の”加奈はおかしいという事を。
加奈の異変は早朝のインターホンから始まった。
丁度俺が靴を履き終わりドアを開けようしたところでインターホンが鳴り、そのまま開けてみるとそこには加奈がいた。
いつもはやっと起き始める時間だというのに妙だとは思いつつ、今日は偉いなと感心し頭を撫でてやると加奈が顔を上げた…その顔を見て驚いた。
「どうしたの?」
はっきりとした口調で言った、一点の曇りもなく真っ直ぐ言った…顔に不釣り合いな位に。
「加奈!どうしたんだよその顔!?」
「へへ…ちょっと徹夜しちゃって…」
笑う加奈、その目の下には薄黒く隈が染み込んでいた。
色は大して濃くないがかなり広がっていた、塗り付けられた洗顔クリームのように。
陰気な感じを釀し出すその化け化粧といつもの明るい笑顔が融合を拒み、互いに居場所を主張するようにコントラストが目立っていた。
正直かなり不気味に思った。
顔のやつれ具合も不安だが、それ以上に不審に思ったのは加奈のさっきの言葉だ。
明らかにおかしい、だって、加奈が”徹夜”なんかする訳がないのだ。
合宿先でだって皆が馬鹿騒ぎしている中一人おとなしく寝ている加奈が、何も勉強していなくても試験勉強で徹夜する事のない加奈が、徹夜するなんて信じられない。
でも、実際眠れていない跡は色濃く刻まれている…何故だ?
確かに昨日は加奈と”あんな事”をしたから俺も中々寝つけなかったが、一晩中なんて信じ難い。
加奈が徹夜する程の理由って、何だ…?
昨日散々使い回した頭を朝からフル回転させて立ち尽くしていた俺をよそに、加奈は俺の腕に両手を巻き付け、急かすように歩き始めた。
「早く学校に行こ!」
「あ、あぁ…」
そんな加奈を見て、更に疑念が増す。
普段は学校なんて行きたくないって愚痴を溢すような奴なのに。
しかも俺がいつも昼飯を買う為に寄っているコンビニをも素通りしようとしてきた。
先に行けと言ったが”一緒に行きたい”と子供みたいに駄々をこねるし、何とか説得して店に入っても視線が気になってまともに選べなかった。 通学路でいつものように話ても軽く上の空だ。
そんなやり取りとはとても言えない状態が今も続いている。
加奈が言う事といえば学校に関する事ばかりだ。
しかも早く行きたいなどの催促しかしてこない。
一体昨日加奈に何があったのか…聞いてみたい気もするのだが、今の加奈の笑顔が崩れそうな嫌な予感がして思い止まってしまう。
「もう少しだから…」
頭の中が考え事で埋まっている俺に、突然加奈が口ずさんだ。
何かを言いかけたような気もしたが、また学校の事だろうと思ってたかをくくる。
「わかったよ」
返事はなかった。
597 :上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/25(日) 01:36:04 ID:MlyMp9a6
結局学校へはいつもより30分は早く着いた。
つまらない話題で淀んだ俺たちの空気とは裏腹に相変わらず賑やかな感じだ。
この一見煩わしい雰囲気が俺は好きだ。
青春を思う存分楽しんでいる事を認識出来るからだ。
将来大人になってしまったら様々な事に追われてこんな風に騒ぐ機会なんてほとんどなくなってしまう。
勉強も含めて、”今しか”出来ない事は沢山ある、大抵の人間はそれに気付かないだけだ。
後で知って後悔したって後の祭り、俺はそんな人生絶対にご免だ。
勿論加奈にもそんな道を歩ませる気は毛頭ない、だからプライベートな話題は学校内ではなるべく避け、この一時を噛み締めて欲しい。
後ろからいつも学校の風景を見ると思ってしまう事を加奈の背中に訴えかけながら、そんな俺の願いを無視するように加奈は足早に校門を抜けていった。
途中ピカソ並に個性的な字体をした校名を書道した木片を日課のように流し見しながら。
そして俺も校門を通りすぐ先に広がる校庭を見たのだが、ここで妙な事に気付いた。
さっき聞こえてきた―勿論今も聞こえている―うるさい声が嘘のように、校庭には誰もいないのだ。
風が時々寂しそうに砂埃を舞い散らせるだけだ。
校庭に人がいないという事は全員校舎内にいるという事か、しかし今日は曇っているとはいえ雨も降ってないから校庭は使える。
いくら俺たちがいつもより早く来過ぎたにしても人っ子一人確認出来ないこの状況は明らかにおかしい。
