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183 :新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA [sage] :2007/03/05(月) 21:22:11 ID:fnlF47vt
<<<新店長でグランドオープン~おにいたん、だいすき!2~>>>

てっこら、てっこら。
昼間の大通り、幼稚園ぐらいの女の子が歩いている。
そばには自分と同じぐらいの大きな犬。犬には首輪こそついているが紐はついていない・・・、
もっとも、紐で引っ張っても犬のほうが女の子を引きづるだろうが。
犬と少女はやがて駅に着く。
少女は首から提げた大きなバッグからなにやら写真を取り出した。
待合室の中、少女は写真を手にきょろきょろ。やがて、目的であろう人物に声をかける。
「おぢたん!!」
おじさんと呼ばれた男は同じく写真を手ににっこりと笑い、少女に手を差し伸べる。
少女と男は握手をしたあと、男に声をかける。
「おちっこ・・・」
二人はトイレに入っていった。
10分後。トイレからは女の子だけが出てきた。首から提げたバッグは前より膨らんでいる。
女の子は入り口で待機していた犬の首に自分のバッグをくくりつける。
そして一人と一匹は駅をあとにする。『荷物』を届けるために。
少女は犬の背中にちょこんと座り、声をかけた。
「たてと(さてと)、かえるでつよ、ピオン」
犬は少女を背中にのせ、それでも普段と変わらない足取りで歩き去った。

「『えくつたちぃ』、もらってきたでつよ」
「おお、えらいぞ、かおるちゃん」
某『反社会的団体』の事務所。山那薫はピオンの首からバッグをはずし、中身を見せた。
中にはカラフルな錠剤-『エクスタシー』と呼ばれる麻薬がぎっしり。
「むこうのおぢたん、くみちょうたんにもらったおかねより、マルがひとつおおくくれなんていってきたでつ」
「またか、あいつは!」
「あたまにきたので、バチバチをくらわせてやったでつ」
薫は懐から黒い金属質のものを取り出す。俗に言う「スタンガン」。
「ああ、かまんよ。おい!」
組長と呼ばれた男は近くにいた自分より少し若いぐらいの男のほうにむき、首をしゃくる。
若い男は隣室へと出て行った。程なくして、「なめとんのか、ワレ!」などという声が聞こえる。
「いまごろあのおぢたんはけいちゃつ(警察)のおぢたんにいぢめられてまつね」
「・・・ここはばれねぇだろうな?」
「ようちえんぢにはんげきたれた(反撃された)なんて、ちんぢるひといるとおもいまつか?」
「ちげぇねぇ!!」
組長はげらげらと笑い出す。
「おかねはかえつでつよ」
「かまやしねえよ。今回の代金は薫ちゃんが全部取っときな」
「ありがとう、おぢたん!」
今回の代金は実は7桁に上る金額だったがそれを差し引いて余りある利がある。
誰も思うまい?「幼稚園児が麻薬の運び屋(しかも自覚あり)」などと。
「ではかえるでつ。あんまりおとくなると、ままがちんぱいつるでつ」
「おう、ママによろしくな!」
「あい!ピオン、かえるでつよ」
事務所の中で寝ていたピオンは起き上がると小さな主人についていった。そして事務所を出て行く一行。
「オヤジ、今回の代金はチャラということでナシつきましたぜ。あ、薫ちゃん帰ったっすか?」
「ああ、アレはいい女だ。あと20歳年くってりゃ愛人にするんだけどな」
「それよりもオヤジの後継がしたほうがいいですぜ。いい姐さんになるな、ありゃ」