加奈の事にしても今日はおかしい事が起こり過ぎだなと思いながら俺は頭を掻いた。
「とりあえず校舎に入ろうか…?」
いつもならこんなアホみたいな確認取る必要ないのに、ただならぬ雰囲気に包まれた今俺の警戒心はかなり高まっている。
客観視したらきっと大袈裟だろと笑うのかもしれないが、今の俺は本当にジメジメとした不安が頭にこべりつき離れてくれない。
そんな俺の心中を察してくれたのか、
「うん!早く入ろ!」
明るく答えてくれる加奈。
今日は今まで終始この態度だったからこんな返事も当たり前なのだが、それでも今の俺にとってはかなり救いとなった。
一瞬笑顔が溢れそうになった途端、突然校舎内から生徒らしい人物が出てきた。
かなり慌ただしそうな様子だが、人の存在を確認した事で俺のわだかまりは一気に消えていった。
安心して胸を撫で下ろしていると、その生徒が俺たちに気付いたからか、走って近付いてきた。
「沢崎に城井ッ!”やっと”登校してきたのか!」
接近してきて徐々に顔は読め声で確信した、こいつは同じクラスメイトの小松楢木だ。
席が近かった事で一年の頃から一番話す親友だ。
さっきの叫びに対して若干のツッコミを入れとく。
「馬鹿野郎、早過ぎて暇を持て余しちまうだろ。俺は運動部のお前と違って朝練はないの」
「そんな事はどうでもいいから!」
「そんな事ってお前なぁ…」
俺が呆れた感じでいると、小松が俺の肩を突然掴んできた。
俺より背は高いので見下ろされる形になる。
「お前まだ知らないのか!?」
鬼気迫る表情を見て、ようやく何か深刻な事態に直面しているんだという事に気付く。
もう最初感じた不安を忘れてしまったのかと頭の中で自らを叱咤しながら問う。
「何かあったのか?」
「やっぱりまだ知らないのか…!」
そう言うと小松は夏指定の若干茶味がかった制服の胸ポケットを探り一枚の折り畳まれた赤い紙を取り出した。
それを乱暴に開くと、文面のある側を無言で突き付けてきた。
「…は?」 本当にそういう声が漏れてしまった。
一度その文を眺めただけではその意味を理解出来ない。
目で一文字一文字を凝視しながら慎重に意味を読み取ろうとするが、やはり分からない。
自分が見ているこの現実を疑いたくなった、もしかして「現実は夢、夜の夢こそ真実」って奴なんじゃないかとさえ思った。
「何なんだよ…これ…」 もう一度だけ読み返し、表面上の意味だけは理解した。
「”別れろ”…だと?」
正確には、ドラマなんかの脅迫文めいた歪な字体で打ち込まれており、こう書かれていた。
『二年B組・沢崎誠人と二年C組・城井加奈、今すぐ別れろ』
598 :上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/25(日) 01:37:06 ID:MlyMp9a6
「これが今朝貼られてあって…」
小松の言葉に答えられない。
代わりに俺が質問を投げ掛ける、今の俺の不安の根底にある素朴な疑問を。
「何でお前が”その紙”を持っているんだよ…?」
「そ、それは…」
言い渋る小松を素通りし、俺は夢中で校舎へ向け鞄を投げ出し走り出した。
小松が何か言ってきたがそれは俺を止める事は出来ない。
今すぐ確認したい事があったからだ。
冷静に考えればこれも”おかしい”事だ。
少なくとも小松の慌て様と学校内のざわめきはあの紙によるものだろう。
しかし、その紙が”一枚だけ”なら皆が校舎内にいるというこんな異変が起こる訳がない。
小松が一人あの紙を俺と加奈に見せれば済む話だ。
しかし、これ程の異変が起こっているなら小松の他にもあの紙の事を知っている人がいるはずだ、それこそ生徒の間に止まらず教師にも伝わっているはずだ。
教師にまで伝わるなら、誰がやったのか調べる為にその紙の掲示を求められるはずだ。
なのに小松は当たり前のようにあの紙を持っている。
その理由は”一つしか”ない。
息を荒げ校舎内に入った俺、そして…
「ハハ…」
笑ってしまった。
笑うしかなかった。
あまりにも想像通り過ぎる光景を前にして、それ以外の反応の仕方を俺は知らなかった。
校舎内で忙しく動き回っている生徒たちが呆然とした俺を見つめている気がしたが、目に入る光景に全ての思考が奪われる。
「何だこりゃ…」
やっと絞り出せたのはこんな言葉でしかなかった。
”一つしか”ない理由…それは簡単、先生も生徒も持てる程”沢山”あるからだ。
俺の視界に広がる赤い世界…廊下一面に貼られている無数の”あの紙”という光景にただ気押されながら立ち尽くしていた。。
「沢崎!これは何なんだよ!?」
一人の生徒の叫びが廊下に響いた瞬間、土石流のように生徒の集団が俺の下へと集まってきた。
芸能人の記者会のように取り囲まれる、人口密度が急に上がり一気に体温が上がった気がした。
皆の物珍しいものを見つめるような視線が痛い。
「これ誰がやったんだよ」「お前ら付き合ってたの」、大体この二つを中心に皆が口を揃える事なく質問攻めを始めてきた。
生徒の波に押し潰されそうな中、初めてスキャンダルを収められた芸能人の気持ちを理解した。
俺が答えようとしても皆の質問でかき消されてしまう、こんなんでは一生この状況はいい方向に進まない。
頭を抱えたくなった瞬間、生徒の半分近くが俺から離れた。
僅かな解放感に浸りつつ振り向くとその理由が分かった。
「城井さん!沢崎と付き合ってたの!?」
「えへへ、まぁ…」
加奈がいたのだ。
きっと俺が勝手に走って行ったから追い掛けてきたのだろうと思いつつ視線を向けていると、さっきまでの俺のように取り囲まれ不自由そうな加奈が小さな体で人の隙間をくぐりながら笑顔で近付いてきた。
「誠人くん、忘れ物だよ」
「あ、ありがとう加奈…」
差し出された俺の鞄を受け取ると満面の笑みで応えてきた、今のひきつっている表情の俺と違って…笑み?
一瞬疑問に思いすぐにそれは”最悪な想像”へと変わっていった。
何で加奈はこの状況で笑っていられるんだ?
明らかな非現実的なこの空間で、何でそんなに心から笑っていられるんだ…?
俺でさえあまりの非常事態に戸惑っているというのに、加奈は何でこんなにも”当たり前”のようにしていられるんだ…?
「加奈、ちょっと来い!」
「え!?」
俺は名残惜しそうにしている加奈の手を強引に掴み取り、人混みをかき分け校舎から脱出していった。
途中様々な質問を何回もされたが、全て「後で」で済ませ、俺は”あの場所”を目指した。
599 :上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/25(日) 01:38:12 ID:MlyMp9a6
「何?誠人くん?」
クスクス笑う、余裕そうに笑う加奈。
場所が場所なだけに島村の事を思い出さずにはいられなかった。 ここは体育館裏、昨日男として屈辱的な事をされた場所だ。
今更その事を思い出して苦笑しそうになった。
誰も来ない為さっきまでのざわめきが嘘のように静かだ、冗談じゃなく葉が落ちる音まで聞こえてきそうだ。
あの場所で昨日俺を見下すように笑った島村と今の楽しそうな笑いが重なる。
しかし今はそんな事はどうでもいい。
今は聞くべき事がある、朝加奈の笑顔が壊れるのを恐れ聞けなかった事…”昨日何をしていたか”という事をだ。
これを聞いて加奈の笑みが消えたらどんな事をしてでも謝る、寧ろそうなって欲しかった。
この質問にもし平然と答えてきたら…と考えると寒気がした。
頭の中で必死に祈る…自分の思い過ごしだという事を。
加奈の異変と学校での異常…この二つを繋ぐ一本の線をバッサリ切って欲しかった。
「加奈…」
「何?真剣そうな顔してるね」
ニヤニヤ笑う、しかし決して腹は立たない、寧ろ清々しい。
こんな悪戯好きな子供のように純粋な表情の加奈が”そんな事”する訳がない…揺らぐ予想を確信に変える為、俺は勇気を出した。
そして………
「昨日徹夜で何をしていたんだ?」
「もう人が悪いなぁ誠人くんは!もう”分かってる”んでしょ、あはっ!」
聞いた事を死ぬ程後悔した。 ”純粋に”笑っているからこそ、加奈にかつてない程の恐怖を感じた。 「あの紙パソコンで作るの結構大変だったんだよ?自分で書いたら筆跡でバレちゃうから駄目だしね」
加奈が言っている事の意味を理解したくない…それでも残酷に俺の頭には繰り返しフラッシュバックのように事実を示す文字が浮かぶ。
信じたくない…信じられない…。
あの加奈が、”脅迫文めいた紙を作り、それを校舎中に貼った”という事実が。
だが、その事実を裏付けるように加奈はひたすら静かに笑っている。
事実は認めなければ先に進めない…観念した俺は、根本的な質問をする。