がぁっはっはっはっはっ。

事務所の中にむさい男どもの笑い声が響き渡った。



184 :新店長でG.O. ◆dkVeUrgrhA [sage] :2007/03/05(月) 21:22:45 ID:fnlF47vt
「ただいまでつ」
薫とピオンが帰ったのは禾森邸だった。前作の最後、耕治とあずさは山那邸に引っ越したのだが、
そのせいで山那一家は公営住宅を追い出されてしまったのだ。
実はどこでもそうだと思うが、公営住宅は一定年収以下の人間でないと基本的に入れない。
山那一家の場合、同居人の耕治とあずさの収入の合計が公営住宅の基準をオーバーしてしまい役所から退去勧告を受けた。
仕方ないのであずさは一度は出て行った自分の実家に山那一家と耕治を住まわせることにしたのである。
実家といってもあずさの両親は既に亡く、妹の美衣奈と飼い犬のピオンがいるだけだった。
美衣奈は最初は反対したのだが薫が小声で何かつぶやくと大賛成してくれた。
薫が何をつぶやいたのかは当人達しかわからない。
「かおるちゃん、おかえり~」
出迎えたのは美衣奈だった。
「みなおねえたん、ただいまでつ」
薫はピオンの首につるしたバッグを取り出し美衣奈に預ける。
「またちょきん、おねがいちまつでつ」
「今回多いね~危ない橋渡っちゃだめだよ?」
「バチバチもってまつち、ピオンもいるでつ」
ばぅっ
薫の返事に合わせてピオンが吼える。
「分かってるけど、気をつけてね」
「あい♪」
二人と一匹(ピオンは玄関にある専用マットで自分で足を拭いてから上がる)は居間に向かう。
「おにいたんとあづさおねえたんはまだかえってこないでつか?」
「もうすぐ帰ると思うよ?」
そういってたら玄関のチャイムが鳴る。
「あ、帰ってきた」
「きたでつ」
玄関には耕治、あずさ、そしてテュルパンでパートを始めたとき子が入ってきた。

「で、聞いてよ!耕治ったら新しい店長みて鼻の下伸ばしっぱなしなのよ!」
「おにいたん・・・うわきはバチバチのけいでつよ・・・?」
「い、いや、あれ、アレはしょうがないって!」
山那家改め禾森家の食卓。あずさは今度赴任する新しい店長の話をしていた。
前の店長の妹というその人物は相当の美人でスタイルがいいらしいのだ。
「ナイスバディってとこがちょっととき子さん似だけど、もっとすごいというか・・・
そう・・・トランジスタグラマーっていうか・・・とにかくボォン!キュッ!ぼぉぉぉぉん!!なんだよ」
「『みねふぢこたいけい』でつか?」
「そう、そんなかんじ・・・いててててて!!」
「彼女の前でそんな話するなぁ!」
「耕治さん・・・失礼ですよ・・・?」
美衣奈まで控えめではあるがクレームをいう。
「みてみたい、でつね」
「店長さんを?明日にでも見に行きゃいいじゃん」
「とうちまつ。あちたはアレちかけにいきたいでつち」
「あ、準備できたの?」
「あい♪」
「やっと薫ちゃんの許しが出てアレできるんだ・・・」
「ああ、やっとだな・・・」
「おまたてちまちたでつ」
といって座ったまま礼をする薫。ちゃぶ台にゴチンと額をぶつけるのがお約束。
「んじゃ、食い終わったら『食後の運動』だな。ん、ふっ、ふ~」
「おにいたん、なにいってるでつか?おにいたんは『ばつげーむ』でつよ?」
「え、なんで?なんで?」
「こ、耕治さん・・・浮気の罪は重いと思うんですけど・・・」
「え?アレで浮気のうちに入るのかよ?!・・・って、まて、ピオン!なにをする!やめい!!」
ピオンは耕治の後ろに回りこむと後ろの首の襟口を噛み耕治を寝室までひきづっていくところだった。
「まて!俺はまだ食事中!ってやめろ!ズボン噛み千切るな!うわ~」
「ばつげーむのひつようないでつね」
うんうんと頷く女ども。何か後ろではパンパンという腰を叩きつける音がするが気にしない。
そうして禾森家の夜はふけていく。