かなり慎重にだ。
「何であんな事をしたんだよ?」 それを聞くと加奈はキョトンとした。
大きな瞳が視線の行き場を失っている、俺の質問を予想だにしていない様子だ。
あたかも”何でそんな事が分からないの?”と言いたげな、そんな感じだ。
「決まってるよ、あたしたちの仲を知らせる為だよ?」
当たり前のように当たり前の事を言った。
しかし、”当たり前”というのは結果としてそうなっただけだ。
あんな文面の紙を大量に貼れば嫌でも皆俺たちが付き合っているんだと気付く。
そこじゃない、俺が聞きたいのはその更に奥、何で俺たちの仲を示さなければならないのかという事だ。
もう一度同じ質問をしようして、加奈に先手を取られる。
「だって、島村さんみたいな人が”あんな事”したのはあたしと誠人くんが付き合っている事を知らないからでしょ?」
「そ…」
「絶対そうだよ!」
”そうなのか”と尋ねようとするのをまた加奈に遮られる。 俺の言おうとしていた事を先読みしたかのようなタイミングに驚いた。
いや、俺の意思は加奈に読まれているんだ…本気でそう思った。
「だから皆に手っ取り早く知らせたかったんだけど、誠人くんに”学校をやめる事になるような事はするな”って言われてるからストレートに伝えるのはマズイじゃない?」
加奈がやれやれといった感じで右手を大袈裟に額に当てた。
「だから”ああいう風”に書いたんだよ?ああすればあたしたち以外の誰かがあたしたちの仲を妬んでやったように見えるでしょ?」
「なるほど…」
思わず声を漏らしてしまう。
加奈がまさかここまで考えて行動するなんて予想だにしなかった。
普段はとぼけた態度のくせに、裏で何をやっているのかと思ってしまった。
感嘆してしまった俺の反応に心から喜んでいる加奈。
その笑顔に少しだけ言った事を良かったと思う自分が恨めしい。
「きっと皆あたしたちの仲を知ったら邪魔してこないよ。島村さんだってやめてくれると思う…でも…」
「ん?」
600 :上書き第7話 ◆kNPkZ2h.ro [sage] :2007/02/25(日) 01:39:10 ID:MlyMp9a6
そこまで言って加奈はうつ向く。
それだけの事なのに、俺は嵐の前の静けさのようなものを感じた。
「もし…」
加奈が何を言い出すのか、聞くのが怖い。
聞いてしまったら後戻りがきかなくなるんじゃないかと根拠のない不安に駆られる。
体中から汗が溢れる、制服は軽くビチョビチョだ。
「もし、それでも誠人くんを苦しめようとする人がいたら、絶対に”守ってあげる”から…!」
”守ってあげる”、この言葉の意味を加奈は果たしてどう捉えているのか?
間違った解釈をしてはいないだろうか?
臆病風に吹かれた今の俺には聞けない。
「島村さんは大切な事を教えてくれたんだ!」
突然空元気のように明るくなる加奈。
冷静な口ぶりからいつもの加奈に戻ったような気がしたが、安心は出来ない。
「あたし今まで誠人くんの事”上書き”する事考えていた…」
”上書き”、その言葉に昨日の背徳的な行為が思い起こされる。
「でも違ったんだよ、簡単だったんだよ。”上書き”する以前の問題…誠人くんを傷付けさせなければ全て良かったんだ」
そう言いながら俺の下に歩み寄ってくる加奈。
そのただならぬ雰囲気に思わず一歩後退りするが、そんな事は気にしない様子だ。
「そうすれば誠人くんが”傷付く”事はない…」
やがて俺たちの距離差は縮まり、胸と胸がくっつきそうなまでになった。
加奈の小さな胸がこんなに近くに…いつもならドキドキすべき場面だが、今は別の意味でドキドキしている。
見上げてくる加奈は可愛い…どこまでも純粋に笑う加奈は可愛い…なのに、どうして俺はこの状況を楽しめないんだ?
自己嫌悪に陥る俺をよそに、加奈が背伸びし俺の耳元に囁いた。
「もう誠人くんを傷付ける”要因”を近付けたりはしないから、安心してね?」
加奈の言葉が俺の背筋を擽る。
加奈の吐息が俺の耳を真っ赤に色付ける。
赤ん坊をあやす母親のように加奈は優しく微笑んできた、その笑顔に不安を覚えている俺はどこまで不謹慎なんだ…。
「それじゃ、”また後でね”?」
そう言い残し、俺に背を向けた加奈に罪悪感を感じながら、俺は結局何も言えなかった…。
最終更新:2008年08月09日 15:45